企業不正と税務調査
【第12回】
「粉飾決算」
(3) 粉飾決算の防止と早期発見策
税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝
企業が粉飾決算を行っている場合に、これを外部の人間が見抜くことは簡単ではない。
粉飾の結果は財務諸表、特に貸借対照表に表れていることが多いため、これを分析することによって、異常点や不審な数値の動きを発見することは可能であるが、実際にどういう手口で粉飾が行われ、どの程度の金額が不正に収益として計上され、又は、利益として表示されているかまでは、分かるものではない。
そこで今回は、前2回で取り上げた「棚卸資産の過大(架空)計上」と「架空売上、架空循環取引」による粉飾について、経営者又は経理部門・管理部門の担当者が、こうした不正をどうやって防止し、又は早期に発見するかについて検討したい。
1 棚卸資産の過大(架空)計上による粉飾
(1) 実地棚卸の励行による予防
基本は、実地棚卸を愚直に行うことによって、数量と保管状況を確認することである。
もちろん、営業部門や購買部門などに任せてしまっては効果も半減するので、必ず経理部門又は管理部門の担当者が立ち会い、実際に数量を確認することが必要である。空き箱だけを積み上げたり、外箱の表示とは異なるものが詰められたりといった偽装も考えられるので、棚卸実施者には、相応の経験と商品に関する知識が求められる。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。
Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。
会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。