〔書面添付を活かした〕税務調査を受けないためのポイント 【第3回】「「添付書面」記載のポイントと意見聴取時の留意点」
前回述べたとおり、書面添付は、提出された確定申告書及びその添付書類である計算書類が適切な根拠とプロセスで作成されたかを税理士が自らの責任で記載するものである。
上記のように、税務署は、それを税務調査の観点から税理士に確認し(意見聴取)、税務調査と同様な効果があると認められれば税務調査を省略する。
つまり意見聴取は、書面添付に記載した内容に関して実施されるので、意見聴取における最大の対策は、「いかに適切な添付書面を作成するか」となる。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第16話】「源泉徴収に係る所得税の調査(その2)」
山口調査官は、困った表情を浮かべながら、田村上席に声をかけた。
「すみません、田村上席。・・・ちょっと教えてもらえませんか」
いつもより丁寧な言葉遣いである。
山口調査官の隣にいる田村上席は、調査報告書を書いている。
「どんなこと?」
田村上席は書くのを止めて、山口調査官の顔を見た。
〔書面添付を活かした〕税務調査を受けないためのポイント 【第2回】「書面添付制度の概要・現状と考え方」
書面添付制度は、「〈1〉税理士が納税者のために会計・税務調整した処理のうち、重要と思われる事項の説明等を定められた書面に記載し、申告書に添付すること(法33条の2)」及び「〈2〉税務当局は、事前告知税務調査前に、その添付書面の内容につき、税理士から意見聴取(法35条)をすることにより、税務調査が不要であると判断した場合には、税務調査を省略する」という一連の制度のことをいう。
〔書面添付を活かした〕税務調査を受けないためのポイント 【第1回】「税務調査が来ない企業とは」
さて、日本の申告法人数は約255万社であり、そのうち利益法人は約64万社(25%)である。
一方、税務職員は約5万名だが、そのうち調査担当者数は限られる。
さらに消費税等税目の増加、取引の国際化、金融取引等取引自体の複雑化等があり、また、平成25年1月より適用されている国税通則法の改正による調査手続の負荷等によって、実調率を上げることは困難になりつつある。
年間に税務調査を受ける会社数は約14万社であり、申告法人数に占める割合は約5%。単純計算すると、調査は20年に1回の計算になる。しかし、仮装・隠蔽等の不正を行っている企業は別であるが、赤字企業に増差額が出ても結局赤字により納税がなければ、税務調査は効率的ではないとされる現状がある。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第15話】「脱税とOB税理士」
「こりゃあ、ひどいなあ・・・」
渕崎統括官は、新聞を大きく広げてうなった。
新聞の見出しには『国税調査官とOB税理士を逮捕』と書かれている。
「どうしたのですか?」
田村上席が渕崎統括官の持っている新聞を覗き込んだ。
「現職の、上席調査官が逮捕されたのですか・・・」
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第14話】「源泉徴収に係る所得税の調査(その1)」
「田村上席。納税義務者の中には、源泉徴収義務者は含まれるのですか?」
山口調査官が田村上席に尋ねる。
「源泉徴収義務者?」
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第13話】「優良法人の税務調査(その5(署長との面談)/完)」
「先生、税務署から連絡がきました」
齋藤課長から、吉田税理士事務所に電話が入った。
税務調査が開始されてから、2ヶ月が過ぎていた。
「それで、来週の木曜日の11時に税務署に来てくれと・・・」
齋藤課長が吉田税理士に伝える。
「会長も行かれるのですか?」
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第12話】「調査終了時の「理由」の説明義務」
「めんどくさいです・・・」
山口調査官は忌々しそうにつぶやいた。
「何が?」
田村上席は、新聞を読んでいる。
今は昼休みで、法人課税第三部門には、今日も出遅れた2人以外、誰もいない。
企業不正と税務調査 【第12回】「粉飾決算」 (3)粉飾決算の防止と早期発見策
企業が粉飾決算を行っている場合に、これを外部の人間が見抜くことは簡単ではない。
粉飾の結果は財務諸表、特に貸借対照表に表れていることが多いため、これを分析することによって、異常点や不審な数値の動きを発見することは可能であるが、実際にどういう手口で粉飾が行われ、どの程度の金額が不正に収益として計上され、又は、利益として表示されているかまでは、分かるものではない。