公開日: 2022/07/28 (掲載号:No.479)
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固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第19回】「固定資産税の課税標準である土地の価格は収益還元法に基づくか否かで争われた事例」

筆者: 菅野 真美

固定資産をめぐる判例・裁決例概説

【第19回】

「固定資産税の課税標準である土地の価格は
収益還元法に基づくか否かで争われた事例」

 

税理士 菅野 真美

 

▷固定資産税の課税標準となるものは

固定資産税の課税標準となるものは、土地の場合は、賦課期日における価格で土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳に登録されたものとするとされている(地法349①)。

固定資産の価格は、固定資産評価基準によって決定しなければならないとされている(地法403①)。つまり、「固定資産評価基準は、一種の委任立法であり、補充立法である」(※1)

(※1) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)794頁。

これは相続税法の財産評価基本通達とは異なる。相続税法においては、配偶者居住権等一定の財産については、相続税法上で評価方法が定められている。また、「その他の財産についてはその評価はすべて解釈・適用にゆだねられている」(※2)として財産評価基本通達で定められているが、これはあくまでも課税庁側の内部通達であり法令ではない。しかし、実務上は、財産評価基本通達に基づいて運用が行われている。

(※2) 金子前掲(※1)書734頁。

では、この固定資産評価基準に基づく土地の価格は何に基づいているのか。これは、「売買実例価額を基に算定した正常売買価格を基礎として、地目別に定められた評価方法により評価」(※3)される。

(※3) 一般財団法人資産評価システム研究センター「令和3年度 固定資産税のしおり12頁

しかし、固定資産を所有していることから毎年課される固定資産税について、売却を前提とした価格に基づいて課税されるのは問題ではないか。このようなことから争われた事案について、今回は検討する。

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【第19回】

「固定資産税の課税標準である土地の価格は
収益還元法に基づくか否かで争われた事例」

 

税理士 菅野 真美

 

▷固定資産税の課税標準となるものは

固定資産税の課税標準となるものは、土地の場合は、賦課期日における価格で土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳に登録されたものとするとされている(地法349①)。

固定資産の価格は、固定資産評価基準によって決定しなければならないとされている(地法403①)。つまり、「固定資産評価基準は、一種の委任立法であり、補充立法である」(※1)

(※1) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)794頁。

これは相続税法の財産評価基本通達とは異なる。相続税法においては、配偶者居住権等一定の財産については、相続税法上で評価方法が定められている。また、「その他の財産についてはその評価はすべて解釈・適用にゆだねられている」(※2)として財産評価基本通達で定められているが、これはあくまでも課税庁側の内部通達であり法令ではない。しかし、実務上は、財産評価基本通達に基づいて運用が行われている。

(※2) 金子前掲(※1)書734頁。

では、この固定資産評価基準に基づく土地の価格は何に基づいているのか。これは、「売買実例価額を基に算定した正常売買価格を基礎として、地目別に定められた評価方法により評価」(※3)される。

(※3) 一般財団法人資産評価システム研究センター「令和3年度 固定資産税のしおり12頁

しかし、固定資産を所有していることから毎年課される固定資産税について、売却を前提とした価格に基づいて課税されるのは問題ではないか。このようなことから争われた事案について、今回は検討する。

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連載目次

固定資産をめぐる判例・裁決例概説

第1回~第30回 ※クリックするとご覧いただけます。

【第31回】~

筆者紹介

菅野 真美

(すがの・まみ)

税理士・社会福祉士・CFP

関西学院大学法学部政治学科卒業後、平成2年税理士試験合格。
平成18年まで新日本監査法人大阪事務所並びに関係会社において、監査並びに税務コンサルティング業務に従事。
その後、日本租税綜合研究所主任研究員を経て、税理士事務所開業。現在、東京税理士会芝支部、信託法学会会員、成年後見法学会会員。

【主な著書】
・『老後の備え・相続から教育資金贈与、事業承継まで 「信託」の基本と使い方がわかる本』日本実業出版社
・『税理士のために国外転出時課税と国際相続について考えてみました』中央経済社
・『申告なし・税金なしの贈与使いこなしQ&A 教育・結婚・子育て資金一括贈与+ジュニア NISA』中央経済社
・『顧問税理士なら答えて!個人の国際課税Q&A 結婚・転勤・移住・留学・運用・相続アラカルト80』(共著)中央経済社
・『教育資金の一括贈与非課税制度完全ガイド』中央経済社
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