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相続空き家の特例 [一問一答] 【第37回】「被相続人居住用家屋及び敷地等の範囲④(同一の敷地内に明確に区分できる居住用以外の敷地がある場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第37回】 「被相続人居住用家屋及び敷地等の範囲④ (同一の敷地内に明確に区分できる居住用以外の敷地がある場合)」 -相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、昨年7月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)と事務所用建物、そして、その敷地を相続により取得しました。 その後、その居住用建物(床面積100㎡)と事務所用建物(床面積50㎡)を取り壊して更地にし、本年3月に1億500万円で売却しました。 相続の開始の直前において、その家屋で父親は1人住まいをしていましたが、その事務所で行政書士としての仕事を細々ながらも続けていました。 父親名義のその土地300㎡のうち、80㎡は生け垣で区分され、事務所用建物が建っていました。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用にあたって、被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積はいくらでしょうか。 A 被相続人の居住の用に供されていた土地は、300㎡ではなく、生け垣で区分された敷地を除く220㎡となります。 ●○●○解説○●○● 譲渡した土地等が、「被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地」に該当するかどうかは、社会通念に従い、その土地等が相続の開始の直前において被相続人居住用家屋と一体として利用されていた土地であったかどうかより判定することとされています。 そして、その相続の開始の直前において、その土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、一定の算式で計算した面積に係る土地の部分に限られます(措通35-13(被相続人居住用家屋の敷地等の判定等))(【第8回】を参照)。 ところで、本事例の場合は、その土地の上に2以上の建築物があるものの、行政書士事務所の敷地として利用している部分が生け垣で区分されていることから、生け垣で区分された部分は、社会通念に従って、被相続人居住用家屋と一体として利用されていた土地ではないと考えられます。 したがって、その土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地であった場合における算式(措通35-15)を適用するケースではないことから、「相続空き家の特例」の適用対象となる面積は、生け垣で区分された部分を除く220㎡となります。 なお、生け垣で区分された敷地80㎡については、本特例の適用なしで譲渡所得の計算をして申告することとなり、相続税額の取得費加算の特例(措法39)を適用することが可能となります(【第29回】を参照)。 おって、譲渡価額要件(1億円以下)の判定にあたっても、「対象譲渡資産一体家屋等」に該当しないことから、全体の譲渡価額を合理的に按分した結果、本特例に係る対象敷地220㎡が1億円以下の場合は、その適用要件を満たすこととなります。 (了)

#No. 343(掲載号)
#大久保 昭佳
2019/11/07

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第74回】「印紙税税印押なつ請求書の書き方」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第74回】 「印紙税税印押なつ請求書の書き方」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   株券等に対する印紙税の納付について、収入印紙によることなく税印による納付を行いたいと思います。請求手続き及び請求書の記入方法を教えてください。   印紙税税印押なつ請求は、収入印紙により納付することに代えて印紙税額を現金で納付し、課税文書に税印を押すことが請求できる規定である。 「印紙税税印押なつ請求書」を作成のうえ、文書とともに税印押なつ機を備えている税務署(規則別表第二に規定あり。全国118署)へ持参し確認を受けたのち、税務署等にて印紙税額を納付後、税印押なつを受けることとなる。 なお、納税地は税印を押すことを請求した税務署長の所属する税務署の管轄区域内の場所を納税地として納付する。 [記載例] ◎印紙税税印押なつ請求書 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ◎税印 (出典) 国税庁HP 《請求に当たっての注意点》   一括納付承認申請に係る参考条文(法9①、令6、基通66~68) (了)

#No. 343(掲載号)
#山端 美德
2019/11/07

〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第15回】「もし桃太郎がきびだんごを落としてしまったら~なぜ割賦基準が廃止されたのか」

〈桃太郎で理解する〉 収益認識に関する会計基準 【第15回】 「もし桃太郎がきびだんごを落としてしまったら ~なぜ割賦基準が廃止されたのか」 公認会計士 石王丸 周夫   1 きびだんごを割賦であげることに 桃太郎が、イヌとサルを連れて歩いていると、今度はキジがやってきました。 「桃太郎さん、私にも1つきびだんごをくださいな。イヌさんとサルさんが食べているそのおいしそうなきびだんごを。」 「鬼退治について来るならあげましょう。」 「もちろんついていきます!」 「よし、それじゃあ・・・」 桃太郎はそう言って、自分の腰のあたりを探しましたが、きびだんごの袋が見当たりません。 「あれ? おかしいなあ・・・きびだんごの袋がないよ。落としてしまったみたいだ。」 「えぇっ!! そんなぁ・・・」 キジは今にも泣き出しそうです。 「ごめん、ごめん、キジさん。鬼退治から帰ってきたら、きびだんごを3つあげるから、勘弁してよ。ただし、一度に3つは無理だから、3回に分けてあげることになるけど。」 今回はドジなことに、桃太郎が途中できびだんごを落としてしまいました。キジにあげるきびだんごがないので、桃太郎は次善の策として、鬼退治から帰ってきた後にきびだんごを3つあげると言いました。 上の場面の後に、具体的なスケジュールが決まりました。キジは、鬼退治終了の日から1週間後に1つめのきびだんごを、6ヶ月後に2つめを、2年後に3つめをもらいます。 キジとしては、桃太郎に役務を提供して、その後に代金のきびだんご3つを分割で回収するというわけです。割賦販売ですね。このような場合、収益認識会計基準では、どのように会計処理するのでしょうか。   2 割賦基準は廃止に 収益認識会計基準導入前の会計基準では、割賦販売について例外的な取扱いが認められていました。「割賦基準」と呼ばれるものです。割賦基準とは、割賦金の回収期限到来時または入金日をもって収益計上する方法です。 上の話でいえば、キジが、きびだんごをもらう予定日または実際にもらった日に、収益を認識するのが割賦基準です。鬼退治終了の日から1週間後、6ヶ月後そして2年後に、きびだんごを1つずつ収益計上していくわけです。 従前における原則的な処理では、販売時、すなわち鬼退治終了時にきびだんご3つを一度に収益計上しますが、割賦販売には割賦金を回収できないリスクがつきまとうため、そうしたリスクが解消される時点まで、収益の認識を遅らせることを例外的に認めるというのが、割賦基準です。 これに対して、収益認識会計基準では、こうした例外的取扱いがあるのかというと、実はありません。つまり、割賦基準は廃止されたのです。 収益認識会計基準では、これまで何度も述べてきたとおり、収益を認識するタイミングは履行義務の充足時です。割賦販売の場合もこのルールに則り、履行義務の充足時、桃太郎の話で言えば鬼退治終了時をもって、きびだんご3つを一時に収益計上することになります。 なお、詳細については割愛しますが、割賦金に重要な金融要素(金利相当分を意味します)が含まれる場合は、それを考慮した会計処理になります。   3 法人税法上も割賦基準廃止 割賦基準の廃止については、法人税法上の取扱いにも留意する必要があります。これも詳細については割愛しますが、法人税法上、従来認められていた長期割賦販売等に係る延払基準が、収益認識会計基準導入を受けて廃止されることになりました(一定の経過措置はあります)。 収益認識会計基準というのは、この連載の【第7回】で述べたとおり、革新性の高い内容でありながらも、実務への影響が抑えられている面があるのですが、その一方で、ここは影響が避けられないという箇所もいくつかあります。割賦基準の廃止というのは、まさにその1つで、法人税法上これが廃止されたこともあって、収益認識会計基準を適用しないような中小企業にも影響が及ぶと予想されています。   4 なぜ、割賦基準が廃止されたのか ところで、収益認識会計基準で割賦基準が廃止されたことには、少し深い意味があります。難しい話になりますが、本質を理解するために大事なことなので、説明しておきましょう。 この連載では何度か触れましたが、収益認識会計基準というのは、製造業を前提とした会計基準ではありません。知的財産等の無形の経済価値に対する関心が高くなった新しい社会を前提とした会計基準です。割賦基準の廃止は、このことと関係があります。 割賦販売という販売方法は、代金を一度に払えない人に買ってもらうための販売方法です。売り手からみると、これは販売対象を拡げるための工夫です。即金で買うことができない人にも、何回かに分けて代金を払ってもらって買ってもらおうというわけです。 では、なぜそこまでして販売対象を拡げたいのかというと、それは、売り手サイドのビジネスモデルが、大量生産・大量販売だからです。大量生産することによりコストダウンを図り、それを大量に販売することで利益を獲得するモデルです。自動車に代表される近代工業社会の典型的なモデルといえます。 このとき、買い手として想定される大量消費の担い手はどんな人たちかというと、それはまさしく大量生産・大量販売を行う企業に勤める人たちです。大金は持っていないけれど、毎月一定の給料が約束された人たちですね。要するに、問題なく割賦返済してくれるであろう人たちです。 割賦販売はこうした世の中を背景として生まれましたが、販売されるのは、本来的にはサービスよりモノです。理由は2つあります。 第1は、大量生産によって規模の利益を期待できるのが、多額の設備投資を伴う製造業であるということです。そうした企業では、固定費(減価償却費等)が多額となるため、大量生産によるコストダウンの効果が大きいです。 第2は、割賦金の返済が滞った場合に、モノであれば売り手がそれを取り戻すことができるということです。サービスは提供と同時に消滅していくため、売り手はそれを取り戻すことができません。冒頭の桃太郎の話では、キジが鬼退治同行サービスを割賦で販売していますが、あれはキジが桃太郎のことをよっぽど信頼している証しですね。 以上のことをまとめると、割賦販売とは、人々の関心がモノに向かっていた近代工業社会を前提とした取引だといえます。欧米では、そうしたモノ中心の近代工業社会はすでに終焉を迎え、主たる関心は無形の経済価値へと移行しています。そこでは、割賦販売という取引が消滅するわけではありませんが、そうした取引にわざわざ例外的処理を認めるほどの積極的理由はもはや見出せないのでしょう。 収益認識会計基準において割賦基準が廃止されたのは、会計基準を作成した当事者が意識していたかどうかはともかく、このような背景があったものと考えられます。 ▷今回のまとめ 収益認識会計基準では、割賦販売における割賦基準が廃止され、割賦販売であっても、収益の認識は履行義務の充足時点とするとされました。 *  *  * さて、誰もが知っている桃太郎の物語をもとに、収益認識会計基準の主なポイントを解説してきたこの連載の「本編」は、今回で終了となります。 次回からは「番外編」として、本編では説明できなかった補助的なポイントについて解説していきます。桃太郎の物語から少しはみ出すことになりますが、引き続きご覧ください。 (了)

#No. 343(掲載号)
#石王丸 周夫
2019/11/07

企業結合会計を学ぶ 【第29回】「同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併の会計処理(合併対価が①現金等の財産のみである場合と②吸収合併存続会社の株式のみである場合)」

企業結合会計を学ぶ 【第29回】 「同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併の会計処理 (合併対価が①現金等の財産のみである場合と ②吸収合併存続会社の株式のみである場合)」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回は、共通支配下の取引等の会計処理のうち、次の2つを解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併の会計処理(合併対価が現金等の財産のみである場合) 1 個別財務諸表上の会計処理 同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併(合併対価が現金等の財産のみ)の場合、個別財務諸表上、次のように会計処理する(結合分離適用指針242項~244項)。 ◎子会社(吸収合併消滅会社) 吸収合併消滅会社である子会社は、合併期日の前日に決算を行い、資産及び負債の適正な帳簿価額を算定する(企業結合会計基準41項)。 ◎子会社(吸収合併存続会社) 【資産及び負債の会計処理】 吸収合併存続会社である子会社が吸収合併消滅会社である子会社から受け入れる資産及び負債は、企業結合会計基準41項により、合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上する。 吸収合併消滅会社の株主資本の額と取得の対価として支払った現金等の財産(結合分離適用指針95項。いわゆる三角合併のケースを含む)の適正な帳簿価額との差額は、のれん(又は負ののれん)として計上する。 のれん(又は負ののれん)は、結合分離適用指針72項及び76項から78項並びに資本連結実務指針40項に準じて会計処理する(結合分離適用指針448項)。 【増加すべき株主資本の会計処理】 株式を交付していないため、株主資本の額は増加しない。 吸収合併消滅会社の評価・換算差額等は、対価が現金等の財産のみの場合であっても引き継ぐ。 【企業結合に要した支出額の会計処理】 企業結合に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として会計処理する。 ◎親会社(結合当事企業の株主) 事業分離等会計基準35項により、吸収合併消滅会社の株主(親会社)が受け取った現金等の財産は、移転前に付された適正な帳簿価額により計上する。 当該価額と引き換えられた吸収合併消滅会社の株式の適正な帳簿価額との差額は、原則として、交換損益として認識する。 いわゆる三角合併のように子会社が親会社株式を対価として他の子会社と吸収合併を行う場合において、吸収合併消滅会社の株主(親会社)が自己株式を受け入れる場合、引き換えられた吸収合併消滅会社の株式の適正な帳簿価額により算定する(「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第2号)7項)。 2 連結財務諸表上の会計処理 吸収合併消滅会社の株主(親会社)の個別財務諸表上認識された交換損益は、親会社の連結財務諸表上、連結会計基準における未実現損益の消去に準じて処理する(結合分離適用指針245項)。 いわゆる三角合併のように子会社が親会社株式を対価として他の子会社と吸収合併を行う場合は、連結財務諸表上、非支配株主に交付した自己株式の適正な帳簿価額と追加取得持分又は減少する非支配株主持分との差額を資本剰余金に計上する(結合分離適用指針245項)。 これは、当該取引は、企業集団の観点からは、親会社が合併の対価として自己株式を処分する取引と同様に考えることができることによる。   Ⅲ 同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併の会計処理(合併対価が吸収合併存続会社の株式のみである場合) 1 個別財務諸表上の会計処理 同一の株主(企業)により支配されている子会社同士の合併(合併対価が吸収合併存続会社の株式のみ)の場合、個別財務諸表上、次のように会計処理する(結合分離適用指針246項~248項)。 ◎子会社(吸収合併消滅会社) 吸収合併消滅会社である子会社は、合併期日の前日に決算を行い、資産及び負債の適正な帳簿価額を算定する(企業結合会計基準41項)。 ◎子会社(吸収合併存続会社) 【資産及び負債の会計処理】 吸収合併存続会社である子会社が吸収合併消滅会社である子会社から受け入れる資産及び負債は、企業結合会計基準41項により、合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上する。 【増加すべき株主資本の会計処理】 合併が共同支配企業の形成と判定された場合の吸収合併存続会社の会計処理(結合分離適用指針185項)に準じて処理する(結合分離適用指針408項)。 【抱合せ株式の会計処理】 吸収合併存続会社である子会社が吸収合併消滅会社である子会社の株式(関連会社株式又はその他有価証券)を保有している場合で、新株を発行したときの吸収合併存続会社の増加すべき株主資本の会計処理は、次のいずれかの方法による。 ① 吸収合併消滅会社の株主資本の額から抱合せ株式の適正な帳簿価額を控除した額を払込資本の増加(当該差額がマイナスの場合にはその他利益剰余金の減少)として処理する。 ② 吸収合併消滅会社の株主資本を引き継いだ上で、抱合せ株式の適正な帳簿価額をその他資本剰余金から控除する。 【企業結合に要した支出額の会計処理】 企業結合に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として会計処理する。 ◎親会社(結合当事企業の株主) 事業分離等会計基準38項及び39項により、交換損益は認識されない。 吸収合併消滅会社の株主(親会社)が受け取った吸収合併存続会社の株式(子会社株式)の取得原価は、引き換えられた吸収合併消滅会社の株式(子会社株式)に係る企業結合日直前の適正な帳簿価額に基づいて計上する。 2 連結財務諸表上の会計処理 事業分離等会計基準38項及び39項により、吸収合併消滅会社の株主(親会社)は、連結財務諸表上、吸収合併存続会社に係る当該株主(親会社)の持分の増加額(吸収合併消滅会社の株主としての持分比率が増加する場合は、吸収合併消滅会社に係る当該株主(親会社)の持分の増加額)と吸収合併消滅会社に係る株主(親会社)の持分の減少額(吸収合併存続会社の株主としての持分比率が減少する場合は、吸収合併存続会社に係る当該株主(親会社)の持分の減少額)との間に生じる差額を、資本剰余金に計上する(結合分離適用指針249項)。 (了)

#No. 343(掲載号)
#阿部 光成
2019/11/07

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第10回】「『外国人雇用』に求められる確認事項と手続」

「働き方改革」でどうなる? 中小企業の労務ポイント 【第10回】 「『外国人雇用』に求められる確認事項と手続」   Be Ambitious社会保険労務士法人 代表社員 特定社会保険労務士 飯野 正明   ▷日本で働く外国人は増加傾向 厚生労働省によると、外国人労働者は2018年10月末現在で、1,460,463人となっており、前年同月と比較して、181,793人(14.2%)増加しています。国籍別でみると、中国(26.6%)、ベトナム(21.7%)、フィリピン(11.2%)が上位3ヶ国となっており、特にベトナムについては大きく増加しています(厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)」)。 2019年4月からは、特定の産業分野において一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度として、「特定技能」が新たな在留資格として創設されました。日本の人口が減少している中で、外国人の雇用は今後も増加することが予想されます。   ▷就労ができる在留資格、できない在留資格 外国人は、就労が認められる在留資格がなければ、日本で働くことができません。現在、在留資格は大きく分けて「活動に基づく在留資格」と「身分又は地位に基づく在留資格」の2つに分けられます。 そのうち、「活動に基づく在留資格」については、「各在留資格に定められた範囲での就労が可能な在留資格」(技術・人文知識・国際業務・企業内転勤・技能等)、「就労できない在留資格」(文化活動・短期滞在・留学・研修・家族滞在)、「個々の外国人に与えられた許可の内容により就労の可否が認められる在留資格」(特定活動)の3つに区分されます。 また、「身分又は地位に基づく在留資格」である「永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者」については、活動に制限はありませんので、就労には問題ありません。 なお、「就労できない在留資格」を持つ外国人が就労する場合には「資格外活動許可」を得る必要があります。在留資格が「留学」「家族滞在」の者が、あらかじめ「資格外活動許可」を得た場合には、1週間の就労可能時間は、「28時間以内」、留学生は、夏休み等学校の長期休業の場合には「1日につき8時間以内」(週40時間以内)の範囲で就労が可能となります。なお、申請にあたっては本人が住んでいる地域を管轄する入国管理局で行います。 したがって、「留学」で日本に来ている外国人を短い時間であってもアルバイトで就労させる場合には、本人に「資格外活動許可」を取得してもらわなければなりません。 以下に参考として、在留資格一覧表を示しておきます。 ◆在留資格一覧表 ※在留資格ごとに在留期間が定められています(平成31年4月1日現在) (出所) 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」   ▷在留資格の確認 上記で説明した通り、就労可能な在留資格かどうかを確認しないと、会社として外国人を「雇用できない」ということになります。しかしながら、この在留資格の確認は国籍で差別をしない公平な採用選考を行う必要性から「採用決定後」とすることが求められています。 採用選考時には、口頭で在留資格を確認して、採用が決まり次第、在留カード等の提示を求めることが望ましいとされています。 また、「就労できる在留資格」があれば、就労に制限なく、どんな仕事にでも就くことができるわけではなく、付与されている「在留資格」の範囲内でのみ就労が認められています。 したがって、就労させようとする仕事の内容が在留資格の範囲内であるかどうかも確認する必要があります。加えて、在留期限を過ぎていないかの確認も必要です。 なお、自社で選考した外国人を就労させることが可能かどうか不安な場合は、本人が住んでいる地域を管轄する入国管理局に申請すれば「就労資格証明書」が交付されるので、そこから確認することもできます。   ▷労働諸法令の適用 労働基準法第3条には「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない」と規定されています。したがって、外国人であっても、日本で雇用される場合には、労働関係諸法令は適用されます。 つまり、年次有給休暇や労働時間の規制、採用時の労働条件の明示等々、日本人と同様に適用対象となるということです。外国人を雇用している会社が「年次有給休暇を与えていない」、「長時間労働を行わせている」、「割増賃金の支払いがされていない」などの法令違反を行い、労働基準監督署から指導を受けるケースが見受けられますので注意が必要です。 特に外国人である場合には、採用時の労働条件についてしっかりと書面で明示する必要があります。できれば、母国語もしくは本人が理解できる言語での明示ができることが望ましいです。 外国人が海外で勤務する場合に締結する「雇用契約書」の多くは、日本の一般的な雇用契約書よりボリュームがあることが見受けられます。まるで、就業規則と同じような規定内容となっていることもしばしばあります。特に、渡航費用や帰国費用の負担、住居の確保や費用の負担などについては明確にしておく必要があります。   ▷社会保険の適用 外国人であっても、フルタイムで就労した場合には社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入義務があります。数年で自国に帰る場合でも同様です。特に、厚生年金保険について費用負担が大きいことから加入を嫌がる外国人もいますが、社会保険は本人の希望に基づいて加入するかしないかを判断するものではありません。この点についても国籍を問わず加入義務が生じるものとなっています。 なお、厚生年金保険の加入期間が「6ヶ月以上」あり、外国籍の人が帰国した場合には、加入期間に応じた「脱退一時金」が支給されます。申請は日本に住所を有しなくなった日から2年以内に日本年金機構に行うこととなっています。 詳細については、下記の日本年金機構のホームページから確認できます。 また、国によっては「社会保障協定」を締結している場合もあります。 「社会保障協定」とは、働いている国と母国等の二重で社会保険料を負担することや短期間の就労により納付した年金保険料が年金受給につながらないことを防ぐために作られたものです。 2019年10月1日現在、ドイツ、イギリス、韓国などの20ヶ国と日本は協定を発効しており、イタリア、スウェーデン、フィンランドの3ヶ国とも協定の署名を済ませています。これらの国であれば、①「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)、②年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)ことが可能となります(国によっては①だけの場合もあります)。 詳細については、下記の日本年金機構のホームページから確認できます。   ▷ハローワークに届出が必要 会社が、外国人を雇用した場合や離職した場合には、氏名や在留資格、在留期間などをハローワークに届け出なければなりません。雇用保険の被保険者となる外国人については、「雇用保険被保険者資格取得届」又は「雇用保険被保険者資格喪失届」の様式に記載欄があるのでそちらに記載して届出を行います。 雇用保険の被保険者とならない場合には、「外国人雇用状況届出書」を外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワークに届出を行います。届出期限は、雇入れ、離職の場合とも翌月の末日までとなっています。 上記の届出様式については、下記からダウンロードすることができます。 なお、労災保険は特に雇入れ時や離職時に届出の必要はありませんが、外国人も対象となっています。労災事故が生じた場合には、当然に保険給付の対象となっており、日本人と同様、保険給付を受けることが可能です。治療費だけでなく、休業補償や年金給付も対象のほか、通勤途上の災害も対象となります。 (了)

#No. 343(掲載号)
#飯野 正明
2019/11/07

空き家をめぐる法律問題 【事例18】「空き家で火災が生じた場合の火災保険金の支払いの有無」

空き家をめぐる法律問題 【事例18】 「空き家で火災が生じた場合の火災保険金の支払いの有無」   弁護士 羽柴 研吾   - 事 例 - 私Aは、父から相続した実家で生活し、実家と家財道具に火災保険を付しておりました。その後、私は、実家から転居し、半年に1度くらいの割合で実家に立ち寄るようにしていましたが、田舎にあることもあり施錠を十分に行えていませんでした。 以前、実家に立ち寄った際に、近所の方からの立ち話で、夜中に灯のようなものがついていることがあった旨聞いておりましたが、そのことを失念しており、対処を怠っていました。そうしたところ、ある日、実家で火災が生じており、放火である可能性が高いとの連絡を受けました。 今後、保険会社に火災保険金を請求することを考えておりますが、保険金を請求することに問題はありますか。   1 はじめに 自宅とは別に空き家を所有している場合、管理が十分に行き届かず、不審者に侵入され放火の対象とされるリスクがある。本事例のように、もともと居住していた建物に火災保険を付しており、その後空き家になった建物の管理が十分に行われなかった結果、放火されて焼失したような場合、火災保険金が支払われるかは空き家の所有者にとって重要な問題となる。 そこで今回は、火災保険金の支払いが免責される場合の基準を検討することとしたい。   2 空き家に関する火災保険の重過失免責について (1) 保険法や保険約款における「重過失」とは 保険法第17条は、「保険者は、保険契約者又は被保険者の故意又は重大な過失によって生じた損害をてん補する責任を負わない」旨規定しており、これを受けて、各損害保険会社の保険約款でも、免責事由の1つとして、保険契約者、被保険者又はこれらの者の法定代理人の故意若しくは重大な過失又は法令違反がある場合などと規定している。 保険法や保険約款に規定する重過失とは、 などと解されている(最判昭和32年7月9日民集11巻7号1203頁)。 この重過失に関する保険約款の趣旨は、火災の発生により損害が生じたことを火災保険金請求権の成立要件とし、その損害が保険契約者、被保険者又はこれらの者の法定代理人の故意又は重大な過失によるものであることを免責事由としたものと解されており(最判平成16年12月13日民集58巻9号2419頁)、保険契約者としては火災保険金を請求するにあたって、火災によって損害を被った旨を主張立証すれば足り、保険会社側において、重過失を根拠付ける具体的な事情を主張立証する必要があることになる。 (2) 重過失による免責の有無が争われた事例 実際の裁判例においても、空き家が放火されたような場合に、重過失による免責の有無が争われた事例が複数存在する。 例えば、火災当時に建物の一部が施錠されておらず、そこから侵入した者によって放火された事例において、保険契約者に空き家である建物の施錠を十分にしていなかったことについて過失があることを認定した上で、①火災当時、当該建物付近で放火が相次いでいたり、②当該建物内に第三者が何度か立ち入っていたなど、当該建物に侵入されて放火される具体的な危険性があったとは認められない場合には、重過失は認められないとしたものがある(東京地判平成18年2月8日判例集未登載)。 その一方で、保険契約者が、施錠をせずに建物を長期間空き家状態にして放置していた事例において、放火犯が施錠されていない入口から侵入した場合には、火災の発生について重過失がある旨判断したものもある(福島地判会津若松支部平成8年3月26日判タ918号241頁)。 上記のように、重過失の判断基準を、ほとんど故意に近い著しい注意の欠如の状態ととらえることからすれば、第三者が空き家に侵入して放火したことのみをもって重過失を認定することには慎重であるべきと考えられるが、福島地判のように、長期間空き家を放置していた事例において、比較的緩やかに重過失を認定した事例もあることから、空き家の所有者・保険契約者としては、重過失の有無が争点にならないように、普段から施錠の確認や、管理事業者を通じて日頃から空き家の状態を管理できるようにしておくことが必要である。 なお、放火の場合と異なるが、火災発生前から空き家の漏電の可能性を疑い、再三にわたって電力会社の職員に調査を依頼しており、漏電の可能性が指摘されていたにもかかわらず、漏電による火災の発生を未然に防止する手段を尽くしていなかった結果、火災が生じた事案において、重過失を認定したものもあるので留意されたい(津地裁伊勢支部平成元年12月27日判タ731号224頁)。   3 本件の場合 A氏が相続していた実家は、空き家として長年放置されており、施錠が十分にされておらず、近所の住民からも不審者の侵入の可能性を聞いていたようであり、A氏の実家の火災は、放火によるものである可能性が高い。 火災が放火による場合、重過失による免責の可否をめぐって、A氏が施錠を怠っていたことが過失と認められる余地は十分にあるが、第三者が侵入していたとされる時期や頻度、不審火・事件事故の有無や回数等を総合的に判断して、当該建物に侵入され放火される具体的な危険性があったかどうかを判断していくことになると考えられる。   4 補足:空き家に関する火災保険料 空き家に関する火災保険も、一般的な自宅に付保するような火災保険と同様であるが、居住を目的とした建物である「住宅物件」と異なり、「一般物件」と扱われる可能性が高い。その場合、火災保険料は、住宅物件よりも割高となるので留意されたい。 もっとも、空き家であっても、空き家にしている期間が一時的である場合や、家財が常時備えられているような場合には、「住宅物件」と扱われる可能性もある。空き家に火災保険を付保することを検討する場合は、各保険会社に適宜確認されたい。 (了)

#No. 343(掲載号)
#羽柴 研吾
2019/11/07

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第26話】「2019年10月1日/消費税値上げ騒動」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第26話】 「2019年10月1日/消費税値上げ騒動」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   2019年10月1日。 「統括官!」 浅田調査官は、小走りで中尾統括官のところにやって来る。 所得課税第三部門にある壁時計は、午前9時10分を指している。 中尾統括官は、机の上に積んである確定申告書を見ながら、調査対象の選定を行っている。 「これ・・・どうしましょう?」 浅田調査官は、右手にゆうメールを握っている。 「?」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。 「なんだい・・・そのゆうメールは?」 中尾統括官は怪訝そうに、尋ねる。 「返信用の・・・ゆうメールです・・・」 浅田調査官は、そのゆうメールを中尾統括官の机の上に置く。 「このゆうメールは、返信用として、納税者の封筒に入っていたのですが・・・」 浅田調査官は、ばつが悪そうに言う。 「今日から消費税率が8%から10%になったので・・・このゆうメールも料金がアップしたのです・・・」 浅田調査官は、ゆうパックの新旧の料金表を見せる。 「そうか・・・新料金では、重量が250gを超えると、10円の値上げになるのか・・・」 中尾統括官は、料金表を見ながら、頷く。 「・・・それで?」 中尾統括官は、再び浅田調査官の顔を見る。 「納税者から・・・9月24日に郵便で源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などが送られてきたのですが・・・」 浅田調査官は、もう一度、ゆうメールを手に取る。 「・・・その申請書の控えなどをゆうメールに入れて納税者に発送しようと思っていたところ、料金が不足していることに気がついたのです。」 浅田調査官は申し訳なさそうに説明する。 「ところで、いつポストに投函したときから新料金になるのかな?」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を見ながら尋ねる。 「そうですね。調べてみます。」 と言って、浅田調査官は、スマートフォンで素早く検索する。 「・・・ありました! 2019年9月30日の最後の収集後にポストに投函した場合、その郵便物は翌10月1日までポストの中にはありますが、旧料金が適用されるそうです。また、例えば10月1日の午前9時にポストへ投函した場合でも、その日の最初の収集時間が10時以降なら、旧料金として取り扱われるそうです。」 「なるほど・・・。ところで君は、納税者の封筒を自分の机の引き出しに入れて・・・そのままにしていたということか?」 中尾統括官は浅田調査官に確認する。 「はい・・・本来ならば、郵便物は9月24日の火曜日に受け取ったのですから、30日の月曜日までにポストに投函すれば、郵便料金は旧料金の300円なので、納税者の返信用のゆうメールをそのまま使えたのですが・・・」 中尾統括官は、浅田調査官の報告を聞きながら、渋い表情になる。 「・・・ということは・・・君が返信用のゆうメールを投函することを怠ったから、10円の追加料金を支払わなければならないということだな?」 中尾統括官は浅田調査官を詰問する。 「ええ・・・」 浅田調査官は素直に頷く。 「・・・」 中尾統括官は、腕を組んで、浅田調査官を睨む。 「あの・・・10円は私が負担します・・・」 そう言いながら、浅田調査官は、ポケットから10円玉を取り出す。 取り出した10円玉は汚れているため、表面の「平等院鳳凰堂」は見えない。 「これは・・・君が負担すれば良いという問題ではない!」 中尾統括官の声は更に大きくなる。 浅田調査官は俯いたまま、再びスマホを見る。 「・・・あの・・・」 浅田調査官は、小さな声で、「これなんですが・・・」と言いながら、スマホの画面を中尾統括官に見せる。 「・・・ここに書いているように・・・今日の午前9時に投函したとしても・・・最初の取集時間が10時以降なら・・・その場合は旧料金として取り扱われます・・・」 中尾統括官は、首を伸ばしてスマホの画面をのぞく。 「・・・ということは・・・税務署の玄関前にあるポストの・・・最初の収集時間は・・・いつだったか・・・」 中尾統括官は浅田調査官に尋ねる。 「・・・確か・・・9時45分だったと思いますが・・・」 壁時計の針は、9時40分を指している。 「・・・。」 「・・・。」 2人は少しの間、黙って時計を見つめる。 浅田調査官は、中尾統括官の机の上に置かれていたゆうメールをつかむと、一目散に階段を駆け下り、玄関に走る。 「おい、慌てるなよー!」 2階にある所得課税三部門の部屋中に、中尾統括官の声が響く。 (つづく)

#No. 343(掲載号)
#八ッ尾 順一
2019/11/07

《速報解説》 ASBJ、収益認識会計基準の表示及び注記事項を定めた改正案を公表~意見募集期間は2020年1月10日まで~

《速報解説》 ASBJ、収益認識会計基準の表示及び注記事項を定めた改正案を公表 ~意見募集期間は2020年1月10日まで~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年10月30日、企業会計基準委員会は、次のものを公表し、意見募集を行っている。 これは、収益認識に関する表示及び注記事項について規定するものである。 意見募集期間は2020年1月10日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 表示及び注記事項 定義において、従来の「債権」から「顧客との契約から生じた債権」とする改正を行う(本会計基準改正案10項、12項)。 1 収益の区分表示又は注記及び表示科目 次のように規定する(本会計基準改正案78-2項、本適用指針改正案104-2項)。 2 契約資産と顧客との契約から生じた債権の区分表示又は注記 収益認識会計基準88項を削除し、次のように規定する(本会計基準改正案79項、158項、本適用指針改正案104-3項)。 3 重要な金融要素が含まれる場合の取扱い 顧客との契約に重要な金融要素が含まれる場合、顧客との契約から生じる収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)を損益計算書において区分して表示する(本会計基準改正案78-3項)。 4 顧客との契約から生じた債権又は契約資産について認識した減損損失の開示 国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」において要求されている顧客との契約から生じた債権又は契約資産について認識した減損損失の開示に関しては、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)の見直しと合わせて検討することとし、本会計基準改正案において当該開示は求めない(本会計基準改正案157項)。 5 注記事項 本会計基準改正案では、IFRS第15号と同様の開示目的及び重要性の定めを設けることとし、開示目的を達成するために必要な注記事項の開示の要否を、企業の実態に応じて企業自身で判断する(本会計基準改正案101-2項~101-6項)。 6 重要な会計方針の注記 顧客との契約から生じる収益に関して、次に定める項目を重要な会計方針として注記する(本会計基準改正案80-2項)。 上記以外にも、「収益を理解するための基礎となる情報」(本会計基準改正案80-5項(2))として記載することとした内容のうち、重要な会計方針に含まれると判断した内容については、重要な会計方針として注記する(本会計基準改正案80-3項)。 7 収益認識に関する注記 収益認識に関する注記における開示目的は、顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を企業が開示することであるとし、次の注記事項を規定している(本会計基準改正案80-4項、80-5項)。 8 工事契約等から損失が見込まれる場合 工事契約会計基準に定める次の注記を引き継ぐ(本適用指針改正案106-9項、106-10項)。 9 連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記 10 四半期財務諸表における注記 すべての四半期の四半期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表において、年度の期首から四半期会計期間の末日までの期間に認識した顧客との契約から生じる収益について収益の分解情報の注記を規定する(四半期会計基準案19項(7-2)、25項(5-3)、58-5項、58-6項)。   Ⅲ 会計処理の見直しを行ったもの 現行の収益認識会計基準では契約資産を金銭債権として取り扱うとしているが、本会計基準改正案では、契約資産が金銭債権に該当するか否かについて言及しないとし、次の会計処理を規定している(本会計基準改正案77項、150-3項)。   Ⅳ 設例及び開示例 次の設例及び開示例を追加している。   Ⅴ 適用時期等 (了)

#No. 342(掲載号)
#阿部 光成
2019/11/05

《速報解説》 監査基準改訂を受け監査証明府令等の改正案が金融庁から公表される~法務省からは会社計算規則の改正案も~

《速報解説》 監査基準改訂を受け監査証明府令等の改正案が金融庁から公表される ~法務省からは会社計算規則の改正案も~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年10月30日、金融庁は「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、また、10月31日、法務省は「会社計算規則の一部を改正する省令案」を公表し、それぞれ意見募集を行っている。 これらは、「監査基準」の改訂に対応するものである。 意見募集期間は、金融庁関係は令和元年11月28日までであり、法務省関係は11月29日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等 監査報告書における意見の根拠の記載等に関する「監査基準」の改訂(令和元年9月3日、企業会計審議会)を受け、次の公開草案を公表するものである。 1 監査報告書に関する記載 監査証明府令4条1項1号ロに掲げる意見の根拠は、次に掲げる事項について記載する(監査証明府令(案)4条4項3号)。 2 四半期レビュー報告書に関する記載 監査報告書等の記載事項(監査証明府令4条)の四半期レビュー報告書について、次の記載に改正する(中間監査報告書も同様に改正する)。 3 企業内容等の開示に関する内閣府令の一部改正(案) 監査証明府令の改正に合わせて、臨時報告書の記載内容等(「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部改正(案)」19条)における公認会計士等の意見又は結論に関する記載を改正する。 4 適用時期等 公布の日から施行する。   Ⅲ 会社計算規則の一部を改正する省令案 企業会計審議会において、「監査上の主要な検討事項」の導入等に関する「監査基準」の改訂(平成30年7月5日)及び監査報告書における意見の根拠の記載等に関する「監査基準」の改訂(令和元年9月3日)を行ったことを受けたものである。 1 会計監査人の会計監査報告(監査報告書)に関する記載 次の改正を行う(会社計算規則126条)。 2 適用時期等 公布の日から施行する。 令和2年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算関係書類についての会計監査報告について適用し、同日前に終了する事業年度に係る計算関係書類の会計監査報告については、なお従前の例によるものとする。 (了)

#No. 342(掲載号)
#阿部 光成
2019/11/05

《速報解説》 関東信越国税局、「現物分配法人の株主が新株予約権を保有している場合の適格株式分配(適格スピンオフ)該当性」について文書回答事例を公表

《速報解説》 関東信越国税局、「現物分配法人の株主が新株予約権を保有している場合の適格株式分配(適格スピンオフ)該当性」について文書回答事例を公表   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   本稿では、関東信越国税局が令和元年5月31日付(ホームページ公表は令和元年10月18日)に回答した文書回答事例「現物分配法人の株主が新株予約権を保有している場合の適格株式分配(適格スピンオフ)該当性について」の解説を行う。   事前照会の前提及び照会内容 〇事前照会の前提 【関係図】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 文書回答事例をもとに筆者作成 【適格株式分配の要件】 〇事前照会の内容 現物分配の直前においては、現物分配法人が独立させる法人の発行済株式の全部を保有しているが、現物分配後に現物分配法人の株主が新株予約権を行使する予定である場合に、その現物分配が株式分配に該当し、他の適格要件を満たす限り、適格株式分配になるという理解で問題ないかどうか。   事前照会の結論及び当局見解 株式分配は、現物分配のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式の全部を保有されていた法人(完全子法人)のその発行済株式の全部が移転するものとされている。 現物分配法人の株主が現物分配後に新株予約権を行使する場合には、完全子法人の発行済株式の数は、現物分配直前において現物分配法人が保有する完全子法人の発行済株式の数よりも増加することとなり、そのような現物分配が株式分配に該当するかについて疑義が生じる。 文書回答事例では、現物分配が株式分配に該当するかどうかは、完全子法人の発行済株式の全部が移転するかどうかで判断し、現物分配後の新株予約権の行使は判断に影響を及ぼさないということが明らかにされた。 したがって、現物分配後に現物分配法人の株主が新株予約権を行使する予定である場合であっても、現物分配の直前に完全子法人の発行済株式の全部を現物分配法人が保有し、現物分配により現物分配法人の株主に発行済株式の全部を移転する限り、その現物分配は株式分配に該当し、他の適格要件を満たす限り、適格株式分配になるものと考えられる。 新株予約権の行使により非支配要件に抵触する(他の者による支配関係が生じる)場合や、新株予約権の行使が現物分配の効力発生日前に行われる場合には、適格株式分配とならないため、留意する必要がある。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 342(掲載号)
#川瀬 裕太
2019/11/01
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