小説 『法人課税第三部門にて。』
【第22話】
「建設会社の税務調査(その1)」
─ 不 審 ─
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
渕崎統括官は少し苛々しながら、壁に掛かっている時計を見た。
午後6時を少しまわっている。
「遅いなあ・・・」
椅子に座りながら、呟く。
田村上席と山口調査官は、税務調査からまだ帰ってこない。
今日は2人で、河内税務署管内にある内藤建設の調査に出かけている。
内藤建設は、大手ゼネコンの下請けで、道路工事などの土木が中心の株式会社である。
河内税務署管内では比較的規模の大きい会社で、田村上席だけでは時間的に十分調べられないということで、山口調査官が同行している。
河内税務署では、毎週水曜日は職員が早く帰るように勧められている「早帰の曜日」となっている。
このため他の職員はすでに帰宅しており、法人課税第三部門は渕崎統括官しかいない。
すると、ドアの向こうから足音が聞こえてきた。
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