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《速報解説》 金融庁、時価算定基準の公表受け財務諸表等規則等の改正(案)を公表~令和2年度税制改正大綱にも新基準導入に伴う規定見直しについて記載~

《速報解説》 金融庁、時価算定基準の公表受け財務諸表等規則等の改正(案)を公表 ~令和2年度税制改正大綱にも新基準導入に伴う規定見直しについて記載~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年12月12日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、下記①から⑬の改正(案)について、意見募集を行っている。 これは、2019年7月4日に「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号)等が公表されたことを受けたものである。 意見募集期間は令和2年1月14日までである。 また、「令和2年度税制改正大綱」(令和元年12月12日、自由民主党・公明党)では、後述するように、「時価の算定に関する会計基準」の導入に伴う整備について記載されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 以下では、財務諸表等規則に関する改正について解説する。 1 市場参加者の定義(財規(案)8条関係) 「市場参加者」の定義を示し、時価の算定の対象となる資産もしくは負債に関する取引の数量及び頻度が最も大きい市場、当該資産の売却による受取額を最も大きくすることができる市場又は当該負債の移転による支払額を最も小さくすることができる市場において売買を行う者であって、一定の要件をすべて満たす者とする(財規(案)8条64項)。 そのほか、時価の算定に係るインプット、観察可能な時価の算定に係るインプット、レベル1、2及び3について定義する(財規(案)8条65項~68項)。 2 金融商品に関する注記(財規(案)8条の6の2関係) 金融商品の時価を当該時価の算定に重要な影響を与える時価の算定に係るインプットが属するレベルに応じて分類し、その内訳に関する次に掲げる事項を注記する。 財務諸表等規則ガイドラインでは、留意点が詳細に規定されている。 財規(案)8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、市場価格のない株式、出資金その他これらに準ずる金融商品については、同項第2号に掲げる事項の記載を要しない。この場合には、その旨並びに当該金融商品の概要及び貸借対照表計上額を注記しなければならない。 3 棚卸資産に関する注記(財規(案)8条の33関係) 従来の「たな卸資産」を「棚卸資産」と表記し、市場価格の変動により利益を得る目的をもって所有する棚卸資産については、財規(案)8条の6の2第1項3号の規定に準じて注記しなければならないとする(重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる)。 当該事項は、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない。 なお、「期首たな卸高」を「期首棚卸高」と表記する改正なども行われている。   Ⅲ 施行日等 公布の日から施行予定である(経過措置に注意されたい)。 次の附則(案)も規定されている。   Ⅳ 令和2年度税制改正大綱における関係規定の整備 「時価の算定に関する会計基準」の導入に伴い、次の整備を行う(税制改正大綱79、80ページ)。 上記の改正は、令和2年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する(経過措置に注意されたい)。 (了)

#No. 348(掲載号)
#阿部 光成
2019/12/17

《速報解説》 企業会計審議会、「監査基準の改訂に関する意見書」を受け「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」等を改訂

《速報解説》 企業会計審議会、「監査基準の改訂に関する意見書」を受け 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」等を改訂   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年12月6日付(ホームページ掲載日は12月13日)で、企業会計審議会は、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」を公表した。これにより、令和元年9月6日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(平成30(2018)年7月5日)において財務諸表監査における監査報告書の記載区分等が改訂されたことから、内部統制監査報告書についても改訂するものである。 公開草案に対するコメントの概要及びコメントに対する考え方も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 主な改訂は次のとおりである。   Ⅲ 適用時期等 改訂基準及び改訂実施基準は、令和2(2020)年3月31 日以後終了する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用する。 (了)

#No. 348(掲載号)
#阿部 光成
2019/12/17

《速報解説》 金融庁、継続的な差異開示を廃止する開示府令の改正案を公表~IFRS任意適用拡大促進の観点から企業の開示負担軽減等を図る~

《速報解説》 金融庁、継続的な差異開示を廃止する開示府令の改正案を公表 ~IFRS任意適用拡大促進の観点から企業の開示負担軽減等を図る~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年12月12日、金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案を公表し、意見募集を行っている。 これは、IFRS任意適用の拡大促進の観点から、指定国際会計基準を適用する企業の開示負担の軽減等を図るためのものである。 意見募集期間は令和2年1月14日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 第二号様式(有価証券届出書)の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(記載上の注意)(32)のeとfを改正し、継続的な差異開示を廃止するものである。 別紙1(下図)の「日本基準からIFRSに移行した企業の提出書類の見直し(案)(X2年3月期の年度末より指定国際会計基準を適用した場合)がわかりやすい。 (※) 金融庁ホームページより   Ⅲ 施行日等 公布の日から施行予定である(経過措置に注意されたい)。 (了)

#No. 348(掲載号)
#阿部 光成
2019/12/17

《速報解説》 交際費等の損金不算入制度の特例、2年延長も、接待飲食費特例から資本金100億円超の法人を除外~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 交際費等の損金不算入制度の特例、2年延長も 接待飲食費特例から資本金100億円超の法人を除外 ~令和2年度税制改正大綱~   税理士 小林 穣   令和2年3月31日で期限切れとなる交際費等の損金不算入制度の特例については、先月の一部新聞等において大企業向けの減税措置が廃止されるとの報道も見られたが、令和元年12月12日に公表された令和2年度税制改正大綱(与党大綱)では、中小企業向けの特例措置を含め制度全体を2年延長する一方で、接待飲食費に係る損金算入の特例の対象から資本金の額等が100億円を超える法人を除外することが明記された。   1 現行制度の概要 交際費等の額は、原則として、その全額が損金不算入とされているが、損金不算入額の計算に当たっては、資本金の額又は出資金の額に応じ、一定の特例措置が設けられている(平成26年4月1日から令和2年3月31日までの間に開始する各事業年度)。 〔A〕 期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である等の法人 損金不算入額は、下記①②のいずれかの金額となる。 〔B〕 上記〔A〕以外の法人 損金不算入額は、上記〔A〕の①の金額となる。 *  *  * なお、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等は、期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下であっても、〔A〕ではなく、〔B〕に従って損金不算入額を計算する。   2 改正内容 上記1の適用期限が令和4年3月31日まで2年延長された上で、〔A〕の①(接待飲食費に係る損金算入の特例)を適用できる法人から、その資本金の額等が100億円を超える法人が除外される(税制改正大綱P62・69)。 この対応について大綱では、「一部の大企業において、接待飲食費の特例によって交際費が大きく変化している状況とは言えず、現預金の大幅な減少に寄与していない」ことを理由に、投資や賃上げを促すための措置の一環としている(税制改正大綱P3)。 なお大綱では、交際費等の範囲に関する記述は見られないことから、いわゆる接待飲食費の5,000円基準は存置されると思われる(すなわち今回の改正案で適用除外とされる企業にも継続して適用される)。 (了)

#No. 348(掲載号)
#小林 穣
2019/12/16

《速報解説》 関連資料の不提示等及び相続国外財産に係る「国外財産調書制度」の見直し~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 関連資料の不提示等及び相続国外財産に係る 「国外財産調書制度」の見直し ~令和2年度税制改正大綱~   税理士 菅野 真美   1 現行の制度と問題点 国外財産調書制度とは、12月末現在の国外財産が5,000万円超の非永住者以外の居住者が、その種類や価額を記載して提出する義務のある調書である。この調書に記載された国外財産について、将来、所得税や相続税の税務調査で増差税額が生じた場合、加算税が5%軽減され、調書不提出・記載不備の場合は所得税について加算税が5%加重されていた。 現行制度の問題点として、調書に記載さえすれば、関連資料の不提示・不提出であったとしても軽減措置が適用され、相続税については、たとえ、国外財産調書の不提出・記載不備であったとしても加算税の加重措置は適用されず、これでは、国外財産についての適正な課税の確保が難しいと考えられていた。 このような状況を受け、12月12日に公表された令和2年度税制改正大綱(与党大綱)では以下のように、本制度の見直しが行われることが明記された。   2 改正案の概要 (1) 相続直後の相続国外財産の記載 相続開始年の12月31日基準の国外財産調書については、相続人等は相続等により取得した国外財産を記載しないで提出することができる。年末近くに相続があった場合、相続人等が被相続人の国外財産を把握することが難しい実務に配慮したからと考える。この判定方法は財産債務調書における相続財産も同様である。 (2) 相続税の加算税の加重措置 現行税制では、相続税については、調書の不提出・記載不備であったとしても加算税の加重はなされなかった。しかし、改正案では、相続国外財産に対する相続税に関して修正申告等があった場合においても、原則的には、加算税の加重措置の適用対象となる。ただし、相続人が全く知らない相続国外財産が見つかったような場合は、加重措置は適用されないと考える。 (3) 相続税の修正申告等があった場合の加算税の判定基礎 相続税の修正申告等があった場合、加算税の軽減・加重措置の判定の基礎となるのは下記3つの調書であり、軽減措置は、いずれか1つの調書について要件が満たされていれば適用となる。たとえ被相続人が調書未提出であったとしても、相続人が相続開始年の翌年に記載のある調書を提出して要件を満たせば軽減措置は可能と考える。また、加重措置は下記3つの調書すべてについて不提出・記載不備であれば、原則的には、適用になると考える。 (4) 関連資料不提示等の場合の軽減不適用、加算税の加重 改正案では、税務署等の職員から、国外財産の取得、運用、処分に関連する書類のうち通常なら保存し又は入手が可能なものについて提示等を求められた場合において、提示等のあった日から60日以内の指定日までに、国外財産を有する人がその書類の提示等をしなかった場合は、加算税の軽減措置は不適用となり、加重措置における加算割合は、原則的には、10%(適用前の割合は5%)となる。 (5) 施行時期 (1)の改正案は、令和2年分以後の国外財産調書や財産債務調書について適用される。 また、(2)(3)(4)の改正案は、令和2年分以後の所得税、令和2年4月1日以後の相続等により取得する財産に係る相続税について適用される。 (了)

#No. 348(掲載号)
#菅野 真美
2019/12/16

《速報解説》 固定資産税における所有者不明土地対策として現所有者(相続人等)の届出義務化・使用者を所有者とみなす改正~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 固定資産税における所有者不明土地対策として 現所有者(相続人等)の届出義務化・使用者を所有者とみなす改正 ~令和2年度税制改正大綱~   弁護士 羽柴 研吾   1 はじめに 令和元年12月12日に公表された「令和2年度税制改正大綱(与党大綱)」において、所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応が明記された。 近年、所有者不明土地等が全国的に増加しており、公共事業や生活環境に様々な課題を生じさせおり、固定資産税の課税の局面においても、所有者情報を円滑に把握することが課題なっていた。 与党大綱は、このような背景を踏まえ、所有者不明土地等に係る固定資産税の課題に対応するための方針を示すものである。   2 「現に所有している者」の申告の制度化 固定資産税の納税義務者は、原則として、固定資産の所有者である(所有者課税の原則:地方税法第343条第1項)。この「固定資産の所有者」とは、その年度の属する年の1月1日現在において、土地又は家屋の登記簿等に所有者として登記又は登録されている者をいう(地方税法第343条第2項前段)。また、所有者として登記又は登録等されている者が賦課期日前に死亡している場合には、賦課期日において、土地又は家屋を現に所有している者(相続人等)が納税義務者になる(同項後段)。 しかしながら、相続が発生した場合でも相続登記が行われない事案も少なからずあり、地方公共団体としては、その所有者の特定に多大な時間と労力を要してきたところであった。 そこで、与党大綱においては、登記簿上の所有者が死亡し、市町村の条例で定めるところによって、土地又は家屋を現に所有している者(相続人等)に対し、氏名・住所等必要な事項を申告させることができることとされた。なお、届出義務違反があった場合、固定資産税の他の申告制度と同様の罰則が設けられることが予定されている。 この与党大綱に基づく改正は、令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現に所有している者であることを知った者について適用することが想定されている。   3 使用者を所有者とみなす制度の拡大 地方公共団体の課税の現場では、固定資産を使用している者がいるにもかかわらず、所有者が正常に登記されていないなどの事情によって、調査を尽くしても所有者が一人も特定できないケースが存在する。また、地方公共団体が使用者に対して所有者の調査をするために協力を要請しても、使用者から協力を得られないなどの事情によって、所有者の特定に支障が生じる場合もある。 このような場合に、誰に対しても課税できないことは、課税の公平性から問題がある旨指摘されてきたところである。 現行の地方税法にも、固定資産の使用者等を所有者とみなし、納税義務者として課税するための条項が存在する(地方税法第343条第4項)。しかしながら、従来の裁判例においては、条文上、不明の原因が「震災、風水害、火災」とされていることから、「その他の事由」には、震災、風水害、火災に類する異常な自然現象が人為的原因による被害によるものが含まれ、過去の歴史的経緯等によって調査をしても現在の所有者が不明である場合は含まれないとされてきた(大阪高判平成28年3月10日判例秘書等参照)。 そこで、与党大綱では、市町村が調査を尽くしても固定資産の所有者が1人も明らかとならない場合には、使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができることとする方針が明記された。また、使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録する場合には、その旨を事前に使用者に通知するものとすることとされた。 この与党大綱に基づく改正は、令和3年度以後の年度分の固定資産税について適用することが想定されている。 (了)

#No. 348(掲載号)
#羽柴 研吾
2019/12/16

《速報解説》 オープン・イノベーション促進税制の創設~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 オープン・イノベーション促進税制の創設 ~令和2年度税制改正大綱~     辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健   令和2年度税制改正では、企業の事業革新につながるオープン・イノベーションを促進する観点から、次世代のイノベーションを担うベンチャー企業への出資について一定の所得控除を認める新たな税制措置が講じられる予定である。 (1) 背景 現状、日本企業は、欧米に比べて十分な付加価値を乗せることができておらず、その差は開く一方である。製品・サービスの付加価値を高めるためには、既存企業とベンチャー企業とが連携して行うオープン・イノベーションの促進を急ぐ必要がある。そのためには、既存企業が人材・技術・資本の閉鎖的な自前主義、囲い込み型の組織運営を脱し、開放型、連携型の組織運営に移行しなければならない。 そこで、オープン・イノベーションを促進し、既存企業の有するリソースを最大限活用するとともに、ユニコーン級のベンチャーの育成を図り、国際競争力を強化するために新税制が創設されることになった。 (2) 制度概要 対象法人が、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に特定株式を取得し、かつ、これをその取得した日を含む事業年度末まで有している場合において、その特定株式((4)参照)の取得価額の25%以下の金額を特別勘定の金額として経理したときは、その事業年度の所得の金額を上限に、その経理した金額の合計額を損金算入できる。 (3) 対象法人 青色申告書を提出する法人で特定事業活動を行うものが対象となる。「特定事業活動を行うもの」とは、自らの経営資源以外の経営資源を活用し、高い生産性が見込まれる事業を行うこと又は新たな事業の開拓を行うことを目指す株式会社等をいう。 国内の事業会社とコーポレート・ベンチャー・キャピタルによる出資が対象となる。投資法人などによる出資は認められない。 (4) 特定株式 特別新事業開拓事業者の株式のうち、次の要件を満たすことにつき経済産業大臣の証明(注)があるものをいう。「特別新事業開拓事業者」とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者のうち特定事業活動に資する事業を行う内国法人(既に事業を開始しているもので、設立後10年未満のものに限る)又はこれに類する外国法人をいう。なお、大企業のグループ会社への出資は対象とならない。 (注) 出資後に企業から提出を受けた資料を、経済産業省において確認し、出資した年及び特定期間(5年間)中、経済産業大臣が証明する。 (5) 優遇措置 特定株式の取得価額の25%以下の金額を特別勘定の金額として経理することを前提に、その経理した金額の合計額の損金算入が認められる。ただし、その事業年度の所得の金額が上限とされる。 (6) 特別勘定の取崩し 次に掲げる場合は、特別勘定を取り崩し、益金算入する必要がある。ただし、特定期間(5年間)保有した株式についてはこの限りでない。 【制度概要図】 (※)CVC=コーポレートベンチャーキャピタル (注) 自由民主党税制調査会資料をもとに作成(一部筆者の加筆あり) (了)

#No. 348(掲載号)
#安積 健
2019/12/16

《速報解説》 子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応~令和2年度税制改正大綱~

《速報解説》 子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応 ~令和2年度税制改正大綱~   弁護士 木村 浩之   令和元年12月12日公表の与党大綱において、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応が明記された。本稿ではその概要について解説を行う。 1 改正の背景 法人が一定の子会社から受け取る配当については、所定の割合で益金不算入とされる。すなわち、子会社が外国法人である場合には、25%以上の保有割合という要件を満たせば、子会社からの配当の95%が益金不算入とされる(法法23の2①)。また、子会社が内国法人である場合には、保有割合に応じて益金不算入額が異なるが、保有割合が3分の1を超える子会社からの配当は基本的に全額が損金不算入とされる(法法23①)。 これを利用して、買収等によって法人が子会社株式を取得した後、当該子会社から配当を実質的に無税で受け取り、かつ、配当に伴って価値が下落した状態の株式を取得価額よりも低い金額で譲渡することで、譲渡損失を生じさせることが可能となる。例えば、内国法人が外国法人株式を対価100で取得するとすれば、その帳簿価額は100となる。その後、子会社となった外国法人から70の配当を受け取るとその95%が益金不算入となる一方で、株式の価値は70だけ下落する。この時点で株式を対価30で譲渡するとすれば、帳簿価額100との差額である70の譲渡損失が生じ、それに伴って法人税額が減少することになる。 これが濫用的になされるとすれば、法人税の負担を不当に減少させる結果となるが、我が国においても実際にそのような事例がみられた。そこで、今回の改正では、かかる租税回避に対応するため、子会社配当に係る子会社株式の帳簿価額を調整する措置(以下「調整措置」という)が設けられることになった。 なお、この改正については、大綱では適用時期が明らかにされておらず、その注視が必要である。   2 改正の概要 調整措置は、保有割合が50%を超える子会社から配当を受ける場合に、その株式の帳簿価額から当該配当に係る益金不算入相当額を減額するというものである。このように帳簿価額を引き下げることで、配当を受け取った後に、配当によって価値が下落した株式を当初の取得価額よりも低い金額で譲渡したとしても多額の譲渡損失は生じないことになる。 調整措置の対象となるのは、保有割合が50%を超える場合であるが、これは保有割合が50%以下である場合には濫用のおそれが相対的に小さいと考えられたことによるものと思われる。 また、配当の額(年間の累計額)が株式の帳簿価額の10%以下(もしくは2000万円以下)である場合又は株式取得後に増加した利益剰余金を原資としうる場合にも濫用のおそれが小さいことから、対象外とされる。さらに、株式取得から10年経過後に配当がなされた場合も濫用のおそれが小さいものとして対象外とされている。   3 対象となる子会社 今回の改正の重要な点として、調整措置の対象となる子会社は基本的には外国法人である。これは、外国法人の場合、当該法人が得た所得について日本が課税権を行使する機会が一度もないことから、租税回避がなされた場合の弊害が強いと考えられたことによるものと思われる。すなわち、日本の国内源泉所得でない限り外国法人は日本では課税されず、さらに当該法人から配当がなされたとしても受取配当の益金不算入によって日本で課税ができないとすれば、その所得については日本では何らの課税もなされないことになる。それにもかかわらず譲渡損失を認めるとすれば、日本の課税権は浸食されることになると考えられる。 これに対して、内国法人の場合、当該法人が得た所得については源泉地を問わずに日本で法人税の課税対象となることから、その所得は課税済みであるといえる。そこで、当該法人からの配当について益金不算入を認めたとしても、少なくとも一度は課税権を行使する機会があったものであり、さらに譲渡損失を認めたとしても日本の課税権は浸食されないといいうる。このようなことから、純粋な内国法人については、調整措置の対象から除かれている。 ただし、子会社が内国法人であっても、その子会社株式を取得する前の非居住者・外国法人の保有割合が10%を超える場合(居住者・内国法人の保有割合が90%未満である場合)には、一定程度日本の課税権が失われる(非居住者・外国法人が内国法人から受け取る配当は国内源泉所得として日本で課税することが可能であった)ことから、租税回避による弊害が生じるものと考えられる。そこで、そのような内国法人については、子会社が外国法人である場合と同様、調整措置の対象になるものとされている。 (了)

#No. 348(掲載号)
#木村 浩之
2019/12/13

《速報解説》「連結納税制度」の見直しと「グループ通算制度」の創設~令和2年度税制改正大綱~

 《速報解説》 「連結納税制度」の見直しと「グループ通算制度」の創設 ~令和2年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   令和元年12月12日に公表された令和2年度税制改正大綱では、予定通り、現行の連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行することが明記された。 連結納税制度の見直しについては、政府税制調査会において、平成30年11月7日に「連結納税制度に関する専門家会合」を設置し、令和元年8月27日の総会において現行の連結納税制度の見直しの基本的考え方と新たな制度(グループ通算制度)の基本的な仕組みが報告されていた。 しかし、見直しの内容について、個別申告方式への移行による事務負担の軽減については多くの利害関係者が賛成する一方、個別規定の見直し、例えば、研究開発税制や外国税額控除のグループ調整計算の廃止、親法人の開始前の繰越欠損金に対するSRLYルールの適用など、現行制度より税負担が増加する見直しについては企業側から反対意見が多く、最終的に、どのような内容で実現するか不明であった。 そこで本稿では、令和2年度税制改正大綱において、これらの論点がどのような取扱いになったのか、以下にまとめることにする。   (1) 申告方法を個別申告方式に変更する。 これは、専門家会合で示されたとおりであり、制度の簡素化と事務負担の軽減を図るため、現行の一体申告方式(企業グループ全体を1つの納税単位として1つの所得金額及び法人税額を計算して申告する方法)から個別申告方式(企業グループ内の各法人を納税単位として各法人が個別に所得金額及び法人税額を計算して申告する方法)に変更する。   (2) 損益通算等を当初申告額に固定する仕組みにする。 これは、専門家会合で示されたとおりであり、修更正の手続の事務負担の軽減を図るため、損益通算できる損失等の額を原則として当初申告額に固定することにより、企業グループ内の他の法人の所得金額及び法人税額の計算に反映させない(遮断する)仕組みとすることになった。 ただし、欠損金の繰越期間に対する制限を潜脱するため又は離脱法人に欠損金を帰属させるためにあえて誤った当初申告を行うなど、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるときは、税務署長はプロラタ方式で全体を再計算することができる。 なお、この取扱いについては、損益通算及び欠損金の通算だけではなく、グループ調整計算を行う外国税額控除及び研究開発税制についても同様の措置が講じられる。   (3) 損益通算及び欠損金の通算をプロラタ方式で計算する。 これは、専門家会合で示されたとおりであり、個別申告方式に変更することに伴い、損益通算及び欠損金の通算の計算方法をプロラタ方式に変更する。 具体的には次のように明記されている。   (4) 開始・加入時の時価評価課税・欠損金の持込み等を組織再編税制と整合性が取れた制度とすることで、時価評価課税や繰越欠損金の切捨ての対象を縮小する。 これは、専門家会合で示されたとおりであり、連結納税制度と組織再編税制の整合性を確保するため、連結納税制度の開始・加入時の時価評価課税と繰越欠損金の持込みについて、組織再編税制と同様の要件と利用制限を課する取扱いとする。 具体的には、開始・加入時に組織再編税制と同様の適格要件に該当しない場合、時価評価の対象になるとともに、開始・加入前の繰越欠損金が切り捨てられる。 また、開始・加入時に組織再編税制と同様の適格要件に該当する場合でも、一定の場合、開始・加入前の欠損金が切り捨てられ、資産の含み損等の利用が制限される。 ただし、親法人との間(親法人にあっては、いずれかの子法人との間)に支配関係が5年超ある、又は、通算グループ内のいずれかの法人と共同事業性がある場合、開始・加入前の欠損金の切捨て及び資産の含み損等の利用は制限されない。 なお、現行制度では親法人については、時価評価は不要となり、開始前の繰越欠損金は切り捨てられないが、新制度では、親法人についても、子法人と同様に、時価評価、繰越欠損金の切捨て、資産の含み損等の利用制限が課されることになる。 新制度では、現行制度より、時価評価課税や繰越欠損金の切捨ての対象が縮小することが見込まれるが、親法人の時価評価課税や繰越欠損金の切捨てが生じる点は不利になろう。   (5) 親法人にSRLYルールが適用される。 専門家会合では、子法人の開始・加入前の繰越欠損金にはSRLYルールを適用するが、親法人の開始前の繰越欠損金については両論を併記して結論を持ち越していた。 令和2年度税制改正大綱では、グループ通算制度の適用開始又は通算グループへの加入前の欠損金(現行:特定連結子法人の連結納税制度の適用開始又は連結グループへの加入前の欠損金)のうち、上記の(4)により切り捨てられなかったものは、特定欠損金(その法人の所得の金額を限度として控除ができる欠損金をいう)とする、とされている。 つまり、新制度では、親法人にもSRLYルールが適用されることになる。 したがって、現行制度の最大の採用動機となっている親法人の開始前の繰越欠損金の相殺による節税効果が新制度では実現しないことになる。 この点で、グループ通算制度の単体納税制度と比較した節税効果は損益通算と特定欠損金の100%控除に集約されることになろう。 なお、下記(9)のとおり、新制度の施行前に現行制度を採用している場合は、親法人の開始前の繰越欠損金(現行制度の非特定連結欠損金)は新制度に非特定欠損金(SRLYルールが適用されない欠損金)として持ち込めるため、現行制度の駆け込み採用が増える可能性が高い。   (6) 現行制度と同様に、研究開発税制及び外国税額控除はグループ調整計算を行う。 専門家会合では、個別申告方式に変更されることに伴い、研究開発税制及び外国税額控除について、グループ調整計算が廃止されることも検討されていたが、令和2年度税制改正大綱では、結果的には、グループ調整計算が存続することが明記されている。 具体的には以下のとおりとなる。 一方、他の個別制度(受取配当金の益金不算入制度、寄附金の損金不算入制度等)は個別計算を行うことになる。   (7) グループ法人税制(単体納税制度)の見直しを行う。 専門家会合でも示されていたが、グループ通算制度への移行にあわせて、受取配当金の益金不算入制度や寄附金の損金不算入制度等の見直しが行われる。 したがって、今回のグループ通算制度の創設は、単体納税法人にも影響を与えることになる。   (8) 適用時期は2年後となる。 グループ通算制度は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。   (9) グループ通算制度へ移行せずに単体納税制度に復帰することができる。また、現行制度の特定連結欠損金個別帰属額は新制度では特定欠損金額とみなされる。 連結納税制度からの移行に伴う経過措置は次のとおりとなる。 上記①②については、現行制度を採用している連結納税グループにおいて、「新制度に移行するか」又は「単体納税に戻るか」を検討する必要があることを意味している。 また、上記③について、新制度では、親法人の開始前の繰越欠損金にSRLYルールが適用されるが、新制度の施行前に現行制度を採用した場合、親法人の開始前の繰越欠損金(現行制度の非特定連結欠損金個別帰属額)は新制度では非特定欠損金(SRLYルールが適用されない欠損金)として持ち込めることを意味している。 そのため、現行制度の駆け込み採用が増える可能性がある。 (了)

#No. 348(掲載号)
#足立 好幸
2019/12/13

《速報解説》 令和2年度税制改正大綱(与党大綱)が公表される~連結納税制度はグループ通算制度へ移行、企業の内部留保活用策としてベンチャー支援制度創設、所有者不明土地対策は使用者課税の仕組みを整備、未婚のひとり親に係る控除制度を新設~

《速報解説》 令和2年度税制改正大綱(与党大綱)が公表される ~連結納税制度はグループ通算制度へ移行、 企業の内部留保活用策としてベンチャー支援制度創設、 所有者不明土地対策は使用者課税の仕組みを整備、 未婚のひとり親に係る控除制度を新設~     Profession Journal編集部   自由民主党・公明党は2019年12月12日、『令和2年度税制改正大綱』(与党大綱)を公表した。 今回の改正では、アベノミクスのもと政府が強く推進してきた経済の活性化が、結果的に大企業の内部留保、特に現預金の増加につながっているとして、ベンチャー投資や国内設備投資など、その活用を促す施策が行われている。また、政府税制調査会で1年近く検討が行われてきた連結納税制度の見直しについて、その見直し範囲をめぐり議論が難航したものの、グループ通算制度への移行として一定の決着がつくこととなった。 なお、昨年・一昨年と小規模宅地等特例の見直しや事業承継税制特例の創設等を行ってきた相続税関係の改正は、今回、軽微なものにとどまっており、今後、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方や教育資金・結婚子育て資金の一括贈与特例のあり方を検討するとしている【P14】。一方、国外にある財産をめぐり行われてきた税逃れの各手法について、1つ1つ網をかけるようにその対策が行われている。 以下、主な改正事項を紹介する。なお、すでに一部公開が始まっているが、例年のとおり、重要な改正事項については年末から年始にかけ個別に速報解説を順次公開していくので、そちらも合わせて参照されたい。 また、こちらの[資料リンク集]ページも今後更新を重ねていくので、ログインの上、ブックマークボタンを押すなどして確認できるようにしていただきたい。   〇連結納税制度は個別申告方式(グループ通算制度)へ 今回の税制改正における連結納税制度の見直しの議論は、昨年11月に政府税制調査会に設置された「連結納税制度に関する専門家会合」で行われた本年8月までの5回にわたる検討内容がベースとなっている。 この見直しの大きな契機は、連結納税制度下における税額の計算が煩雑であり、また税務調査により修正・更正等が行われた場合にグループ会社の一社の見直しがグループ全体の見直しにつながり、企業だけでなく税務当局側の事務負担も大きいものになっているという実態を解消するものであった。ただし、専門家会合では研究開発税制や外国税額控除に係るグループ調整計算の廃止など連納制度の大きなメリットを失わせる論点まで幅広く検討されたことから、今回の大綱とりまとめにあたって、その落としどころをめぐり議論が難航したと見られる。 結果として、企業グループ全体を1つの納税単位とする連結納税制度は、企業グループ内の各法人を納税単位として各法人が個別に法人税額の計算・申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡易な仕組み「グループ通算制度」へ移行することとなる。グループ通算制度は令和4年4月1日以後開始事業年度から適用されるため、現行の連結納税制度適用法人はそれ以降、グループ通算制度の適用法人となる。ただし、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに届出をすることにより、単体納税法人になることができる。 このように新制度への完全移行までは2年の経過期間が設けられ、その間に限り、現在は認められていない連納から単体への移行も認められることから、すでに連結納税制度を適用している企業にとっては各制度適用による有利・不利の綿密なシミュレーション及び慎重な判断が求められることになろう。 与党大綱では本改正についてP63からP68にかけて記載したうえで、大綱の最後P105からP117にわたり【付記】としてさらに詳細な説明を行っている。 なお、資本金1億円超の大企業は令和2年4月1日以後開始事業年度から法人税等の電子申告が義務付けられており、すでに社内システムの改修等対応に追われている企業も多いと思われるが、連結納税制度からグループ通算制度への移行にあたっても、グループ全体のシステムの見直しが必要になろう。   〇膨らむ企業内部留保の活用促進策 大企業の好業績が内部留保、特に現預金の増加につながっている(経済の活性化へつながっていない)との実態を受け、その活用を促進するための施策が設けられている。 1つ目の柱は、企業(中小企業含む)が、ベンチャー企業に投資した場合に一定の所得控除が受けられる「オープンイノベーション税制」の創設だ【P60】。大綱では「極めて異例の措置」と表記している【P3】。 オープンイノベーション税制とは、青色申告法人のうち特定事業活動を行うもの(自らの経営資源以外の経営資源を活用し新事業開拓等を目指す株式会社等)が、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、一定のベンチャー企業の株式(※)を出資の払込みにより取得した場合に、その株式の取得価額の25%相当額の所得控除を認めるというもの(特別勘定として経理した金額を限度とする)。 (※) 「一定のベンチャー企業の株式」とは、オープンイノベーション性等の要件を満たすベンチャー企業に対する出資の払込みとして、経済産業大臣が証明したものにより取得した株式をいう。 上記の適用を受けた企業が、そのベンチャー企業の株式を譲渡した場合や配当の支払いを受けた場合等には、特別勘定のうち対応する部分を取り崩し益金に算入する(ただし特定期間(5年間)保有した株式については対象外)。 本税制の適用に必要な出資の額(払込金額)は、大企業の場合は1億円以上、中小企業の場合は1,000万円以上、国外のベンチャー企業への出資の場合は5億円以上とされている(ただし適用には上限が設けられる)。 なお、個人向けのベンチャー投資減税であるエンジェル税制については、適用対象となる特定中小企業の範囲に、いわゆるクラウドファンディングを通じて投資を受けた株式会社が加えられるなど利便性の向上が図られている【P22】。 2つ目の柱が、平成30年度税制改正で存置された「租税特別措置の適用要件の見直し(措法42の13⑥)」の要件を変更するというもの【P61】。 現行は、資本金1億円超の大企業について、以下①~③の要件すべてに該当する場合、3つの租税特別措置(「研究開発税制」「地域未来投資促進税制」「コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)」)が適用できない制度となっている。 (※) 対象期間は平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する各事業年度。 改正案では、上記③の10%以下が「30%以下」へと厳格化される(適用時期の記載なし)。 なお、大企業向けの賃上げ・投資促進税制についても国内設備投資要件が見直され、国内設備投資額が当期償却費総額の「90%以上であること」という要件について、「95%以上であること」とされる【P62】。 本稿では詳細を割愛するが、第5世代移動通信システムのインフラ整備構築の推進を目的とした5G導入促進税制(特定高度情報通信用認定等設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(仮称))【P62】が上記3つの租税特別措置に加えられる一方、IoT税制は所要の経過措置を講じた上、適用期間を1年前倒しして、令和2年3月31日をもって廃止することが明記された【P74】。 また、企業の投資活動とは異なるが、地方創生応援税制、いわゆる「企業版ふるさと納税」は適用期限を5年(令和7年3月31日まで)延期した上、税額控除割合を3割から6割に引き上げることで企業の寄附による実質税負担を9割減としたうえ、手続の簡素化・迅速化が図られる【P70・72】。 法人税関係では他に、今月11日に公布された改正会社法を受けた役員報酬関係の規定見直し【P40・78】や、本年7月にASBJから公表された「時価の算定に関する会計基準」の導入に伴う整備が行われている【P79】。 他に企業への影響のある事項として、法人税と同様に消費税においても「法人に係る申告期限の延長の特例」(1ヶ月の延長)が創設される。なおこの特例は、法人税の申告期限延長の特例適用法人に限る(令和3年3月31日以後終了事業年度の末日の属する課税期間から適用)。これは経済産業省が要望していたもので、働き方改革関連法の施行に伴い時間外労働の上限規制が導入されること等をその理由としている。なお、税制改正から逸れるが、3月決算の場合、初の複数税率制度下での申告時期が近づいている。入念な準備が求められよう。 なお、経済産業省から要望のあった「第三者への事業承継の促進に資する税制措置の創設」及び「自社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置の創設」は、今回の大綱には盛り込まれていない。   〇交際費課税特例は延長も、資本金100億円超の大企業は適用除外に 令和2年3月31日で適用期限を迎える法人税関係の特別措置について、まず、交際費等の損金不算入制度は、接待交際費に係る損金算入の特例の対象から資本金の額等が100億円を超える法人が除外された上、適用期限が2年延長(令和4年3月31日まで)される【P62】。これは、一部の大企業ではこの接待交際費の特例によって交際費が大きく変化しているとはいえず、現預金の大幅な減少には寄与していないという理由による【P3】。なお、中小企業に係る損金不算入の特例は制度の見直しはなく2年延長となる【P69】。 次に、中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付の不適用措置は、設備廃棄等欠損金額の特例(※)を廃止(経過措置あり)した上、適用期限が2年延長される【P77】。 (※) 認定事業再編計画に基づき設備廃棄等を行ったことにより欠損金が生じた場合に、還付所得事業年度の法人税額のうち設備廃棄等欠損金額(廃棄した設備等の廃棄直前の帳簿価額及び設備廃棄等に要した費用の合計額)に対応する部分の金額について、還付を請求することができる(適用期限:令和2年3月31日)。 また、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例も令和4年3月31日までの2年延長が決まったが、下記の見直しが行われる。   〇国際課税は短期的・長期的視野での対応 国際課税の関係では、企業の行き過ぎた節税策を防止する観点から、子会社からの配当及び子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応が行われる。具体的には、法人が特定関係子会社(法人(及びその関連者)が株式等の50%超を保有する子会社)から、1事業年度の配当の合計額が株式等の帳簿価額の10%相当額を超える一定の配当額(みなし配当金額を含む)を受ける場合、その対象配当金額のうち益金不算入相当額(受取配当益金不算入制度等により益金不算入とされる金額)を、その株式の帳簿価額から減額する等の対応が示された【P88】。 また、デジタル課税については弊誌連載中の解説記事でもたびたび取り上げている通り、OECDが提案した2つの柱を軸に来年早々に見直しの中核部分が合意され、来年末には最終報告が公表されるという工程が示されているが、「わが国は引き続きこの国際的な議論を積極的にリードする」との考えから、「経済のグローバル化・デジタル化への対応」と題した基本方針が公表されている【P8】。ただし、OECDの最終報告に向けたスケジュールから見ても、これらの議論が国内税制へ反映されるのは令和4年度の改正以降になりそうだ。   〇富裕層対策は海外での活動に着目 富裕層が国内外で行う税逃れの防止策として、本年もいくつかの対策が手当てされている。 まず、海外資産への対策として、5,000万円以上の国外財産を有する居住者に義務付けられている「国外財産調書制度」の見直しが行われる【P94】。 これは、納税者に対し国外財産の取引情報の開示を求めるもので、税務調査の際に税務職員が納税者に対し必要な資料(例:外国にある預金口座の入出金明細など)の提示・提出を求めた場合、その日から60日を超えない範囲内で税務職員が指定する日までに、納税者がそれらの提示・提出をしない場合には、申告漏れに対する加算税(過少申告加算税及び無申告加算税)が加重される。 例えば過少申告加算税の場合、国外財産調書に記載のある財産についても、関連資料の不提示・不提出の場合は5%の軽減割合が適用されず、原則通り10%が適用される。さらに国外財産調書の不提出や記載に不備がある場合は現行5%が加算され15%となっているが、さらに関連資料の不提示・不提出による場合は10%の加算となり、20%となる。 また、これらの提示を行わず、税務当局が口座情報交換制度によって海外の税務当局から情報を入手した場合、入手までにかかる期間を踏まえ、要請から3年間は更正・決定を可能とする。 国外財産調書制度では他に、相続開始年の12月31日に有する国外財産に係る国外財産調書については、その相続・遺贈により取得した国外財産(相続国外財産)を記載しないで提出することができるなど記載の柔軟化が図られている。なおこの場合、国外財産の価額の合計額から相続国外財産の価額の合計額を除外した額によって国外財産調書の提出義務を判定する(財産債務調書における相続財産ついても同様)。令和2年分以後の国外財産調書・財産債務調書について適用される。 さらに、会計検査院からの平成27年の指摘事項として、価値の落ちにくい国外の中古不動産について、簡便法による耐用年数によって家賃収入を上回る減価償却費を計上することで税額を減少させる活動に対し、令和3年以後の各年において、国外不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、耐用年数を簡便法により計算した国外にある中古の建物(国外中古建物)の償却費に相当する部分の金額については、生じなかったものとみなし、損益通算等をできないこととする対策が打たれた。 また、国外親族に対する扶養控除等の適用にあたっては平成27年度税制改正で親族関係書類及び送金関係書類の添付が義務付けられたが、国外で一定以上の所得を稼得している親族が控除対象に含まれるとの指摘を受け、非居住者である親族に係る扶養控除の対象となる親族から、年齢30歳以上70歳未満の者で次のいずれにも該当しない者が除外されることとなった【P39】。これにより現行「16歳以上」とされている年齢要件が原則「年齢16歳以上29歳以下、70歳以上」とされる(令和5年から)。 ちなみに親族関係書類には が該当することから、今後はこれらの情報から年齢要件をクリアしているか、税務当局による確認が行われるものとみられる。 最後に国内では、賃貸住宅を取得した際に、本来であれば非課税売上である住宅家賃に対応する仕入税額控除の対象となるべきものではないが、作為的な金取引等を行うことで課税売上割合をかさ上げし仕入税額控除を行う税逃れを防止するため、居住用賃貸建物(※)の課税仕入れについては仕入税額控除の適用を認めないこととし、実際に課税売上(事業用として賃貸)があれば、3年間の実績に応じて控除額を調整する仕組みとする。また、住宅について、その用途を限定せず貸し付けた場合であっても、人の居住の用に供することが明らかなものについては消費税を非課税とするなど、建物の用途の実態に応じた見直しが行われる。 (※) 「居住用賃貸建物」とは住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するものをいう。   〇所有者不明土地は所有者不明でも課税可能な仕組みを整備 未登記の所有者不明土地についてはすでに大きな社会問題となっているが、税制上も、土地の所有者の把握ができない場合、固定資産課税台帳の所有者情報が更新できないことによる固定資産税の課税漏れが問題視されている。仮に、その土地を所有者ではない者が利用していたとしても、現制度ではその利用者が納税義務者とはならない。ただし、所有者が震災、風水害、火災等の事由で不明となっている場合に限り、利用者への課税が可能だ(地方税法343条4項)。 また、仮に所有者が死亡している場合には「現に所有している者」(通常は相続人)が納税義務者となるが、その把握のための課税庁による調査の事務負担が大きいことも指摘されている。 このため今回の改正では、以下2つの対応が行われることになった【P49】。 1つ目の対応が、「現に所有している者」の申告の制度化だ。これは、その土地・家屋に所有者として登記されている個人が死亡している場合、市町村長から「現に所有している者」に対し、その市町村の条例で定めるところにより、その者の氏名や住所等、固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができるというもの(令和2年4月1日以後の条例の施行日以後に「現に所有している者」であることを知った者から適用)。 2つ目の対応が、「使用者」を「所有者」とみなす制度の拡大。これは、税務当局が住民基本台帳及び戸籍簿等の調査や関係者への質問等を行っても所有者の存在が1人も明らかでない場合で、その資産の使用者が存在するときは、あらかじめその使用者に通知した上で、使用者を所有者とみなして固定資産税課税台帳に登録し、固定資産税を課税することができるというものだ(令和3年度以後の年度分の固定資産税から適用)。 他に、個人が、都市計画区域内にある低未利用土地等で所有期間5年超のものを譲渡した場合の100万円の所得控除制度が創設される【P27】。こちらは土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日又は令和2年7月1日にいずれか遅い日から令和4年12月31日までの間の譲渡が対象。 なお、所有者不明土地問題については税制以外にも、法務省の法制審議会(民法・不動産登記法部会)が相続登記の義務化を含む民法及び不動産登記法等の見直しに関する中間試案(案)を公表したばかりであり、今後はパブコメに付され来年の臨時国会に改正法案が提出される見込みとなっている。この見直し案には遺産分割に期間制限が設けられ一定期間(10年や5年)を経過したときは法定相続分による分割が確定するなど相続実務への影響の大きい事項も検討されており、今後の法改正の動向には注視されたい。 なお、他に、改正相続法で創設される配偶者居住権及びそれに伴う敷地の利用権について、期間満了前の消滅等の対価として支払を受ける場合の、その譲渡所得の計算における取得費の算出方法等が明らかにされている(配偶者居住権は令和2年4月1日以後の相続から適用)【P28】。   〇買換え特例の延長等 本年の12月31日で期限切れとなる下記の買換え等特例は、すべて2年(令和3年12月31日まで)延長される【P29】。特定の資産の買換えの場合等の課税の特例は、一部見直しを行った上で3年の延長が決まった【P76】。 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2、36の5) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除(措法41の5) 特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除(措法41の5の2) 他に延長されたものとしては、住宅用家屋の所有権の保存登記もしくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限は2年延長【P50】、不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限も2年延長された【P51】。 また、会計検査院が先月公表した「平成30年度決算検査報告」の指摘を受け、新規住宅に居住した個人が、居住年から3年目に該当する年中に従前住宅(新規住宅及びその敷地以外の資産)を譲渡した場合で、その譲渡について居住用財産の譲渡所得の3,000万円控除(措法35②)や居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)(措法31の3)等の適用を受けるときは、新規住宅について住宅ローン控除等の適用ができないこととされる。適用は令和2年4月1日以後の従前住宅の譲渡から【P29】。   〇納税環境整備 本年も準確定申告の電子的手続の簡素化【P92】や納税地の移動があった場合の振替納税手続の簡素化【P93】、10月からスタートした地方税共通納税システムにおける対象税目の拡大(個人住民税の利子割、配当割、株式等譲渡所得割を追加)【P93】など、税務手続の電子化を促進する改正案が示されているが、企業へ影響のある改正としては、クラウドサービスやキャッシュレス決済の普及など企業を取り巻く環境変化を踏まえ、バックオフィスの効率化を後押しする観点から、取引先から請求書等を電子データで受領した場合に、その請求書等をデータのまま保存する場合の要件(保存方法)について、①発行者側でデータにタイムスタンプを付している場合、及び、②受領した側が自由にデータを訂正・削除できないシステム(サービス)を利用している場合が追加される(令和2年10月1日施行)。 また、市中金利の実態を踏まえ、利子税・還付加算金の割合及び納税の猶予等の適用を受けた場合の延滞税の割合が引き下げられる【P97】。   〇その他、社会問題への対応 昨年の与党大綱において「平成32年度税制改正において検討し、結論を得る」とされていた未婚のひとり親に対する税制上の対応として、未婚のひとり親で合計所得金額500万円以下など一定の要件を充たす者について寡婦(寡夫)控除を適用することとされた。また、従前の寡婦(寡夫)控除制度について寡婦に寡夫と同様の所得制限(合計所得金額500万円以下)を設けるなどの見直しが行われている【P37】。 また、老後の資産形成を促進するため、確定拠出年金等の加入要件の見直し【P40】や、一般NISAの勘定設定期間終了にあわせ、投資枠を二階建てにした新たなNISA(特定非課税累積投資契約(仮称)に係る非課税措置)が創設される【P18】。 (了)

#No. 348(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/12/13
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