検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10418 件 / 4801 ~ 4810 件目を表示

M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第26回】「事業環境の分析(その4)」

M&Aに必要な デューデリジェンスの基本と実務 -財務・税務編-   【第26回】 「事業環境の分析(その4)」   公認会計士・公認不正検査士 松澤 公貴   ←(前回) | (次回)→   ▷事例の紹介(つづき) 本稿は、前回に引き続き、外食産業のうち、「居酒屋業界」を例にとり、PEST分析の手法を一部だけ概説する。なお、繰返しになるが、この分析をもとに対象会社の状況をさらに深堀りして調査することが重要である。   (B) 経済的環境の変化(Economy) ② 原材料費の高騰の懸念 日本は、2017年度の食糧自給率(供給熱量(カロリー)ベース)が38%と、60%以上の食材を輸入に依存する、世界でも有数の農産物輸入国である。国内外食市場における輸入原材料費割合は約50%弱と言われており、近年は約5兆円と推計されている。 一昔前は為替変動やBSE問題等が輸入原材料のコスト低減や安定調達に向けた弊害であったが、近年は、例えば、提供する魚介類の多くを輸入に依存する回転ずしチェーンにおいて中国に対して買い負けが発生しているように、新興国の人口増加や経済成長による食料需要の増加が原材料調達の懸念となる。そのため、買収後は、対象会社のサプライチェーンごと見直しが必要になる場合がある。 ◆食糧自給率推移 (出典:農林水産省「日本の食料自給率」より筆者作成) ③ 雇用コスト高騰の懸念 ◆居酒屋ホールスタッフ平均時給 (※) 各年度は12月の値を記載している。 (出典:リクルートジョブズ「三大都市圏アルバイト・パート募集時平均時給調査」より筆者作成) 居酒屋業界では、勤務内容は立ち仕事を基本とし、調理器具や料理皿の持ち運び等、力仕事の側面も併せ持つ業務が多いため、従事する労働者は若年層比率が高い。また、居酒屋の店舗レベルにおいては教育システムの未整備なども存在する。これらは従業員にとって相応の負荷に繋がるものと推察でき、結果として、各社が声を揃えて課題としている採用難や低い定着率を招いており、近年「ブラックバイト」と称される場合もある。 このような状況のもと、他産業から外食産業に労働力が移行することは想定し難く、労働力の減少という供給制約が外食産業の成長阻害要因になる可能性が高い。そのためパート・ アルバイトを最低賃金で募集した場合には、必要な人員の確保は困難な状況となるであろう。なお、近年最低賃金も増加傾向にある。 一方で、入管法の改正により、2019年4月から、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」が新設されている。外国人労働者の就労拡大を目的とした法改正であり、人手不足に悩む居酒屋業界にとっては注目すべき事象である。   (C) 社会的環境の変化(Society) ➤ 主な調査内容 健康志向の高まりや、アルコール消費量の減少及びデフレマインド等で居酒屋業界の市場規模は横這いの状況である。そのため、対象会社の過去及び将来の事業戦略が、このような状況をどのように打開する予定でいるのかなどを、見極める必要がある。 下記は、居酒屋業界に影響を与える可能性がある、社会的環境の変化の主な項目である。 ① 居酒屋業界の市場規模 ◆居酒屋・ビヤホール等市場規模(左軸、億円)と飲酒習慣率(右軸) (出典:市場規模は公益法人食の安全・安心財団「外食産業市場規模推移」より筆者作成。飲酒習慣率は厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」の各年度より筆者作成(2013年は不明)。なお、各年は12月の値を記載している。) 公益法人食の安全・安心財団「外食産業市場規模推移」によると、居酒屋・ビヤホール等の市場規模は、1992年の1兆4,629億円がピークで以降は減少傾向にあった。2013年には、円高の是正、株価上昇や震災後の消費マインドの改善により、同業界も徐々に回復基調に転じ、2015年には1兆652億円になっている。少子高齢化や健康志向などにより、過去20年において飲酒習慣率は減少傾向にあるが、近年は横ばいもしくは微減傾向にあり(2017年は男性33.1%)、この傾向は、今後も続くと考えられる。 このような消費者のアルコール離れ(特に若年層)や2006年6月の福岡飲酒運転事故を契機とした飲酒運転の厳罰化、受動喫煙防止法等の影響を受けるとともに、近年ではファミレスでのアルコール類の提供など他業種の居酒屋部門の参入が目立ち、社会的な傾向としても、「家飲み」が流行する等、同業界は厳しい状況にある。こうした動向を受け、大手居酒屋各社は介護事業、宅食事業等へ事業展開を開始している状況にある。 ② 新規参入の脅威 居酒屋業界は、他業界に比べて参入障壁が低いと言われており、参入の脅威は高い。上述したとおり、近年、「家飲み」の流行や、「ちょい飲み」店に顧客を奪われている状況にある。ライフスタイルの変化や多様化により牛丼店等のファーストフードや家族連れのファミリーレストランの居酒屋化が進んでいる。この傾向が拡大すれば、客単価や利益率の低下などの脅威となる。 ◆「ちょい飲み」市場への主な参入企業 (出典:報道資料などより筆者作成)   (D) 技術的環境の変化(Technology) ➤ 主な調査内容 SNSの普及により、居酒屋業界はおいしそうな料理や酒類の情報を多くの人に容易に拡散している。また、食材の冷凍技術の向上や調理の機械化などの技術革新により、職人に頼らなくとも、アルバイトレベルでも短期間に調理などを担当することが可能である。そのため、対象会社の過去の対応状況、投資状況及び教育状況などを把握すると共に、今後必要な投資予定額やコスト負担額を見極める必要がある。 下記は、居酒屋業界に影響を与える可能性がある、技術的環境の変化の主な項目である。 ① SNS普及の影響 近年ではスマートフォンの普及で、オープンなインターネットにアクセスしやすくなったことが、SNSの利用率の増加の背景としてある。主なSNSの利用上の特徴は、下記のとおりである。 2017年のユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「インスタ映え」からもわかるように、インスタ映えを狙った居酒屋も増加している。現在、居酒屋業界は、「低価格志向でモノとサービスにこだわらない顧客層」と「価格より個性的でこだわりのあるモノやサービスを志向する顧客層」の2極化した状況にあり、そのため、個性的で差別化できるメニューや接客サービスを提供し続ける必要がある。 一方で、飲食店のアルバイトらによる不適切な動画の投稿、いわゆる「バイトテロ」が相次いでいる。不適切な動画の投稿は、SNSでの炎上、客離れや社会的責任の追及などにもつながりかねないことになるため、脅威となっている。よって、対象会社の教育方法やバイトテロ対策なども確認しておく必要がある。 ② 技術革新の影響 食材の冷凍技術の向上や調理の機械化により、職人ではなくアルバイトレベルでも短期間に調理を提供することができるようになることが予測できる。また、日本のキャッシュレス決済比率は、諸外国に比して低水準であり、経済産業省は東京オリンピックに向けたキャッシュレス化推進の方針を明確に打ち出しており、今後、日本においてもキャッシュレス決済の比率が高まっていくことが予測できる。 ③ 飲食店情報サイトの活用 集客を上げるためには、味の良さ、メニュー構成、接客態度、サービス体制等、飲食店としての基本的な努力を怠らないことが重要である。顧客を来店させ、満足させ、口コミを書いてもらう好循環を生み出すことで飲食店情報サイト内での評判も自動的に上がっていくことになる。対象会社において、当該サイトの利用をしている場合には、費用対効果を見極めると共に、口コミなど評価が悪い場合には、改善に必要な施策を行っているかを確認する必要がある。 (了)

#No. 320(掲載号)
#松澤 公貴
2019/05/30

改正相続法に対応した実務と留意点 【第6回】「遺贈の担保責任に関する留意点」

改正相続法に対応した実務と留意点 【第6回】 「遺贈の担保責任に関する留意点」   弁護士 阪本 敬幸   今回は、遺贈の担保責任に関する留意点について解説する。   1 遺贈の担保責任の内容 (1) 債権法改正 債権法改正により、売買・贈与等の担保責任に関する定めが改正されたことはご存知の方も多いと思われる。担保責任の改正の中核となるのは、判例が採ってきたとされる法定責任説ではなく、契約責任説の採用である。法定責任説では、「担保責任に関する規定は、特定物のみに適用がある」とされていたが(特定物ドグマ)、契約責任説の採用により、特定物・不特定物を問わず、契約者の意思により定められた契約内容に適合した目的物を引き渡していなければ、売主・贈与者は担保責任を負うこととなった。 もっとも、贈与は無償で物・権利を移転させるものであるから、有償契約である売買と全く同様の担保責任を負わせるのも酷である。このため贈与においては、「贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」とされた(改正後民法551条1項)。 これにより、贈与の目的として特定した時点で既に贈与目的物・権利に瑕疵があったとしても、「贈与者はそのままの状態で目的物・権利を引き渡し又は移転すればよい」という契約であったと推定されることとなるから、贈与者が担保責任を負うことはないということとなる。 (2) 遺贈の担保責任の改正 上記の債権法改正を受けて、遺贈においても特定物・不特定物という区別は不要となり、不特定物の遺贈に関する担保責任を定める改正前民法998条は削除された。そして改正後民法998条では、「遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又は権利について遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定の時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う」として、贈与同様、遺贈の目的として特定した時点の状態で引き渡せば足りるとされた。 改正後民法998条は、遺言者の通常の意思を推定したものであり、遺言者がこれと異なる意思表示をしていた場合には、その意思に従わねばならない(改正後民法998条但書)。 なお、改正後民法998条は、債権法改正の施行日である2020年4月1日から施行され、施行日前にされた遺贈に係る遺贈義務者の引渡義務については、改正前の規定による(改正法附則1条3号、7条)。   2 具体的事例の検討 -事例1- 個人で自動車販売店を営んでいた被相続人が、「店舗内の在庫自動車は、全てAに遺贈する」との遺言を作成していた。在庫自動車に、被相続人死亡前から存在する瑕疵があった。 店舗内の在庫は日々変化するため、遺贈の目的となる自動車が特定するのは相続開始時である。自動車に相続開始以前から瑕疵があった場合、改正後民法998条に従い、遺贈義務者はそのままの状態でAに引き渡せば足りる。 -事例2- 個人で自動車販売店を営んでいた被相続人が、「店舗内の在庫自動車は、どれも全く問題ない商品で、これらを全てAに遺贈する」との遺言を作成していた。在庫自動車に、被相続人死亡前から存在する瑕疵があった。 この遺言では、事例1と異なり、「どれも全く問題ない商品で」という文言が存在する。この文言は、遺言者が「どれも全く問題ない商品」すなわち瑕疵のない物をAに遺贈する意思を表示していたと考えることもできる。 現実にこのような遺言がなされた場合には、その他の事情も考慮して遺言者の意思を解釈することとなろうが、瑕疵のない物を遺贈する意思表示であったとなれば、遺贈義務者はAに対し担保責任を負うことになる。 -事例3- 個人で自動車販売店を営んでいた被相続人が、「店舗内の在庫自動車は、どれも全く問題ない商品で、これら全てAに遺贈する」との遺言を作成していた。遺贈義務者はAに在庫自動車を引き渡したが、Aが「自動車に瑕疵があった。」と主張してきた。 本事例では、受遺者Aが、遺贈目的物に瑕疵があったと主張している。しかも被相続人は、瑕疵のない物を遺贈する意思を表示していたとも考えられ、瑕疵について、遺贈義務者はAに対し担保責任を負わねばならないようにも思える。 しかしこの場合でも、瑕疵が引渡し後に生じたものであれば、遺贈義務者が担保責任を負わなくてよいのは当然である。そして、「瑕疵が引渡前に存在していたこと」は、Aの側で証明しなければならない事実である。したがって遺贈義務者は、自動車に瑕疵があったとしても、まずは瑕疵が引渡し前に存在していたといえるだけの根拠があるかを確認する必要がある。 -事例4- 個人で自動車販売店を営んでいた被相続人が、「店舗内の在庫自動車は、どれも全く問題ない商品で、これら全てAに遺贈する」との遺言を作成していた。在庫自動車のうち1台は、第三者の物であった。 遺贈目的物が他人物であった場合、原則として当該遺贈は無効である(改正前民法996条本文、改正無し)。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない(改正前民法996条但書。改正無し)。 本事例では、「どれも全く問題のない商品で」と遺言されていることから、被相続人としては、在庫自動車に他人物があるとは考えていなかったと思われる。被相続人の考えがこのようなものであった場合、「相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたもの」ではなく、単に勘違いしていたに過ぎないことになるから、他人物であった自動車については、遺贈は無効である(ただし、占有が長期間継続していれば、時効取得が成立する可能性はある)。 したがって、この場合、担保責任の問題とはなり得ない。 -事例5- 個人で自動車販売店を営んでいた被相続人が、「店舗内の在庫自動車には、第三者の物もあると思うが、Aに遺贈する」との遺言を作成していた。在庫自動車のうち1台は、第三者の物であった。 この場合、遺言者の意思としては、「第三者の物があったとしても、第三者から所有権移転を受けてAに遺贈したい」というものとも考えられる。このように解釈できた場合、改正前民法996条但書により、遺贈は有効であり、遺贈義務者は第三者から自動車の所有権を取得し、Aに自動車を引き渡す義務を負う(改正前民法997条1項。改正無し)。この義務を履行できない場合、遺贈義務者は、改正後民法998条により担保責任を負うことになる。 もっとも、遺言者の意思を「第三者の物があった場合、それは除いてAに遺贈する」と解釈することもできる。この場合は、第三者所有物は遺贈の目的物となっていないのだから、遺贈義務者は遺贈者の所有していた自動車のみを引き渡せば足りる。   3 終わりに 担保責任については、主に売買の場面で問題となることが多いが、遺贈の場面でも問題とはなり得る。表示された意思解釈の問題という点では売買も遺贈も同様であるが、遺贈では遺言者の意思が推定される点、立証責任の点に留意されたい。またご理解されていることとは思うが、遺言作成業務を行う場合には、遺言者の意思が明確に表示されているかという点、遺言が発見された場合には、遺言者の意思を依頼者にとって有利に解釈する余地がないか検討されたい。   (了)

#No. 320(掲載号)
#阪本 敬幸
2019/05/30

今から学ぶ[改正民法(債権法)]Q&A 【第7回】「債権譲渡(その2)」

今から学ぶ [改正民法(債権法)]Q&A 【第7回】 「債権譲渡(その2)」   堂島法律事務所 弁護士 奥津  周 司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   【Q】 第三債務者の債権譲渡に対する「異議をとどめない承諾」の制度が、改正により廃止されるということですが、現行と改正後ではどのような違いがあるのでしょうか。 【A】 下記の事例を元に、改正によってどのように変わるかを紹介する。 現行法では、債権が譲渡された場合、債務者が譲渡人に弁済等を行った事実(抗弁)があった場合でも債権譲渡について「異議をとどめない承諾」をした場合には、譲受人にその事実を対抗できないとされている(現行法468条1項)。 つまり、上記の事例では、A社はC社に対して「B社(譲渡人)にすでに30万円支払ったから、C社(譲受人)には70万円しか支払わない」とは、言えないということである。このような場合、A社としてはB社に対して支払った30万円の返金を求めることができる(現行法468条1項後段)。しかし、B社がすでに倒産していた場合などはA社が負担を被ることになる。 「異議をとどめない承諾」とは、「債権譲渡の事実」について異議をとどめず承諾をすることを意味し、必ずしも承諾によって債務者が譲受人に抗弁を主張することができなくなることまで認識している必要はない。 これではA社とC社の関係のように、法的な専門知識の理解に差がある場合には、A社が思わぬ損害を被る可能性がある。また、債権譲渡に直接関係しない債務者が、どうして異議をとどめずに承諾をしただけで抗弁権を失うのか、その根拠も乏しいなどと現行法に対して批判が強かった。 判例においても、債権の譲受人が抗弁権の存在について悪意の場合には、異議をとどめない承諾がなされたとしても、債務者は抗弁権を失わないとするなど(上記の例では、C社が30万円の弁済がすでになされていると知っていたならば、A社は弁済の抗弁を失わず、C社に支払うのは70万円で足りる)、債務者が抗弁権を失う場合を限定的に解釈する運用がなされてきた。 このような議論や判例等を背景に、改正法では、「異議をとどめない承諾」の制度は廃止され、債務者が異議をとどめない承諾をしたとしても、債務者は、譲受人に対して、譲渡人に対して主張できた抗弁権を主張できるものとした(改正法468条1項)。 債権譲渡の譲受人として、債務者からの抗弁の主張を防ぐためには、別途債務者から「B社に対する抗弁を放棄します」というように、明確に抗弁権を放棄する意思表示を受けることが必要になる。 もっとも、例えば、将来、債権譲渡のときに、将来発生する可能性のある全ての抗弁権を放棄するような意思表示が有効であるかについては疑問もあるし、どこまでの抗弁権放棄を求めるのかというのは慎重な検討が必要である。 改正法による実務上の影響としては、金融会社を中心に、契約実務の流れの見直しが必要になるといえるだろう。 (了)

#No. 320(掲載号)
#奥津 周、北詰 健太郎
2019/05/30

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例35】株式会社スペースバリューホールディングス「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」(2019.4.11)

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例35】 株式会社スペースバリューホールディングス 「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」 (2019.4.11)   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる適時開示は、株式会社スペースバリューホールディングス(以下「SVH」という)が2019年4月11日に開示した「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」である。第三者委員会の調査報告書を受領したのだが、そこでは不正会計の実態とその原因が明らかにされている。 確認すべき事項が生じたとして、2019年2月12日に「2019年3月期第3四半期決算発表の延期のお知らせ」を開示したのが、始まりだった。その後、特別調査委員会を設置したものの(2019年2月13日「特別調査委員会設置に関するお知らせ」)、調査範囲を拡大する必要が生じたため、第三者調査委員会を設置することになった(2019年3月11日「(開示事項の経過)特別調査委員会の調査状況及び第三者委員会設置に関するお知らせ」)。そして、1月が経過し、その調査報告書を受領したのである。 同社は、この調査報告書を受けて、過去の決算を訂正したうえで(2019年4月15日「日成ビルド工業株式会社に係る過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」)、2019年4月26日に「再発防止策の策定について」を開示している。 なお、調査報告書では、不正会計の一部が、代表の森岡篤弘氏(以下「森岡氏」という)の指示によるものだったことも明らかにされている(98~111頁)。その森岡氏は、今回の開示の前日に代表を退き(2019年4月10日「代表取締役の異動に関するお知らせ」)、その後、取締役も辞任している(2019年4月18日「取締役の辞任及び第三者委員会の調査状況を踏まえた当社の今後の方針について」)。   2 不正会計はなぜ生じたのか? 調査報告書は、①業績絶対主義、②先例主義、③権限と情報の偏在、④モニタリング無効化・機能不全、⑤人事配置を含む人事権の行使と懲戒処分、という5つの視点で整理することにより、不正会計の根本原因を導くことができるとしたうえで(178頁)、次のとおり、根本原因は森岡氏に由来するものだとしている(178~179頁)。   3 森岡氏の人物像 不正会計の根本原因とされる森岡氏は、「自身の意にそぐわない意見を発言した者に対して怒号を浴びせる」だけでなく、「暴力をふるう等の方法により他者の制止・助言を無視して独断専行を行ってい」たとのことである。上場会社の代表とは到底思えない人物なのだが、調査報告書では、反市場的勢力と交遊があったことも明らかにされている(137~141頁)。 調査報告書には、同氏の女性関係や酒席での行状についての記載もある。10時から18時までの間、従業員が一生懸命働いている間に、会社関係者とは思われない複数の女性と携帯でかなりの件数のやり取りをしていたり(141~143頁)、また、酒席では次のような行為に及んでいたとのことである(143頁)。 「■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■等の行為」の内容がとても気になるが、「破廉恥行為」(153頁)のようである。 第三者委員会による調査に対しても、次のような妨害ととれる行為を働いていた(187頁)。なぜこのような人物が上場会社の代表になったのだろうか。   4 暴君はどのようにして誕生したのか SVHにとって、森岡氏はまさに暴君だったと言えるだろう。なぜSVHは暴君に支配されることになったのか。森岡氏がその独裁体制を維持できた理由は、2の記載のとおりだが、代表就任時に次のようなことがあったとのことである(149頁)。 創業家出身だからという理由で、代表になってはいけない人物が代表となり、なった直後に、自身に逆らえない雰囲気を創り出すことに成功したのである。暴君になりたい人にとっては、参考になるエピソードかもしれない。   5 トップの資質 調査報告書の最後「第11 結語」の中に、次のような記載がある(187~188頁)。 そして、その後には次のような記載もある(188~189頁)。 トップが腐っていると、会社全体が腐ってしまうのだろう。SVHの事例は、決して稀なものではないのかもしれない。この事例を踏まえ、上場会社の経営陣と株主には、コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-3②を確認し、反芻していただきたい。「経営は特殊技能であり、個人の努力や知識、その血筋などだけで遂行できるものではない」はずである。 (了)

#No. 320(掲載号)
#鈴木 広樹
2019/05/30

《速報解説》 会計士協会、「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」を公表~会計上の論点に加えスキーム別の会計処理にも言及~

《速報解説》 会計士協会、「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」を公表 ~会計上の論点に加えスキーム別の会計処理にも言及~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年5月27日、日本公認会計士協会は、「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」(会計制度委員会研究報告第15号)を公表した。これにより、2018年12月14日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 これは、インセンティブ報酬の会計上の取扱いについて研究したものである。 なお、公開草案に対するコメントの概要とその対応も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 研究報告の概要 研究報告は、目次を含めて104ページに及ぶものであり、以下では、主な内容について解説する。 1 インセンティブ報酬に関する会計上の論点(総論) インセンティブ報酬に関する会計上の論点(総論)として、次のことが記載されている。 「② 費用計上額の測定日(事後的な時価の見直しの要否)」に関しては、費用計上額に焦点を当てて考えたときの時価測定の時点は、付与日(契約締結日)ということになり、また、発行されるオプション又は株式に焦点を当てて考えてみたときにおいても、時価測定の時点は、付与日(契約締結日)ということになると記載している(18ページ)。 2 インセンティブ報酬に関するその他の会計上の論点(各論) インセンティブ報酬に関するその他の会計上の論点(各論)として、次のことが記載されている。 3 株価連動型金銭報酬 「⑥ 株価連動型金銭報酬における取扱い」に関して、株価連動型金銭報酬とは、株式の発行や自己株式の処分は伴わず、金銭(現金)によって役員等に給付される報酬であるものの、当該報酬の額が自社ないし親会社等の株価に連動して決定されるような報酬をいい、我が国の会計基準等において、株価連動型金銭報酬の会計処理は特に定められておらず、会計上の定義についても明文の定めはないと記載されている(52ページ)。 一般的に、株価連動型金銭報酬に区分される報酬制度としては、仮想的に株式を交付するか否かによって、次の2つに区分されるとのことである(52ページ)。 4 時価発行新株予約権信託 公開草案では記載されていた、「Ⅴ インセンティブ報酬に関するその他の会計上の論点(各論)」「9.信託を用いるスキームにおける取扱い」「(3) 時価発行新株予約権信託」については削除されている(コメント対応No.1、2)。 5 強制行使条項 強制行使条項とは、一定の条件を満たした場合、新株予約権等を強制的に行使させる条項であり、株価の一定値までの下落を条件とする条項が一般的である(51ページ)。 この場合、新株予約権等の引受側が損失を被らないよう、強制行使条項が発効する際に当初条件から行使価格の切下げが行われる場合もあれば、行使価格が変わらずに権利行使の際に損失が生じる場合もある。 強制行使条項は、株価に連動した条項ではあるものの、業績条件(株価条件)に該当するかどうかは判然としないとのことである(51ページ)。 このように、会計基準上の取扱いは明示されておらず、実務上は、強制行使条項が付された経緯なども勘案することが考えられるが、当該会計処理について会計基準等において明確化されることが望まれるとのことである(51ページ。コメント対応No.19、20も参照)。 6 インセンティブ報酬のスキーム別の会計処理上の論点 インセンティブ報酬のスキーム別の会計処理上の論点として、次のことが記載されている。 (了)

#No. 319(掲載号)
#阿部 光成
2019/05/29

《速報解説》 新たな会計基準開発を提言した「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」が公表される

《速報解説》 新たな会計基準開発を提言した 「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」が公表される   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年5月27日、日本公認会計士協会は、「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」(会計制度委員会研究報告第16号)を公表した。これにより、2018年12月14日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 我が国には、偶発事象に関する会計基準は存在せず、偶発債務等の注記は規定されているが、偶発事象(偶発損失及び偶発利益)の定義や会計上の取扱いに関するルールが定められていないとのことである。 研究報告は、企業活動の複雑化に伴い、企業が責任や損失負担を求められる可能性が増加している現状を踏まえ、偶発事象に関する会計上の取扱いの考察や偶発事象の開示又は認識時点の適時性に関する検討を行ったものである。 なお、公開草案に対するコメントの概要とその対応も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 研究報告の概要 研究報告は、目次を含めて40ページに及ぶものであり、以下では、主な内容について解説する。 1 偶発事象の定義 偶発事象について、現行の日本基準では特に定義はないとのことである。 日本公認会計士協会が過去に公表していた監査基準委員会報告書第2号(中間報告)「特記事項」(1992年(平成4年)11月11日公表、2003年(平成15年)2月18日廃止)の偶発事象の定義や、「監査マニュアル」(監査第一委員会研究報告第1号)の「4090偶発債務に関する監査手続書」を用いて検討している。 すでに廃止された監査基準委員会報告書第2号(中間報告)「特記事項」では、偶発事象を次のように定義していた。 なお、IFRSのIAS 第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」では引当金、偶発負債及び偶発資産についての定義は定められているものの、偶発事象の定義は定められていないとのことである(4ページ)。 2 日本公認会計士協会の提言 日本公認会計士協会として、偶発債務の我が国の会計上の取扱いについて、次の取扱いを検討すべきではないかと考えるとのことである(22ページ)。 我が国においては存在していない偶発事象全般に関する会計基準を新たに開発することを検討することが望ましいと考えられるとのことである(30ページ)。 (了)

#No. 298(掲載号)
#阿部 光成
2019/05/28

《速報解説》 国税庁HPで令和対応の「税務代理権限証書」様式がアップされる~令和元年5月1日以降提出分から新様式を使用~

《速報解説》 国税庁HPで令和対応の「税務代理権限証書」様式がアップされる ~令和元年5月1日以降提出分から新様式を使用~   Profession Journal編集部   5月1日から新元号「令和」が始まり、既報の通り改正省令によって税務関係の申告書等様式も改められることになったが、このほど国税庁ホームページ上において、新元号に対応した「税務代理権限証書」の様式がアップされた(PDFファイルで入手可能)。 改訂された新様式では、提出日付における令和の記載に加え、「1 税務代理の対象に関する事項」として各税目の「年分等」を記載する欄が「平成」と「令和」を選択する形になっている。 冒頭紹介の改正省令附則や国税庁HP「新元号に関するお知らせ」では当面の間、旧様式を使用しても有効なものとして取り扱うとしているが、原則として令和元年5月1日以降に提出する場合はこの新たな様式を使用することとされているため、日本税理士会連合会もホームページ上で周知を図っている。 3月決算法人の法人税申告期限が近づいているところだが、留意しておきたい。 (了)

#No. 319(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/05/24

プロフェッションジャーナル No.319が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年5月23日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.319を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/05/23

日本の企業税制 【第67回】「政府税調専門家会合で検討進む「連結納税制度の見直し案」」~第3回会合資料(2019.4.18)から~

日本の企業税制 【第67回】 「政府税調専門家会合で検討進む「連結納税制度の見直し案」」 ~第3回会合資料(2019.4.18)から~   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   〇連結納税制度に関する第3回専門家会合 4月18日に、政府税制調査会の連結納税制度に関する専門家会合(第3回)が開かれた。第3回会合では、2月に開かれた前回(第2回会合)資料で「次回以降の検討項目(案)」(【連2-4】14ページ)として掲げられた3点のうち、 の2点について検討が行われた。 残された課題である「連結固有のグループ調整計算の要否」については、次回(第4回会合)で検討される予定である。なお、すでに第3回会合の資料(【連3-2】17ページ)では、「グループ調整計算の見直しに当たっての基準」として次の事項が提示されている。 連結納税制度を採用している企業グループにおいては、研究開発税制や外国税額控除など、グループ計算のメリットが重視されており、これらの取扱いが注目される。   〇連結親法人の連結開始前欠損金 現行の連結納税制度のもとでは、連結開始前の連結親法人の欠損金は、連結欠損金とみなされて、連結納税制度適用後は、連結グループ全体の損益通算の対象となる。 しかし、今回提示された方向は、連結親法人の連結開始前欠損金は、特定連結子法人の欠損金と同様、当該連結法人の個別所得金額の範囲内で損金算入を認めるというものになっている。その理由として、次の事項が指摘されている(【連3-2】10ページ)。   〇連結子法人の連結開始・加入前の欠損金、時価評価 一方、連結子法人の連結開始・加入前の欠損金や時価評価に関しては、組織再編税制との整合性を踏まえ、また、欠損金の利用を主目的とした恣意的な税負担の調整が行われないよう必要な措置を講ずる観点から、欠損金の切捨て・時価評価課税の対象を縮小するとともに、組織再編税制と同様に、含み損益の利用制限を適用するカテゴリーを設けることが提案されている。 現行の連結納税制度のもとでは、特定連結子法人に該当しない限り時価評価課税の対象となるが、今回の提案を見ると、連結納税開始の場合には、開始時において連結親法人との間で完全支配関係があり、かつ、完全支配関係が継続することが見込まれていれば、時価評価課税を免れることとなると考えられる。 また連結納税グループへの加入に際しても、一定の要件(完全支配関係継続、従業者継続、事業継続等)を充足すれば、金銭買収による加入であっても時価評価課税の対象から外れることとなる。また、加入の場合、特定連結子法人の1つとして、適格合併・適格株式交換等に係る被合併法人等の5年超保有連結子法人(いわゆる連れ子)があるが、今回の提案では「5年超保有」が求められなくなる(【連3-2】13ページ)。 ただし、時価評価課税の対象とならない場合であっても、支配関係が5年以内であり、かつ、共同事業性がない場合にあっては、開始・加入前の欠損金の切捨てとともに、開始・加入前の含み損益の利用制限が適用されることに注意しなければならない。 (了)

#No. 319(掲載号)
#小畑 良晴
2019/05/23

これからの国際税務 【第13回】「無形資産についての移転価格課税」-平成31年度税制改正-

これからの国際税務 【第13回】 「無形資産についての移転価格課税」 -平成31年度税制改正-   21世紀政策研究所 国際租税研究主幹 青山 慶二   1 改正の背景 BEPS最終報告書の中で最も時間をかけて検討されたテーマの1つが、無形資産についての移転価格課税である。 グローバルに大規模展開するデジタル企業に典型的にみられるように、高度のR&D投資により取得された無形資産は、グループに巨大な超過収益をもたらす一方、従来の移転価格課税手法では的確な課税が困難といわれてきた。 BEPSプロジェクトはこれに対し、①比較対象取引が特定できない場合に予測キャッシュフロー等の評価技術を追加、②一定の評価困難な無形資産取引に対し、価格算定の基礎となる予測と実際が乖離した場合の税務当局による是正権限の付与、を勧告した。 我が国の平成31年度税制改正は、これらを反映したものである。   2 改正内容 (1) ディスカウント・キャッシュフロー法の採用 多国籍企業のM&A対価算定に際して普及しているディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法を独立企業間価格の算定方法として追加した(措法令39条の12第8項)。これにより、伝統的な基本三法、取引単位営業利益法及び利益分割法の5方式の下では対応が困難であった無形資産取引の独立企業間価格について、確実なバックアップとなる算定方法がそろったと評価される。 ただし、この手法の下では、将来事業計画の見透しと合理的と認められる割引率の採用などについて実施上のガイダンスが必要とされ、国税庁の対応が待たれる。 (2) 特定無形資産についての所得相応性基準の採用 DCF法の追加に伴い、そのもとで当初の見透しの前提となった事項と異なる事実が事後的に判明した場合に税務署長に更正権限を与える「特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置」も新設された(措法66条の4第8~11項)。 これは、納税者と課税当局間にある無形資産に係る情報の非対称性に鑑み、米国移転価格税制が先行採用してきた「所得相応性基準」と呼ばれる結果に基づく価格調整措置に相当するものである。なお、本制度の前提として、移転価格税制上の無形資産とは、「有形資産及び金融資産を除く特許権、実用新案権等の資産で譲渡・貸付けに際し対価が支払われるべきもの」と定義されている。 本制度の適用に際してポイントとなるのは、①対象となる「特定無形資産」の範囲と、②価格調整措置の「適用免除要件」の2点である。 ①については、固有の特性を持つ高付加価値創出の無形資産で、DCF法により独立企業間価格が算定されたが、その算定のための前提事項に著しく不確実な要素を持っていたもの、とされている。要は、情報の非対称性がもたらす課税当局にとって高リスクの取引に適用を限定する趣旨である。 また、②については、「発生可能性勘案要件」と「利益相違要件」の2つの適用除外要件が規定された。 前者は前提となる事項について相違が発生したが、それが災害その他これに類するものであって納税者において取引時に発生の予測が困難であるか、または、発生の可能性を適切に勘案して対価算定を行っていたことを証する書類が提出された場合とされている。 後者については、収入が計上された最初の5年間において予測利益と実際利益の差が累計で20%以内にとどまっていることを証する書類を提出すれば、5年経過後に価格調整措置は発動されることはないとするもので、いわゆる“セーフハーバー”と呼ばれる閾値である。 所得相応性基準について、従来のOECD移転価格ガイドライン(第9章)においては、後知恵に基づく更正としてその適用には慎重なスタンスがとられてきたが、BEPSにより発動のメカニズムについての検討・合意が進んだことを受け、各国でも我が国同様、国内法化が促進されるものと推測される。 ただし、導入済みの米国においてもその事後的な発動数は多くはないとされており、その背景には、納税者が上記の文書化等により事前確認(APA)を通じた独立企業間価格の事前確定をするなどの方向で、評価困難な無形資産に関する税務に取り組んでいる実態がうかがわれる。 我が国納税者がAPAでの合意あるいは調査による事後的な適用除外基準の主張をするにあたって、特に発生可能性勘案要件に関して文書化による適切な証明責任を果たすためには、当局発出の実務ガイダンスが必要であると考えられ、それにより今後の実務事例が集積されれば、立証責任の相場観が確立していくものと期待される。 (3) その他 長期的な見透しを根拠としたDCF法の採用への対応も勘案して、更正の請求、更正・決定の各期間及び徴収権の消滅時効について、従来6年とされていたものが7年に延長された。また、比較対象取引に係る差異の調整方法として、統計的手法に基づく方法(4分位法)の採用も認められている。 ◆  ◆  ◆ なお、以上の改正内容は施行準備の必要性を勘案し、令和2年4月1日以降開始の事業年度分の法人税から適用されることとされた。 (了)

#No. 319(掲載号)
#青山 慶二
2019/05/23
#