monthly TAX views -No.124-「『安倍晋三 回顧録』に歴史的な価値があるか」
安倍氏が内政・外交を赤裸々に語っており、当時のオバマ大統領、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席などへの個人的な評価や秘話も描かれており、大変興味深い内容である。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例52】「請負契約により取得した機械装置の取得時期」
私は、中部地方において自動車部品の製造業を営む株式会社A(資本金20億円で3月決算)において、経理部長を務めております。中部地方にはわが国を代表する自動車メーカーの工場が多数存在しており、わが社もそれらに属する担当者から要求される厳しい品質基準とコスト管理に音を上げつつも、何とか食らいついて、これまで事業を維持することができてきたところです。
租税争訟レポート 【第67回】「税理士法人による期限後申告と青色申告承認取消処分(福岡地方裁判所令和4年12月14日判決)」
本件は、青色申告の承認を受けていた株式会社である原告が、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことを理由として、処分行政庁から青色申告承認取消処分(本件処分)を受けたため、被告を相手として、本件処分の取消しを求める事案である。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第6回】「消費税法における届出書の提出時期に係る「やむを得ない事情」のレベル」
消費税法における課税事業者の選択や簡易課税制度については、その適用しようとする課税期間の初日の前日までに選択(不適用)届出書を提出しなければならないが、「やむを得ない事情」がある場合の宥恕規定も存在する。
これを受けて、消費税法基本通達1-4-16(13-1-5の2)は、自己の責任によらない災害、事業者に帰責事由のない状態、1ヶ月以内の相続により相続人が新たに個人事業者となったなど、税務署長がやむを得ないと認めた場合がこれに該当するとしている。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第30回】「租税条約における「利得の分配に係る事業年度の終了の日」の取扱いの変更」
前回に取り上げた事案の控訴審判決を受け、国税庁は去る3月30日、租税条約における「利得の分配に係る事業年度終了の日」の取扱いを変更したと聞きましたがその概要を教えてください。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q79】「新しいNISA制度と現行NISA口座での投資額の取扱い」
私(居住者たる個人)は、一般NISAを利用して、上場株式等を保有しています。令和5年度税制改正でNISA制度が恒久化され、大きく仕組みが変更になると聞きました。現在NISA口座で保有している上場株式等は、2023年中に譲渡しないと非課税措置の適用を受けられないのでしょうか。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第26回】「合法性の原則の内在的制約」-スコッチライト事件・大阪高判昭和44年9月30日判時606号19頁の新たな読み方-
今回は、古い裁判例ではあるが、スコッチライト事件・大阪高判昭和44年9月30日判時606号19頁(以下「本判決」という)を取り上げ、租税平等主義との関係で合法性の原則の制約を検討しながら、本判決の「新たな読み方」を提示することにしたい。まず、その検討に関連する本判決の判示を以下に引用しておこう(下線・傍点筆者)。
〈判例評釈〉ムゲン・ADW事件が残したもの~最高裁の判示は、納税者の納得が得られるものか~ 【第3回】
ムゲン事件第一審において、原告は、「国税庁は、平成7年に、分譲マンション購入費用事例(※24)において、取得目的が将来的に分譲することにあれば、『課税資産の譲渡等にのみ要するもの』に該当するとして差支えない旨回答し、また、国税庁作成による『消費税一問一答(平成6年版)』には、『販売用の目的で取得し、一時的に自社の資材置き場として使用しているときは、最終的な使用目的が販売用であるので非課税用となる』と記載されていたことからすれば、国税庁は、従前、個別対応方式における用途区分については、事業者の課税仕入れの最終的な目的により判定することを明らかにしていた」と主張し、さらに、「賃貸中マンション購入費用事例(※25)や、国税庁が、従前、『課税資産の譲渡等にのみ要するもの』の意義について、『直接、間接を問わず、また、現実に譲渡を行った時期を問わず、その対価の額が最終的に課税資産の譲渡等のコストに入るような課税仕入れ等をいう』との解釈を明らかにしていたところ、当該解釈に従うと、販売目的で建物を購入するに当たり、販売するまでの間、これを住宅用として賃貸する予定があったとしても、当該建物の購入はその対価の額が最終的に課税資産の譲渡等である販売のコストに入るような課税仕入れに当たることなどからすると、個別対応方式における用途区分の判定を事業者の課税仕入れの最終的な目的により行う取扱いは、従前、税務当局の課税実務において広く認められていた」とし、本件更正処分は適法であるとしても、原告の過少申告は、税務当局による取扱いの変更から生じたという点で、真に原告の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らして、原告に過少申告加算税を賦課することは不当ないし酷であると主張した。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例122(消費税)】 「賃貸ビル売却計画を事前に聞いていたため、「課税期間特例選択届出書」で課税期間を区切り、売却する課税期間からの「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、有利な簡易課税を選択できたにもかかわらず、これを怠ったため、不利な原則課税での申告となってしまった事例」
令和Y年3月期の消費税につき、賃貸ビルを売却することを事前に聞いていたため、「課税期間特例選択届出書」を提出して課税期間を区切り、売却する課税期間からの「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、有利な簡易課税を選択できたにもかかわらず、これを怠ったため、不利な原則課税での申告となってしまった。これにより、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。