〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第16回】「請求人面談の留意点(その2)」
担当審判官は、質問採取手続の結果を可視化するために、審査請求人の主張に関する回答については釈明陳述録取書に、主張を裏付けるための証拠としての回答については質問調書に分けて作成することになる。
このうち、釈明陳述録取書は主張書面であることから、相手方である原処分庁に送付して反論の機会を与えることになる。
一方、質問調書は国税不服審判所の判断のために用いるものであり原処分庁に内容の共有は行われることはない。
租税争訟レポート 【第62回】「更正の請求に係る事実関係の立証責任(第1審:東京地方裁判所令和2年1月30日判決、控訴審:東京高等裁判所令和2年12月2日判決)」
本件は、福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団である原告が、処分行政庁に対して、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税に係る更正の請求並びに平成23年4月1日から平成24年3月31日まで及び同年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)に係る各更正の請求をしたのに対し、処分行政庁から平成29年7月20日付けでいずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、これらの各通知処分の取消しを求める事案である。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第4回】「国税通則法3条」-人格のない社団等の租税手続当事者能力-
国税通則法3条は、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」すなわち人格のない社団等に対する国税通則法の適用上、これを法人とみなす旨を規定している。今回は、人格のない社団等に関する国税通則法上の取扱いについて、同法3条の規定を中心に検討することにする。
〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第15回】「請求人面談の留意点(その1)」
原処分が取り消されるか否かを争っている審査請求人にとって、一連の審理手続のうち、今回から2回にわたって解説する「請求人面談」が最大のヤマであるといえるだろう。
たとえ担当審判官が法と証拠に基づいて判断するといっても、担当審判官の請求人に対する印象が「答述内容の信頼性」に微妙な影響を与え、最終的には審理判断を左右するかもしれないからである。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第3回】「国税通則法2条」-納税者の意義・範囲と源泉徴収の法律関係-
国税通則法2条は、「国税通則法の各条の規定の平易化と解釈の明確化を図るため、同法中において特別の意義をもって用いられる基本的な用語を定義したもの」(志場喜徳郎=荒井勇=山下元利=茂串俊共編『国税通則法精解〔令和4年改訂・17版〕』(大蔵財務協会・2022年)136頁)であるが、今回は、同条5号における納税者の定義を取り上げて検討することにする。
〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第14回】「請求人提出証拠の提出の仕方」
国税不服審判所が裁決をするに当たり、事実関係を明らかにするために証拠を評価することになるが、この証拠の提出について、国税通則法は以下のように規定している。
租税争訟レポート 【第61回】「監査役に対する損害賠償請求訴訟~会計限定監査役の任務懈怠 (最高裁判所令和3年7月19日判決)」
本件は、株式会社である上告人が、その監査役であった被上告人に対し、被上告人がその任務を怠ったことにより、上告人の従業員による継続的な横領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、会社法423条1項に基づき、損害賠償を請求する事案である。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第2回】「国税通則法1条」-国税通則法の目的と国税通則法制定の趣旨-
国税通則法1条は、同法の「目的」を定める規定(以下「目的規定」という)である。国税徴収法1条や「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」1条も同様に目的規定である。
〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第13回】「証拠書類の閲覧謄写の活用」
行政不服審査法の改正に伴い、国税の不服申立ての規定も歩調を合わせるように改正され、平成28年4月1日以後に行われた原処分から現行の規定が適用されている。この改正前後における証拠書類の閲覧謄写に関する規定を確認していきたい。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第1回】「国税通則法のコンメンタール的「読み物」の連載を始めるに当たって」-国税通則法制定の趣旨と国税通則法の「構造」の意義-
本連載は、国税通則法について基本的には逐条的に、場合によっては「節」あるいは「款」を単位にして、筆者の問題関心に基づき論点を選んで検討を加えようとするものである。その意味で、本連載は、形式の点ではコンメンタール的なものではあるが、内容の点では、条文の意味内容の正確な理解のために条文を逐条的に解説するコンメンタールではなく、他の「谷口教授と学ぶ」シリーズと同じく(「税法の基礎理論」(全50回完結)第1回Ⅰ、「税法基本判例」(昨年4月から連載中)第1回Ⅰ参照)、原則1回読み切りの「読み物」(コンメンタール的「読み物」)とすることを基本コンセプトとするものである。