日本の企業税制 【第11回】「法人税改革は2段階で」
問題は、数年で20%台の具体化であるが、経団連では、平成27年度から平成29年度までの3年間で20%台を確保し、さらに25%を目指すことを提言している。いわば『2段階方式』であるが、なぜ、このような主張であるのかを解説しておきたい。
マンション保有者のための相続税対策とその留意点 【第1回】「既存のマンション保有者が検討すべき対策」
特に近年では、購入代金のうち建物部分の比率の占める割合の高い都心の高層マンションを取得することで、評価の低い建物に組み替えて財産の評価額を減らし節税をはかることを検討しているケースもあるようだ。
このような背景を踏まえ、本稿では相続税対策を中心に居住用・投資用を目的とした区分所有によるマンション保有者または購入検討者に焦点を当てた税金対策について、①既存のマンション保有者と②購入検討者に分け、全2回にわたり解説する。
有料老人ホームをめぐる税務上の留意点 【第2回】「有料老人ホームにおける法人税実務のポイント」
有料老人ホームの会計は、入居時に高額な入居一時金を預かることから、厚生労働省が「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(以下「指導指針」という)を設け、経理会計の独立性、事業収支計画の策定、情報公開と監査制度等を定めている。
有料老人ホームの税務は、株式会社形態のものと非営利法人形態のものでは課税対象が異なり、株式会社形態の場合は、すべての所得が法人税等の課税対象となるが、非営利法人形態の場合には収益事業から生じた所得のみが法人税等の課税対象となる。
平成26年度税制改正における消費税関係の改正事項 【第5回】「輸出物品販売場制度(外国人旅行者に係る消費税免税制度)の見直し」
従来、消耗品(食品類、飲料類、たばこ、薬品類及び化粧品類並びにフィルム、電池その他の消耗品)は、出国までに国内で消費する可能性を排除できないことから、この免税の対象となる物品から除くものとされていた。
しかし、現状において、アジアからの観光客を中心に、食品類、薬品類、化粧品類等を自国へ持ち帰り、土産物とする実態が多く見られることから、化粧品や飲食料品等を免税対象とすれば、外国人旅行者の利便性向上により、日本国内での旅行消費の拡大を期待することができる。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第26回】「判例分析⑫」
そもそも、事前照会を行うような納税者はどちらかというと保守的に租税法を解釈する納税者が多いため、「社会通念」のような曖昧なもので、かつ、意図的ではないにしても、事前照会で提出した事実関係とは異なる事実関係が知らないところで存在し、それが税務調査で指摘されてしまうリスクを考えると、それに頼った対応というのはあまり望ましくないというのも実態である。それを考慮すれば、子会社の再生において、第2会社方式により旧会社を特別清算するという手法を選択しているケースが多いが、法人税基本通達9-6-1(2)により形式的に判断できるやり方の方が好ましいというのも実態である。
生産性向上設備投資促進税制の実務 【第10回】「各制度の比較」
生産等設備に関する特別償却や税額控除といった税制措置には、本連載で取り上げた「生産性向上設備投資促進税制」(措法42の12の5)のほかに、平成25年に創設された「生産等設備投資促進税制」(措法42の12の2)が存在する。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第21回】「医療費控除の対象となる『医薬品』(その3)」
前回述べたとおり、課税実務は、所得税法73条2項にいう「医薬品」が薬事法からの借用概念であって、かかる「医薬品」が薬事法に示されているものに限るという点に厳格に従っているのである。
そこで関心を寄せるべきは、薬事法が公法であるという点である。この点は、本連載、第16回~第18回(「建替え建築は『新築』か『改築』か?―住宅借入金等特別控除と借用概念―」)においても確認したとおり、公法から概念を借りるという見方については制約があったことを想起したい。
法人税改革の行方 【第4回】「中小企業・同族会社をめぐる論点」
政府税制調査会では、企業規模を見る上での資本金の意義は低下してきており、資本金基準が妥当か否か見直すべきとの意見が出た。しかし、企業規模に関する指標として資本金に代わる有力な指標が明示されたかというと、そうではない。
平成26年度税制改正における消費税関係の改正事項 【第4回】「課税売上割合の計算方法に係る見直し」
課税売上割合の計算において、有価証券等の譲渡については、その譲渡対価の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入することとされているが、債権の譲渡については、その譲渡対価の全額を算入することとされていた。そうすると、債権譲渡を多く行うと、課税売上割合が低下し、消費税納付額の増加につながることとなる。