~税務争訟における判断の分水嶺~
課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から
【第19回】
「不妊治療のため医師の指導に基づき購入したサプリメントは医療費控除の対象とはならないと判断された事例」
税理士 佐藤 善恵
本連載の趣旨
課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。
本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。
なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース
◆平成27年11月26日東京高裁[棄却](上告・上告受理申立て)
◆平成27年5月12日東京地裁〔棄却〕(控訴)
(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。
〔概要等〕
本件は、甲(納税者)が生計を一にする同人の妻(乙)の不妊治療のために、医師の治療に基づき購入した数十種類のサプリメント(本件サプリメント)の費用が、医療費控除の対象となる医療費に含まれるか否かを主な争点とする事案である。争点は、次のとおりであるが、本稿は①を取り上げる。
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