● ○ エピローグ ○ ●
「さて、以上が駆け足だけど、IFRS第9号の基礎の基礎だよ。」
桜井はふぅ、と息を吐いた。
「ありがとうございました。とてもじゃないけど、自分1人だったら理解できなかったと思います。」
桜井は苦笑交じりに言った。
「基礎が分かれば、あとは肉づけしていけばいいからね。頑張って。」
伊崎は笑った後、再び口を開いた。
「それに、自力で全部やる必要はないんだよ。IFRSの勉強にしても、仕事にしてもね。そのためのチームでしょ?」
「チーム、ですか・・・」
「そうだよ。桜井君も今や経理部の重要な戦力だからね。2年前なんて散々だったけどねー」
「そ、それは言わないでくださいよっ!」
「あの時なんて・・・」と過去の恥ずかしいエピソードを次々と並び立てる伊崎を、桜井は慌てて止めに入る。そこへ橋本がコーヒーを片手に出社してきた。
「あら、珍しい組み合わせね。」
橋本の席を借りていた桜井は慌てて立ち上がり、席を譲る。
「おはようございます。席をお借りしていました。どうぞ。」
「あら、大丈夫よー。ゆっくりしていっても。」
セリフとは裏腹に橋本はさっと荷物を机に置く。そして伊崎と桜井を交互に見た後、伊崎ににっこり笑いかけた。
「伊崎さん、上手くやれたようね。」
「だと思うよ。」と伊崎も橋本に負けない笑みを返す。
「???」
2人の会話の意味が分からない桜井は、その場の雰囲気になぜか居たたまれなくなった。そして、「では、僕はこれで失礼します。」と頭を下げると、桜井はそそくさと自分の席に戻って仕事に取り掛かることにした。
金融商品
(financial instrument)
-
一方の企業にとっての金融資産(financial asset)と、他の企業にとっての金融負債(financial liability)または資本性金融商品(equity instrument)の双方を生じさせる契約
【金融商品の当初認識と当初測定】
《当初認識》 契約の当事者になった時点
- 通常の方法による金融資産の売買
⇒ 取引日 又は 決済日
《当初測定》 公正価値で測定
- 純損益を通じて公正価値測定するもの以外の金融資産や金融負債では、取引コストも加減
- 重大な金融要素を含んでいない営業債権
⇒ 取引価格で測定
【金融資産分類・測定のフローチャート】
【金融負債の分類と測定】
《金融負債(下記以外)》
● 償却原価
《デリバティブ又は売買目的保有の金融負債》
● FVTPL
《公正価値オプションを選択した金融負債》
● 公正価値
● 公正価値の変動額に関する処理
▷ 信用リスクを起因する変動⇒その他包括利益
▷ その他の変動⇒純損益
▷ 会計上のミスマッチを創出又は拡大⇒すべて純損益
● リサイクリング無し
【減損:一般的アプローチのまとめ】
【減損:簡便的アプローチのまとめ】
(注)
・この記事はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。
・各記事は公開日現在に公表されている基準等に基づいていますので、閲覧の際はご留意ください。
・この記事は基礎的な事項を中心に扱っており、IFRSの全てを網羅するものではありません。詳細につきましては、それぞれの専門家にご相談ください。
・文中、意見に関する部分は私見であり、執筆者の属する組織の公式な見解ではありません。
(了)
この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。