《速報解説》
少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し
~令和4年度税制改正大綱~
税理士 中尾 隼大
令和3年12月10日に公表された「令和4年度税制改正大綱(以下、「税制改正大綱」という)では、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直しについて明記されている。
(1) 見直しの目的と背景
税制改正大綱が、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直しについて明記したのは、ドローンや建設用足場リースによる課税の繰延べが横行していることを受け、それらの「節税スキーム」に蓋をすることを目的したものである。
なお、当該スキームは、安価な価額のドローン等を大量に購入し、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等により全額損金算入しつつ、当該ドローン等を貸付けに供することで投下資金を数年かけて回収し、実質的に課税の繰延べを図るというものである。
当該スキームの台頭は、先般、生命保険による節税を対象とした通達改正が行われたこと等を受け、節税ニーズが高まっていたという背景があるといえよう。
(2) 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直しの範囲
税制改正大綱では、以下に掲げる減価償却資産の損金算入特例について、貸付けの用に供した資産をその対象資産から除外する旨が明記された。
◆少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度(減価償却資産の取得価額:10万円未満)
◆一括償却資産の損金算入制度(同:20万円未満)
◆中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(同:30万円未満)(※)
(※) 税制改正大綱において、その適用期限を2年延長する旨も明記されている。
なお、資産の貸付けを主要な事業として行う場合には、引き続き上記3つの制度の対象とすることができ、所得税についても同様の措置が講じられる。
この見直しが導入されると、対象となった貸付けの用に供したドローン等は、通常と同じく耐用年数に応じた減価償却費として損金算入されることとなる。
また、「主要な事業」の判定方法は、現時点で不明である。
【適用時期】
本改正の適用時期については、税制改正大綱では明らかにされていない。
(了)