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NEW!《速報解説》 平成32年4月1日以後開始事業年度から電子申告義務化~資本金1億円超の大企業~

筆者:佐藤 善恵

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《速報解説》

平成32年4月1日以後開始事業年度から電子申告義務化

~資本金1億円超の大企業~

 

税理士 佐藤 善恵

 

生産性向上の推進や官民のコスト削減の観点から、資本金1億円超の大企業について、法人税等の電子申告が義務化される。また、これにあわせ、企業の電子申告の利便性向上に資するよう、電子申告にかかる制度及び運用が整備されることとなった。

この電子申告の義務化は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)からの適用である。

また、書面申告についても法人税申告書の署名押印に関して措置が講じられる。この点については、中小企業も同様の扱いであるから、以下の【2】(3)を確認されたい。なお、この書面申告に関する措置は、改正法施行後に準備が整い次第、具体的には法人税法施行規則が申告書様式を定めた時点からの適用となる見込みである。

 

【1】 改正案の概要

電子申告義務化の対象主体は、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額等が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社である。また、消費税等については、これに国及び地方公共団体が義務化対象に含められる。

対象となる申告書は、次のとおりであって、これらの申告書に記載すべきものとされる事項について、電子情報処理組織を使用する方法(e‐Tax、eLTAX)により提供しなければならない。

  • 法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書
  • 法人住民税及び法人事業税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書
  • 消費税の確定申告書、中間申告書、修正申告書及び還付申告書
    (地方消費税については所要の措置が講じられる)

また、電子申告の義務化によって、各申告書の添付書類についても同様に電子申告が求められる。ただし、法人税の添付書類については、光ディスク等による提出も認められる。

 

【2】 義務化に向けた環境整備

(1) 提出情報等のスリム化

 第三者作成書類添付要件が見直され、法人税における一定の特例(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例など)について、確定申告書等に添付が必要な第三者作成書類を、添付に代えて保存することにより制度の適用が認められるようになる。

 イメージデータ(電子情報処理組織による申請等と合わせてスキャナ等により作成する電磁的記録)を送信する添付書面等について、一定の解像度及び階調の要件を付した上で、税務署長によるその添付書面等の提示等を求める措置が廃止される。これにより、紙原本の保存が不要となる。

(2) 提出方法の拡充等

法人税及び地方法人税の申告手続について、別表(明細記載を要する部分に限る)、財務諸表及び勘定科目内訳書に係るデータ形式が柔軟化される。具体的にはCSV形式(エクセル)が挙げられている。

そして、運用上、勘定科目内訳書の記載内容の簡素化等が図られ、併せて、電子情報処理組織の送信容量拡大などの対応が行われる。

(3) 認証手続の簡便化

 法人税、地方法人税、復興特別法人税(廃止中)、法人事業税及び地方法人特別税の申告書における代表者及び経理責任者等の自書押印制度が廃止される。書面申告も同様であり、代わりに代表者の記名押印制度となる。

 法人が行う電子申告に付すべき電子署名について、法人の代表者から委任を受けた者(当該法人の役員及び職員に限る)の電子署名によることも可能となり、代表者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととされる。

(4) 提出先の一元化

 法人税の電子申告に財務諸表の添付がある場合には、法人事業税においてもその書類の添付があったこととみなされる。

 電子申告の場合に、個別帰属額届出書の連結親法人による電子的な一括提出が可能とされる(平成32年4月1日以後に終了する連結事業年度について適用)。

 連結納税の承認申請関係書類の提出先が一元化される(平成31年4月1日以後に生じた事実について適用)。

(5) 宥恕規定と無申告加算税・不申告加算金の取扱い

電機通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面による申告書の提出ができると認められるときは、所轄税務署長の承認を受けて、申告書及び添付書類を書面提出することができる。

電機通信回線の故障等の一定の理由以外の理由によって電子申告がなされない場合には、無申告(不申告)として扱われるので留意が必要である。ただし、現在の運用上の取扱いを踏まえ、期限内に申告書の主要な部分が電子的に提出されていれば、無申告加算税は課さない取扱いとなる。

この「申告書の主要な部分」以外の書類の電子提出の確保策については、施行後の電子的な提出状況等を踏まえ、そのあり方が検討される(地方税における宥恕規定は、国税における措置等を踏まえて検討される)。

(了)

連載目次

 「平成30年度税制改正大綱」に関する《速報解説》 

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筆者紹介

  • 佐藤 善恵

    (さとう・よしえ)

    税理士
    京都大学MBA、京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学、税法学会会員、米国公認会計士協会正会員

    同志社大学大学院総合政策科学研究科非常勤講師等・近畿税理士会 調査研究部専門委員を経て、大阪国税不服審判所 国税審判官(平成22~26年)、平成28年5月~大阪市行政不服審査会委員(会長代理・税務第1部会部会長)

    HP http://www.yoshie-sato.com/

    【主な著書等】
    Q&A 実務に役立つ法人税の裁決事例選』清文社
    『税制改正のポイント(小冊子)』(共著)清文社
    Q&A 税務調査・税務判断に役立つ 裁判・審査請求読本』清文社
    (研修CD書籍セット)『詳しく確認したい税務調査の法的位置づけと「争点整理表」の税務調査活用法 』レガシィ
    『判例裁決から見る加算税の実務』税務研究会出版局
    社長のギモンに答える法人税相談室』清文社
    『税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解』(共著)ぎょうせい
    『税務訴訟と要件事実論』(共著)清文社

    【研修講師テーマ等】
    「平成29年度税制改正解説」
    「法人税実務と周辺知識のための事例解説~事例からだと理解しやすい・記憶に残る!」
    「和解と税務」
    「H27 調査立会実務に役立つ公表裁決の読み方」(日税連マルチメディア研修)
    「税務調査に活かす『争点整理表』」

     

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