租税争訟レポート
【第62回】
「更正の請求に係る事実関係の立証責任
(第1審:東京地方裁判所令和2年1月30日判決、
控訴審:東京高等裁判所令和2年12月2日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
〈第1審判決の概要〉
東京地方裁判所令和2年1月30日判決
平成30年(行ウ)第373号、平成30年(行ウ)第606号
更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求事件(棄却)
税務訴訟資料 第270号-18(順号13378)
TAINSコード:Z270-13378
[原告]
福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団
[被告]
国
[処分行政庁]
福岡税務署長
[争点]
① 更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟において、納税者が確定した申告書の記載が真実と異なることについての主張立証責任を負うか
② 本件各法人税修正申告書における所得金額等(本件計上漏れ広告宣伝費に係る部分を除く)に誤りがあるか否か
③ 本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額に誤りがあるか否か
[判決]
棄却(控訴)
〈控訴審判決の概要〉
東京高等裁判所令和2年12月2日判決
令和2年(行コ)第50号
更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件(棄却)
税務訴訟資料 第270号-131(順号13491)
TAINSコード:Z270-13491
[控訴人(第1審原告)]
福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団
[被控訴人(第1審被告)]
国
[処分行政庁]
福岡税務署長
[控訴人の主張]
① 更正すべき理由がない旨の通知処分取消訴訟において、確定した申告書の記載が真実と異なることについての立証責任を納税者が負うという一般論に異論はないが、C社各更正処分における虚偽の売上の否認は、否認対象の売上が明らかではないことから、控訴人においてその否認された売上に対応する経費が特定できないため、これを特定して詳細を主張立証すべきであれば、不当と言わざるを得ない。
② 本件各通知処分の内容は、C社各更正処分の内容と矛盾していることから、本件各法人税修正申告書における所得金額(本件計上漏れ広告宣伝費を除く)及び本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額には誤りがある。
[判決]
棄却(確定)
【事案の概要】
本件は、福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団である原告が、処分行政庁に対して、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税に係る更正の請求並びに平成23年4月1日から平成24年3月31日まで及び同年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)に係る各更正の請求をしたのに対し、処分行政庁から平成29年7月20日付けでいずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、これらの各通知処分の取消しを求める事案である。
【第1審判決の概要】
1 原告による修正申告と更正の請求
原告による法人税及び消費税等に係る申告内容については、下記の表のとおりである。
◆原告による法人税の申告経緯
〔平成24年3月期〕
〔平成25年3月期〕
◆原告による消費税等の申告経緯
〔平成23年4月1日から平成24年3月31日までの課税期間〕
〔平成24年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間〕
(1) 原告による法人税の修正申告
原告は、平成28年1月13日、平成24年3月期及び平成25年3月期の各法人税について、修正申告書を提出し、平成24年3月期の修正申告では、当初申告においてC社に支払ったとして経費に計上していた業務委託費4,650万円を自己否認したものであり、平成25年3月期の修正申告では、当初申告において同社に支払ったとして経費に計上していた広告宣伝費8,214万2,858円を自己否認したものであって(以下、これらの自己否認した経費を「本件広告宣伝費等」という)、本件各法人税修正申告においては、これらと同額を各事業年度の所得金額にそれぞれ加算している。また、原告は、C社が自己の名義において支出していた広告宣伝費について、平成24年3月期においては1,085万6,476円を、平成25年3月期においては1,665万7,280円を原告の広告宣伝費の金額に算入することで、これらと同額を本件各事業年度の所得金額からそれぞれ減算している。
(2) 原告による消費税等の修正申告
同じく、原告は、平成28年1月13日、本件各課税期間の消費税等について、修正申告書を提出し、課税仕入れに係る支払対価の額について、上記(1)の法人税の修正申告で加算した金額の税抜金額に仮払消費税額を加算した金額である、4,882万5,000円(平成24年3月課税期間)、8,625万円(平成25年3月課税期間)をそれぞれ減算した。
(3) 原告による更正の請求
原告は、平成29年5月18日付けで、平成24年3月期及び平成25年3月期に係る法人税並びに平成24年3月課税期間及び平成25年3月課税期間に係る消費税等について、それぞれ更正の請求書を提出した。
(4) 更正をすべき理由がない旨の通知
処分行政庁は、平成29年7月20日付けで、上記(3)各更正の請求に対してそれぞれ更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。
2 争点に対する原告の主張
(1) 更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟において、納税者が確定した申告書の記載が真実と異なることについての主張立証責任を負うか〔争点①〕
原告は、「更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においては、納税者は、申告により確定した税額等を自己にとって有利に変更することを求めるのであるから、確定した申告書の記載が真実と異なることについて主張立証責任を負うと解するのが相当であり、納税者は、真実の所得が確定申告額(本件においては修正申告額)を下回ることの立証責任を負う」という被告の主張に対して、被告は、原告の関連法人であり、医院のコンサルティング事業、広告代理店業等を目的とする法人であるC社に対する新宿税務署長による各更正処分において、C社の売上高のうち架空取引であるとした部分とそのように判断しなかった部分の各詳細を明らかにしていないから、原告において真実の所得額を明らかにすることは不可能であることから主張立証責任を負わず、さらに、原告は、当初の確定申告の内容が正しかったものであると主張した。
(2) 本件各法人税修正申告書における所得金額等(本件計上漏れ広告宣伝費に係る部分を除く)に誤りがあるか否か〔争点②〕
原告は、新宿税務署長がC社に対して、過大計上された売上高があるとして、平成28年3月25日付けで、平成23年3月1日から平成24年2月29日までの事業年度の法人税の更正処分及び同年3月1日から平成25年2月28日までの事業年度の法人税の更正処分をしたところ、これらの処分の中には、C社の原告に対する売上高が架空のものであることによる減額部分が含まれていたにもかかわらず、本件各法人税修正申告書における本件各加算金額は、C社各更正処分におけるC社の原告に対する売上高に係る減額更正額と当然同額になるべきであるが、両金額は一致していないことから、C社に対する支払を経費として認めないこととして計算された本件各法人税修正申告書における所得金額等の計算には誤りがあると主張した。
また、被告による、①原告とC社では法人税の確定申告等に係る期間が異なること、②両者の消費税等の経理方式も異なること、③原告の総勘定元帳に計上されていた業務委託費及び広告宣伝費とC社が総勘定元帳に計上していた売上金額の計上日及び計上金額が一致していないことから、本件各加算金額とC社各更正処分において認容された経費が必ずしも一致しない旨の主張についても、この①~③では説明することができない金額の不一致があると反論し、結論として、C社各更正処分において過大計上であるとされた原告に対する売上高は、架空のものではなく、本件広告宣伝費等は経費として認容されるべきであるから、これを経費としなかった本件各法人税修正申告書における所得金額等の計算には誤りがあると主張した。
(3) 本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額に誤りがあるか否か〔争点③〕
原告は、争点②に対する原告の主張のとおり、本件各法人税修正申告書における所得金額等(本件計上漏れ広告宣伝費に係る部分を除く)には誤りがあるから、本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額には誤りがあると主張した。
3 第1審である東京地方裁判所の判断
東京地方裁判所は、以下のとおり、3つの争点について、原告の主張を斥ける判断を示したうえで、原告は確定した申告書(修正申告書)に記載された事実が真実と異なることを主張立証すべきところ、本件各法人税修正申告書における所得金額等、本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額には、いずれも誤りがあるとは認められず、ほかに上記各修正申告書記載の事実が真実と異なることをうかがわせる具体的な事情があるともいえないから、本件各通知処分に違法な点はないというべきであり、原告の請求はいずれも理由がないから、棄却するという判決を導いている。
(1) 更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟において、納税者が確定した申告書の記載が真実と異なることについての主張立証責任を負うか〔争点①〕
東京地方裁判所は、申告納税方式による国税に係る税額は、その後に更正がされない限り、納税者の納税申告のとおり確定するものであること、納税申告の前提となった事実関係及びそれを誤りであるとする事実関係は更正の請求をする納税者が熟知していること等に照らせば、更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においては、更正の請求に係る事実関係は納税者たる原告において主張、立証すべきものと解するのが相当であるとする一般論を述べたうえで、本件においては、原告の真実の翌期へ繰り越す欠損金の額が平成24年3月期法人税修正申告書における翌期へ繰り越す欠損金の額を上回ること、また真実の控除対象仕入税額が本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額を上回ることを、原告が立証すべきこととなるという結論を述べて、原告の主張を斥けた。
(2) 本件各法人税修正申告書における所得金額等(本件計上漏れ広告宣伝費に係る部分を除く)に誤りがあるか否か〔争点②〕
裁判所は、まず、原告の関係法人であるBが法人税法違反、民事再生法違反で起訴される前に行われた、東京国税局査察部所属の担当職員による国税犯則取締法に基づく調査において、原告の理事であり確定申告書に税理士として記名押印のある乙の供述を次のように引用している。
(ア) 乙は、原告の実質経営者の指示により、原告の関係会社であるC社及びF社に対する「嘘の業務支援費」、「嘘の業務委託費」及び「嘘の広告宣伝費」を計上し、原告の所得金額を少なくした。
(イ) また、嘘の本件広告宣伝費等を計上し、関係会社に資金を移した上で、乙や原告の実質経営者、E社の代表取締役が自由に使える資金を捻出したほか、本来は原告に計上すべき経費を関係会社に計上していた。
(ウ) 本件各事業年度の総勘定元帳の業務委託費科目について、「摘要」欄に「C」又は「F」と記載された業務委託費は、全て嘘の業務委託費を計上したものであり、平成24年3月期にC社に対して計上した嘘の業務委託費は合計4,650万円、平成25年3月期にF社に対して計上した嘘の業務委託費は合計450万円である。
(エ) 平成25年3月期の総勘定元帳の広告宣伝費科目について、「摘要」欄に「C」と記載された広告宣伝費は、全て嘘の広告宣伝費を計上したものであり、平成25年3月期にC社に対して計上した嘘の広告宣伝費は、合計8,214万2,858円である。
そのうえで、原告による、本件各法人税修正申告書において、平成24年3月期においては業務委託費4,650万円を自己否認し、平成25年3月期においては広告宣伝費8,214万2,858円を自己否認して、これらと同額(本件各加算金額)を本件各事業年度の所得金額にそれぞれ加算していることは、法人税の所得金額の過少算出を是正するものであるから、適正な処理であるといえるという判断を示した。
一方、原告による、本件各法人税修正申告書における本件各加算金額は、C社各更正処分におけるC社の原告に対する売上高に係る減額更正額と同額でなければならないところ、これが一致していないという主張について、裁判所は、原告の事業年度は毎年4月1日から翌年の3月31日であるのに対し、C社の事業年度は毎年3月1日から翌年の2月末日であり、それぞれ法人税の確定申告等に係る期間が異なっていること、また、原告の総勘定元帳に計上されていた架空の業務委託費及び広告宣伝費と、C社がその総勘定元帳に計上していた原告との架空取引に係る売上金額(業務受託料)は、その計上日及び計上金額が一致していないことからすれば、原告の法人税の確定申告における所得金額に加算すべき金額(広告宣伝費の過大計上額)と、C社各更正処分で所得金額から減算された金額(売上高の過大計上額)が当然に一致するものである旨をいう原告の主張を採用することはできないとして、原告の主張を斥ける判断を示した。
(3) 本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額に誤りがあるか否か〔争点③〕
裁判所は、原告が平成24年3月期及び平成25年3月期の法人税の各確定申告書において計上していたC社に対する本件広告宣伝費等は、架空の経費であったところ、消費税等の計算においては、当該架空の経費は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額とは認められないことから、本件各加算金額に仮払消費税を加算した金額、すなわち平成24年3月課税期間においては4,882万5,000円を、平成25年3月課税期間においては8,625万円を、それぞれ課税仕入れに係る支払対価の額から減算することになるという判断に基づき、本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額に誤りがあるとは認められないとして、原告の主張を斥けた。
【控訴審判決の概要】
1 控訴審における控訴人の主張
(1) 更正すべき理由がない旨の通知処分取消訴訟において、確定した申告書の記載が真実と異なることについての立証責任を納税者が負うという一般論に異論はないが、C社各更正処分では、同社の売上の約半分を虚偽であるとして否認したにすぎず、いつのどの売上が否認されたのか明らかではなく、控訴人においてはその部分が売上に対応する経費となるのか特定することはできない。したがって、控訴人においてこれを特定して詳細を主張立証すべきであれば、不当と言わざるを得ない。
(2) 本件各通知処分の内容は、C社各更正処分の内容と矛盾している。C社各更正処分では、控訴人に対する売上高のうち架空ではないと認められている部分があり、その内容が虚偽であるということはできないことから、本件各法人税修正申告書における所得金額(本件計上漏れ広告宣伝費を除く)及び本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額には誤りがあるといえる。
2 控訴審である東京高等裁判所の判断
東京高等裁判所は、原審と同じく、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断するという結論を述べたうえで、控訴審における控訴人の主張について、以下のように判断を示したうえで、控訴人は確定した申告書(修正申告書)に記載された事実が真実と異なることを主張立証すべきところ、本件各法人税修正申告書における所得金額等、本件各消費税等修正申告書における控除対象仕入税額にはいずれも誤りがあるとは認められず、ほかに上記各修正申告書記載の事実が真実と異なることをうかがわせる具体的な事情があるとはいえないから、本件各通知処分に違法な点はないというべきであることから、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却するという判決を下した。
(1) 控訴人は上記1(1)のとおり主張するが、更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においては、更正の請求に係る事実関係は納税者において主張立証すべきものと解され、控訴人指摘の事実は控訴人自体の納税申告を前提とする上記通知処分についての主張立証責任を変更するものとは解されないから、控訴人の主張は採用できない。
(2) 控訴人は上記1(2)のとおり主張するが、原判決で説示したとおり、控訴人の理事であり確定申告書に税理士として記名押印している乙は、嘘の業務支援費、業務委託費及び広告宣伝費を計上するなどしていた旨供述し、控訴人は、この供述に沿う本件各法人税修正申告書及び本件各消費税等修正申告書を提出しており、現に、本件各法人税申告書においては、C社に対する業務委託費及び広告宣伝費を自己否認する一方で、C社が自社の名義において支出していた広告宣伝費(営業委託料)のうち控訴人に帰属する取引に係る部分を、C社を介して外注先の各広告業者に支払った金額として控訴人の費用と認められるものであるとし、平成24年3月期においては1,085万6,476円を、平成25年3月期については1,665万7,280円を控訴人自身の広告宣伝費に算入して、これらと同額を本件各事業年度の所得金額からそれぞれ減算する旨の修正を既に行っている事実が認められるのであるから、本件各通知処分に違法があるとは認められない。
【解説】
原告・控訴人である医療法人社団が、関連法人C社などに対し架空の業務委託費、広告宣伝費などを計上し、医療法人の所得金額を少なくして関係会社に資金を移した上で、医療法人の実質経営者、E社の代表取締役が自由に使える資金を捻出したほか、本来は医療法人に計上すべき経費を関係会社で計上するなど、粉飾決算を重ねてきたところ、関係法人Bに対する東京国税局査察部所属の担当職員による国税犯則取締法に基づく調査において、医療法人の理事で税理士でもある乙は、こうした粉飾決算を供述して、医療法人は、乙の供述に基づく修正申告書で業務委託費や広告宣伝費を自己否認して所得金額に加算し、C社を介して広告業者に支払っていた医療法人の広告宣伝費を同じ修正申告で所得金額から減算した。
その後、C社に対する新宿税務署長による更正処分の内容が、必ずしも、医療法人の修正申告と一致していないことから、医療法人は処分行政庁である福岡税務署に更正の請求を行うが、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、その取消しを求めた訴訟を提起したところ、原審である東京地方裁判所、控訴審である東京高等裁判所は、ともに原告・控訴人の訴えを棄却する判断を示し、控訴審判決が確定した。
1 更正の請求
更正の請求を規定する国税通則法第23条第1項の規定は次のとおりである(括弧書きを一部省略している)。
第23条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第26条(再更正)の規定による更正があった場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があった場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、又は当該申告書に純損失等の金額の記載がなかったとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であるとき、又は当該申告書に還付金の額に相当する税額の記載がなかったとき。
更正の請求は、申告内容を自己の利益に変更しようとする場合のために設けられた手続きであり、申告が過大である場合には、原則として、他の救済手段に寄らずに更正の請求手続きによらなければならないと解されている(更正の請求の原則的排他性)(※)。
(※) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年、968ページ)
2 国税通則法施行令における規定
実務上、いわゆる税額の減額更正を求める更正の請求書には、更正の請求をする納税者が一定の書類を添付することが求められており、国税通則法施行令第6条第2項に、更正の請求について、次のような定めが設けられている。
更正の請求をしようとする者は、その更正の請求をする理由が課税標準たる所得が過大であることその他その理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいてその理由の基礎となる事実を証明する書類を法(筆者注:国税通則法)第23条第3項の更正請求書に添付しなければならない。
(以下略)
ポイント
- 更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においては、納税者は、申告により確定した税額等を自己にとって有利に変更することを求めるのであるから、確定した申告書の記載が真実と異なることについて主張立証責任を負う。
(了)
「租税争訟レポート」は、不定期の掲載となります。