固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第32回】
「土地・建物一括譲渡の場合における対価の区分について
鑑定評価額に基づく按分が認められた事例」
税理士 菅野 真美
▷土地・建物一括譲渡の場合における対価の区分
土地・建物一括譲渡の場合において、そのうち土地部分・建物部分の価額が明確でないケースもあるため、何らかの基準で按分する必要がある。
【第24回】で解説した大阪地方裁判所令和2年3月12日判決においては、契約で定められた建物と借地権の価額について課税庁が否認し、固定資産税評価額に基づく按分に基づいて更正処分を行った。この処分に不服な納税者が訴訟を起こしたが、裁判においても課税庁の主張が支持された。これは、土地・建物の買手である法人が、築年数のかなり経過した建物について、固定資産税評価額の約42.86倍の価額(借地権は約1.35倍の価額)を売買価額としており、おそらく消費税の節税のための極端事例であったことが、裁判所の判断の根底にあると考える。
それでは、土地と建物の価額の按分比率について、固定資産税評価額に基づく場合と鑑定評価額に基づく場合で、大きく異なる場合はどのように判断されるのか。
今回は、土地・建物一括譲渡の場合における対価の区分について、課税庁が主張する固定資産税評価額に基づく按分比率ではなく、鑑定評価額に基づく按分比率に基づく価額が認められた事例を検討する。
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