経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第3回】「人事活動と税金」―役員給与の税務―
当社は、食品・惣菜の製造販売を営む資本金額1,000万円の内国法人(12月決算)です。
当期において、売上高の大半を占める大口得意先が民事再生法の適用を申請しました。申請の背景を調べたところ、消費不況による値下げ圧力で収益が悪化したことに加え、為替予約における損失が資金繰りを逼迫しており、今後は事業規模を縮小せざるを得ないことが判明しました。そのため、今後は当社の売上高が激減し、業績が予想以上に悪化することが避けられない状況となりました。
当社では、役員に対して支給する給与は、各支給時期における支給額を同額とし、「定期同額給与」に該当するものとして損金処理をしていますが、今後、期中に役員給与の減額を含む経営再建計画を策定する予定です。
このような事由による役員給与の減額改定における、税務上の取扱いを教えてください。
企業不正と税務調査 【第11回】「粉飾決算」 (2)架空売上・架空循環取引
単純な架空売上は、売掛債権が回収できないという致命的な欠陥を有しているため、すぐに不正が見抜かれてしまう。そこで、売掛債権が通常どおり回収されたように見せかけ、不正を長期間続ける手法として、架空循環取引が注目を浴びることとなった。
その手法自体は、古くから環状取引として知られ、その損失負担をめぐる裁判例もあったのだが、平成16年11月において株式会社メディア・リンクスによる架空循環取引の実態が報じられて以来、毎年のように、大きな架空循環取引事件が発覚しては、話題を集めてきた。
近時では、さすがに架空循環取引の手口も周知のものとなり、大きな事件はあまり聞かれないようになっていたところ、5月8日にリリースされた老舗機械商社の椿本興業株式会社の調査報告書では、長く、架空循環取引が行われてきたことが明らかになった。
鵜野和夫の不動産税務講座 【連載3】「相続時精算課税制度~そのメリットとデメリット」
〔Q〕先生、今回の税制改正で、「相続時精算課税制度」についても改正されたとのことで話題になっていますが、どういう内容なのでしょうか。
〔税理士〕この制度も、高齢化した世代から、若い世代に早期に財産を移転させて、眠っている財産の活性化促進し、景気の振興に資そうという税制です。
〔Q〕具体的には?
〔税理士〕現在は、65歳以上の父母から、20歳以上の子に贈与された場合に、贈与金額が2,500万円までは贈与税を課税せず、2,500万円を超えたとき、その超えた部分について一律に20%の低い税率で課税しておくというものです。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第4回】
法人が固定資産の修理・改良等のために支出する費用には、例えば、
(a) 維持管理費の性質を有するもの
(b) 取替補修費の性質を有するもの
(c) 改造増設費の性質を有するもの
などがある。
これらの費用が固定資産に対する資本的支出に当たる場合には、その費用は減価償却資産として償却が必要であり、一時の損金の額に算入することができない。
税務判例を読むための税法の学び方【13】 〔第4章〕条文を読むためのコツ(その6)
ここで書く内容は、いくつかある。
1つ目であるが、前回は対句に着目して整理する方法を書いたが、ある意味ではその内容に含まれるものである。前回、「対句」といった場合、様々なものが考えられることを述べた。そして、文章内に同じような表現が繰り返されている場合を取り上げた。
しかし「対句」とは、ある語に別の語がセットとして続く場合も指す。ここではこのセットの語が法令用語であるものを、分類して説明する。
以下の簡単な条文で説明しよう。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載25〕 海外赴任中のストックオプションの権利行使と株式譲渡について
私は日本の上場企業に勤める会社員です。平成22年4月に、会社からシンガポールへの海外赴任を命ぜられ、現在も引き続きシンガポールに居住しています。
最近の日本の株高の傾向を受けて、下記のストックオプションを平成25年6月に権利行使しようと思っています。また、権利行使後、適当な時期にその取得した株式を譲渡しようと思っています。
この場合、私は、どのような課税関係になるのでしょうか。
いわゆる、税制適格ストックオプションの場合と税制非適格ストックオプションの場合について、教えてください。
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第3回】「「生産等設備」及び「比較取得資産総額」の判定」
前回の第2回では、対象法人や対象期間、繰越控除の有無など、要件の基本的な部分を確認した。
今回は、生産等設備投資促進税制の中心部分である、以下の要件判定部分について解説する。
「① 国内における生産等設備への年間総投資額が適用事業年度の減価償却費を超えていること」
「② 国内における生産等設備への年間総投資額が前事業年度と比較して10%超増加していること」
上記要件の両方に、「生産等設備」という用語が登場する。まずは、この用語の意味を把握する必要がある。
中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第4回】「統合の形態により異なる税務の取扱い」
1 はじめに
前回までは主に「買収」に係る税務デューデリジェンスを取り上げたが、今回より、合併や株式移転に代表される「統合」の各形態の内容及びその税務上の取扱いやポイントについて、事例を交えて解説する。
2 統合の形態
B社のオーナー株主(個人)が、同業種(電子機器卸売業)を営む競合他社(A社)から両社の統合の申し出を受けたとする。この際、その統合の手法・形態によって税務上の取扱いが相違することになる。
以下、数値例を用いて解説する。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第3回】「1人当たり5,000円以下の飲食費」
第2回では、税務上の交際費等に該当しない支出について例を挙げて解説した。第3回でも引き続き交際費等に該当しない支出について解説するが、特に「1人当たり5,000円以下の飲食費」について解説する。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第3回】
取得価額が10万円未満又は使用可能期間が1年未満であれば、少額の減価償却資産として、その取得価額の損金算入が認められる(法令133)。また、取得価額が20万円未満であれば、一括償却資産として、事業年度ごとに対象資産を一括して3年間で均等償却することが認められる(法令133の2)。さらに、中小法人の場合は、取得価額が30万円未満であれば、少額減価償却資産として、合計300万円までの範囲で取得価額の損金算入が認められる(措法67の5)。
この取得価額の計算方法は前回みたとおりであるが、実際に固定資産を取得するに当たっては、一定の数量をまとめて取得する場合、複数の異なる種類の資産をセットで取得する場合などがあり、これらの取得価額をどの範囲で合計すべきであるかという固定資産の判定単位の問題がある。