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プロフェッションジャーナル No.453が公開されました!~今週のお薦め記事~

2022年1月20日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.453を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2022/01/20

日本の企業税制 【第99回】「第2の柱のモデルルールが公表される」-GloBEルールの範囲とメカニズムを規定-

日本の企業税制 【第99回】 「第2の柱のモデルルールが公表される」 -GloBEルールの範囲とメカニズムを規定-   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   昨年12月20日、OECD/G20包摂的枠組みは、第2の柱のモデルルールを公表した。このモデルルールは、GloBE(GlobalAnti-BaseErosion)ルールの範囲とメカニズムについての規定であり、GloBEルールは、軽課税法域にある子会社等の税負担(実効税率:ETR)が最低税率(15%)に至るまで親会社の法域で課税する仕組みである「所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)」と、軽課税法域にある親会社等への支払いの損金算入を認めない等により子会社等の法域で課税しIIR を補完する仕組みである「軽課税支払ルール(UTPR:Undertaxed Payment Rule)」の2つのルールで構成されている。 このルールは2022年に包摂的枠組み参加国の国内法の整備により法制化されることとされており、IIRは2023年、UTPRは2024年に導入されることとされている。与党の令和4年度税制改正大綱でも、「今後、本国際合意の実施に向け、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正が必要となる。制度の詳細化に向けた国際的な議論に引き続き積極的に貢献するとともに、国際合意に則った法制度の整備を進める」とされている。   〇適用範囲 GloBEルール適用の閾値は、グループの連結財務諸表における連結売上高が7億5,000万ユーロ超である。ただし、過去4会計年度のうち2会計年度で連結売上高が7億5,000万ユーロ超となる場合に適用対象となる。 なお、事業を行っていない政府機関、国際機関、非営利団体、年金基金は適用対象から除外されており、投資ファンド・不動産投資ビークルは、それが多国籍企業グループの最終親会社である場合にのみ除外となる。   〇実効税率(ETR) 多国籍企業グループの各法域における実効税率(ETR)は、その法域に所在する各構成事業体の調整後対象税金の合計額をその法域のGloBE純所得で除して計算する。 分母となるGloBE純所得は、その法域の全ての構成事業体のGloBE所得の合計額から、その法域の全ての構成事業体のGloBE損失の合計額を差し引いた金額である。 各構成事業体のGloBE所得(損失)の計算においては、最終親会社の連結財務諸表の作成に使用されたグループ内取引を消去する連結調整前の純利益(損失)から出発し、配当金の除外、株式損益の除外などの調整を行うこととされている。また、国際海運業及び付随的活動から得られる一定の所得についてはGloBE所得(損失)から除外されている。 分子となる調整後対象税金は、各構成事業体の会計上の当期税金費用から出発して一定の加算・減算調整と一時差異に対応する繰延税金の調整を行う必要がある。繰延税金とはいうものの、会計上の繰延税金費用が最低税率(15%)を上回る場合、最低税率15%で計算し直さなければならない。また、繰延税金負債の計上により認識された繰延税金費用については、実際の支払いが5年以内に行われない場合には、当初計上した事業年度の対象税額の減額となり、その事業年度のトップアップ税率(詳細は後述)が再計算されることになる。   〇事業実態に基づく所得控除(カーブアウト) IIRにおいて親会社の所在法域で課税する税額(トップアップ税)は、実効税率(ETR)が最低税率(15%)に満たない軽課税法域にある各子会社等の所得にその法域のETRと最低税率との差分(トップアップ税率)を乗じて計算するが、各子会社等の所得に関しては、各子会社等の対象有形資産(期首及び期末の簿価の平均)と対象従業員に係る対象給与の5%の金額を控除する(カーブアウト)。控除の割合は、導入当初は有形資産(簿価)の8%、支払給与の10%とし、有形資産(簿価)については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.4%の割合で逓減し、支払給与については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.8%の割合で逓減する。 対象従業員は、多国籍企業グループの構成事業体のパートタイム従業員を含む従業員、及び当該多国籍企業グループの指揮・指導に服しその通常の事業活動に参加する独立契約者、とされる。 対象給与は、従業員への補償的支出(給与、賃金、直接かつ他と分離された個人的便益を従業員に提供する他の支出)、給与及び雇用税、従業員社会保障拠出金、とされる。 有形資産は、①その法域に所在する資産及び機械・装置、②その法域に所在する天然資源、③その法域に所在する有形資産に係る賃借人の使用権、④不動産の使用又は天然資源の利用(有形資産への相当の投資を伴うもの)に係る政府からのライセンス又は類似の取り決め、とされる。   〇GloBE純所得がない場合の特例 GloBE純所得がない(つまりその法域では赤字の)場合であっても、調整後対象税金がゼロ未満であり、かつ期待調整後対象税金を下回る場合には、調整後対象税金と期待調整後対象税金の差額がトップアップ税に加算される。 期待調整後対象税金とは、各構成事業体のGloBE所得に最低税率(15%)を乗じた金額である。 (了)

#No. 453(掲載号)
#小畑 良晴
2022/01/20

令和3年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「特に注意したい事項Q&A」ー住宅借入金等特別控除及び申告期限の延長等ー

令和3年分 確定申告実務の留意点 【第3回】 (最終回) 「特に注意したい事項Q&A」 ー住宅借入金等特別控除及び申告期限の延長等ー   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   最終回は、令和3年分の確定申告において注意が必要と考えられるもののなかから5項目を取り上げ、Q&A形式でまとめることとする。なお、本稿では特に指定のない限り、令和3年分の確定申告を前提として解説を行う。   〈住宅借入金等特別控除①〉 【Q1】 令和3年中に居住を開始した者が住宅借入金等特別控除を適用する場合、控除期間や要件はどのようになるか。 【A1】 令和3年中に居住を開始した場合に適用できる住宅借入金等特別控除は、大きく分けると3つの制度がある。適用を受ける制度によって、面積要件や所得要件が異なっている他、一定期間内に契約を締結していることが要件とされている制度もあるので注意が必要である。 (※) 既存住宅を取得し、取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルス感染症の影響等で遅れ、入居が遅れた場合でも、一定の日までに増改築等の契約が行われている等の要件を満たせば、入居期限要件(取得の日から6ヶ月以内)が増改築等完了の日から6ヶ月以内と緩和されている(新型コロナ税特法6①②、新型コロナ税特令4①)。 -解説- 制度の詳細を示すと次のとおりである。 なお、各制度の詳細については、以下の拙稿及び図表を参考にされたい。 【参考図表】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出典) 国税庁ホームページ「令和3年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」2ページ     〈住宅借入金等特別控除②〉 【Q2】 令和2年4月に住宅を新築する契約を締結し、令和2年中に引渡しを受け居住を開始する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で工期が遅れ、令和3年3月に引渡しを受け居住を開始した。令和3年分の確定申告において、住宅借入金等特別控除(控除期間13年間の特例措置)の適用を受ける場合に必要となる添付書類は何か。 【A2】 住宅借入金等特別控除の適用を受けるときに通常必要となる登記事項証明書や請負契約書(売買契約書)の写し、借入金の年末残高等証明書の他、次の書類を添付する必要がある。 -解説- 控除期間13年の特例は、消費税率10%引上げに伴う反動減対策の上乗せ措置であり、令和2年12月31日までに居住の用に供していることが要件とされていた(措法41⑬)。 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響等に対応するため、令和2年4月に制定された新型コロナ税特法の規定により、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けている場合には、契約が一定の期日までに締結されており、かつ家屋を令和3年12月31日までに居住の用に供したときには控除期間13年の特例の適用を受けることができることとされた(新型コロナ税特法6①)。 新型コロナ税特法の上記措置は、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けている場合に限定され、かつ一定の期日までに契約が行われていることが要件とされていることから、これらの要件を満たしていることを明らかにする書類を添付することが求められている。 なお、【Q1】の「③新型コロナ税特法第6条の2第1項(令和3年度税制改正)に基づく制度」の場合には、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けていることは要件となっていないことから、【A2】の〈追加で添付が必要となる書類〉の添付は不要である。     〈申告期限の延長①〉 【Q3】 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、期限内に確定申告書を提出できなかった場合、申告期限を延長することはできるか。また、その場合には、どのような手続が必要か。 【A3】 新型コロナウイルス感染症の影響等により、期限までに申告・納付等をすることができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められる。 -解説- 令和2年分の確定申告期限は、令和3年4月15日まで一括して延長されていた。しかし、本稿執筆時点(令和4年1月17日)では、令和3年分の確定申告について、同様の措置は設けられていない。 令和3年分の確定申告において、新型コロナウイルス感染症の影響等により、期限までに申告・納税等ができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められる(通則法11、通則令3③④)。 なお、延長される期限は、理由がやんだ日から2ヶ月以内であり、申請書を提出してから2ヶ月以内ではないことに注意されたい。 また、個別指定による期限延長の申請について、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」等の記載をする簡易な方法は、令和3年4月16日以降は認められていない。したがって、必ず申請書(「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成し、所轄税務署長へ提出することとなる。 新型コロナウイルス感染症に関連する「やむを得ない理由」としては、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(以下「新型コロナFAQ」という)」の問5に例示があるので参考にされたい。     〈申告期限の延長②〉 【Q4】 新型コロナウイルス感染症の影響等により、個別指定による期限延長の申請を行う場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に記載が必要な事項は何か。 【A4】 「災害による申告、納付等の期限延長申請書」には、以下について記載する。 -解説- 国税庁から公表されている「新型コロナFAQ」の問14には、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の記載方法として、次の例が示されている。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出典) 国税庁ホームページ「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続の具体的な方法」を一部著者加工。 なお、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、郵送による提出の他、e-Taxを利用して申請することも可能である。     〈納税の猶予〉 【Q5】 新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りが厳しい状況にあり、所得税及び復興特別所得税を期限までに納めることは困難である。納付を猶予する制度はあるか。 【A5】 所轄税務署長へ申請することにより、最大1年間納税が猶予(1年間据置き又は分割納付)される。 -解説- 納税の猶予制度には、「換価の猶予」と「納税の猶予」の2つがある(徴収法151の2、通則法46)(※)。 (※) 新型コロナ税特法の規定による「納税の猶予の特例」は、令和3年2月1日の申請期限をもって適用期限が到来している(新型コロナ税特法3)。 各制度の要件をまとめると次のとおりである。 新型コロナウイルス感染症の影響等により資金繰りが困難である場合には、納税者から特段の申出がない限り納税は1年間猶予される(国税庁「納税の猶予制度FAQ」問15)。また、これらの制度を利用した場合、延滞税は免除又は軽減される(※)。 (※) 換価の猶予:軽減、納税の猶予:軽減又は免除。  いずれも、軽減の場合は0.9%(令和4年)の割合。 上記の他、納税の猶予制度の詳細については、国税庁から公表されている「納税の猶予制度FAQ」を参考にされたい。 (連載了)   

#No. 453(掲載号)
#篠藤 敦子
2022/01/20

給与計算の質問箱 【第25回】「年末調整のやり直し」

給与計算の質問箱 【第25回】 「年末調整のやり直し」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社の給与計算の締め日は末日、支給日は翌月10日です。2021年11月分給与を2021年12月10日に支給する際に年末調整をしました。 2021年12月31日までに年末調整書類(給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書)に記載した内容に変更が生じた場合、どうすればよいかご教示ください。 A 所得税法では12月31日の現況で控除対象扶養親族などの判定を行うことになっている。しかし、年末調整してから12月31日までの間に年末調整書類に記載した内容に変更が生じることがある。この場合、2022年1月31日までは会社が年末調整のやり直しを行うか、若しくは、本人が確定申告を行う。また、2022年2月1日からは本人が確定申告を行う(不足税額がある場合は年末調整のやり直しを行うことがある)。 年末調整のやり直しが必要となる具体例は、次のとおりである。 * * 解 説 * * 1 給与所得者の扶養控除等申告書 給与所得者の扶養控除等申告書に係る具体例は次のとおり。   2 給与所得者の保険料控除申告書 給与所得者の保険料控除申告書に係る具体例は次のとおり。   3 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書に係る具体例は次のとおり。   4 その他 その他の具体例は次のとおり。 *  *  * 年末調整のやり直し後、会社は2022年1月10日又は2月10日支給の給料で還付税額・不足税額の精算を行う。又は、本人へ会社の小口現金から還付税額を還付、本人から現金で不足税額を徴収する。 また、会社は次回源泉所得税を納税する際に還付税額・不足税額を納付書に記載する。 (了)

#No. 453(掲載号)
#上前 剛
2022/01/20

相続税の実務問答 【第67回】「相続開始年中の贈与財産を特定贈与財産としたが取得した居住用財産に居住しなかった場合」

相続税の実務問答 【第67回】 「相続開始年中の贈与財産を特定贈与財産としたが 取得した居住用財産に居住しなかった場合」   税理士 梶野 研二   [答] 相続の開始した年中に被相続人から贈与により取得した財産を特定贈与財産として相続税の申告書を提出した場合には、その財産は相続税の課税価格の計算の基礎には算入されず、贈与税の課税対象となります。 その贈与が、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たす場合には、贈与税の申告において同特例を適用することにより納付すべき贈与税額は算出されませんが、取得した居住用不動産を贈与があった年の翌年3月15日までに居住の用に供しなかった場合など同特例の適用要件を満たさない場合には、同特例を適用することができません。 したがって、あなたがご主人から贈与を受けた1,000万円の金銭で取得したマンションに今年の3月15日までに居住しない場合には、贈与税の配偶者控除の特例を適用することはできませんので、同特例を適用することなく贈与税の計算をすることとなり、納付すべき贈与税額が算出されることとなります。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 特定贈与財産に対する相続税・贈与税の課税 前回説明しましたように、被相続人の配偶者が被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産であっても、その財産が「特定贈与財産」である場合には、その価額は相続税の課税価格には加算せずに、贈与税の課税価格に算入することとなります(相法19①かっこ書き、21の2④)。 その贈与が相続の開始の年の前年以前に行われた場合で、贈与があった日の属する年分の贈与税につき相続税法第21条の6第1項に規定する贈与税の配偶者控除の特例規定の適用を受けているときには、同項の規定により控除された金額に相当する部分が特定贈与財産となります(相法19②一)。 一方、被相続人の相続の開始の年に婚姻期間が20年以上である配偶者に対して贈与が行われた場合で、その配偶者が被相続人からの贈与についてこれまでにこの特例の適用を受けたことがないときには、同項の規定の適用があるものとしたときに同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分が、相続税の申告書に所定の記載をし、一定の書類を添付した場合に限り「特定贈与財産」となり(相法19②二、相令4②)、その金額は相続税の課税価格には加算されず、贈与税の課税価格に算入されることとなります。   2 相続開始の年に受けた特定贈与財産に係る贈与税の申告 上記1で説明したように被相続人の相続開始の年に被相続人から贈与を受けた特定贈与財産については、その価額を相続税の課税価格には加算せずに、贈与税の課税価格に算入することとなります。 この場合、被相続人からの特定贈与財産の贈与が贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たす場合には、同特例を適用することができますが、同特例の適用要件を満たさない場合には、一般の贈与税の申告をすることとなります。 〇贈与税の配偶者控除の特例の適用要件(相法21の6①)   3 ご質問の場合 あなたがご主人とご結婚されてから昨年1月に1,000万円の金銭の贈与を受けるまでの期間は20年以上であり、かつ、ご主人からの贈与についてこれまでに贈与税の配偶者控除の特例規定の適用を受けたことがないとのことです。 このため、同特例の適用があるものとした場合に贈与税の課税価格の計算上、控除されることとなる金額に相当する金額1,000万円は、相続税の申告書にその価額を贈与税の課税価格に算入する旨その他一定の事項を記載するとともに、戸籍の附票の写しや贈与を受けた者が取得した居住用不動産に関する登記事項証明書など、贈与を受けた者が当該居住用不動産を取得したことを証する書類を添付することによって、特定贈与財産として相続税の課税価格への加算は不要となり、専ら贈与税の課税対象となりました。 この贈与が、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たすのであれば、同特例を適用した贈与税の申告書を提出することにより、贈与税額は算出されません。 しかしながら、あなたの場合には、贈与を受けた金銭で居住用不動産を取得したものの、贈与があった日の翌年、つまり今年の3月15日までにその居住用不動産に居住していませんので、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たしていません。 したがって、贈与税の申告において同特例の規定を適用することはできませんから、1,000万円(この他に昨年中に贈与を受けた財産があれば、その金額との合計額)から贈与税の基礎控除額110万円を控除した額に対して贈与税が課されることとなります。 (了)

#No. 453(掲載号)
#梶野 研二
2022/01/20

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第20回】「老人ホームへ入居等した後に被相続人の居住の用に供していた家屋に新たに居住する者がいる場合の特定居住用宅地等の特例の適否」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第20回】 「老人ホームへ入居等した後に被相続人の居住の用に供していた家屋に新たに居住する者がいる場合の特定居住用宅地等の特例の適否」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は、A宅地及び家屋を所有し自己の居住の用に供していましたが、相続開始の5年前に有料老人ホームに入居しました。老人ホームへの入居前は、A宅地及び家屋にて長男家族と同居していましたが、入居後の利用状況及びA宅地及び家屋の取得者が次のそれぞれの場合において、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例の対象にならないものはありますか。 甲の相続人は、長男である乙、二男である丙、長女である丁の3名です。乙も丙も会社員であり、持家はありませんが、それぞれ自己の収入に基づき生活をしており、甲との間に生活費等の援助はありません。丁は離婚して子供もおり、甲から生活費等の援助を受けていますので、生計を一にしていた親族に該当します。 なお、甲は有料老人ホームへの入居前は、要介護又は要支援認定を受けていませんでしたが、相続開始の直前において要介護3の認定を受けていました。 [A] 上記の①及び③のケースについては、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例(以下単に「特例」という)を受けることができませんが、②のケースについては、他の要件を満たせば特例の適用を受けることができます。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 特定居住用宅地等の範囲 特定居住用宅地等は、相続開始の直前において被相続⼈⼜は当該被相続⼈と⽣計を⼀にしていた当該被相続⼈の親族(以下「被相続人等」という)の居住の⽤に供されていた宅地等に該当することが必要となりますが、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、下記の要件を満たす場合には、その被相続人が居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた宅地等については、被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することとされています(措法69の4①、措令40の2②③、措規23の2②)。   2 本問への当てはめ 〔①の場合〕 丙は生計別親族であり、被相続人等以外の者の居住の用に供されているため、上記1(3)の要件を満たしません。また、丙は生計別親族であり生計を一にしていた者の居住用宅地等にも該当しないため、特例を適用することができません。 〔②の場合〕 丁は生計一親族であり、「被相続人等」の居住の用に該当し、入居等をした後の用途制限には該当しませんので、被相続人の居住の用に供されていた宅地等として取り扱います。また、生計一親族の居住の用に供されている宅地等にも該当することになります。したがって、他の要件を満たせば、特例の適用を受けることができます。 〔③の場合〕 老人ホーム等の入居後に、事業の用に供されていた宅地等に該当するため、上記1(3)の要件を満たしません。また、乙は生計別親族であり生計を一にしていた者の居住用宅地等にも該当しないため、特例を適用することができません。   ★実務上のポイント★ 老人ホームへの入居前の相続税の試算段階で、自宅について特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用ができる見込みであったとしても、老人ホーム等の特有の要件により、特例を受けられないこともありますので、事前にアドバイスしておくことが重要となります。ただし、単純に老人ホーム等に入居をしていても特例を受けられるといったアドバイスだけでは不十分になりますので、注意が必要です。   (了)

#No. 453(掲載号)
#柴田 健次
2022/01/20

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第34回】「役員借入金の税務とその解消」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第34回】 「役員借入金の税務とその解消」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 役員借入金と相続財産の関係 役員借入金は、当該役員にとっては法人に対する債権であり、相続財産を構成することに疑義はない。そして、その評価額は当該財産の取得の時における時価とされ(相法22)、すなわち客観的交換価値によって評価しなければならない。 財産評価基本通達では役員借入金の評価の詳細を定めており、貸付金債権等の元本の価額と既経過利息相当額の合計額によって評価するとされている(財基通204)。なお、手形交換所等の取引停止処分や会社更生法による更生手続開始の決定があった場合等、役員借入金が存在する法人が法的整理の状態等となっている場合には、当該法人の役員借入金は相続財産に含まないとも示されている(財基通205)。 すなわち、法人が仮に債務超過であったとしても、上記の事情がなければ借入金総額の額面に利息額を加味した額をもって相続財産とされることとなる。   (2) 金融機関の評価 役員借入金が存在することで貸借対照表上において自己資本比率が悪化することとなるのは避けられない。この点が金融機関の定量的分析による信用格付に悪影響を与える可能性がある。もっとも、一般的に役員借入金は有利子負債とはされないため、そのような影響は役員貸付金よりは軽微かもしれない。 この点、貸借対照表上、役員借入金をワンイヤールールに則って流動負債の部及び固定負債の部に正しく計上することで、流動比率を向上させることは可能であるため、留意したい。 役員借入金は、金銭消費貸借契約書が存在せず、「法人の資金繰りが悪化したことを受け、役員が法人口座に金銭を振り込んだ」ことを、事実上の借入金として会計処理で表現したに過ぎないケースが多いと思われる。金銭消費貸借契約書が存在しないからこそ、役員借入金の一般的なメリットとして「いつ返済してもOK、利息も支払わなくてOK」と説かれているのだ。 したがって、明確に1年以内に返済する予定がないのであれば、役員借入金を全て固定負債の部に計上することも一案といえる。   (3) 生前に考えられる対処 役員借入金が存在することが、法人税法や所得税法の領域において直接問題となることは考えにくいため、中小企業は役員借入金の解消を後回しにしがちである。しかし上記のような問題があるため、中小企業にとってその解消はやはり課題といえる。 役員借入金の解消方法として、一般に以下の諸方法が説かれている。 ①は単純に、法人の日々の資金繰りから返済資金を捻出する方法である。役員借入金が発生する法人の発生要因に鑑みれば、資金繰りの改善が必須といえる。 ②は【第31回】で少し触れた方法である。方法論としては存在するが、役員貸付金と役員借入金が同時に存在するケースは少ないと思われる。 ③はキャッシュの移動がなく、単純な方法といえるが留意点もある。債務免除を受けた法人は債務免除益が発生するため(法法22②)、実行予定の事業年度における業績や繰越欠損金の存在等に留意する必要がある。また、中小企業においては、株主が取締役を兼ねるケースがほとんどだと思われるが、当該債務免除によって株式価値が増加するのならば、その他の株主側においてみなし贈与の論点が存在する。これは、債務免除を行った役員以外の法人の株主にとっては、債務免除によって法人の株式の価額が増加することとなり、その増加部分を、債務免除を行った役員から債務免除により取得したものとみなされるというものである(相法9、相基通9-2(3))。 ④は債権者が金銭債権を債務者である法人に現物出資する方法であり、一般に「DES(デット・エクイティ・スワップ)」と呼ばれる。借入金が資本金となることから、負債としての返済義務が消滅し、自己資本比率も高まるというメリットがある。なお、「疑似DES」と呼ばれる、債権者が金銭を出資し、債務者が当該金銭によって債務の弁済を行う、金銭出資と弁済を組み合わせ、DESを行うのと同様の結果を導く方法も存在する。 しかし、資本金や資本金等の額の増加により均等割額が増加したり外形標準課税の対象となったり、各種中小企業を対象とした優遇税制の対象外となりうるというデメリットがある他、DESを行った場合、100%グループ内における適格現物出資の場合を除き、現物出資の対象である金銭債権は時価で被現物出資法人に移転するため、被現物出資法人側で債務消滅益が発生する可能性がある点、留意しなければならない(※)。 (※) 佐藤信祐『組織再編における税制適格要件の実務Q&A 第5版』(中央経済社、2019年)243頁。 *  *  * 中小企業における役員借入金は、役員にとって、悪化した資金繰り等に対する責任の取り方の1つなのかもしれないが、以上のような問題が具現化しないためにも、役員借入金の解消についてまで検討しておくべきである。 (了)

#No. 453(掲載号)
#中尾 隼大
2022/01/20

基礎から身につく組織再編税制 【第36回】「適格分割型分割を行った場合の申告調整~子会社同士が適格分割型分割を行った場合~」

基礎から身につく組織再編税制 【第36回】 「適格分割型分割を行った場合の申告調整」 ~子会社同士が適格分割型分割を行った場合~   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   今回は、子会社同士が適格分割型分割を行った場合の申告調整の具体例について解説します。   1 適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の処理 (1) 前提条件 〔分割法人B社の分割直前の貸借対照表〕 【会計】 【税務】 〔移転するX事業の分割直前の資産・負債〕 【会計】 【税務】 分割法人B社の会計上の資産・負債と税務上の資産・負債には、次の差異が生じています。 減価償却超過額1,500はX事業に係るものです。 (2) 会計処理 分割承継法人A社の会計処理は、次のとおりです。 (3) 税務処理 分割承継法人A社の税務処理は、次のとおりです。 ① 資産・負債の取得価額 分割法人が適格分割型分割により分割承継法人にその有する資産・負債の移転をしたときは、分割直前の帳簿価額で引継ぎをしたものとされるため、分割承継法人が受け入れる資産・負債の取得価額は、分割法人の分割直前の「帳簿価額」となります(法法62の2、法令123の3)。 この「帳簿価額」とは、税務上の帳簿価額をいうため、税務上否認した金額も含めて受け入れることとなります(法基通12の2-1-1)。 これより、分割承継法人A社が受け入れる資産の取得価額は、会計上の3,000と税務上否認した金額である減価償却超過額1,500の合計である4,500となります。 また、分割承継法人A社が受け入れる負債の価額は、会計上の1,000となります。 ② 資本金等の額 分割承継法人において分割により増加する資本金等の額は、次のとおりです(法令8①六)。 (ア) 加算項目 (※) 分割法人における分割型分割により減少する資本金等の額 (イ) 減算項目 上記より分割承継法人A社において増加する資本金等の額は、1,000となります。 ③ 利益積立金額 分割承継法人において分割により増加する利益積立金額は次のとおりです(法令9①三)。 (ア) 加算項目 (イ) 減算項目 上記より分割承継法人A社において増加する利益積立金額は2,500となります。 (4) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。 調整仕訳は、次のとおりです。 上記の調整仕訳については、損益項目が含まれないため、法人税申告書別表4での申告調整は行わず、別表5(1)のみで調整することとなります。 (5) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 (注) ※印は調整仕訳により生じたものであることを表示するために記入しています。 ◆ポイント◆ 分割承継法人A社において増加する利益積立金額が2,500、増加する資本金等の額が1,000となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。   2 適格分割型分割を行った場合の分割法人における資産・負債の引継ぎ (1) 会計処理 分割法人B社の会計処理は、次のとおりです。 (2) 税務処理 分割法人B社の税務処理は、次のとおりです。 ① 資産・負債の引継ぎ 適格分割型分割があった場合、分割法人から分割承継法人への資産・負債の移転は、分割直前の帳簿価額による引継ぎをしたものとされ、分割法人において譲渡損益は生じないとされています(法法62の2②)。 これより、分割法人B社が移転する資産の取得価額は、会計上の3,000と税務上否認した金額である減価償却超過額1,500の合計である4,500となります。 また、分割法人B社が移転する負債の価額は、会計上の1,000となります。 ② 資本金等の額 分割法人において分割により減少する資本金等の額は、次のとおりです(法令8①十五)。 上記より分割法人B社において減少する資本金等の額は、1,000となります。 ③ 利益積立金額 分割法人において分割により減少する利益積立金額は、次のとおりです(法令9①十)。 (ア) 加算項目 (イ) 減算項目 上記より分割法人B社において減少する利益積立金額は、2,500となります。 (3) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。 調整仕訳は次のとおりです。 上記の調整仕訳については、損益項目が含まれないため、法人税申告書別表4での申告調整は行わず、別表5(1)のみで調整することとなります。 (4) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 (注) ※印は調整仕訳により生じたものであることを表示するために記入しています。 ◆ポイント◆ 分割法人B社において減少する利益積立金額が2,500、減少する資本金等の額が1,000となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。   3 適格分割型分割を行った場合の分割法人の株主の処理 (1) みなし配当 適格分割型分割が行われた場合には、分割法人の利益積立金額の一部が分割承継法人に引き継がれ、分割法人の株主に交付されないため、分割法人の株主であるC社においてみなし配当は生じません。 (2) 譲渡損益 投資が継続していると認められる場合には、譲渡損益の計上を繰り延べることとされています(法法61の2②)。「投資の継続」とは、株主が金銭等の交付(株式以外の交付)を受けていないことをいいます。 分割法人の株主であるC社は分割によりA社株式のみの交付を受けているため、譲渡損益は生じません。 (3) 分割法人株式の帳簿価額の付け替えと分割承継法人株式の取得価額 分割法人の株主は、適格分割型分割を行った場合には、移転する資産・負債に対応する分割法人株式を部分的に帳簿価額で譲渡し、対価として分割承継法人株式を取得したものと考えて、分割法人株式の帳簿価額の付け替え計算を行う必要があります。 適格分割型分割を行った場合の分割承継法人株式の取得価額、分割法人株式の帳簿価額については、次のとおりとなります。 (※) 分割純資産対応帳簿価額 = 分割前の分割法人株式の帳簿価額(1,000)× 移転割合(3,500/7,000)= 500 (4) 会計処理 分割法人の株主C社の会計処理は、次のとおりです。 (5) 税務処理 分割法人の株主C社の税務処理は、次のとおりです。 (6) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理に、差異が生じていないため、調整する必要はありません。   (了)

#No. 453(掲載号)
#川瀬 裕太
2022/01/20

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第70回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第70回】   千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也   (5) 資産の販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分(法人税基本通達2-1-1の8) ア 概要 本通達は、資産の販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分についての一般的基準を明らかにしている。 本通達の取扱いを図表で示すと次のようになる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 収益認識会計基準56項は、契約の当事者が明示的又は黙示的に合意した支払時期により、財又はサービスの顧客への移転に係る信用供与についての重要な便益が顧客又は企業に提供される場合には、顧客との契約は重要な金融要素を含むものとするとしている。 本通達はこのことを踏まえて、法人税法においても、資産の販売等に係る契約に金銭の貸付けに準じた取引が含まれていると認められる場合には、その利息相当分は当該資産の販売等に係る収益の額に含めないことができるとするものである。仕訳例は次のとおりである(国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について~法人税関係~(平成30年5月)」22頁)。 一般に、本通達を適用する場合、当該取引に係る利息相当額部分については、当該資産の販売等に係る収益よりも後の事業年度の収益に計上される点で納税者にとって有利に働く。 イ 本通達の趣旨 会計上、利息相当分の区分について、収益認識会計基準の導入前は、商品の販売取引と金融取引を区分して会計処理するような具体的な定めは設けられていなかったが、同基準では、契約の当事者が明示的又は黙示的に合意した支払時期により、財又はサービスの顧客への移転に係る信用供与についての重要な便益が顧客又は企業に提供される場合には、顧客との契約は重要な金融要素を含むものとされ(基準56)、利息部分を切り離して収益認識することとされている。本通達は、このことを前提として設けられている(趣旨説明22頁)。 法人税においては、従来、旧通達2-4-11《長期割賦販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分》において、割賦販売等に係る契約により販売代価と賦払期間中の利息に相当する金額とが明確、かつ、合理的に区分されているときは、当該利息相当額を当該割賦販売等に係る収益の額に含めないことができる取扱いを設けていたが、収益認識会計基準の導入を踏まえ、一般的な取扱いを明らかにしたものである(趣旨説明22頁)。 本通達の(1)及び(2)の要件は、契約に金融要素が含まれるかどうか、それが契約にとって重要であるかどうかを判定する収益認識会計基準適用指針27項の要件と同様であり、本通達は同基準でいうところの契約において重要な金融要素が含まれている場合の取扱いを取り込んだものということになる(趣旨説明22頁)。 本通達の内容について、一定の合理性を認めうるし、法人税法22条の2を根拠として説明することも可能であろう。ただし、本通達の根拠規定として法人税法22条4項を持ち出すことができるかどうかという点は議論の余地があるし、他方で、22条の2第1項を持ち出す場合には、確定的に本通達のような取扱いを導くことができるかという問題がある。この点については本連載第67回(2)イ参照。 法人税法22条の2第1項を持ち出す場合には、収益認識会計基準における定めがどうなっているかという点が同項の解釈論に影響を与えるのかという視点も検討する必要が出てくる。   (了)

#No. 453(掲載号)
#泉 絢也
2022/01/20

収益認識会計基準を学ぶ 【第21回】「開示①」

収益認識会計基準を学ぶ 【第21回】 「開示①」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回から4回に分けて、「開示(表示及び注記事項)」について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 表示 1 損益計算書 損益計算書の表示は次のように行う(収益認識会計基準78-2項、収益認識適用指針104-2項)。 収益認識会計基準は、3項に掲げる7項目を除く顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示に適用される(収益認識会計基準3項)。 このため、収益認識会計基準78-2項の「顧客との契約から生じる収益」は、収益認識会計基準3項に掲げる7項目を除く顧客との契約から生じる収益を指し、当該収益とそれ以外の収益を区分して損益計算書に表示するか又は顧客との契約から生じる収益の額を注記することになる(収益認識会計基準156項)。 2 重要な金融要素 顧客との契約に重要な金融要素が含まれる場合(収益認識会計基準56項)、顧客との契約から生じる収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)を損益計算書において区分して表示する(収益認識会計基準78-3項)。 区分処理することとした金融要素の影響の表示については、その表示又は注記の方法を定めていないことから、他の金融要素の影響(受取利息又は支払利息)と合算して表示すること、また合算して表示した場合において追加の注記をしないことは妨げられないと考えられる(収益認識会計基準157項)。 3 貸借対照表 各用語の定義は次のとおりである(収益認識会計基準10項~12項)。 顧客から対価を受け取る前又は対価を受け取る期限が到来する前に、財又はサービスを顧客に移転した場合は、収益を認識し、契約資産又は顧客との契約から生じた債権を貸借対照表に計上する(収益認識会計基準77項)。 財又はサービスを顧客に移転する前に顧客から対価を受け取る場合、顧客から対価を受け取った時又は対価を受け取る期限が到来した時のいずれか早い時点で、顧客から受け取る対価について契約負債を貸借対照表に計上する(収益認識会計基準78項)。 貸借対照表の表示は次のように行う(収益認識会計基準53項、79項、収益認識適用指針85項、104-3項、105項)。 次のことに留意する(収益認識会計基準77項、150-2項、150-3項、159項)。   (了)

#No. 453(掲載号)
#阿部 光成
2022/01/20
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