~税務争訟における判断の分水嶺~
課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から
【第22回】
「遺留分減殺請求が行われた場合に、各相続人に承継される被相続人の
納税義務(税額)が影響を受けるのかについて判断した事例」
税理士 佐藤 善恵
本連載の趣旨
課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。
本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。
なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース
◆平成25日年10月18日東京地裁[取消(認容)](確定)
〔概要等〕
本件の被相続人は、本件の原告(相続人A)以外の相続人らに特定の財産を「相続させる」旨の遺言をしたため、相続人Aは、自己の遺留分が侵害されているとして遺留分の回復を求める訴えを提起して和解により終結した。相続人Aは、被相続人に係る準確定申告書を提出していなかったところ、原処分庁(税務署長)は、原告の法定相続分(10分の1)で按分して計算した金額は原告が被相続人の納税義務を承継したとして原処分を行った。その後、国税不服審判所の裁決において原告の承継した納税義務は遺留分減殺請求の結果20分の1であるとして、処分が一部取り消された。
裁判での争点は、次の2点である。
① 本件遺言が原告の相続分を定めたものといえるかどうか。
② 原告の納税義務の承継割合が遺留分減殺請求によって修正されるかどうか。
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