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基礎から身につく組織再編税制 【第43回】「適格現物出資を行った場合の申告調整~親会社が子会社を設立した場合~」

基礎から身につく組織再編税制 【第43回】 「適格現物出資を行った場合の申告調整」 ~親会社が子会社を設立した場合~   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   今回は、親会社が子会社を適格現物出資により設立した場合の申告調整の具体例について解説します。   1 適格現物出資を行った場合の現物出資法人の処理 (1) 前提条件 現物出資法人A社の会計上の土地の帳簿価額と税務上の土地の帳簿価額には、下記の差異が生じています。 (2) 会計処理 現物出資法人A社の会計処理は、次のとおりです。 (3) 税務処理 現物出資法人A社の税務処理は、次のとおりです。 ① 資産の移転 現物出資法人が適格現物出資により被現物出資法人にその有する資産等の移転をしたときは、適格現物出資直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、譲渡損益は生じません(法法62の4①)。 したがって、移転する土地の会計上の帳簿価額の3,000と税務上否認した金額の評価損否認1,500の合計額(税務上の帳簿価額)である4,500で譲渡したものとされ、A社において譲渡損益は認識しません。 ② 被現物出資法人株式の取得価額 現物出資法人は被現物出資法人株式を適格現物出資直前の移転資産の帳簿価額から移転負債の帳簿価額を減算した金額(付随費用があればその費用を加算した金額)により取得します(法令119①七)。 したがって、B社株式(被現物出資法人株式)の取得価額は、移転資産の帳簿価額(4,500)から移転負債の帳簿価額(0)を減算した金額である4,500となります。 ③ 資本金等の額・利益積立金額 適格現物出資があった場合には、現物出資法人において資本金等の額及び利益積立金額の増減はありません。 (4) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。調整仕訳は、次のとおりです。 上記の調整仕訳については、損益項目が含まれないため、別表4での申告調整は行わず、別表5(1)のみで調整することとなります。 (5) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 (注) ※印は調整仕訳により生じたものであることを表示するために記入しています。 ◆ポイント◆ 現物出資法人A社において増加する利益積立金額が0、増加する資本金等の額が0となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。   2 適格現物出資を行った場合の被現物出資法人の処理 (1) 会計処理 被現物出資法人B社の会計処理は、次のとおりです。 (2) 税務処理 被現物出資法人B社の税務処理は、次のとおりです。 ① 資産の取得価額 被現物出資法人が適格現物出資により現物出資法人から資産等の移転を受けたときは、現物出資法人の適格現物出資直前の帳簿価額により取得したものとします(法法62の4、法令123の5)。 したがって、土地の取得価額は、現物出資法人A社の適格現物出資直前の帳簿価額である4,500となります。 ② 資本金等の額 適格現物出資により増加する資本金等の額は、現物出資法人における移転資産の帳簿価額から移転負債の帳簿価額を減算した金額となります(法令8①八)。 したがって、B社において増加する資本金等の額は移転資産の帳簿価額(4,500)から移転負債の帳簿価額(0)を減算した金額である4,500となります。 ③ 利益積立金額 適格現物出資があった場合には、被現物出資法人において利益積立金額の増減はありません。 (3) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。調整仕訳は、次のとおりです。 上記の調整仕訳については、損益項目が含まれないため、別表4での申告調整は行わず、別表5(1)のみで調整することとなります。 (4) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 (注) ※印は調整仕訳により生じたものであることを表示するために記入しています。 ◆ポイント◆ 被現物出資法人B社において増加する利益積立金額が0、増加する資本金等の額が4,500となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。   (参考:消費税の取扱い) 現物出資によって資産を移転した場合には、合併や分割による資産の移転(包括承継)と異なり、資産の譲渡等に該当し、消費税の課税対象となります。この場合の消費税の課税標準は、現物出資により取得する株式の取得時における価額に相当する金額となります(消令45②三)。 (了)

#No. 482(掲載号)
#川瀬 裕太
2022/08/18

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第41回】「役員報酬とデューデリジェンス」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第41回】 「役員報酬とデューデリジェンス」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) デューデリジェンスとは 中小企業の後継者不在問題等が背景となっているのか、昨今、M&A市場が急速に拡大しているといえる(※1)。M&Aを進めるプロセスの中で、売手側と買手側双方で諸条件にある程度の合意が形成された場合、基本合意書を締結することが一般的である。その後、最終合意やクロージングに至るまでの期間において、通常は買手側により、法務、税務、労務、不動産や事業そのもの等を対象として、デューデリジェンス(「DD」や「買収監査」等ともいわれる)が行われる。 (※1) M&Aの場面における役員報酬の論点としては、【第6回】、【第15回】、【第38回】を参照。 その目的はM&Aに向かうか否かの投資判断に資する情報を買手側が得るためであり、とりわけ、偶発債務をはじめとする対象会社の重要事項や正常収益力を洗い出すことを目的とした財務や税務デューデリジェンスについては、実施される優先度が最も高いと思われる。これらのデューデリジェンスの結果、譲渡価額を調整したり、売手側がリスクについて表明保証したりという対応が必要になることもあるため、財務・税務デューデリジェンスは慎重に行われる必要がある。 以下にて、財務・税務デューデリジェンスが行われる中で役員報酬にまつわる論点について触れる。   (2) 役員報酬額の妥当性の検証 対象会社が自社の役員に支給してきた、税務上の役員給与・役員退職給与におけるリスクの洗い出しである。内容については本連載の各回において触れてきている論点であるため割愛するが、過大役員給与等が発見された場合、対象会社は将来的に発生し得る租税債務として、譲渡価額の減額やM&Aスキームの変更が検討され得る。 この点、役員報酬に関してデューデリジェンスの対象となる場合、対象会社としてはまずすべきことは、株主総会等の議事録や各種規程を提供することである。   (3) 役員退職慰労引当金 M&Aの局面において、対象会社の財務諸表にて、当該企業の財政状態や経営成績を適切な形で示されていないことがある。特に、中小企業の場合、いわゆる税務会計にて財務諸表が作成されていることも多い。このような場合、財務デューデリジェンスにおいて各種の指摘がなされることとなるが、対象会社の将来的かつ潜在的な債務を貸借対照表に反映させる場合、基準日において本来計上すべき引当金という形で純資産額からの減額が行われることとなる。 役員退職慰労金においては、本来、株主総会等で決議がなされることで支払義務が確定するものである。しかし、仮に、役員退職慰労金規程が対象会社に既に存在し、過去に当該規程に準拠して役員退職慰労金が支給された事実があり、かつ対象会社の役員が当該規程に準拠して将来的に役員退職慰労金が支給される蓋然性が高い場合には、役員退職慰労引当金を計上すべき旨の指摘がなされることもある。この場合には、発生の可能性や合理的見積もりの可否等の、引当金の計上要件を念頭に判断されることとなるだろう(※2)。 (※2) なお、M&Aの場面で役員退職給与の支給が交渉材料となる場合に、売手側の個人において、退職所得と申告分離課税の税率差に留意する必要がある点については、【第38回】参照。   (4) プロフォーマ調整 「プロフォーマ調整」とは、M&Aが成立した後、株主兼役員の退任や事業の開廃業・縮小や拡大等の予定されることについて、実績値の存在する過年度に、これに関連する収支が発生していなかったものとして過去の損益を調整するものであり、事業計画と比較するために必要となる。 多くの場合には販管費に計上されている役員報酬においては、販管費のうち、本社部門の管理費や共通費などとして計上されている役員報酬を減額相殺するとともに、M&A成立後に新たに役員となる存在への役員報酬額を加え、過年度から当該役員が対象会社に存在していなかったものとして調整が行われることとなるだろう。   (5) 役員借入金及び役員貸付金 直接的な役員報酬の論点ではないが、本件も解説したい。 M&Aの対象会社には、役員貸付金や役員借入金が存在していることは往々にしてある。その場合、これらの解消方法、特に役員借入金について、M&Aの手順や採用すべきスキームに影響する可能性がある(※3)。例えば、①M&A後に対象会社が返済する、②役員が債務免除を行う、③対象会社が役員借入金を返済してから改めてM&Aに臨む、④事業譲渡スキームを採用して対象会社自体がM&Aの売手に転じ、当該キャッシュの中から対象会社が役員に返済する、等という選択肢があり得る。 (※3) M&Aが関連しない一般的論点については、【第31回】及び【第34回】参照。 なお、対象会社が債務超過である場合等、交渉次第では、対象会社の当該役員借入金を売手側である役員が買手側に債権譲渡することもある。この場合において、債権譲渡の価額を如何に設定するか、対象会社の財政状況(回収可能性)や簿価以外での譲渡に係る税務上の取扱いにも鑑みて決定する必要があるだろう。例えば、債権額を下回る価額で債権譲渡をすると、当該役員にとって譲渡損が発生することとなるが、当該譲渡損は損益通算ができず(所基通33-1)、貸倒れとしても事業の遂行上生じたものとは認められないと考えられる。 同様に、債権額を下回る価額で譲渡した場合において、M&A後、一般的には買手側と対象企業に100%支配関係が生まれるところ、双方で認識する債権債務の額が一致しないこととなる。この状態で子会社となった対象会社側の簿価に基づいて弁済が行われると、親会社となった買手側に収益が発生し、課税対象となることにも留意しなければならない。 また、役員貸付金に関しては、役員退職慰労金や株式譲渡で得た資金を以て、役員自身が返済することが定番といえる。   (了)

#No. 482(掲載号)
#中尾 隼大
2022/08/18

相続税の実務問答 【第74回】「住宅取得等資金の贈与を受けていた場合の相続開始前3年以内の贈与加算」

相続税の実務問答 【第74回】 「住宅取得等資金の贈与を受けていた場合の相続開始前3年以内の贈与加算」   税理士 梶野 研二   [答] 被相続人の相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産であっても、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例規定を適用して贈与税の非課税財産とされた金額は、相続税の課税価格に加算する必要はありません。 ご質問の場合、令和3年中にお父様から贈与を受けた2,000万円のうち、この非課税の特例規定を適用した1,500万円を控除した残額(500万円)だけが相続税の課税価格に加算されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例 (1) 平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間の贈与 平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等(以下「新築等」といいます)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、①住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日、②住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率、③新築等をした住宅用の家屋が省エネ等住宅であるかどうかの別により500万円から3,000万円の金額が非課税とされていました(令和4年法律第4号による改正前の租税特別措置法(以下「改正前租税特別措置法」といいます)70の2)。 (2) 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間の贈与 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から贈与により自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、新築等をした住宅用の家屋が省エネ等住宅であるかどうかの別により500万円又は1,000万円が非課税とされます(措法70の2)。   2 生前贈与の相続税の課税価格への加算 (1) 相続税法の規定 相続又は遺贈により財産を取得した者がその相続の開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額を、その者の相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなして、相続税額を計算することとされています(相法19①)。 この場合の「贈与により取得した財産の価額」とは、相続税法の規定では、同法第21条の2第1項から第3項まで、第21条の3及び第21条の4の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものの価額をいい、また、特定贈与財産(連載【第66回】及び【第67回】参照)の価額は除かれることとされています(相法19①かっこ書き、②)。 (2) 租税特別措置法の規定 住宅取得等資金の贈与を受け、この住宅取得等資金について上記1の(1)又は(2)の特例を適用した場合には、改正前租税特別措置法第70条の2第3項又は租税特別措置法第70条の2第3項の規定により、相続税法第19条第1項の規定が読み替えられ、「贈与により取得した財産の価額」とは、同法第21条の2第1項から第3項まで、第21条の3及び第21条の4の規定並びに(改正前)租税特別措置法第70条の2の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものの価額をいうこととされ、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例を適用することにより非課税とされた金額は、その贈与が被相続人の相続開始前3年以内の贈与であったとしても、相続税の課税価格に加算する必要はないこととされています(改正前措法70の2③、措法70の2③)。   3 ご質問の場合 あなたが令和3年4月にお父様から贈与により取得した2,000万円については、お父様の相続開始前3年以内に贈与を受けた財産ですが、そのうち改正前租税特別措置法第70条の2第1項に規定する住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用を受けた1,500万円については、同条第3項の規定により相続税の課税価格に加算する必要はありません。 したがって、相続税の課税価格に加算しなければならない金額は、令和3年中にお父様から贈与を受けた2,000万円のうち、この非課税の特例規定を適用した1,500万円を控除した残額の500万円だけということになります。 (了)

#No. 482(掲載号)
#梶野 研二
2022/08/18

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第49回】「配偶者居住権がある場合の小規模宅地等の特例の有利選択」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第49回】 「配偶者居住権がある場合の小規模宅地等の特例の有利選択」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲の相続発生に伴い、甲が所有していた下記の土地建物について、配偶者乙が配偶者居住権を取得し、土地建物の所有権を乙、長男丙及び二男丁が共有で1/3ずつ取得しました。相続開始の直前において、乙及び丙は甲と同居しており、小規模宅地等に係る特定居住用宅地等の特例対象者ですが、丁は甲と別居していたため、特例対象者ではありません。 小規模宅地等の特例の選択に当たっては、丙から優先的に特例を適用するとした場合には乙及び丙の特例の適用面積はそれぞれ何㎡になりますか。 [A] 小規模宅地等に係る特定居住用宅地等の特例(以下、単に「特例」という)について、丙を優先的に適用した場合の選択特例対象宅地等の面積は、それぞれ次のとおりとなります。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 配偶者居住権、配偶者居住権の敷地利用権及び敷地所有権の特例の適用について 配偶者居住権が設定されている場合には、下記のとおり土地建物のそれぞれについて利用権と所有権を分けて考える必要があります。「配偶者居住権等の評価明細書」では、建物の利用権を「配偶者居住権」、建物の所有権を「居住建物」、土地の利用権を「配偶者居住権に基づく敷地利用権」、土地の所有権を「居住建物の敷地の用に供される土地」と記載されています。 (※) 本連載においては、「配偶者居住権」、「建物所有権」、「敷地利用権」、「敷地所有権」と記載します。 小規模宅地等の特例の対象になるものは、上記の4つの区分のうち、敷地利用権及び敷地所有権のみが対象となります。配偶者居住権自体は、建物の権利であり、宅地等ではありませんので、特例の対象になりません。 なお、敷地利用権及び敷地所有権の面積の計算は、下記のとおり、敷地利用権の価額と敷地所有権の価額の比で按分して計算することになります(措令40の2⑥、措通69の4-1の2)。 〈算式〉 (※) 宅地等の面積の留意点 被相続人が共有持分を有する時には、宅地等の面積に被相続人の持分を乗じて計算します。被相続人が借地権を有する時には、借地権割合を乗じる必要はなく、宅地等の面積をそのまま使用することになります。   2 取得者ごとの宅地等の面積 取得者ごとの宅地等の面積をまとめると下記のとおりとなります。 (※1) 900㎡×30,000,000円/90,000,000円=300㎡ (※2) 900㎡×60,000,000円/90,000,000円=600㎡ 本問の場合の特例対象者は、乙及び丙の2人となりますので、特例対象宅地等の面積は、乙が500㎡(300㎡+200㎡)、丙が200㎡となります。   3 本問の場合の選択特例対象宅地等の面積 特定居住用宅地等の限度面積は、330㎡となりますので、その範囲内で選択をすることになります。なお、相続税の計算に当たっては、同一の被相続人の相続人等に係る相続税の課税価格の合計額は、一致させる必要があるため、相続人が1人である場合などを除き、特例対象宅地等を取得した相続人等の全員の同意が必要とされています(措令40の2⑤)。したがって、乙及び丙は、話し合いにより取得した特例対象宅地等の面積の範囲内で選択することになります。 本問の場合には、優先的に丙が特例適用をすることが前提となっていますので、丙が200㎡を適用し、残りの面積130㎡(330㎡-200㎡)を乙が適用することになります。 なお、仮に丁も特例対象者であったとした場合には、乙、丙及び丁の3人が話し合いにより取得した特例対象宅地等の面積の範囲内で選択することになりますが、通常、配偶者の税額軽減の適用がない子である丙及び丁から優先的に特例を適用した方が全体の納付すべき相続税額は少なくなることになります。 また、仮に特例対象者が配偶者の乙のみで丙及び丁も特例対象者でない場合において、敷地所有権を丙及び丁が1/2ずつ取得した場合には、乙に係る敷地利用権の300㎡のみが特例の対象となり、限度面積未満での特例適用となります。配偶者が敷地利用権だけでなく、敷地所有権も取得した方がいいかどうかについては、敷地所有権を取得する配偶者以外の親族が特例の対象者であるか否かも含めて総合的に判断することになります。   ★実務上のポイント★ 配偶者居住権が設定されている場合には、宅地等を取得した者のそれぞれの面積を算定する必要があります。その面積を算定するためには、敷地利用権と敷地所有権のそれぞれの相続税評価額を基に按分することになります。配偶者居住権がある場合には、どの部分について配偶者居住権が設定されているのかが重要となりますので、表や図にして整理するといいでしょう。   (了)

#No. 482(掲載号)
#柴田 健次
2022/08/18

〈注記事項から見えた〉減損の深層 【第8回】「モノレールが減損に至った経緯」ー背景にある事業計画ー

〈注記事項から見えた〉 減損の深層 【第8回】 「モノレールが減損に至った経緯」 -背景にある事業計画-   公認会計士 石王丸 周夫   〈はじめに〉 減損処理は、これまで見てきたとおり、資産の今後の収益性を織り込む会計処理です。つまり、会社の将来の姿を現在の決算書に反映させる処理ともいえます。 そのため、減損を実施した時点では見えにくかった背景が、1~2年ぐらいたってようやく見えてくることがあるのです。 今回は、東京モノレールの減損処理について、その将来像との関係を見ていきたいと思います。   〈今回の注記事例〉 (出所:有価証券報告書) (※) 下線は筆者 東京モノレールは、JR東日本の子会社です。JR東日本の連結財務諸表で連結されています。 そのJR東日本の2021年3月期決算では、東京モノレールの資産が大規模に減損処理されました。上記の注記がそれです。 JR東日本が2021年3月期に実施した減損処理は、総額で80,032百万円。そのうち53,179百万円がモノレール鉄道業に係る減損処理額です。 この結果、東京モノレールの主な資産の帳簿価額は、以下のように減少しました。 [主な設備の内訳] (出所:JR東日本有価証券報告書2021年3月期及び2020年3月期)   〈監査報告書に記載されている減損の理由〉 大規模な減損処理ですが、前掲の注記には、個々の減損の理由は具体的には記載されていません。会計基準の定めに従って粛々と減損を実施していることが述べられているのみです。JR東日本の総資産額が9兆円に迫る額(2021年3月期)なので、それに比べれば大規模ともいえず、こうした記載で十分であるということだと解されます。 一方、この年度の監査報告書を見ると、「監査上の主要な検討事項」の1つとして、「モノレール鉄道業固定資産の減損損失の計上額の妥当性」という項目が掲げられています。その中に以下のような記載があり、減損の経緯をうかがい知ることができます。 (出所:有価証券報告書) ここでは、減損の原因は主に2つだといっています。第一はコロナ禍による乗客減少、第二はライバル会社の値下げです。以下、順にその意味を確認していきます。   〈コロナと京急値下げが東京モノレールの減損理由だったのか〉 第一の原因であるコロナ禍による乗客減少は、説明するまでもありません。東京モノレールは羽田空港へのアクセス手段であり、コロナ禍で航空需要が激減してしまった以上、それに連動して乗客が減少します。2021年3月期決算の時点では、コロナがいつ収束するのかも予想できず、今後の収益性に疑問が生じたことは当然だったと考えられます。 しかし一方で、JR東日本は鉄道事業資産について特に減損を実施していません。2021年3月期において、鉄道事業やモノレール鉄道業等を含む運輸事業全体の売上高は前期比43.9%減で、営業損失となっています。にもかかわらず、モノレール鉄道事業のみについてコロナ禍の影響を重く見て減損した理由は、必ずしも明確ではありません。 第二の原因であるライバル会社の値下げは、具体的にいうと、京浜急行電鉄(以下、「京急」という)空港線の値下げのことだと思われます。同線では、2019年10月1日以降、値下げが実施されています。 都心から羽田空港へのアクセス方法はいろいろありますが、輸送人員的に多いのは東京モノレールと京急でしょう。東京モノレールは浜松町から、京急は品川からそれぞれ空港へとアクセスできます。一般に、ライバル会社2社の一方が値下げをすれば、もう一方はパイの取り合いで不利になることは予想がつきます。 しかし、空港へのアクセス経路を選ぶ場合もそうなるかというと、少し違うかもしれません。空港から飛行機に乗って出かける場合、空港までのアクセスにかかる交通費の旅費全体に占める割合は小さいからです。これから飛行機に乗ろうという人が、わずか何百円かのことでアクセス経路を変更するかというと、それは少数でしょう。むしろ、ほとんどの人が自宅や会社の所在地から最短のルートで空港へ向かいます。 羽田空港へ到着した人が都心にアクセスする場合も同じです。訪問先や宿泊先の場所に近いルートを選ぶでしょう。 以上から、東京モノレールの減損が不可避であった理由は、他にあったのではないかと思えてくるのです。   〈羽田空港アクセス線という衝撃〉 減損処理が会社の将来の姿を反映させた処理だという点に着目すると、減損実施理由のヒントは会社の事業計画から得られそうです。 JR東日本の場合、「JR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」」(2018年7月3日)という資料が公表されています。そして、この資料に、「【トピックス】羽田空港アクセス線構想の推進」と題するページがあるのですが、これがヒントになります。 同資料によると、羽田空港へのアクセス新線として、3つのルートが新設されます。羽田空港と「新宿・池袋方面(西山手ルート)」、「東京・上野方面(東山手ルート)」、「臨海部方面(臨海部ルート)」の路線がそれぞれ直結されるのです。 2021年1月20日には、JR東日本ニュースとして、「羽田空港アクセス線(仮称)の鉄道事業許可について」という資料も公表されています。羽田空港から田町駅付近までを直結する路線図が示され、2029年度運航開始予定とあります。 これは東京モノレールにとって痛手です。 「JR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」」によれば、東京~羽田空港間は、東京モノレール利用の場合は乗り換え1回で約28分、羽田空港アクセス線なら乗り換えなしで約18分です。コロナが過ぎ去り、さあこれからという時にこうなるのです。しかも、相手は親会社です。 これが東京モノレールの減損理由ではないでしょうか。 ただし、これは2021年3月期決算の時点での解釈です。その後また、新たな展望が明らかになりつつあります。 現在、東京モノレールの起点である浜松町駅では再開発工事が行われています。筆者はこの駅をときどき利用しますが、2022年に入って工事が本格化してきたようにみえます。駅前の象徴的建物であった世界貿易センタービルディングも建て替えられ、駅と一体的に生まれ変わるようです。 完成イメージは2022年5月18日に公表された「【浜松町駅西口開発計画・芝浦プロジェクト】歩行者ネットワークの構築・交通結節点の機能強化を目的とした浜松町駅エリアの整備計画について」で確認できます。この資料は、JR東日本と東京モノレールを含む5社の連名で発表されています。 同資料によると、浜松町駅は、「今後は更に駅利用者・来訪者・就労人口が増加し、都心部の拠点の一つとしてこれまで以上に重要な役割を担っていく」とされ、全面的な完成は2030年度と読めます。そのとおりであるならば、東京モノレールにとって起死回生のチャンスとなるでしょう。 以上のとおり、東京モノレールにとって、羽田空港アクセス線はマイナス要因、浜松町駅再開発はプラス要因です。そうした相反する計画が、これまで並行的に進められていたというわけです。これをどう解すればよいでしょうか。 1つの可能性としては、JR東日本が東京モノレールと羽田空港アクセス線の住み分けを考えている矢先にコロナ禍となってしまい、全体的なビジョンを欠いたまま、部分の工事が進んでしまったということが考えられます。 仮にそうであるならばですが、2021年3月期の東京モノレールの減損は、明確な青写真が描けていないが故の減損処理だったという見方もできそうです。 (了)

#No. 482(掲載号)
#石王丸 周夫
2022/08/18

マスクと管理会計~コロナ長期化で常識は変わるか?~ 【第7回】「設備投資・・・する? しない?」

マスクと管理会計 ~コロナ長期化で常識は変わるか?~ 【第7回】 「設備投資・・・する? しない?」   公認会計士 石王丸 香菜子   〔登場人物〕 【自動調理鍋・製造ライン投資案】 (※) 簡便化のため税金の影響は考慮しないものとします。 ●  ●  ● 企業が設備投資や大規模なプロジェクトを行うには多額の資金を要し、いったん投資やプロジェクトを実行すれば、その後長期にわたって企業の業績に大きな影響を与えます。そのため、設備投資やプロジェクトを実行しようとする際には、その案全体での採算、すなわち経済性を評価して、採用する価値があるかどうかを判断する必要があります。 管理会計における設備投資の経済性計算の方法としては、回収期間法や投下資本利益率法、正味現在価値(NPV:Net Present Value)法や内部収益率法などが知られています(ファーストステップ管理会計【第14回】参照)。 このうち、正味現在価値法や内部収益率法といった割引キャッシュ・フロー法は、一般に理論的とされています。 ●  ●  ● 【投資案の正味現在価値】(資本コスト率10%として割引計算) ●  ●  ● 正味現在価値法などの割引キャッシュ・フロー法は合理的な計算方法ですが、得られる計算結果の信頼性は、割引計算の対象となる将来キャッシュ・フローの正確性に大きく左右されます。特に、現在のように企業環境が早いスピードで変化する状況では、将来キャッシュ・フローを正確に予測することは極めて難しく、正味現在価値法によって計算すると、信頼性の低い評価しか行えないおそれがあります。 ●  ●  ● ●  ●  ● 不確実性の高い状況においては、「もしも〇〇だったら」と様々なシナリオをシミュレーションし、投資案の妥当性や不確実性を検討することが有効な場合があります。想定される複数のシナリオをシミュレーションし、その結果を比較することで、意思決定をするメンバーが様々な情報を共有し多角的に投資案を検討することが可能です。 ●  ●  ● ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 ●  ●  ● 将来キャッシュ・フローを変動させる要因が複数ある場合には、それぞれの要因による影響度を分析する「感度分析」も行うと、意思決定時の参考になります。「トルネードチャート」と呼ばれるツールが、視覚的にわかりやすく便利です。 トルネードチャートでは、各要因について下限値と上限値を想定し、要因の値がその範囲で変化することによって計算結果がどのように変わるかを横棒グラフで表します。 例えば、投資案の正味現在価値に影響を与える要因として、「販売単価」「市場全体の規模」「市場におけるシェア」「材料費など」「販売費など」「資本コスト率(割引率)」の6つがあるとしましょう(市場全体の規模と市場におけるシェアは、販売数量の変動を通じて、投資案の正味現在価値を変動させます)。これらの要因が変動することで、投資案の正味現在価値がどのように変化するかをまとめると次のようになりました。 ●  ●  ● 【トルネードチャート】 ●  ●  ● 各要因を変動させた場合の正味現在価値を算定して(その要因以外の要因は変動しないものとして算定します)、正味現在価値の下限値と上限値の間に横棒をひきます。横棒を長い順に並べれば、トルネードチャートの完成です。チャート上部の、横棒の長さが長い要因ほど、正味現在価値を大きく変動させるということがわかりやすくなりますね。 Excelのグラフ機能で「集合横棒」グラフを利用し表示を調整すれば、トルネードチャートを簡単に作成することができます。 ●  ●  ● ●  ●  ● 投資案の正味現在価値を変動させる要因としては様々なものが考えられますが、その影響は軽微なものと重大なものがあります。投資案の検討を行う際には、正味現在価値への影響度が高い要因に着目し、それについて重点的にリサーチをしたり検討したりするとよいでしょう。 ●  ●  ● ●  ●  ● たいていの場合、設備投資の案件に関する資料は、投資を実行する部門で作成されます。そのため、(無意識であっても)投資案を採用するという結論ありきで、その結論に都合のよい単一のシナリオやデータを用いて資料を作成しがちです。そうした資料に基づくと、適切な意思決定を行えないリスクがあります。不確実性の高い現代においては、先入観を持たずに、多角的な分析を踏まえて投資の意思決定を行う姿勢が大切です。 ●  ●  ● (了)

#No. 482(掲載号)
#石王丸 香菜子
2022/08/18

給与計算の質問箱 【第32回】「年俸制と月給制における社会保険料等の違い」

給与計算の質問箱 【第32回】 「年俸制と月給制における社会保険料等の違い」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社では現在、月給制により従業員に年2回賞与を支給していますが、今後賞与は支給せずに「年俸÷12」を毎月支給する年俸制を検討しています。両者の社会保険料や税金の違いについてご教示ください。 A 年収1,200万円、年収900万円、年収600万円の3つのパターンで、40歳未満かつ扶養親族無しと仮定したうえで、両者の社会保険料及び所得税の違いを以下のように試算した(健康保険料と厚生年金保険料は下部の〈表1〉をもとに試算)。 * * 解 説 * * 1 年収1,200万円のケース 《年収1,200万円の場合の試算》 【年俸制】 【月給制(賞与2回)】   2 年収900万円のケース 《年収900万円の場合の試算》 【年俸制】 【月給制(賞与2回)】   3 年収600万円のケース 《年収600万円の場合の試算》 【年俸制】 【月給制(賞与2回)】 〈表1〉令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都) (※) 協会けんぽホームページより (了)

#No. 482(掲載号)
#上前 剛
2022/08/18

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第32回】「接面街路との高低差が価格に与える影響」~鑑定評価と相続税財産評価の捉え方の相違~

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第32回】 「接面街路との高低差が価格に与える影響」 ~鑑定評価と相続税財産評価の捉え方の相違~   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 接面街路と高低差のある土地はそれが減価要因として価格に影響する場合が多いのですが、なかには増価要因として作用することもあります。鑑定評価においては、それぞれの土地の用途や状況を踏まえながら価格に与える影響度を判断していますが、相続税の財産評価では接面街路との高低差に関する規定は置かれておらず、国税庁タックスアンサーにおいては利用価値が著しく低下している宅地の評価の取扱いがなされています。 今回は、両者の捉え方を比較しつつ、接面街路との高低差が価格に与える影響度について考えてみます。   2 鑑定評価における接面街路との高低差の捉え方 鑑定評価においては、用途別にそれぞれ以下のような捉え方をしています。 (1) 住宅地の場合 ① 道路よりやや高い場合~増価要因 住宅地の場合、接面街路より高い位置にある宅地は、一般的に日照が優れ、風通しや排水も良く、見通しやプライバシー保護の点からも快適性に優っています。また、敷地内にわざわざ車庫のスペースを確保しなくても、宅盤より低い部分を駐車場として利用できるなどのメリットもあります。このため、地盤が道路面よりある程度高い状況にあることは、むしろ増価要因として作用するといえます。 ② 道路より一定以上高い場合~減価要因 しかし、一定の高さ(地域により程度に差があります)を超えた場合、出入りに不便を生じ、反対に減価要因の方が強くなることも事実です(玄関と道路との間に階段を設けているケースも多く見受けられます)。 また、程度にもよりますが、建築工事費が割高になることもあります。このように、道路との高低差は宅地価格に対し増価要因として作用する場合もあれば、減価要因として作用する場合もあります(画一的な捉え方はできませんが、総じて住宅地では一定の高さの範囲内においては増価要因となり、これを超える場合には減価要因となる傾向が強いといえます)。 ③ 道路より低い場合~減価要因 接面街路より低い位置にある宅地の場合、そのほとんどが減価要因として捉えられます。その理由は、このような宅地は日照が劣り、風通しや排水も悪く、見通しやプライバシー保護の点からも快適性に劣るからです。また、このような宅地は出入りが不便なだけでなく、道路と等高な宅地とするために盛土や整地工事を要する金額に見合う分を減価要因として考慮する必要があります。 (2) 商業地の場合 ① 道路より高い場合~減価要因(ケースにより増価要因) 商業地の場合、住宅地と異なり快適性よりも収益性の面から価格が形成されています。この観点から捉えた場合、宅地が接面街路より高い位置にあることはむしろ出入りを不便なものとし、集客力を減少させるため、減価要因として作用することの方が多いと考えられます。また、道路との間に高低差があれば商品の搬出入も不便になり、商業地としての効用もそれだけ減少します。 ただし、なかには建物の配置・設計等により外観・グレード・宣伝効果に好影響を与える場合も考えられる(※1)ため、個々の状況を鑑みて判断をすべきことに留意が必要です。 (※1) 一般財団法人資産評価システム研究センター「土地に関する調査研究 宅地評価における接面街路との高低差の影響等について」(2006年)によります。 ② 道路より低い場合~減価要因 接面街路より低い位置にある宅地は、総じて減価要因として作用する点は住宅地の場合と同様であり、収益性や宣伝効果に与えるマイナス影響、商品の搬出入の不便さ等を考慮すれば、接面街路より低い位置にある宅地の方が高い位置にある宅地に比べて効用が低い(減価の程度が大きい)ことは明らかであるといえます。 (3) 工業地の場合 〇 道路より高い場合及び低い場合~減価要因 工業地についても接面街路との高低差の関係を検討する必要がありますが、一般的にはその格差率の程度は住宅地、商業地と比べて少ないと考えられます。その理由としては、工業地の場合、住宅地や商業地のように高低差が快適性や収益性(集客力)という形で価格に直接的な影響を与える度合いが少ないことがあげられます。しかし、高低差の程度が著しい場合は別問題であり、個々にその影響を勘案して格差率の大小を判定すべきことはいうまでもありません。 (4) 土地価格比準表における格差率の一例 土地価格比準表では、用途により接面街路との高低差が土地価格に与える影響が異なることから、用途的地域(住宅地域、商業地域等)ごとに格差率を規定しています。参考までに、〈資料1〉は優良住宅地域及び普通住宅地域、〈資料2〉は高度商業地域に関する高低差の格差率を示したものです。 「土地価格比準表」による高低差の格差率 〈資料1〉 優良住宅地域(※2)及び標準住宅地域(※3)の場合 (※2) 優良住宅地域とは、敷地が広く、街区及び画地が整然とし、植生と眺望、景観等が優れ、建築の施工の質が高い建物が連たんし、良好な近隣環境を形成する等居住環境の極めて良好な地域であり、従来から名声の高い住宅地域を指します。 (※3) 標準住宅地域とは、敷地の規模及び建築の施工の質が標準的な住宅を中心として形成される居住環境の良好な住宅地域を指します。 〈資料2〉 高度商業地域(※4)の場合 (※4) 高度商業地域とは、大都市の都心又は副都心にあって、広域的商圏を有し、比較的大規模な中高層の店舗、事務所等が高密度に集積している地域を指します。   3 相続税の財産評価における接面街路との高低差の捉え方 既に述べたとおり、相続税の財産評価では接面街路との高低差に関する規定は置かれていませんが、国税庁タックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」では、次の考え方が示されています。 上記のとおり、相続税の評価においては対象地が周辺の土地よりも著しく高低差のある場合には、「利用価値が著しく低下している宅地」として評価減をすることが認められていますが、高低差があるからといって必ずしも評価減が認められるわけではない点に留意が必要です。 例えば、対象地周辺の宅地も街路と高低差があり、それによる価値の減少が路線価に織り込み済みである場合は画地計算において減価を考慮することはできません。また、周辺の宅地には高低差がなく対象地だけ高低差が認められるものの、対象地には周辺の路線価と同一のものが付されている場合は、画地計算において高低差による評価減を織り込むことができると考えられます。しかし、その差が何m以上であれば減価が認められるかについてはタックスアンサーにも明記されておらず、国税不服審判所裁決事例においても個々の土地の状況に応じて判断されているようです。   4 まとめ 鑑定評価の場合、接面街路との高低差が個々の土地の利用効率等に及ぼす影響度を不動産鑑定士が判断の上、増減価の程度を価格に反映させています。一方、相続税の財産評価では、接面街路との高低差があることにより「利用価値が著しく低下している」と認められる宅地について10%の評価減ができるとされている点に留意が必要です。 (了)

#No. 482(掲載号)
#黒沢 泰
2022/08/18

〈エピソードでわかる〉M&A最前線 【第4回】「直近の動向を踏まえたM&Aの実務」-非事業用資産の切り離し-

〈エピソードでわかる〉 M&A最前線 【第4回】 「直近の動向を踏まえたM&Aの実務」 -非事業用資産の切り離し-   株式会社日本M&Aセンター コーポレートアドバイザー統括部 ゼネラルマネージャー 経営支援室 副室長 公認会計士 長坂 晃義   【第4回】では、直近の動向を踏まえたM&A実務について説明します。日本M&Aセンターで支援している年間約1,000件のM&A案件を専門家の立場から見ている中で、最近増えており、よく用いられるスキームについて事例を交えてご紹介します。   1 非事業用資産を切り離せ! 平成29年度税制改正により分割型分割の適格要件が変更となりました。具体的には、改正前は分割後に分割法人と分割承継法人双方について支配関係が継続することが見込まれることが要件とされていたものが、改正後は分割承継法人との支配関係の継続のみが求められることになりました。 これがM&Aの実務において、具体的にどのような変化をもたらしたか、事例を交えて見ていきましょう。 【対象企業データ】 本件、譲渡企業のオーナーのニーズを満たすために税制改正前においてはM&A実行時に賃貸不動産を退職金の現物支給として行うか、いったん不動産を含めて株式譲渡を行い、株主が受領した対価を原資として不動産買取を行う方法が想定されていました。 退職金を現物支給するにあたって、賃貸不動産の価値が高い場合、過大退職金の問題が生じます。また、不動産譲渡のケースであっても、賃貸不動産に含み益がある場合、譲渡によりその含み益が顕在化することで、対象会社において法人税が生じるリスクや、株主が受領した対価から不動産の買取資金を拠出するため、株式譲渡所得に対する税金負担後の金額を原資とせざるを得ないことで税効率が悪いといった問題点がありました。 そこで、前述の税制改正により分割型分割を実施することで、このような問題を解決することが可能になり、実際M&Aの現場においても多数活用されることになりました。 以下では、具体的なスキームについて図を交えて説明します。 《会社分割における税制適格要件》 ※ 上述した事例のように社長が株式を100%所有している場合は、100%グループ内組織再編に該当します。この場合は、分割対価として分割承継会社株式すなわち新会社株式が交付され、そのすべての分割対価が社長に交付されることで、①金銭等不交付要件②按分型要件を満たすことになります。 《会社分割における不動産取得税の非課税要件》   2 留意点 上記の事例における留意点としては、以下のようなものがあります。   ◆まとめ◆ 以上のように一定の要件を満たす必要がありますが、適格分割型分割を用いることで、非事業用資産を譲渡オーナーの手許に経済的負担が少なく移転することができ、同時に譲受企業にとってもM&Aの資金負担を軽減することができます。そのため非事業用資産を手元に残しておきたい譲渡オーナーのニーズがある案件においては有効な手段と言えます。   (了)

#No. 482(掲載号)
#株式会社日本M&Aセンター
2022/08/18

《速報解説》 国税庁、副業収入等の「雑所得」の範囲を明確化へ~所得税基本通達の改正案に対するパブコメを募集~

 《速報解説》 国税庁、副業収入等の「雑所得」の範囲を明確化へ ~所得税基本通達の改正案に対するパブコメを募集~   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   令和4年8月1日、国税庁は、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正案(雑所得の例示等)に対するパブリックコメントの募集を開始した。 意見の募集期間は、令和4年8月1日(月)から8月31日(水)までの1ヶ月間であり、意見の提出方法として次の3つが示されている。   【1】 改正の趣旨 今回の改正は、シェアリングエコノミー等の「新分野の経済活動に係る所得」や「副業に係る所得」について、所得区分の判定が難しいという課題に対応し、所得税基本通達を改正することによって雑所得の範囲の明確化を図るものである。   【2】 改正案の概要 雑所得の範囲を例示する所得税基本通達35-1と35-2の改正を予定している。 改正案の概要は、次のとおりである。 (1) 「その他雑所得」の範囲の明確化(改正案所基通35-1) その他の雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいう)の範囲に、譲渡所得の起因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除く)が含まれることを明確化する(改正案所基通35-1(12))。 (2) 「業務に係る雑所得」の範囲の明確化(改正案所基通35-2) 「業務にかかる雑所得」の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化する(改正案所基通35-2(7))。 また、事業所得又は「業務に係る雑所得」のいずれに該当するかの判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、「業務に係る雑所得」と取り扱うこととされる(改正案所基通35-2(注))。   【3】 適用時期 改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和4年分以後の所得税について適用される予定である。   (了)

#篠藤 敦子
2022/08/12
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