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《速報解説》 「倫理規則」の改正に関する公開草案が会計士協会より公表される~倫理規則の理解のしやすさ向上や遵守促進のため、体系及び構成等の見直しを実施~

《速報解説》 「倫理規則」の改正に関する公開草案が会計士協会より公表される ~倫理規則の理解のしやすさ向上や遵守促進のため、体系及び構成等の見直しを実施~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月22日、日本公認会計士協会は、「「倫理規則」の改正に関する公開草案」を公表し、意見募集を行っている。 これは、倫理規則の理解のしやすさを向上させ、その遵守を促進するため、倫理規則の体系及び構成等の見直しを行うとともに、国際会計士倫理基準審議会(The International Ethics Standards Board for Accountants:IESBA)の倫理規程の改訂を踏まえて、実質的な内容の変更を伴う個別規定の見直しを行うものである。 公開草案の公表に先立ち、次のものを公表している。 意見募集期間は2022年1月24日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 公開草案は全文で、242ページあるので、以下では主な内容について解説する。 「公開草案の概要」や「守秘義務に関する倫理規則の改正に当たっての考え方」なども公表している。 今後、倫理規則の遵守の徹底及び社会からの理解・信頼を得るため、倫理規則の根本となる基本的かつ重要な考え方について簡潔に示した「公認会計士倫理宣言(仮称)」を確定版と共に公表することを予定しているとのことである。 1 体系及び構成の見直し 現行の職業倫理の規範体系を見直し、次のものを廃止して「倫理規則」に統合するとともに、「倫理規則」全体の構成の見直しを行う。 基本原則の遵守及び独立性の保持は倫理規則全体を通じた要求事項であることを強調する規定としている。 会計事務所等所属の会員も、会計事務所等という組織の中においては、当該組織に所属する会員であるので、組織所属の会員に対する規定が適用されることから、次の順番で規定している。 2 勧誘 3 会員に期待される役割及びマインドセット 「探求心を持つこと」とは次のことを意味する。 4 審査担当者等の客観性 業務にかつて従事した者が当該業務の審査担当者に選任される際にクーリングオフ期間を設けるなど、審査担当者等の客観性の原則の遵守に関する規定を新設する。 5 報酬 6 非保証業務 7 客観性の原則 基本原則の「公正性の原則」を「客観性の原則」に変更する。 基本原則のうち、会員がバイアス、利益相反及び個人や組織等による過度の影響又は依存に影響されることなく、職業的専門家としての判断を行使することを、現行倫理規則では「公正性」としているが、「客観性」に改める。 8 守秘義務に関連する規定の見直し   Ⅲ 適用時期等 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/24

《速報解説》 金融庁が「監査に関する品質管理基準の改訂」を確定~監査業務の変化に対応した品質管理体制の構築を監査事務所に求める~

《速報解説》 金融庁が「監査に関する品質管理基準の改訂」を確定 ~監査業務の変化に対応した品質管理体制の構築を監査事務所に求める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月16日付けで(ホームページ掲載日は2021年11月19日)、企業会計審議会は、「監査に関する品質管理基準の改訂に係る意見書」を公表した。 これにより、2021年6月30日から意見募集していた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられたコメントの概要及びコメントに対する考え方も公表されている。 これは、経済社会を取り巻く環境変化が加速し、監査業務にも変化が生じていることから、監査事務所において、より積極的に品質管理上のリスクを捉えて、当該リスクに対処する品質管理体制の構築へとするものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ リスク・アプローチに基づく品質管理システムの導入 リスク・アプローチに基づく品質管理システムとは、監査事務所自らが、品質管理システムの項目ごとに達成すべき品質目標を設定し、当該品質目標の達成を阻害しうるリスクを識別して評価を行い、評価したリスクに対処するための方針又は手続を定め、これを実施することである。 公開草案に対して、監査法人には、「リスク・アプローチ」の趣旨に沿った効果的で効率的な品質管理を行うことで、品質管理のトータルコストを増やさないように対応を行うことを強く求めるとのコメントが寄せられた(No.3)。 これに対して、品質管理基準は、監査基準と一体として適用されるものであり、監査事務所及び監査チームにおいて、監査業務のみならず、品質管理が効果的に行われることを前提にして、効率性も追求されることが期待されるとのことである。   Ⅲ 品質管理システムの構成 品質管理システムの項目ごとの主な改訂点は次のとおりである。 1 監査事務所のリスク評価プロセス 監査事務所の主体的な品質管理を可能とするため、監査事務所に対し、品質管理システムの項目ごとに、品質目標を設定し、当該品質目標の達成を阻害しうる品質リスクを識別して評価を行い、評価した品質リスクに対処するための方針又は手続を定め、実施することを求める。 2 ガバナンス及びリーダーシップ 監査事務所に対し、次のことを求める。 3 職業倫理及び独立性 監査事務所に対し、次のことを求める。 4 監査契約の新規の締結及び更新 監査事務所に対し、次のことを求める。 5 業務の実施 より質の高い監査の実施を可能とするため、監査事務所に対し、次の事項に関する品質目標を設定することを求める。 6 監査業務に係る審査 原則としてすべての監査業務について審査を求めるとともに、品質管理の方針又は手続において、意見が適切に形成されていることを確認できる他の方法が定められている場合には審査を受けないことができることを規定する。 監査事務所は、意見表明前だけでなく、監査業務全体を通じて適時に適切な審査が行われていることを確かめなければならないことを明確にしている。 また、審査の担当者が客観性及び独立性を保持し、審査の担当者としての職業倫理を遵守しているかを確かめることを求める。 7 監査事務所の業務運営に関する資源 監査事務所に対し、人的資源に加え、テクノロジー資源、知的資源等の業務運営に関する資源の取得又は開発、維持及び配分に関する品質目標を設定することを求める。 8 情報と伝達 監査事務所の内外から適時に情報を収集し、監査事務所の内外と適時に情報の伝達を行うことが重要であるので、情報と伝達に関する品質管理システムの項目を新たに追加する。 9 品質管理システムのモニタリング及び改善プロセス 監査事務所が、監査事務所自身によるモニタリング、改善活動の実施、監査事務所の外部からの検査及びその他の関連する情報から得られた発見事項の評価を行うことを明確化する。 10 監査事務所間の引継 監査事務所に対し、監査事務所間の引継について品質目標を設定し、不正リスク対応基準において求められる引継に関する手続をすべての監査に対して求める。   Ⅳ 監査事務所が所属するネットワークへの対応 監査事務所に対し、品質管理システムにおいてネットワークの要求事項を適用し、又は業務運営に関する資源等を利用する場合には、監査事務所としての責任を理解した上で、適用又は利用することを求める。   Ⅴ 品質管理システムの評価 監査事務所の品質管理システムに関する最高責任者に対し、少なくとも年に一度、基準日を定めて品質管理システムを評価し、当該システムの目的が達成されているという合理的な保証を監査事務所に提供しているかを結論付けることを求める。   Ⅵ 適用時期等 改訂品質管理基準は、2023年7月1日以後に開始する事業年度又は会計期間(公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事業年度又は会計期間)に係る財務諸表の監査から実施する。 改訂品質管理基準中、品質管理システムの評価については、改訂品質管理基準の実施以後に開始する監査事務所の会計年度の末日から実施することができる。ただし、それ以前の事業年度又は会計期間に係る財務諸表の監査から実施することを妨げない。 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/22

《速報解説》 会計士協会、EDINET で提出する監査報告書の欄外記載に関するお知らせを公表~書面と電磁的方法とを問わない改正公認会計士法施行後の記載例を示す~

《速報解説》 会計士協会、EDINET で提出する監査報告書の欄外記載に関するお知らせを公表 ~書面と電磁的方法とを問わない改正公認会計士法施行後の記載例を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月19日、日本公認会計士協会は、「EDINETで提出する監査報告書の欄外記載について(お知らせ)」を公表した。 これは、改正公認会計士法が2021年9月1日に施行されており、EDINETで提出する監査報告書の欄外記載に関する取扱いを示すものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 IT委員会研究報告第44号「新EDINETの概要とXBRLデータに関する監査人の留意事項」(以下「IT研44号」という)では、EDINETで提出する監査報告書において、監査報告書の原本に記載された事項を電子化した旨及びXBRLデータについては監査対象でない旨を欄外記載する場合の記載例を示している。 当該記載例は、書面により監査報告書を作成している場合だけを前提としていたことから、次のように、改正公認会計士法施行後の記載例(書面と電磁的方法とを問わない)を示している。 EDINETにより提出する中間監査報告書や四半期レビュー報告書についても、欄外記載について、同様に表現を工夫することが考えられるとのことである。 なお、上記の記載例は、必ず使用しなければならないという性質のものではなく、例えば、書面により監査報告書を作成する場合においては、IT研44号において提供している記載例を引き続き使用することも考えられるとのことである。 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/19

《速報解説》 会計士協会が「イメージ文書により入手する監査証拠に関する実務指針」の公開草案を公表~改正電帳法施行に伴い取引情報の電子化加速が見込まれることなどに対応~

《速報解説》 会計士協会が「イメージ文書により入手する監査証拠に関する実務指針」の公開草案を公表 ~改正電帳法施行に伴い取引情報の電子化加速が見込まれることなどに対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月19日、日本公認会計士協会は、「監査・保証実務委員会実務指針「イメージ文書により入手する監査証拠に関する実務指針」」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しに伴い、特にスキャナ保存制度の要件緩和などにより、企業の取引情報の電子化の一層の加速が見込まれることなどに対応し、監査人が監査証拠を電子データの一種であるイメージ文書で入手する場合の実務上の指針を提供するものである。 実務指針では、電子帳簿等保存制度を参考とすることが多いが、企業の電子帳簿等保存制度への準拠や適合の状況に関する監査人の対応について直接に取り扱うものではないとのことである。 意見募集期間は2021年12月20日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 適用範囲 「イメージ文書」とは、可読性のある電子データであり、書面の取引証憑と同等の記載内容を保っているデータをいう(12項(5))。 ファイル形式としては、PDFファイルや他の画像ファイル(BMP、TIFF、JPEG、PNG等)が想定されている(12項(5))。 実務指針は、次の両方のイメージ文書を対象としている。 さらに、原本である書面を電子化する場合には、企業が関連する法令等に従って電子化する場合と、監査の過程で監査人が依頼したことで電子化される場合があり、実務指針はこの両方を対象としている。 次の付録も記載されている。 2 原本 「原本」とは、イメージ文書に変換する前の元になったものであり、書面又は情報システムから出力された可読性のある電子データをいう(12項(6))。 実務指針は、監査の過程で監査人が監査証拠として入手する可能性のあるイメージ文書を取り扱っているため、原本という用語をイメージ文書と対比する目的で、上記のように定義している。 実務指針では、イメージ文書の作成を前提としていない書面等についての原本を定義することを目的としていないため、他の法令等における定義とは異なる場合があるとのことである(12項(6))。 監査人は、イメージ文書の元になった原本が被監査会社の管理下に存在し、それが監査の目的に関連する情報であり、監査人が監査証拠として必要と判断する場合には、経営者に対し当該原本の提供を求めることがある(14項)。 3 イメージ文書に係るリスクの識別と評価 監査人は、電子取引において受領又は交付したイメージ文書が複製であることのみを理由に監査証拠として十分かつ適切ではないと判断する、又は、情報の信頼性を何ら検討せずにイメージ文書が複製元の原本と全く同一の記載内容であると判断する、といった先入観を持たず、入手したイメージ文書が有する証明力並びに監査証拠としての十分性及び適切性を適切に評価して対応する(20項)。 監査人は、入手したすべてのイメージ文書に対して、その原本を確かめることを必ずしも常に要求されるものではないが、監査人が重要な虚偽表示リスクの程度が高いと評価し、より確かな心証が得られる監査証拠を入手する場合には、監査証拠の量を増やすことや、より適合性が高く、より証明力の強い監査証拠を入手することがある(42項、43項)。 後述のように、スキャナ保存に関しては、令和3年度(2021年度)税制改正により、スキャナ保存後直ちに書面の原本を廃棄することが可能となっている。 そのため、監査人は、監査上必要と判断する一定金額以上の契約書など、重要な監査証拠となり得る記録や書面の原本を、監査に必要な期間保存する必要があると判断する場合、被監査会社と事前に十分に協議し、例えば、被監査会社が原本を廃棄する前に、監査人が原本を確かめる又は必要に応じて廃棄予定の原本を監査人が入手するなどのような対応を検討することが考えられる(64項)。 4 令和3年度(2021年度)税制改正による監査への影響 令和3年度(2021年度)税制改正により、国税関係書類の電子的な保存のための要件が緩和されており、イメージ文書の保存に関して以下に留意する(32項)。 5 内部統制 監査人は、監査に関連する内部統制を理解する際に、監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」第12項に従い、内部統制のデザインを評価し、これらが業務に適用されているかどうかについて、企業の担当者への質問とその他の手続を実施して評価する(34項)。 イメージ文書の作成、受領及び保管に関する内部統制(IT全般統制を含む)を理解するに当たってのポイントなどが記載されている(37項ほか)。 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/19

《速報解説》 会計士協会、「合意された手続業務に関する実務指針」及びQ&Aの改正を確定~適用は2022年1月1日以降~

《速報解説》 会計士協会、「合意された手続業務に関する実務指針」及びQ&Aの改正を確定 ~適用は2022年1月1日以降~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月15日付けで(ホームページ掲載日は2021年11月19日)、日本公認会計士協会は、次のものの改正を公表した。 これにより、2021年4月30日から6月30日までの間及び2021年10月1日から11月1日までの間に意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられたコメントに対する対応も公表されている。 これは、国際監査・保証基準審議会(IAASB)「国際関連サービス基準(ISRS)4400「Agreed-Upon Procedures Engagements」」(2020年4月3日)の公表に伴うものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」 合意された手続業務では、業務依頼者が実施される手続を業務の目的に照らして適切であると認めた場合に、業務実施者が、業務実施者と業務依頼者が合意した手続を実施する(6項)。 合意された手続業務は、監査業務、レビュー業務又は監査及びレビュー業務以外の保証業務ではない(8項)。 合意された手続業務では、いかなる場合でも、業務実施者が意見又は保証の結論を表明することを目的として、証拠を入手することはない(8項)。 主な改正点は次のとおりである。 1 合意された手続業務における職業的専門家としての判断の明瞭化 業務実施者は、業務の状況を考慮して、合意された手続業務の契約の新規の締結及び更新、並びに実施及び報告において職業的専門家としての判断を行使しなければならない(19項)。 2 独立性に関する事項 独立性が要求されていない合意された手続業務についても、実施結果報告書において独立性に関する記載を行う(独立性の保持が要求されていない旨の記載。33項(12))。 3 「合意された手続実施結果報告書の目的」に関する見出しの追加 合意された手続業務(契約)の目的の明瞭化のため、改正版専門実4400では、実施結果報告書に「合意された手続実施結果報告書の目的」に関する見出しが追加されている。 4 実施結果報告書の配布及び利用制限 改正版専門実4400では、関係者のみに実施結果報告書を配布及び利用する旨の要求事項はない。 配布及び利用制限については、業務実施者の判断に基づいて決定する。   Ⅲ 専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」に係るQ&A 1 職業的専門家としての判断について(Q4) 合意された手続業務に関して、業務実施者は職業的専門家としての判断が求められる。 業務実施者は、業務の状況を考慮して、合意された手続業務の契約の新規の締結及び更新、並びに実施及び報告において職業的専門家としての判断を行使しなければならない(専門実4400第19項)。 2 独立性(Q8) 専門実4400に基づく合意された手続業務において、法令又は契約条件に基づく場合を除いて、業務実施者の独立性は求められていない。 しかしながら、各国の倫理規程、法令、その他の職業的専門家としての要求事項又は合意された手続業務の業務対象に関する契約、プログラムもしくは取決めにより、独立性に関する要求事項が規定される場合がある(専門実4400のA14項)とし、独立性に関して詳細に記載している。 3 合意された手続及びその手続実施結果の記載(Q11) 合意された手続及び手続の実施結果の記載に関する留意事項として、合意された手続業務の契約を締結する条件として、合意された手続及びその手続実施結果は、明確で、誤解を招かず、かつ、様々な解釈が生じない方法で、客観的に記述することが求められている(専門実4400第23項(3))とし、「手続実施結果の適切な記載」と「手続実施結果の不適切な記載」の例を示しつつ、詳細に記載している。   Ⅳ 適用時期等 2022年1月1日以降に契約を締結する合意された手続業務に適用する。 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/19

《速報解説》 会計士協会が「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」のQ&A改正の公開草案を公表~リモートワークの定着化及び顕在化した課題への対応等について新たに記載~

《速報解説》 会計士協会が「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」の Q&A改正の公開草案を公表 ~リモートワークの定着化及び顕在化した課題への対応等について新たに記載~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年11月17日、日本公認会計士協会は、「IT委員会研究報告第34 号「IT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」Q&A」の改正」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、リモートワークの定着化及び顕在化した課題への対応等について述べたものである。 意見募集期間は2021年12月17日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ リモートワーク関連技術・対策のQAの追加など 1 電子データ授受に関する方針を定める上での留意点(Q22) 電子データ授受に関する方針を定める上での留意点を追加し、主に次の事項を記載している(Q22)。 2 リモート会議の実施に対する主なリスクの例示(Q35) リモート会議の実施に対する主なリスクの例示を追加している(Q35)。 例えば、次の事項である。 3 リモートワークの導入に当たってのセキュリティ対策(Q36) リモートワークの普及に伴い、総務省から、リモートワークの導入に当たってのセキュリティ対策についての考え方や対策例を示した「テレワークセキュリティガイドライン」が公表されている(Q36)。   Ⅲ リスクアセスメントの例示の更新 「付録2:業務の局面におけるリスクとリスク対応例」を更新している。   Ⅳ 予防のみならず被害を受ける前提の早期検知・対策(Q7、27) 近年のサイバーセキュリティ攻撃は巧妙になってきており、これを予防的に防ぎきることは難しくなってきている。このため、早期の検知を行えるような組織やシステム運用上の仕組みを導入することや、影響の特定早期化や対応の早期化など被害の最小化につながる取り組みを行っていくことも大事であるとしている(Q7)。 また、サイバー攻撃等のインシデントが発生したことを想定し、外部業者等セキュリティに関して相談できる窓口等について事前に確認したり、セキュリティベンダー等に日頃の対策について意見を求めたりするなどの対応が有効と考えられるとしている(Q27)。   Ⅴ クラウドサービス等外部委託先を利用することを前提とした記載の強化(Q9、11、12) 業務の実行やIT機能は外部に移転することが可能だが、説明責任は移転することができないことから、外部にどのような作業や業務を委託するのかによって、扱う情報も異なることを前提にリスクに応じた対策を行うことが肝要であるとしている(Q9)。 そのほか、Q11、Q12についても改正している。   Ⅵ PC等からの情報漏洩を避ける日常的な防止策の例示の追加(Q25) 重要な情報を取り扱うファイルサーバや仮想デスクトップ等の場合は、ディスク障害や保守メンテナンス時に重要なデータが保存されたHD、SSDを返却せずに、自社で保管又は処分が可能な「ディスク返却不要オプション」を用意している機器ベンダーもあるので、自社で情報漏洩のリスクを完全にコントロールできるサービスがあれば積極的に検討することが望ましいなどの記載が行われている(Q25)。 (了)

#No. 445(掲載号)
#阿部 光成
2021/11/19

プロフェッションジャーナル No.445が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年11月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.445を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/11/18

日本の企業税制 【第97回】「OECDが国際課税の枠組みの見直しに関する解決策について合意」

日本の企業税制 【第97回】 「OECDが国際課税の枠組みの見直しに関する解決策について合意」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   OECDの「BEPS包摂的枠組み」加盟国は、10月8日、「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応する2つの柱の解決策に関する声明」及び「詳細な実施計画」を発表した。 これは、国際課税ルールを21世紀にふさわしいものにするための長年にわたる精力的な交渉を経て、「BEPS包摂的枠組み」加盟国である140の国・地域のうちケニア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカの4ヶ国を除く136の国・地域が合意して取りまとめられたものである。今回の合意には、今年7月の「BEPS包摂的枠組み」加盟国間での大枠合意に参加していなかったエストニア、ハンガリー、アイルランドも含まれている。 10月末のG20ローマ・サミットの議論の総括として発表された首脳宣言では、次のように触れられている。 今回の合意の具体的な内容の概要は次の通りである。   〇第1の柱 第1の柱は、最大規模の多国籍企業に関して、各国間の利益と課税権のより公平な配分を確保するもので、物理的拠点の有無にかかわらず多国籍企業が事業活動を行い利益を得ている市場へ再配分する仕組みである。 具体的には、課税対象は、全世界売上が200億ユーロ(約2.6兆円)超、かつ、利益率が10%超の多国籍企業(ただし、この売上閾値を満たすセグメントがある場合には、例外的にセグメント単位で課税する場合がある)とし、その売上の10%を超える超過利益の25%を売上等に応じてネクサス(課税根拠)を有する市場国に配分することとしている。ネクサスの有無の判定については、その市場国で100万ユーロ(約1.3億円)の売上があるかどうかで決まる。ただし、GDPが400億ユーロ(約5.2兆円)未満の国は25万ユーロ(約3,250万円)の売上とする。 これにより対象となる約100社の多国籍企業の1,250億米ドル超の利益が世界各国に再配分されるものと見込まれている。なお、売上閾値については条約発効7年後にレビューを行い、円滑な制度の実施を条件として100億ユーロ(約1.3兆円)に引き下げることとしている。 第1の柱を実施するために今後策定する多国間条約において、全ての企業に対する全てのデジタルサービス税等を廃止し、将来にわたり導入しないことを定めることとし、新たに施行されるデジタルサービス税及びその他の関連する類似の税制措置は、2021年10月8日から、2023年12月31日又は多国間条約発効のいずれか早い日まで課されないこととしている。なお、10月21日に、米国とイギリス・フランス・イタリア・スペイン・オーストリアとの間で、第1の柱の制度発行までの間、すでにそれらの国で導入されているデジタルサービス税等の税額を、第1の柱の実施による税額と実質的に同水準にする枠組みの導入を条件として、上記5ヶ国に対する制裁関税の発動を米国が取りやめることを合意した旨公表されている。 なお、この第1の柱に係る多国間条約は2022年中に策定・署名開放され、2023年から実施が始まる予定である。   〇第2の柱 第2の柱では、15%の最低法人税率を導入し、これより低い税負担の国における所得については、親会社のある国で15%との差分について課税されるなどの措置が講じられる。これにより、世界全体で年間約1,500億米ドルの追加税収が発生すると推定されている。 具体的には、第2の柱は次の①~③の措置で構成されている。 なお、上記①と②を併せてGloBE(Global Anti-Base Erosion)ルールと呼ばれている。GloBEルールの対象となるのは、年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,000億円)以上(国別報告事項の対象となる企業と同水準)の多国籍企業である。 ただし、①の制度において親会社の所在国で課税する税額は、軽課税国にある各子会社等の所得にその国の実効税率と最低税率の差分を乗じて計算するが、各子会社等の所得に関しては、各子会社等の有形資産(簿価)と支払給与の5%の金額を控除する(カーブアウト)。控除の割合は、導入当初は有形資産(簿価)の8%、支払給与の10%とし、有形資産(簿価)については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.4%の割合で逓減し、支払給与については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.8%の割合で逓減する。 なお、第2の柱については、各国の個別対応となるが、2022年に各国国内法導入後、IIRは2023年、UTPRは2024年に施行開始が念頭に置かれている。 (了)

#No. 445(掲載号)
#小畑 良晴
2021/11/18

〈令和3年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「令和2年分から適用されている改正事項の再確認」

〈令和3年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第2回】 「令和2年分から適用されている改正事項の再確認」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   連載第2回は、令和2年分から適用されている改正事項について、再確認を行うこととする。 令和2年分の年末調整から適用されている改正事項のうち、主なものは次の6つである。 各改正の概要を以下に示す。なお、改正内容の詳細については、下記の拙稿をご参照いただきたい。   【1】 給与所得控除と公的年金等控除の見直し 給与所得控除の控除額が一律10万円引き下げられ、上限額も195万円に引き下げられた(所法28③)。 公的年金等控除の控除額も一律10万円引き下げられ、上限額が設定された。また、公的年金等以外の所得の合計額が1,000万円を超えると、控除額はさらに10万円又は20万円減額される(所法35④)。   【2】 配偶者、扶養親族等の所得要件の調整 給与所得控除と公的年金等控除の引下げに伴い、扶養親族等の合計所得金額要件の調整が行われた(所法2①三十二~三十四)。 この調整の結果、給与所得控除と公的年金等控除は引き下げられたが、給与又は公的年金等の収入金額ベースでみると改正前後の金額に変更はない。 (例) 扶養親族の所得要件 (※) 65歳未満の場合の金額、65歳以上の場合は158万円以下。   【3】 基礎控除の見直し 給与所得控除額と公的年金等控除額が引き下げられる一方で、基礎控除の控除額は10万円引き上げられた。ただし、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額は段階的に引き下げられ、2,500万円を超えると控除額はゼロとなる(所法86①)。 なお、年末調整で基礎控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「基礎控除申告書」を提出する必要がある(所法190二ホ)。   【4】 所得金額調整控除の導入 給与所得控除の引下げ等による改正の影響に対し、子育てや介護に配慮する観点から、また、給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合に負担増が生じないように「所得金額調整控除」が措置された。 所得金額調整控除には、①子ども等を有する場合の調整と②給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整の2つがある(措法41の3の3①②)。 これらの調整はいずれも確定申告で適用されるものであるが、①子ども等を有する場合の調整は、年末調整においても適用を受けることができる(措法41の3の4)。 なお、年末調整で所得金額調整控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要がある(措法41の3の4①②)。   【5】 ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し ひとり親控除の創設により、婚姻歴に関係なくすべてのひとり親が控除の対象となり、男性のひとり親と女性のひとり親は同じ取扱いとなった(所法2①三十一、81)。 また、ひとり親控除の創設に伴い、寡婦の範囲からひとり親が除かれ、すべての寡婦に所得制限が設けられた(所法2①三十)。   【6】 年末調整手続の電子化 年末調整関係書類のすべてが、電子データにより提供できるよう手当された(所法198②)。ただし、住宅借入金等特別控除関係書類については、家屋の居住年が平成31年以後のものに限られる。 年末調整の電子化の最終形は、①従業員等が控除証明書等を電子データで取得し、それを利用して年末調整申告書データを作成、②給与等の支払者が従業員等から➀の提供を受け、年税額の計算を行う(下記パターンD)であるが、パターンAからCまでの部分的な電子化であっても、年末調整業務について一定の効率化を図ることができる。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (出典) 国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ(令和3年10月改訂版)」4頁。 なお、国税庁ホームページには、「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」が公表されており、年末調整の電子化についての各種パンフレットやFAQも提供されているので参考にされたい。 *  *  * 次回(第3回)は、これらの改正事項の年末調整実務における留意点について、具体例を用いて解説する予定である。 (了)   

#No. 445(掲載号)
#篠藤 敦子
2021/11/18

給与計算の質問箱 【第23回】「年末調整書類の書式の前年からの変更点」

給与計算の質問箱 【第23回】 「年末調整書類の書式の前年からの変更点」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 年末調整書類の書式について前年から変更がありましたら教えてください。 A 年末調整書類の書式の変更点は以下のとおりである。 * * 解 説 * * 1 新たに書類の右上にQRコードが記載された (1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 「令和4年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のQRコードを読み取ると記載例が表示される。「令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にはQRコードは無い。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 国税庁「令和4年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」及び「令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」よりそれぞれ抜粋。 (2) 給与所得者の保険料控除申告書 「令和3年分給与所得者の保険料控除申告書」のQRコードを読み取ると、国税庁のサイトの「給与所得者(従業員の方へ)」が表示される。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 国税庁「令和3年分給与所得者の保険料控除申告書」より抜粋。 (3) 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 「令和3年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」のQRコードを読み取ると、国税庁のサイトの「給与所得者(従業員の方へ)」が表示される。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 国税庁「令和3年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」より抜粋。   2 押印が不要になり、氏名欄にあった㊞がなくなった 税金、社会保険に関するほとんどの書類は押印不要となったが、引き続き押印が必要な書類は以下のとおりである。 ◎税金関係 ◎労働保険関係 ◎雇用保険関係 ◎健康保険(協会けんぽ)関係 ◎年金関係 (了)

#No. 445(掲載号)
#上前 剛
2021/11/18
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