企業不正と税務調査
【第2回】
「不正のトライアングル」
―不正発生のメカニズムとは―
税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝
Dan Arielyの近著“The (Honest) Truth about Dishonesty”、櫻井祐子訳『ずる』(早川書房)は、不正の発生メカニズムに対する行動経済学の実証実験の結果と知見を集めた興味深い著作だが、その中で、「シンプルな合理的不正モデル」という合理的経済学の考え方を紹介している。
それは、「人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに不正を行うかどうかを決める」というものであり、この考え方に沿って、社会が不正に対抗する手段がとられていると説明されている。
この考え方が正しいとすれば、不正によって失うものが大きいと判断すれば、人は不正に手を染めることはない。大部分の経営者や経理責任者は、不正の発覚によって失うものの大きさを考えれば、不正を行うことはないはずだ。
しかし、本当に人は、そんなに合理的なのだろうか?
アリエリー教授は、そうした疑問を解き明かすべく、大学生を使ったさまざまな実験を行い、前2作同様、人間の行動の不合理さを示す。
私たち、公認不正検査士(Certified Fraud Examinar)にとっても、合理的経済学の考え方よりは、アリエリー教授の説く不合理な人間―誰でもが不正をしてしまうものである―という観点から不正を考える方がなじみやすい。
公認不正検査士協会(ACFE)では、今ではすっかり有名になってしまった感のある、不正のトライアングルという概念を使って、不正の発生メカニズムを説明してきた。
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