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M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編- 【第7回】「許認可・法規制の調査」

M&Aに必要な デューデリジェンスの基本と実務 -法務編-   弁護士法人ほくと総合法律事務所 弁護士 高橋 康平   ←(前回) | (次回)→   《第6章》 -許認可・法規制- 【第7回】 「許認可・法規制の調査」   はじめに 法務デューデリジェンスでは、対象会社において事業実施に関連する許認可違反や法規制違反がないか、M&A実行後に許認可や法規制との関係で必要な手続はどのようなものかを確認する必要がある。 一般論として、許認可・法規制に関する法務デューデリジェンスはイメージがつかみにくいのではないかと思われるので、本稿では、その調査手続と調査のポイントを解説する。   1 精査対象資料 まず、「業務関連主要許認可」「業務関連主要法規制」の調査のために対象会社から取得する資料としては、概略以下のようなものが挙げられる。 もっとも、「業務関連主要許認可」については、M&Aのスキームによって調査事項が異なることにも留意が必要である。すなわち、株式譲渡や第三者割当増資等による場合には、対象会社としては(主要)株主が変動するだけなので、基本的に「対象会社が、現在行っている事業に必要な(主要な)許認可を得ているか」(のみ)を調査事項とすれば足りる。 これに対し、事業譲渡スキームの場合には「譲受対象となっている事業に必要な(主要な)許認可を得ているか」に加え、「その許認可を、事業譲受けにより承継することができるか」「承継できる場合、その手続や期間等の条件はどのようなものか」「承継できない場合、譲受会社において新規に取得することができるか」「取得できる場合、その手続や期間等の条件はどのようなものか」も調査事項となる。会社分割を利用する場合も事業譲渡とほぼ同様に考えられるだろう。   2 調査手続 (1) 業務関連主要許認可 対象会社から、現在行っている事業に必要なすべての許認可(免許、登録及び届出を含むが、これらに限られない)について、その許認可にかかる証明書類等の写しの提示を受け、事業に必要な許認可が取得できていることや許認可の有効期限等を確認する。 また、官公庁のウェブサイト等を閲覧するなどして、許認可の概要等を把握し、適用される業法を精査するほか、必要に応じて官公庁にヒアリングして、必要な許認可及びその具体的な要件・効果等を調査する(なお、法務デューデリジェンスの性質上、当該調査は匿名で行うことになる)。 問題は、対象会社から提示された許認可証が「現在行っている事業に必要なすべての許認可」を網羅しているか否かをどのように確認するか、すなわち、対象会社自体が認識していない許認可の取得漏れがないか否かをどのように確認するか、である。 法務デューデリジェンスである以上、当然、その点の確認に注力しなければならないが、厳密な確認をしようと思えば、対象会社の事業の実態を現場に至るまで詳細に把握し、かつ、複雑多岐にわたる業法を網羅的に理解しなければならず、法務デューデリジェンスにおける限られた時間と人員の中では、どうしても限界があるといわざるを得ない。 1つデータを示そう。総務省のウェブサイトによれば、平成29年4月1日時点の許認可等の根拠条項等数(※)は「15,475」という膨大な数に上っており、その内訳は下表のとおりである。 (※) 法令等の中で「許可」等の用語が含まれている条項等の数。許認可の「種類」そのものの数ではないことに注意。 特に、金融庁、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省における許認可等の根拠条項等数は、その圧倒的な多さに目をひく。いかに業法、すなわち特定業種の営業に関する規制に精通した弁護士であっても、これらの許認可等について網羅的な知見を有するのは難しいだろう。結果的に、多くの法務デューデリジェンスの現場では、限られた時間・人員・費用の中で、苦心して調査に努力しているのが実態ということである。 ただ、このような局面でも、買主候補者の協力を得ることにより、調査の実効性をある程度高めることができる場合もある。買主候補者は、対象企業のビジネスと買主候補者自身のビジネスとの間に何らかのシナジー効果を考えているはずであり(もちろんシナジー効果ではなく、単に利益の追求のみを考えているケースもあるが)、対象会社のビジネスに関する許認可に関しては、弁護士よりも詳しいことが少なくないからである。 そのため、許認可に関する調査は、買主候補者においても、法務デューデリジェンスを担当する弁護士や、弁護士との窓口となる法務部等に任せきりにすることなく、買主候補者の社内でチームを組成し、全社的に取り組んでいただくことが望ましい。 (2) 業務関連主要法規制 同様のことは「業務関連主要法規制」の調査についてもいえる。 法務デューデリジェンスでは、対象会社が行っている事業に関する主要な法規制の遵守状況も、調査項目とされることが多い。例えば、対象会社がインターネットによる通信販売を業としているのであれば、広告の表示事項や、前払式通信販売の場合の承諾等の通知等について、「特定商取引に関する法律」(特商法)所定の規制を遵守する必要がある(特商法11条、同13条等)。 また、対象会社が食品の製造を業としているのであれば、製造した食品の販売にあたっては、食品表示法所定の食品表示基準を遵守しなければならない(食品表示法5条)。買主候補者としては、対象会社がこのような事業上の法規制を遵守しているかどうかについて、強い関心を持つのが一般的である。 ただ、対象会社の業種によっては、法規制の内容が、政令・省令・告示・ガイドライン等の下位規範を含めて極めて詳細複雑にわたり、法務デューデリジェンスの限られた時間・コストの中ではそのすべてを把握するのが非現実的・非効率的である場合が少なくない。 また、仮に規制のほうを把握できたとしても、その規制の遵守状況を真に確認しようと思えば、(極端にいえば)対象会社が提供している製品やサービスのすべてについて、1つ1つ、規制への適合性をチェックしなければならないこととなりかねないが、それは通常、現実的ではないだろう。いずれにせよ、業務関連法規制の遵守状況の確認には限界があるといわざるを得ない。 結果的に、多くの法務デューデリジェンスの現場では、限られた時間・人員・費用の中で、苦心して調査に努力しているのが実態であろう。 一般には、調査対象とする規制(例えば「食品表示法所定の食品表示」)と、調査手続(例えば「〇〇(製品)を対象としたサンプル調査」「規制遵守のための社内体制の整備状況を、インタビュー及び社内規程等により調査」等)について、依頼者である買主候補者と担当者である弁護士とであらかじめ合意し、その範囲で調査を尽くすということになるのではないだろうか。 どの規制を対象とし(複数でもよい)、どのような手続によるかは、事案ごとの判断というほかない。弁護士からも経験と知見に基づくアイディアを出すことが求められるが、依頼者の側でも、買収対象事業に対する知見と、当該M&Aに関する戦略眼に基づき、積極的に協議・検討に応じていただくことが望ましい。 翻っていえば、これは許認可や法規制の調査、また法務デューデリジェンスだけに限らず、すべてのデューデリジェンスに共通して推奨されることでもある。M&Aの成否は買収後の「integration(統合)」で決まるとよくいわれるが、実は「integration」のプロセスは、デューデリジェンスの段階から始まっているもの・始めるべきものといえよう。 (了)

#No. 294(掲載号)
#高橋 康平
2018/11/15

中小企業経営者の[老後資金]を構築するポイント 【第7回】「生命保険を使った応用的な資産対策」

中小企業経営者の [老後資金]を構築するポイント 【第7回】 「生命保険を使った応用的な資産対策」   税理士法人トゥモローズ   前回は生命保険を活用した基本的な相続・事業承継対策について解説を行ったが、今回は経営者の資産構築を目的とした応用的な内容について解説をしていく。 保険に関する節税プランは、生命保険会社が税法・通達を研究した上で新しい商品を発売し、国税側が行き過ぎた節税商品を封じ込めるといった、いたちごっこのような状況が続いている。今回はその一例として、「低解約返戻金型逓増定期保険 名義変更プラン」と「逆養老保険 逆ハーフタックス」を取り上げたい。 なお、中小企業経営者の老後資金構築を目的とした上で、保険は提案すべき有用な手段であることに間違いはないが、「契約時(入口)の課税関係」と「将来の出口における課税関係」とが変わっている可能性もあるため、コンサルティングを行う立場としては、各保険商品の内容や抱えるリスクを理解し見極めながら提案する必要がある。   1 「低解約返戻金型逓増定期保険 名義変更プラン」 前回その基本的な仕組みと課税関係を解説した逓増定期保険のうち、「低解約返戻金型逓増定期保険」による法人名義から個人名義への変更プランについて解説していく。 逓増定期保険は、その契約者の名義を別法人や個人の名義へ変更することができるが、この名義変更時に個人が引き継ぐ解約返戻金相当と名義変更直後に解約返戻金が跳ね上がることを利用したプランである。 〈前提〉 前回解説したように、逓増定期保険とは、保険期間中の保険料は一定であるが、その保障額が逓増的に増えていく保険だが、この逓増定期保険のうち「低解約返戻型」は、解約返戻率の推移が4年目までは低く、5年目に一気に跳ね上がるように設定されている。 〔例〕 そこで、法人での契約後、4年目の解約返戻金が低いときに法人が個人へ譲渡することにより名義変更を行う。この際の譲渡対価としては、議論の余地はあろうが、名義変更時における解約返戻金相当額であると解される(所得税基本通達36-37)。 名義変更による法人・個人の処理は、それぞれ以下のとおりとなる。 このスキームの効果としては、自社株式の評価を引き下げるとともに、経営者に法人資金の移動を行うことができる。場合によっては、名義変更後の契約者を後継者とすることで自社株式の買取り資金の確保にもつながる。 一方で、この名義変更に関しては、個人による解約返戻金相当額による買取りについて、取得時に適正な時価を算出すべきという考え方もあり、将来における税務解釈等の変更といった課税リスクを理解した上で、当該名義変更を行うことに関し合理的な説明がつくように進めるべきである。   2 「逆養老保険 逆ハーフタックス」 逆ハーフタックスプランについては、平成24年1月13日に最高裁による判決が出され、現在では保険商品の取扱いはないが、経営者を指導するコンサルの立場から、保険にまつわる考え方としておさえておきたい論点であるため、簡単にではあるが解説をしておく。 この逆ハーフタックスプランは、養老保険を活用した法人税法基本通達9-3-4(養老保険に係る保険料)に税務上の取扱いが示されていないものであった。満期保険金受取人を経営者とし、死亡保険金の受取りを法人としたプランであり、通常の養老保険が想定する受取人が逆であるため、逆ハーフタックスと通称がされている。 このプランの特徴は、法人が支払った保険料のうち、2分の1を被保険者である経営者の役員報酬とし、残りの2分の1を支払保険料として法人側で全額損金とし、かつ、満期保険金を受け取った個人側の一時所得の計算において、法人で損金経理した保険料であるにもかかわらず「収入を得るために支出した金額」として計上し課税が生じないようなスキームであった。 このスキームにおける保険料の損金としての考え方については、その根拠として法人税法基本通津9-3-4(3)の準用であると考えられ、支払った保険料のうち満期保険金に対する部分は経営者の利益供与として役員報酬に該当し、死亡保険金に対する部分は死亡保障として保険料とすべきというものである。 また、個人が満期保険金を受け取った場合の課税関係については、最高裁の判決により一時所得の計算上、控除できる支払保険料の金額は、満期保険金に対する役員報酬に該当する部分だけとなった。 (了)

#No. 294(掲載号)
#税理士法人トゥモローズ
2018/11/15

《速報解説》 経済産業省、賃上げ・投資促進税制(所得拡大促進税制)に関するQ&A集を改訂~現物給与となる商品券・食事券の取扱いを明確化~

 《速報解説》 経済産業省、賃上げ・投資促進税制(所得拡大促進税制)に関する Q&A集を改訂 ~現物給与となる商品券・食事券の取扱いを明確化~   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎     1 はじめに 2018年11月6日、経済産業省及び中小企業庁は「賃上げ・生産性向上のための税制及び所得拡大促進税制に関するQ&A」を改訂してホームページ上で公開した。 これは、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の5)の適用に当たり参考となる事項についてQ&A形式で取りまとめられたものである。 本稿では、今回の改訂で追加された事項について解説を加える。なお文中、意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。   2 改訂箇所 Q16として、現物給与となる商品券又は食事券の取扱いが追加された。   3 補足 本税制は、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に対して15%(上乗せ控除のための要件を満たしている場合には20%【大企業の場合】又は25%【中小企業者等の場合】)の税額控除を受けることができるというものである(ただし当該事業年度の法人税額の20%を限度とする)。 そして、本税制における「給与等」とは、所得税法第28条第1項(給与所得)に規定する給与をいい(措法42の12の5③三)、具体的には、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与をいう。したがって、給与の名目や支給形態を問わず、受領者側で給与所得として課税されるものは、広く本税制における「給与等」の範囲に含まれるものと考えられる。 したがって、「商品券」や「食事券」についても、その券面額が受領者側で給与所得として課税されるものについては、本税制における「給与等」の範囲に含まれることとなる。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 293(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2018/11/09

《速報解説》 国外事業者に支払う宿泊予約サイトへの掲載手数料について、課税売上割合95%以上の事業者は仕入税額控除の対象外~国税庁、質疑応答事例で注意を呼びかけ~

《速報解説》 国外事業者に支払う宿泊予約サイトへの掲載手数料について、 課税売上割合95%以上の事業者は仕入税額控除の対象外 ~国税庁、質疑応答事例で注意を呼びかけ~   Profession Journal編集部   日本政府観光局(JNTO)によると2017年の訪日外国人旅行者数は2,869万1,073人で対前年比+19.3%、2018年は若干鈍化傾向にあるものの9月までの累計で前年同月比10%超の伸びを示している。2020年の東京オリンピック開催へ向けさらなる外国人旅行者の増加が見込まれるところであり、首都圏や主要観光地域では宿泊施設間の競争激化が見込まれる。 今や国内外を問わず、宿泊予約サイトを通じたインターネットによる宿泊予約は当たり前のものとなっているが、宿泊施設側としてはより多くの旅行者を獲得するため、様々な宿泊予約サイトに手数料を支払い、自施設の掲載を行っている。 ここで留意したいのが、その宿泊予約サイトの運営会社が国外事業者である場合の掲載手数料に係る消費税の取扱いだ。 平成27年度税制改正では国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直しが行われ、平成27年10月1日以後、国外事業者が「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行った場合、その役務の提供を受けた事業者がその取引に係る消費税の納税義務を負う、いわゆる「リバースチャージ方式」が導入されている。 このため、国外事業者が運営する宿泊予約サイトへ国内の自施設を掲載するために支払った手数料は「事業者向け電気通信利用役務の提供」の対価として特定課税仕入れに該当、他の課税仕入れと同様に、国内事業者において仕入税額控除の対象となる。 ただし、上記のように国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、役務の提供を受けた事業者が「① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間」「② 簡易課税制度が適用される課税期間」については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)はなかったものとされるという経過措置規定には注意が必要だ。 この場合、「特定課税仕入れ」として申告する必要はなく、また仕入税額控除の対象にもならないことから、リバースチャージ方式により申告をする必要もない。一般に宿泊予約サイトへ掲載手数料を支払っている宿泊施設の場合、国内外問わず複数のサイトへ掲載を行っていると考えられ、それらの手数料の取扱いを一括して仕入税額控除の対象としてしまうことのないよう、国税庁は次のように質疑応答事例を公表し注意喚起を行っている。宿泊予約サイトへの施設情報の掲載にあたっては、運営会社についても確認しておきたい。 (了)

#No. 293(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/11/08

《速報解説》 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は一部を除き平成30年11月15日の施行へ~同法施行令の内容も明らかに~

 《速報解説》 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は 一部を除き平成30年11月15日の施行へ ~同法施行令の内容も明らかに~   弁護士 羽柴 研吾   1 はじめに 国土交通省は、平成30年11月6日付けで、本年6月に成立した所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「特措法」という)に関して、同日閣議決定された①所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行期日を定める政令(以下「施行期日政令」という)及び②所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法施行令(以下「施行令」という)が11月9日に公布され、特措法は一部を除き11月15日の施行となることを明らかにした。   2 施行期日政令の概要 (1) 平成30年11月15日から施行される規定 ①所有者不明土地を適切に管理する仕組みに関する規定(特措法第3章第3節)、②所有者の探索を合理化する仕組みに関する規定(同法第4章)並びに③総則(同法第1章)及び基本方針等(同法第2章)に関する規定の施行期日は、平成30年11月15日とされた。 (2) 平成31年6月1日から施行される規定 ①所有者不明土地の利用を円滑化する仕組みに関する規定(特措法第3章第1節及び第2節)及び②罰則等の規定(同法第44条、第46条及び第6章)の施行期日は、平成31年6月1日とされた。   3 施行令の概要 (1) 土地の所有者の探索の方法について 所有者不明土地と認められるためには、相当な努力が払われたものと認められるものとして政令で定める方法により探索を行う必要がある(特措法第2条第1項)。 同項を受けて、施行令では具体的な探索方法として、①当該土地の登記事項証明書等の交付の請求、②国土交通省省令で定める者(一定範囲の親族等が想定されている)に対する照会、③住民票や戸籍等の書類に記載された情報提供の請求とともに、④所有者と思料される者に対しては、土地の所有者を特定するための書面等を送付することが規定された(施行令第1条)。 (2) 地域福利増進事業に該当する事業について 特措法では、特定所有者不明土地(特措法第2条第2項)について、地域住民等の共同の福祉又は利便の増進を図る事業(地域福利増進事業)のために使用権を設定することが予定されている。 この地域福利増進事業に含まれるものとして、①被災市町村の区域内や同種の施設が著しく不足している区域内における購買施設及び教養文化施設の整備に関する事業や、②国又は地方公共団体が設置する庁舎の整備に関する事業等が規定された(施行令第3条、第4条)。 (3) その他の規定について ①地域福利増進事業に係る損失補償に関する裁決の申請手続、②特定所有者不明土地にある所有者不明物件(一定の建物や立木)の所有者の探索の方法、③当該所有者不明物件の確知権利者(所有権者以外の者)の範囲、④その他必要な事項等が規定されている。詳細は、施行令を確認されたい。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 293(掲載号)
#羽柴 研吾
2018/11/08

プロフェッションジャーナル No.293が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年11月8日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.293を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/11/08

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第70回】「社会通念から読み解く租税法(その1)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第70回】 「社会通念から読み解く租税法(その1)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   はじめに 租税法の解釈適用において、しばしば「社会通念」による判断が示されることがある。この社会通念に従う判断とはどのようなものであろうか。 一般的に、「社会通念」とは、「社会一般に通用している常識または見解。法の解釈や裁判調停などにおいて、一つの判断基準として用いられる。」などと説明されることが多いように思われる(デジタル大辞泉)。 例えば、法人税基本通達の前文「法人税基本通達の制定について」を確認してみよう。 このように、法人税基本通達前文においても、社会通念に即した判断が強調されているのである。 なお、所得税基本通達前文でも、「この通達の具体的な適用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るよう努められたい。」とされている。 さて、社会通念によって判断するということはいかなる意味を有するのであろうか。今回の連載では、社会通念に焦点を当てて租税法を読み解くこととしたい。   Ⅰ 社会通念とは何か はじめに述べたとおり、社会通念によって法的判断が示されることは少なくない。 例えば、表現の自由について争われたいわゆるチャタレー事件最高裁昭和32年3月13日大法廷判決(刑集11巻3号997頁)では、「本被告事件において問題となっている『チャタレー夫人の恋人』が刑法175条の猥褻文書に該当するか否か。これについて前提問題としてまず明瞭にしておかなければならないことは、この判断が法解釈すなわち法的価値判断に関係しており事実認定の問題でないということである。」とした上で、社会通念について次のように示している。 *なお、チャタレー事件とは、イギリス人作家であるD・H・ローレンス(D.H.Lawrence)の『チャタレー夫人の恋人』を日本語訳した作家と出版社社長につき、刑法175条《わいせつ物頒布等》の罪が問われた事件である。この事件では、猥褻と文芸作品としての表現の自由の関係が議論された。 このように、最高裁は、著作が刑法175条の猥褻文書にあたるかどうかの判断は法解釈の問題であるとし、その判断基準を社会通念であるとする。そして、社会通念とは何かにつき、以下のように示す。 社会通念とは「集団意識」であるとしていることからも明らかなとおり、すべての個々人の意見が統一的である場合を指しているわけではないということである。そして、最高裁は次のように続けている。 このように、社会通念が国民すべての統一的意見でない以上、社会通念が何であるかは裁判官が良識に従い決定しなければならないとしており、それは、法解釈と同様であるという。 そして、本件において争点となっている猥褻と社会通念については、「性一般に関する社会通念が時と所とによって同一でなく、同一の社会においても変遷がある」とし、「男女の交際や男女共学について広く自由が認められるようになり、その結果両性に関する伝統的観念の修正」が要求されてきている等、「往昔存在していたタブーが漸次姿を消しつつあることは事実である」としつつも、以下のとおり判断している。 最高裁はこのように判示し被告人側の上告を棄却しているが、ここでは、何をもってして社会通念を判断すべきとしているのであろうか。また、社会通念の何たるかを裁判所が判断することについても一定の難しさがあるように思われる。 以下では、そうした社会通念が、租税訴訟において顔を出しているいくつかのケースをみてみよう。   Ⅱ 租税法と社会通念 1 興銀事件 債権放棄に係る貸倒損失の損金算入の可否が争われた事件として、いわゆる興銀事件がある。 興銀事件では、高裁判断と最高裁判断とが分かれたが、原審東京高裁平成14年3月14日判決(民集58巻9号2768頁)は、次のとおり判断し、X社(原告・被控訴人)の請求を棄却している。なお、A社は住宅金融専門会社(いわゆる「住専」)であり、X社はその母体行である。 X社は、母体行である自社の社会的・道徳的責任を踏まえれば、社会通念からして、本件債権を、非母体行の債権に劣後しないものとして取り扱うことは妥当でないと主張していたのであるが、東京高裁は、法的にみて本件債権が劣後していたとまではいえないとして、X社の主張を排斥している。 X社は、本件債権行使が、「社会全体を敵に回す」に等しいことからして、本件債権が社会通念上回収不能であったとも主張しているが、東京高裁はかかる主張も斥けている。 これに対して、最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決(民集58巻9号2637頁)は、次のとおり、原審の判断は是認できないとしてX社の主張を認めている。 この説示は、金銭債権に係る貸倒損失の損金算入要件として、その金銭債権の全額が回収不能であることを要するとした上で、かかる回収可能性の判断について「債権者側の事情」も考慮すべきであるとした最高裁判断として注目されたものであるが、結論的には、「社会通念に従って総合的に判断されるべき」とする。 このように、当時の状況からすれば、母体行であるX社が、非母体行等に対して損失の平等負担を主張することは、社会通念からして想定し難いとされているのである。 最高裁は、上記のとおり述べて、結論としてX社に対する処分を違法なものであると判断したのである。 なお、興銀事件最高裁判決以前においても、東京地裁平成12年11月30日判決(訟月48巻11号2785頁)などが、社会通念による貸倒損失の認定を認めていたところであるが、同判決は、以下のように判示している(この判断は、控訴審東京高裁平成13年7月5日判決(税資251号順号8943)も維持している。)。 (続く)

#No. 293(掲載号)
#酒井 克彦
2018/11/08

〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕税法や通達以外の実務知識 【第5回】「不動産鑑定評価について(その3)」-鑑定評価の基本的手法①-

〔資産税を専門にする税理士が身に着けたい〕 税法や通達以外の実務知識 【第5回】 「不動産鑑定評価について(その3)」 -鑑定評価の基本的手法①-   税理士 笹岡 宏保   基本的な論点 相続財産の評価に当たって、評価通達に基づき算定された評価額が客観的な時価を超えていることが証明されれば、当該評価方法によらないことはいうまでもないとされています。 上記の証明を求めて、相続財産が不動産(土地等、家屋等)である場合には、不動産鑑定士等に不動産鑑定評価を依頼することが通例となります。 この連載では、不動産鑑定評価に関する知識を確認してみることにします。 第3回目となる今回は、鑑定評価の基本的手法について確認してみることにします。   解決への指針 不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別されます。また、これらの手法以外に、これらの三手法の考え方を活用した開発法があります。 これらの手法について、それぞれの意義及び適用方法を土地の価格を求める鑑定評価を前提としてまとめると、次のとおりとなります。 (1) 原価法 ① 意義 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価補正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。(この手法による試算価格を「積算価格」といいます。) 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができます。 ② 適用上の留意点 (イ) 再調達原価の意義 再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいいます。 (ロ) 再調達原価を求める方法 再調達原価は、建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定した場合に必要とされる原価の総額であり、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとされています。 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとされています。 なお、土地についての原価法の適用において、宅地造成直後の対象地の地域要因と価格時点における対象地の地域要因とを比較し、公共施設、利便施設等の整備及び住宅等の建設等により、社会的、経済的環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算することができるものとされています。 (2) 取引事例比較法 ① 意義 取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法です。(この手法による試算価格を「比準価格」といいます。) 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効です。 取引事例比較法の適用に当たっては、多数の取引事例を収集し、価格の指標となり得る事例の選択を行わなければなりませんが、その有効性を高めるため、取引事例はもとより、売り希望価格、買い希望価格、精通者意見等の資料を幅広く収集するように努めるものとされています。 ② 適用上の留意点 (イ) 取引事例の収集及び選択 取引事例比較法は、市場において発生した取引事例を価格判定の基礎とするものであるので、多数の取引事例を収集することが必要となります。 取引事例は、原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから、対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合には、同一需給圏内の代替競争不動産に係るもののうちから選択するものとするほか、次の要件の全部を備えなければならないものとされています。 (ロ) 事情補正及び時点修正 取引事例が特殊な事情を含み、これが当該事例に係る取引価格に影響していると認められるときは、適切な補正を行い、取引事例に係る取引の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準の変動があると認められるときは、当該事例の価格を価格時点の価格に修正しなければならないものとされています。 時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきであるとされています。 (ハ) 地域要因の比較及び個別的要因の比較 取引価格は、取引事例に係る不動産の存する用途的地域の地域要因及び当該不動産の個別的要因を反映しているものであるから、取引事例に係る不動産が同一需給圏内の類似地域等に存するもの又は同一需給圏内の代替競争不動産である場合においては、近隣地域と当該事例に係る不動産の存する地域との地域要因の比較及び対象不動産と当該事例に係る不動産との個別的要因の比較を、取引事例に係る不動産が近隣地域に存するものである場合においては、対象不動産と当該事例に係る不動産との個別的要因の比較をそれぞれ行うものとされています。   (了)

#No. 293(掲載号)
#笹岡 宏保
2018/11/08

〈平成30年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「配偶者控除及び配偶者特別控除の改正」

〈平成30年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第1回】 「配偶者控除及び配偶者特別控除の改正」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   11月に入り年末調整に向けた準備を始める時期となった。本年分の年末調整では、配偶者控除及び配偶者特別控除の改正が大きなポイントとなる。本改正により申告書等の様式や年末調整の手続が一部変更されるため、改正内容を従業員に周知する等、早めに準備を進めたい。 今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。なお、本年分に加え、論末の連載目次に掲載された平成24年分からの拙稿(年末調整のポイント)もご参照いただきたい。 また、各書類の記載方法や理解しておくべき用語の解説等を行った次の拙稿については、ぜひおさえていただきたい。 (注) 上記拙稿の内容については、掲載後の税制改正等により、記事の内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。今後、過年度の記事内に順次コメントを入れる予定である。 (※) 本稿では、年末調整で使用する各申告書等を次のとおり表記する。   【1】 改正の概要 平成29年度税制改正により配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用される。 改正のポイントは、次の3点である(所法83①、83の2①)。 (※1) 給与所得のみの場合、給与収入1,220万円(令和2年分以後は1,195万円)以下 (※2) 給与所得のみの場合、給与収入141万円未満 (※3) 令和2年分以後は、133万円以下 (※4) 給与所得のみの場合、給与収入2,015,999円以下 改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額を、所得者本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じて整理すると次のとおりである。 (表1)〈令和元年分以前〉 (※) 国税庁ホームページ「源泉所得税の改正のあらまし(平成29年4月)」より。また、令和2年分以後の表については「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」をご参照いただきたい。 なお、本改正については、下記の拙稿も合わせてご参照いただきたい。   【2】 年末調整における手続の変更 【1】の改正に伴い、年末調整における配偶者控除及び配偶者特別控除の適用方法が変更となる。 平成29年分以前の年末調整では、配偶者控除は、扶養控除等申告書に控除対象配偶者がいる旨の記載があることに基づいて適用され、配偶者特別控除は、配偶者特別控除申告書の記載内容に基づいて適用されていた。 平成30年分以後の年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるには、その年最後に給与等の支払いを受ける日の前日までに、配偶者控除等申告書を給与等の支払者に提出しなければならない(所法195の2①)。 扶養控除等申告書に源泉控除対象配偶者として配偶者の氏名等を記載しているだけでは、配偶者控除の適用を受けることはできないので注意が必要である。 〈表2 申告書、手続の変更点〉 (※1) 平成30年分の保険料控除申告書の様式はこちら (※2) 平成30年分の配偶者控除等申告書の様式はこちら   【3】 実務上のチェックポイント 配偶者控除及び配偶者特別控除、配偶者に係る障害者控除の適用に関する実務上のチェックポイントは、次のとおりである。 ✔ 所得者の合計所得金額の確認 ✔ 配偶者の合計所得金額の確認 ✔ 控除額の計算の確認 ✔ 配偶者が障害者に該当する場合の取扱い (1) 所得者の合計所得金額の確認 改正後は、所得者の合計所得金額(※)が900万円を超えると控除額が逓減し、1,000万円を超えると配偶者控除と配偶者特別控除はともに適用を受けることができなくなる。 (※) 「合計所得金額」とは、総所得金額、山林所得金額、退職所得金額、特別控除前の土地建物等に係る譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したもの)、先物取引に係る雑所得等の金額の合計額をいう(所法2①三十ロ、所基通2-41(2)(注)、措法8の4③一、31③一、32④、37の10⑥一、41の14②一)。ただし、損失(純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等の譲渡損失、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失、先物取引の差金等決済に係る損失)の繰越控除の適用がある場合には、繰越控除を適用する前の金額が合計の対象となる。 したがって、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けようとする所得者については、その者の合計所得金額の見積額を正確に把握する必要がある。 具体的には、(表1)からも分かるとおり、所得者の合計所得金額が「900万円以下」、「900万円超950万円以下」、「950万円超1,000万円以下」の3区分のいずれに該当するかを判定する。 なお、基準となるのは「合計所得金額」であることから、給与所得以外の所得(不動産所得や雑所得等)がある者については、それらも含めたところで所得金額を計算することとなる。 合計所得金額に含まれないものについては、下記拙稿をご参照いただきたい。 (2) 配偶者の合計所得金額の確認 配偶者控除の適用対象となるのは、合計所得金額38万円以下の配偶者であり、平成29年分以前と変わりはない。一方、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、38万円超123万円以下(改正前76万円未満)に改正されており、適用される配偶者の範囲が広がっている。 なお、扶養控除等申告書に源泉控除対象配偶者が記載されていない場合であっても、所得者と配偶者の合計所得金額によっては、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けることができるケースもある((表3)の 部分)。 (表3) :扶養控除等申告書に源泉控除対象配偶者として記載 :扶養控除等申告書に源泉控除対象配偶者として記載不可 :配偶者控除等申告書により配偶者控除適用 :配偶者控除等申告書により配偶者特別控除適用 (3) 控除額の計算の確認 今回の改正により、所得者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に基づいて(表1)のとおり控除額が決定される。複雑に見えるが、配偶者控除等申告書に必要事項を記載することにより、正しい控除額を求めることができる。 なお、配偶者控除等申告書の記載方法については、次回(【第2回】)で解説する。 (4) 配偶者が障害者に該当する場合の取扱い 同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、年末調整において障害者控除の適用を受けることができる(所法79②)。この場合は、平成29年分以前の年末調整と同様に、扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄の記載に基づいて適用する。 同一生計配偶者とは、所得者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)で、本年分の合計所得金額の見積額が38万円以下の配偶者である(所法2①三十三)。 同一生計配偶者の判定には、所得者の合計所得金額は要件とされていない。すなわち、配偶者について障害者控除を適用するときの要件は、平成29年分以前と実質的に変わっていないこととなる。 *   *   * 次回は、配偶者控除等申告書の記載方法、源泉徴収簿や源泉徴収票の様式変更の内容について解説を行う予定である。 (了)   

#No. 293(掲載号)
#篠藤 敦子
2018/11/08

企業の[電子申告]実務Q&A 【第10回】「イメージデータで送信された添付書類の紙原本の保存不要化」・「勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化」

企業の[電子申告]実務Q&A 【第10回】 「イメージデータで送信された添付書類の紙原本の保存不要化」 「勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化」   SKJ総合税理士事務所 税理士 坂本 真一郎   ●○●○解説○●○● 第三者作成の添付書類等をイメージデータ(PDF形式)で送信した場合、その紙の原本については、税務署長等による確認が必要な場合に備えて5年間の保存が義務付けられていましたが、2018年4月以後に行う申請等からは、e‐Taxの利便性向上を図る観点から、原本との同一性を担保するため一定の解像度及び階調を確保した上で、原本の保存が不要となりました。 この解像度及び階調に関する具体的な要件としては、次の①及び②を満たす必要があります。 〔要件〕 ① 解像度が200dpi相当以上(25.4mm当たり200ドット以上)であること。 ② 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)であること。 上記の要件を満たした上で添付書類等をイメージデータ(PDF形式)で送信した場合には、当該添付書類等の原本の保存は不要となりますが、税法以外の法令又は社内ルールにおいて原本の保存が必要となる場合もありますので、廃棄時にはあらためて確認をお願いいたします。 【イメージデータ(PDF形式)で送信された添付書類の紙原本の保存不要化】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (出典:e-Taxホームページ) ◆  ◆  ◆ ●○●○解説○●○● 法人税確定申告書に添付する勘定科目内訳明細書については、その対象となる勘定科目の範囲や具体的な記載事項は法令解釈通達により定められています。 預貯金、受取手形、売掛金など全16種類の内訳明細書(帳票)について、基本的には決算期末におけるすべての取引残高等を記載することとされていますが、従来から、記載量の多い受取手形や売掛金など7帳票については、一定金額以下のものについて記載を省略する取扱いが認められてきました。 例えば、「売掛金の内訳書」については、一取引先の金額が50万円以上のものについては個別に記入し、その他は一括して記入すればよいこととされていました。 今回の見直しでは、勘定科目内訳明細書の一部の科目について、①さらなる記載省略基準の柔軟化(件数基準の創設)や、②記載単位の柔軟化、③記載項目の削減等の見直しが行われることになりました(この取扱いは、電子申告が義務化されていない中小法人等が行う書面申告の場合も同様です)。 なお、見直し後の勘定科目内訳明細書は、 2019年4月以後に終了する事業年度の申告から使用可能となります。 【勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化(書面申告も同様)】 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (出典:e-Taxホームページ) (了)

#No. 293(掲載号)
#坂本 真一郎
2018/11/08
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