組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第3回】「持分会社の資本等取引」
合同会社と異なり、合名会社及び合資会社には無限責任社員がいることから、本来であれば、会社法上、資本金の額を定める必要性が乏しい。これは、無限責任社員の存在する合名会社及び合資会社と有限責任社員のみの合同会社を一括して規制したことによるものであると思われる。
〔令和3年度税制改正における〕繰越欠損金の控除上限の特例の創設 【第2回】「産業競争力強化法の認定手続」
前回に引き続き令和3年度税制改正で創設された繰越欠損金の控除上限の特例について解説する。今回は本特例適用の前提となる産業競争力強化法の認定手続について確認する。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例103(法人税)】 「「災害損失欠損金の繰戻し還付」を適用して申告したが、「災害損失の繰戻しによる還付請求書」の提出を失念したため、適用が受けられなくなってしまった事例」
青色申告書を提出する中小企業者の令和Z年5月期の法人税につき、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後当分の間、黒字が見込めないことから、令和Y年5月期の所得金額には「青色欠損金の繰戻し還付」を、令和X年5月期の所得金額には「災害損失欠損金の繰戻し還付」を、それぞれ適用して申告したが、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」のみ提出し、「災害損失の繰戻しによる還付請求書」の提出を失念したため、「災害損失欠損金の繰戻し還付」の適用が受けられず、災害損失に係る欠損金を翌期に繰り越すことになってしまった。これにより、還付不能額につき損害が発生したとして賠償請求を受けた。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第9回】「新たに事業の用に供された宅地等の判定(特定事業用宅地等の判定)」
令和元年度税制改正により、特定事業用宅地等の範囲から、被相続人等の事業の用に供されていた宅地等で相続開始前3年以内に「新たに事業(貸付事業を除く)の用に供された宅地等」が除かれることになりましたが、次に掲げるA宅地からH宅地のうち、3年以内に「新たに事業の用に供された宅地等」に該当するものを教えてください。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第10回】「新築した建物が1月1日に登記されていない場合は、固定資産税の納税義務があるか否かが争われた判例」
固定資産税は、その年1月1日において、固定資産の所有者であったものに課される税である(地方税法第343条第1項、第359条)。所有者であるかどうかは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者である(地方税法第343条第2項)。
《速報解説》 国税庁、令和3年度税制改正を踏まえ「短期退職手当等Q&A」を公表~令和4年以後の退職手当等の算定方法について、13問の質疑応答事例を掲載~
令和3年度税制改正において退職所得課税の適正化が行われ、「短期退職手当等」が導入されたことを受け、国税庁は令和3年10月8日、「短期退職手当等Q&A」を公表した。
日本の企業税制 【第96回】「賃上げを行う企業への税制支援」
岸田総理は、10月8日の所信表明演説において、「働く人への分配機能の強化」の一環として、「労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化します」と述べた。
これを契機として、令和4年度税制改正における、賃上げを行う企業への税制支援策について関心が高まっている。
既存の税制としていわゆる所得拡大促進税制があり、令和3年度税制改正で見直しが行われたばかりであるが、まずはこの制度の創設からの経緯を振り返ってみたい。
〔令和3年度税制改正における〕繰越欠損金の控除上限の特例の創設 【第1回】「特例制度の概要」
平成23年度の税制改正では、課税ベース拡大の一環として資本金1億円超の大法人に係る繰越欠損金の控除限度額が、所得の100%から80%(現在は50%)に制限されることとなった。
一方、コロナ禍の厳しい経営環境の中で、赤字企業でもポストコロナに向けて、事業再構築等に取り組んでいくことが必要との認識の下、令和3年度税制改正では、こうした経営改革に果敢に挑む企業に対し、繰越欠損金の控除上限の引上げ措置が講じられた。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第31回】「役員貸付金の解消方法としての貸倒損失」
私は中小企業の経理担当者です。当社は社長個人への役員貸付金が多額となっています。
近年、事業承継が控えているため役員貸付金の解消を検討していますが、社長個人は現時点で資力が芳しくないため、貸倒損失処理も選択肢に入っています。
この場合、なにか留意点はありますか。