固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第19回】
「固定資産税の課税標準である土地の価格は
収益還元法に基づくか否かで争われた事例」
税理士 菅野 真美
▷固定資産税の課税標準となるものは
固定資産税の課税標準となるものは、土地の場合は、賦課期日における価格で土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳に登録されたものとするとされている(地法349①)。
固定資産の価格は、固定資産評価基準によって決定しなければならないとされている(地法403①)。つまり、「固定資産評価基準は、一種の委任立法であり、補充立法である」(※1)。
(※1) 金子宏『租税法(第24版)』(弘文堂、2021年)794頁。
これは相続税法の財産評価基本通達とは異なる。相続税法においては、配偶者居住権等一定の財産については、相続税法上で評価方法が定められている。また、「その他の財産についてはその評価はすべて解釈・適用にゆだねられている」(※2)として財産評価基本通達で定められているが、これはあくまでも課税庁側の内部通達であり法令ではない。しかし、実務上は、財産評価基本通達に基づいて運用が行われている。
(※2) 金子前掲(※1)書734頁。
では、この固定資産評価基準に基づく土地の価格は何に基づいているのか。これは、「売買実例価額を基に算定した正常売買価格を基礎として、地目別に定められた評価方法により評価」(※3)される。
(※3) 一般財団法人資産評価システム研究センター「令和3年度 固定資産税のしおり」12頁。
しかし、固定資産を所有していることから毎年課される固定資産税について、売却を前提とした価格に基づいて課税されるのは問題ではないか。このようなことから争われた事案について、今回は検討する。
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