事例で検証する
最新コンプライアンス問題
【第4回】
「免震ゴムのデータ偽装事件」
弁護士 原 正雄
2015年10月14日、ゴム会社T社が、防振ゴムでのデータ偽装を公表した。同年3月15日に公表された免震ゴムでのデータ偽装を受けて、全製品の緊急監査を行い、同年8月10日に「正規品が出荷されていることを確認」と発表した後のことであった。T社は、2007年にも、断熱パネルのデータ偽装で社長が引責辞任している。
今回は、2007年の断熱パネル事案、2015年3月の免震ゴム事案、2015年10月の防振ゴム事案をそれぞれ比較し、なぜ、異なるタイミングで問題が発覚したのか、コンプライアンス上の問題点を分析したい。
1 断熱パネル事案(2007年)
2007年11月5日、国土交通省は、T社がウレタン断熱パネルの不燃性能を水増ししていたと発表した。
ウレタン断熱パネルは、店舗や工場の建材として使用されるパネルで、建築基準法上、燃焼試験に合格して大臣認定を受ける必要がある。T社は、燃焼試験に用いるサンプルに難燃性の材料(水酸化アルミニウム)を混ぜて性能試験に合格し、合計6件の国交省大臣認定を得た。しかし、実際に販売した製品には水酸化アルミニウムを混ぜておらず、一部の断熱パネルでは基準の3倍近い発熱性があったとのことであった。
同年10月、同業他社N社の建材の耐火性能偽装が発覚したため、社内調査を行ったところ、従業員の告白によって「不正」が明らかになった、とのことである。
T社の「社内調査報告書」によれば「不正」に至る経緯は、以下のとおりである。
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