〔誤解しやすい〕 各種法人の法制度と 税務・会計上の留意点 【第5回】 「社会福祉法人(中編)」 司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎 公認会計士・税理士 濱田 康宏 ▷〔前編〕はこちら ▷ 税務・会計について 2 社会福祉法人固有の注意点を確認する (1) 会計 ① 社会福祉法人会計基準の改正の歴史と思想 社会福祉法人は、過去に何度か会計基準の変遷があった。かつては、収支計算だけで損益計算の思想がなかったことから、企業会計における損益計算書に相当する事業活動計算書が組み込まれた平成12年度が、一番大きな改正であろう。 そして、その後、会計処理基準の一本化と、当時既に公益法人会計基準等で導入されていた最新の企業会計手法である時価会計等の導入を目的として、社会福祉法人会計基準の大幅な改正が行われている。 既にこの社会福祉法人会計基準は、平成28年3月決算までに各法人で導入することとされているが、社会福祉法人全体の会計報告を目的とした基準であることが最大の特色といえるだろう。 ② 社会福祉法人会計基準の大きな特色 社会福祉法人会計基準は、基本的に、各法人の裁量の余地を極力減らしているというのが、大きな特色である。良く言えば、これに従えばよいといえるし、悪く言えば、各法人の個性を会計処理で反映する余地のないガチガチの基準だともいえる。 これは、社会福祉法人が、厚生労働省の監督あるいは各市町村などの監督を常に受けるべき存在であるということが、影響している。社会福祉法人の財源は、寄附金や補助金・助成金などが多く、その使途の適正性が常に問われることになるものばかりである。 さらに、税制上の優遇などもあるし、社会福祉法人しか開設できない施設もあるので、不正を招くインセンティブが高く、残念ながら、不正事例が各地で生じてきた歴史がある。 有名な事例で言えば、特養施設の建築資金のキックバックであり、近年、朝日新聞などで社会福祉法人の不正について報道の特集を組んでいたのは、記憶に新しいところだろう(社会福祉法人の私物化(2014年06月02日 朝刊)など)。加えて、本稿作成中にも、報道事例があった。 このような背景から、社会福祉法人会計基準は、監督官庁の都合を意識したものになっているといえる。そもそも、社会福祉法により、決算期が3月決算しか設定できないことも、この点を裏付けている。 また、もう1つ言えることは、社会福祉関係の費用削減のため、国としては、無駄遣いがないかを、全国的な施設を横断する形で比較したいとのニーズがある。そのためにも、標準化して国あるいは厚労省としてデータを採取しやすくすることが、当然に予定されているということである。 厚労省は、取扱いについて、通知やQ&Aなどで細かく指示を出しているので、実務では、これらを熟読することが避けられないと考えてよいだろう。 ③ 財務諸表体系における注意事項 社会福祉法人会計基準では、他の非営利法人と若干異なる、財務諸表体系における注意事項がある。 [注意1] 基本金と国庫補助金等特別積立金は純資産の部だが、繰入が特別損失 社会福祉法人の貸借対照表の純資産は、基本金・積立金・次期繰越活動増減差額からなる。 次期繰越活動増減差額は、企業会計でいう損益計算書に相当する事業活動計算書と繋がるので、理解は容易だろう。 しかし、純資産に位置づけられる基本金に組み入れるべき財産の寄贈を受けた場合、これを特別収益として受入れ処理した上で、基本金組入額を特別費用処理する(注解12)。純資産の次期繰越活動増減差額から、同じ純資産の基本金に移動させるのに、事業活動計算書を通すわけである。 ただ、これは企業会計における費用収益の基本概念、つまり、資産負債の増減変動原因が費用収益であるとの考え方とは矛盾する。厚労省の監督のしやすいようにしているとはいえ、財務諸表体系としては、違和感の残るものとなっている。 同様に、積立金のうち国庫補助金等特別積立金への積立てについても、同じ純資産項目でありながら、国庫補助金受入れ時に特別収益計上した上で、積立時に特別費用処理する(注解11)。 これらを敢えて位置づけるとすれば、基本金や国庫補助金等特別積立金については、純資産の部にありながらも、実は負債に準じてとらえられている可能性がある。この点を裏付けるのが、次の国庫補助金等特別積立金の取崩し処理である。 [注意2] 国庫補助金等特別積立金の毎期取崩し処理 国庫補助金等特別積立金については、取得した減価償却資産の減価償却費に対応する額だけを、毎期、取崩し処理して、減価償却費の控除項目とすることとされている(注解10)。 つまり、補助金で助成を受けた部分だけ、減価償却費が毎期圧縮される処理になるわけである。いわば、補助金は、預り金であり、それを毎期必要な分だけ助成額として振替して受けたのと同じという処理である。 国庫補助金等特別積立金を長期前受収益として位置づければ、これ自体は、理論的な処理と考えられる。ただし、前述のように、この科目は、負債ではなく、純資産の部に位置づけられていることに、違和感が残る。 [注意3] 資金収支計算書の資金定義 財務諸表としてのキャッシュフロー計算書と異なり、社会福祉法人の資金収支計算書の資金定義は、「流動資産-流動負債」となっている。これは、キャッシュフロー計算書の体系化前において、会計慣行として広まっていた資金収支計算書では流動資産-流動負債で定義されていたことによる。予算設定手段としても、実務で定着しているため、これを敢えて変更する必要はないとされたものであろう。 その代わり、資金収支計算書は、内部統制の管理手段と位置づけられ、財務諸表の体系外に置かれた。予算管理などのために作成はされるものの、外部への開示報告の対象とはされていないとの意味である。とはいえ、財務諸表との整合性、特に事業活動計算書との繋がりは実務上の要確認事項となっている。 なお、一定規模以上の法人は、収支計算書とは別途、制度としてのキャッシュフロー計算書の作成が義務付けられることになっている。 [注意4] 拠点区分・事業区分・サービス区分 社会福祉法人の会計では、法人全体の会計以外に、拠点区分・事業区分・サービス区分という3つの区分概念がある。 社会福祉法人は、社会福祉法で認められた事業(社会福祉事業・公益事業・収益事業)以外の事業を行うことができない。仮に収益事業に該当する場合であれば、所轄庁への相談が必要になる。例えば、太陽光発電を社会福祉法人が行うことができるかについては、下記参照されたい。 このように、3つの事業のどれに該当するのか、区別を求めるのが「事業区分」であり、いわば当然の区分である。 その上で、「拠点区分」は、物理的な事業所を中心とした概念であり、一体として運営される施設、事業所又は事務所を1つの拠点区分とする。その拠点区分に、社会福祉事業・公益事業・収益事業という各種の事業がぶら下がる格好になる。 ただし、例外が2つ設けられている。まず1つめの例外は、一体運営している小規模な公益事業については、わざわざ拠点区分を分けることなく、1つの拠点区分に含めてよいとされている点である(運用指針4)。いわゆるサテライト型の施設を開設しているような事例で、人員の配置など一体運営されていることを考えれば当然といえるが、収益事業は、この例外の対象となっていないので、少額でも、別の拠点区分として経理する必要がある。 2つめの例外は、保護施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホームなど、指定された12の施設については、それぞれの施設ごとを独立した拠点区分とするとされている点である。仮に養護老人ホームを2つ設けるのであれば、それぞれが別々の拠点区分となる。 それぞれの施設を管理あるいは監督するとの視点で言えば、当然だが、会計の手間が大きいことに加えて、会計システムの対応の問題も視野に入れておく必要がある。 実務的には、共通費用の按分の問題もあるため、複数の拠点区分処理する際には、事前の方針検討が欠かせないといえる。 そして、上記の拠点区分・事業区分という社会福祉法に基づく管理とは別の法令の要請により、「サービス区分」の概念が求められる。介護保険サービスと障害福祉サービス等について、その他のサービスと区分した会計処理が必要になるからである。 ただ、実際には、介護保険サービスの中で、さらに事業を区分するので、かつての指導指針ではセグメントと表現されていた。具体的には、特養や通所介護などの事業区分である。 【事業区分・拠点区分・サービス区分の例示】 介護保険サービス・障害福祉サービスでは、拠点区分事業活動明細書の作成が求められ、保育所運営費、措置費事業による事業実施拠点では、拠点分別資金収支表の作成が求められる。 これらの処理以外でも、社会福祉法人は、独特の処理内容が多くあるため、先述のように厚生労働省の通知を確認されることをお勧めしたい。 なお、このたび、平成28年3月31日付けで「社会福祉法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第79号)が制定され、新たに「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」(平成28年3月31日厚生労働省課長連名通知)が発出された。さらに、「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」(平成28年3月31日厚生労働省課長連名通知)も出されている。 * * * 次回は税務における注意点を解説する。 (了)
被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔経営面のアドバイス〕 【第1回】 「復旧予定時期の設定」 公認会計士・税理士 中谷 敏久 1 最優先でなすべきは復旧予定時期の設定 災害直後のパニックの中で非常に難しいかもしれないが、経営者として最優先でなすべきことは、「復旧予定時期の設定」である。 復旧予定時期が3ヶ月後であるならば当然3ヶ月分の固定費を賄うだけの運転資金が必要となるであろうし、顧客に対する商品サービスの提供も3ヶ月間止まることになる。運転資金が確保され、また顧客も3ヶ月間の供給停止を了承するのであれば問題ないが、そうでない場合は会社の存亡を左右することとなる。 復旧予定時期の設定がいい加減であったがために、結果的に従業員への給料が支払えなくなった、あるいは顧客の商品サービスの提供時期が延期されたということになれば、従業員が退職しあるいは得意先との取引が中止になるかもしれない。 復興復旧のための融資制度を利用し事務所工場を再建したものの従業員を確保できず、また顧客からの受注が戻らないまま多額の借金だけが残ったということになれば、目も当てられないのである。 2 正確な復旧予定時期を設定するための情報収集 では、正確な復旧予定時期を設定するために必要な情報とはいったい何か。 欠くことのできないのは である。 これらの状況把握を正確にできるか否かが、以後の復旧時期の設定に大きく影響する。 各項目のポイントは以下の通り。 3 経営者としての事業継続の意思を示す これらの状況を正確に把握し、復旧の制約要因となるものを特定することによって、目標とする復旧予定時期を設定する。そして、復旧予定時期を得意先や従業員に伝えることによって、経営者としての事業継続の意思を明確にしなければならない。 ただし、復旧予定時期があまりにも先になることが見込まれる場合、あるいは復旧の目途が立たない場合には、取引先との契約を一旦解消し、従業員を解雇することが経営者として正しい判断になることもあり得ることを認識しておく必要がある(この点については【第3回】で紹介する)。 (了)
2016年6月9日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.172を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第42回】 「法人税法にいう『法人』概念(その6)」 ~株主集合体説について考える~ 中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦 6 民法上の「法人」概念と租税法上の「法人」 (1) 第二のアプローチによる検討 ここまで、法人該当性を検討するに当たっては、2つのアプローチが考えられることを示した上で、LLC事件、ガーンジー島事件を素材に議論を進めてきた。すなわち、 の2つのアプローチである。 上記の検討からすれば、第二のアプローチを採用することには一定の説得性があることが判然とする。 したがって、LPS事件最高裁平成27年7月17日第二小法廷判決が第二のアプローチを採用したことは妥当といえよう。 しかしながら、ここで改めて、租税法上の「法人」概念について再確認しておく必要があるのではなかろうか。なぜなら、第二のアプローチは、概念を単なる記号としてみるのではなく、その実質的内容にまで踏み込んで解釈論を展開する構成であるため、我が国租税法が採用する「法人」概念の実質的意味内容が明らかにならない以上、かかるアプローチを展開することはできないと言わざるを得ないからである。 (2) 民法上の法人概念 我が国の租税法がいかなる法人観を有しているかという点については、すでにこの連載の【第37回】において述べたところであるが、通説はいわゆる株主集合体説という考え方に立つ。 他方で、民法の学説上は法人を法律による組織体とみる組織体説が通説であると思われる。すなわち、この立場は、法人実在説的な考え方であり、我が国の租税法が支持する法人擬制説的な立場とはその考え方を異にする。 このように、「法人」概念の実質にまで踏み込んで考えた場合に、果たして民法の概念を借用しているからといって、同義に理解することが妥当なのであろうか。再説になるが、第一のアプローチを採用しているのであれば、それは可能であるとしても、第二のアプローチを採用するとした場合、そこには理論上の障壁が立ちはだかっているのではなかろうか。 結びに代えて―米国の「法人」概念と我が国租税法上の「法人」概念 我が国租税法上の「法人」概念は、株主集合体説により捉えており、所得税法92条の配当控除において法人税と所得税の二重課税を排除し、法人税法23条において、原則として、受取配当益金不算入制度を採用することによって、法人の利益配当における多重課税の問題を克服している(【第37回】参照)。 この考え方の背後には、法人税を所得税の前払いと位置付け、所得税法92条の二重課税の計算はドイツ租税法などにおけるいわゆるインピュテーション方式に合致するような計算が理論的には採用されているということを確認した。これは、法人を法人実在説により捉える米国租税法の考え方とは大きく異なるものである。 仮に、米国租税法における「法人」概念に従って、民法上の「外国法人」を理解し、民法上のその法人概念を租税法上の「外国法人」概念と理解するのであれば、第二のアプローチを採用した場合にさらなる問題が惹起されることになる。 第二のアプローチを採用するとしても、米国の「法人」概念の理解に従って、我が国租税法上の「法人」概念を考えることには十分に慎重でなければならないのはいうまでもない。 ましてや、米国における「法人」概念の理解に従うとした場合に、米国における「租税法上の法人」概念を検討の要素にすることは妥当ではないであろう。 なぜならば、我が国租税法上の概念を検討するに当たって、借用概念論の統一説を接着剤として我が国私法上の概念理解を参照することは理論的に説明がつくとしても、我が国私法上の概念を理解するために、米国租税法上の概念を根拠にあるいは参照して議論することは理論的に破たんしているといわざるを得ないからである。 したがって、米国における「租税法上の法人」概念は、議論の俎上にのせるべきではないであろう。 そもそも、我が国民法上の「外国法人」を検討するに当たっては、米国私法上の法人概念を念頭におかなければならないことはいうまでもない。なぜなら、民法上の「外国法人」概念を考えるに当たって、外国の私法上の「法人」概念を念頭におくのは当然であるからである。 そこで、改めて問題として残されているのは、上図にいうところの②の部分であるということが分かる。 この点は、LPS事件最高裁判決においても残された課題であるというべきであろう。 もっとも、上記最高裁は、このような観点ではなく、直接、米国におけるLPSが権利義務の主体となり得るかどうかという観点で論じており、米国私法上の法人該当性の議論(上図②の問題)に触れることはしていない。 本連載の【第39回】においてみたように、最高裁は、当該LPSが「法人該当性の実質的根拠」となる「権利義務の帰属主体」とされているか否かについて、州LPS法を根拠に議論を展開している。 このような点から、最高裁は、次のように説示した。 このように、②の問題に触れずに解決の道筋をつけた判断であったとみることもできるのである。 (了)
延滞税の除算期間に係る計算期間の特例の見直しについて ~最高裁判決を受けた平成28年度税制改正事項~ 税理士 佐藤 善恵 はじめに 延滞税は、法定納期限までに国税が完納されなかったときに、未納額及び遅延期間に応じて課されるものであるが(通法60)、長期間に遡って更正処分がされた場合等は、延滞税の計算期間から一定期間を除くこととされている(通法61)。 これが、いわゆる「除算期間」(計算期間の特例)である。 この除算期間は、税務調査による更正・決定等の時期が税務官庁の事務都合で左右されることから、それによる各納税者の延滞税の負担の違いを救済するといった趣旨によるものである。 平成28年度税制改正では、この除算期間について新たな条項が追加され見直しが行われることとなった(通法61②)。 なお、この改正は、最高裁平成26年12月12日判決が契機となったものであり、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用される。 本稿ではこの改正内容について解説を行う。 1 従前からの計算期間の特例 修正申告書の提出又は更正があった場合、偽りその他不正の行為に係る部分等を除き、次の期間が延滞税の計算期間から除かれる(通法61①)。したがって、重加算税が課された場合等は、この特例の適用はない(参考:昭和51年6月10日徴管2-35外「延滞税の計算期間の特例規定の取扱いについて」)。 2 平成28年度税制改正により新設された計算期間の特例 期限内申告書又は期限後申告書が提出された後(当初申告後)に減額更正があり、さらに、その後に増額更正や修正申告書の提出があったとき、除算期間と、その適用を受ける金額に関する規定が新設された。 〈イメージ図〉 (1) 延滞税を課さない期間について ① 減額更正が「職権」による場合 当初申告に係る税額の納付日(法定納期限前のときは法定納期限)の翌日から減額更正の日までの期間(通法61②一)と、減額更正の日から増額更正等の日までの期間(通法61②二)。 ② 減額更正が「更正の請求」による場合 上記①の★の期間について、その起算点が減額更正の翌日から1年を経過する日となる(通法61②二括弧書)。つまり、除算期間が上記①よりも1年短くなる。 (2) 新設された特例の適用を受ける(延滞税を課さない)部分 新設された特例の適用を受ける部分の金額については、国税通則法施行令第26条に規定された(通令26④)。 例えば下図のように、当初申告に係る税額150、その後、減額更正により70の税額が減額され(減額後80)、さらに140の増額更正がされた場合(増額後220)、(a)更正等により納付すべき税額(140)と、(b)当初申告に係る税額(150)から減額更正後の税額(80)を控除した金額(70)を比べて、少ない方の金額(70)は、延滞税が課されないこととなる。 (了)
さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第15回】 「弁護士夫婦事件」 ~最判平成16年11月2日(集民215号517頁)~ 弁護士 菊田 雅裕 (了)
包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第16回】 「不当の意味と課税要件明確主義」 公認会計士 佐藤 信祐 前回は、明治物産株式会社事件(最高裁昭和33年5月29日判決)について解説を行った。矢内一好著『一般否認規定と租税回避判例の各国比較』(財経詳報社、平成27年)122-123頁では、争点8として租税法律主義を支持する判決として昭和51年7月20日判決が紹介されているが、本判決は本連載の【第11回】で紹介した。 そのため、本稿では、争点9として紹介されている最高裁昭和53年4月21日判決について解説を行うこととする。 11 不当の意味と課税要件明確主義(最高裁昭和53年4月21日判決・TAINSコード:Z101-4179) (1) 第一審(釧路地裁昭和49年4月23日判決・TAINSコード:Z075-3313) (2) 控訴審(札幌高裁昭和51年1月13日判決・TAINSコード:Z087-3691) 控訴審も、第一審の判断を踏襲しているが、控訴人(納税者)が と主張したことから、 と判示した。 (3) 裁判所の判断 最高裁は、原審の判断をそのまま踏襲している。 (4) 評釈 本事件が、同族会社等の行為計算の否認の事件であったのかは、第一審における被告の主張として、「これを容認すれば法人税の負担を不当に減少させる結果となる」としていることから、一応はその対象にはなっていたのかもしれない。そのため、控訴審以降では、判決文に「法人税法第132条」という文言が出てくるようになる。 そして、事件そのものを見てみると、納税者が自ら結んだ賃貸借契約を通謀虚偽表示であるとしたり、利益相反取引であると主張したりするなど、その主張がすべて無理のある内容となっている。それが故に、第一審から上告審まで国側が勝訴しているが、当然のことであると思われる。 強いて言えば、法人税法132条が租税法律主義を定める憲法84条に違反するものかどうかが争われたという意味では意義のある事件であったのかもしれない。同族会社等の行為計算の否認が租税法律主義の1つである課税要件明確主義に反するのか否かは議論のあるところであり、いずれ本連載でも明らかにしていきたい。 しかしながら、本事件は同族会社等の行為計算の否認により争われるべき事件ではなかったように思える。同族会社等の行為計算の否認は、個別規定が存在しない場合にのみ適用される規定であるのに対し、現在とは法体系が異なるとはいえ、借地権課税を個別否認規定で行うことができなかったのかは疑問である。現在の法体系の下では、本事件は、同族会社等の行為計算の否認によらずに、個別否認規定で対応されるべき事件であったと考えられる。 次回では、東京高裁昭和49年6月17日判決について解説を行う予定である。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第29回】 「請負に関する契約書⑤(バナー広告掲載契約書)」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社のホームページ上にバナー広告を掲載することを受託した際に、「バナー広告掲載契約書」を作成していますが、課税文書に該当しますか。 また、課税文書に該当した場合、印紙税額はいくらになりますか。 バナー広告掲載契約は、広告という仕事を行い、それに対して報酬を支払う契約であるため、第2号文書(請負関する契約書)に該当する。 記載金額は計算することができ1,100,000円、印紙税額は400円となる。 [検討1] 広告契約とは 広告契約は、一定の期間における広告スライド映写、新聞広告またはコマーシャル放送等をすることを約し、広告主がこれに対して報酬を支払う契約であることから、請負契約に該当する。 インターネット上で行われる広告においては、バナー広告をはじめ、メールマガジンあるいは音声や動画などを取り入れた広告などさまざまな形態があるが、このような広告も請負契約に該当する。 [検討2] 記載金額は 事例の文書には広告掲載期間と広告掲載料金の記載があることにより、記載金額が計算できる。 ▷ まとめ (了)
ストーリーで学ぶ IFRS入門 【第2話】 「IFRSの特徴は大きく3つ」 仰星監査法人 公認会計士 関根 智美 ゼロから始めるIFRS勉強会 中堅上場会社の経理部に勤める桜井は、入社3年目。ようやく経理部の業務にも慣れてきた頃である。最近、会社がIFRS導入を検討し始めたため、2年先輩の藤原の下で桜井もIFRSを勉強することになった。 今日は6月の第2木曜日だ。藤原と約束したIFRS勉強会の日である。 「おはよう。さっそくIFRSの本を買ったのか?」 今朝も7時半にオフィスに入り、静かな時間を満喫している桜井に藤原が声をかけた。 桜井が本から目を離し、いつものように背後を見上げると、藤原が心なしか嬉しそうな顔をしている。 「おはようございます。とりあえず本屋に並んであった入門書を買ってみたんです。」 桜井は手に持った本のタイトルが藤原にも見えるように、少し掲げてみせた。 「いいんじゃないか?背伸びして難しい本を読んでも頭に入るどころか、下手すりゃ睡眠導入剤になるからな。」 「そうなんです。分厚いIFRSの本も立ち読みしたんですけど、歯が立たないってまさにこのことを言うんだなって実感しましたよ。」 藤原は、ため息をつく桜井の隣にドスンと腰を下ろし、大きく伸びをした。 「焦るな、若者。初めから上手くできる奴はいないんだから。まずは基礎をしっかり固めておくことが大事だぞ。幸い時間はまだある。」 「若者って、先輩とは2才しか違わないじゃないですか。」 「まぁ、細かいことは気にするな。さ、勉強しようぜ」 藤原は桜井のツッコミを軽くいなすと、コピーの裏紙とペンを取り出してせっせと何かを書き始めた。藤原の鷹揚さには慣れているので、桜井は気を取り直してノートとペンを準備することにした。 重要なキーワードの英語表記も押さえよう 「ああ。そうだ。言い忘れていた。」 藤原は、紙から顔を上げて、桜井を見た。 「はい、何でしょう?」 桜井は何となく嫌な予感がした。 「これからIFRSを勉強するにあたって、重要な言葉については英単語も併せて教えていくからな。」 「えっー!?どうしてですか?ちゃんと日本語に訳されているのに、英語なんて必要ないじゃないですかぁ。」 「お前さ、英語苦手だろ?」 図星を指されて、桜井は一瞬口ごもる。学生時代は英語が不得意だったわけではない。受験英語は数学のように理屈で解けたため、英単語さえ押さえておけば何とかなった。でも、会話やニュースのように実際に生きている英語となるとそうはいかない。読むにしても聴くにしても全く理解できず、脳みそがフリーズしてしまうのだ。 「でもな、IFRSはもともと英語で書かれているだろ?会計処理を考えるときに、IFRSの本来の意味を原文に戻って確認することも今後は出てくるだろうし、これからは海外の子会社とも頻繁にやり取りするようになる。」 「はい。その通りですね・・・」 正直あまり遭遇したくないシチュエーションだな、と桜井は思った。 「何もIFRSのすべてを英語で理解しろ、と言ってるんじゃないんだ。大切なキーワードを押さえておけば、日本語訳からは伝わらないニュアンスを感じ取ることができるし、子会社の経理担当者とやり取りする際、どういったことについて問い合わせてきたのか、大まかに分かるだろう?」 「ええ、まぁ、確かに先輩のおっしゃる通りですが。」 「それに少しずつ英語にも慣れることができる。一石三鳥じゃないか。」 桜井だって、藤原の言ってることは理屈では分かるのだが、どうしても気分が落ち込んでしまうのは止められない。「でも、これも仕事だろ」と、自分に言い聞かせる。 そんな桜井の心境が手に取るように分かる藤原は苦笑しつつも後輩を励ます。 「まずは単語だけだ。焦らず行こうぜ。」 「はぁ。頑張ります・・・」 桜井は歯切れの悪い返事をした。今のところはこの返事で十分だろう、と藤原は思った。桜井の英語アレルギーの第一段階をクリアできたことは間違いない。 「よし。それでは勉強開始だ。」 藤原は「コホン」と咳払いを一つすると、桜井に先ほどコピー用紙の裏紙に書いた図を見せる。 「まずは、IFRSには何が含まれるのか、というところからスタートしよう。」 「確か、IFRS、IASという2つの基準とIFRIC、SICの2つの解釈指針の4つですよね。」 「そうだ。アルファベットばかりで混乱してしまうから、一度整理してみるか。 IFRSは国際財務報告基準(International Financial Reporting Standard) といい、国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board)という団体が設定した基準のことを指す。この国際会計基準審議会は頭文字を取ってIASBと呼ばれているんだ。」 「IASBって、会計雑誌とかでよく見かけますよね。そのIASBという団体が、日本での会計基準の策定団体である企業会計基準委員会(ASBJ)に相当するんですか?」 「そうだ。そして、IASBの前身団体である国際会計基準委員会(IASC)が設定した基準を国際会計基準(International Accounting Standard)、つまりIASという。」 「では、先にIASCがIASという基準を策定していて、IASCがIASBに名称変更された後に作られた基準が、IFRSということですか?IASの方がIFRSより前に作られているんですね。」 藤原は頷いて説明を続けた。 「解釈指針についても基準と同じだ。IFRS解釈指針委員会という団体が公表した解釈指針をIFRICといい、IFRSに対応した解釈指針だ。そして、IFRS解釈指針委員会の前身団体である解釈指針委員会が公表した解釈指針がSIC、つまりIASに対応した解釈指針というわけだ。 これらの4つの構成要素をまとめてIFRSsと書くこともある。会計基準のIFRSと区別をつけるためだな。図で描くとこんな感じだ。」 「なるほど。分かりやすいですね。」 藤原はさらに余白に3つの言葉を書き加え、説明を続けた。 「次に、IFRSの特徴は大きく分けると3つある。原則主義、資産負債アプローチ、豊富な注記だ。」 原則主義 「1つ目の原則主義というのは、原理原則を明確にして、例外を基本的に認めない方針で会計基準を設定するというものだ。そのため、原則主義の下では、数値基準や詳細な定めは極力設けられない。」 「では、日本基準は原則主義ではないんですね。日本基準では、例外処理が規定されてたり、〇%だったらこう処理する、みたいな数値基準はよく見かけますよね。実際とても助かりますけど。」 「自分で考えなくていいからな。」藤原はニヤリと笑うと、話を続けた。 「日本基準は細則主義と言われている。細則主義とは、原則主義とは反対に、詳細かつ具体的な規定を設ける方法だ。」 「原則主義と細則主義ですか。初めて聞きました。原則主義のIFRSを適用すると、何が変わるんですか?」 「IFRS適用下では、今までのように数値基準に従って機械的に会計処理が決まる、ということが無くなるな。基準に示された原理原則に基づいて、どの会計方針を採用すれば経済的実態を適切に表すかという観点から、自分たちで実質的に判断していく必要があるんだ。もちろん、その判断の根拠を説明する責任も発生してくる。一方で、自らの判断で会計方針を策定することで、取引の実態をより適切に反映できるというメリットもあるんだ。」 「へぇ。IFRSを適用することは、大変なことばかりじゃないんですね。」 資産負債アプローチ 桜井は2つ目に書かれた項目に目を移して、難しそうな顔をした。 「この資産負債アプローチという言葉は、聞いたことがあります。簿記の勉強の時に出てきたんですけど、いまいちピンとこなくて・・・」 「『利益=収益-費用』って、始めに簿記で習うからな。仕方ないさ。」 藤原は少し元気を失った桜井に苦笑しつつ、説明を続けた。 「2つ目のIFRSの大きな特徴が、BS重視の資産負債アプローチだ。 資産負債アプローチでは、会社の業績である利益は資本取引以外の期首と期末の資本の変動額と考える。そして、資本は資産から負債を差し引いたものと定義されるんだ。ちなみに、この利益のことを包括利益と言うのは知ってるな。 つまり、大まかに言うと、 『包括利益=資本(資産-負債)の変動額』 という式で表すことができる。」 「資産負債アプローチは、BS側の変動分を利益と捉える、ということですね。」 「そうだ。この式からも見て取れるように、資産と負債が決まって初めて資本や利益が算定される。だから、資産と負債の定義や測定が重要になってくるというわけだ。ちなみに、IFRSでは、資産や負債は『概念フレームワーク』で定義づけされている。」 「IFRSでは、業績指標として包括利益を重視しているから、包括利益を算定する基になる資産と負債が重要になるんですね。何となく分かりかけてきました。 ところで、さっき先輩が言ってた『概念フレームワーク』って何ですか?」 「お、いいところに反応したな。『概念フレームワーク』は、簡単に言うと、財務諸表の作成及び表示の基礎にある前提や概念を体系化したものなんだ。すごく重要なものだから、来週と再来週にかけてじっくり教える予定だ。楽しみにしておいてくれ。」 「ふうん。そんなに大事なものなんですね。では、来週楽しみにしておきます?」 「おいおい、疑問形で終わるなって・・・」 豊富な注記 藤原はひと呼吸おくと、3つ目の言葉に視線を移した。 「最後の特徴が、注記が豊富であることだ。IFRSでは、財務諸表の本体に反映しないものの、投資家等が企業を理解する上で必要な情報は注記情報として開示すべき情報を定めているんだ。中でも、金融商品のリスク情報に関する注記や資産・負債の公正価値に関する注記は日本基準より充実している。また、注記する事項はIAS第1号「財務諸表の表示」や、各IFRS基準に開示すべき情報として定められている。」 桜井がポカンとした表情をしているところを見ると、漠然としすぎた説明だったようだ。藤原は気を取り直して、もっと具体的な例を示すことにした。 「といっても、言葉だけじゃ抽象的すぎるよな。百聞は一見に如かず、だ。」 そう言うと、藤原はPCの電源を入れ、パスワードを入力し始めた。間もなく、業界トップの会社のホームページにアクセスするとIRライブラリから過去の有価証券報告書を次々と開き始める。 「これがIFRS適用前のものだ。そして、こっちがIFRS適用後の有報・・・」 藤原は目次のページから、『第5 経理の状況』の連結財務諸表等のページ数と財務諸表のページ数をメモすると、引き算で連結財務諸表等に割り当てられているページ数を計算し、年度ごとに並べていく。 「この3年分が日本基準で作成したときのページ数だ。だいたい50ページ前後で推移しているだろ?そしてこれがIFRS適用初年度、70ページだ。翌年になると少しページ数は減るが、それでも日本基準の時と比較しても多い。ページ数こそ差があれ、他のIFRS適用会社でも同じような推移をしている。」 「えぇ!注記内容で20ページも増えるんですか・・・。具体的な数字を聞くとちょっとゾッとしますね。」 口元を引きつらせた桜井を見て、藤原も苦笑いした。その数字を調べた時の自分も同じ顔をしていたに違いない。注記のページ数がそんなにショックだったのか、桜井は急に寡黙になってしまった。見かねた藤原は桜井の背中をポンと叩いて励ます。 「そんなに落ち込むなよ。経理部10人で割れば1人2ページだ。ほら、何とかなる気になってきただろう?」 桜井はしばらく沈黙した後、眉をひそめて藤原を見た。 「先輩、10人って・・・派遣の方も含まれていますよ?」 数秒の間をおいて、オフィスに藤原の笑い声が響く。 「そうそう、その調子だ。お前はその冷静なツッコミが持ち味なんだから。」 桜井は褒められたのか、貶されたのか判断つかない表情をしていたが、やがて頬を緩めた。 「まぁ、細かいことは気にするな。さて、仕事だ、仕事。」 気がつくとすでに8時半を回り、オフィスに人が増え始めていた。藤原はIFRSの特徴をメモ書きした紙を桜井に渡すと、さっそく仕事に取り掛かる。 桜井は藤原の意外と几帳面な字を見ながら、少し前向きな自分がいることに気がついた。ポジティブって感染するんだな、としみじみ思う。 「そうですね。なんとかなる気になってきました。」 藤原は目を細めて桜井を横目で見た。 「さて、今日も一日頑張りますか。」 桜井もPCの電源をオンにした。 (了)
金融商品会計を学ぶ 【第22回】 「ヘッジ会計③」 公認会計士 阿部 光成 前回に引き続き、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)におけるヘッジ会計について述べる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅰ リスク管理方針文書の記載事項 金融商品会計基準等は、ヘッジ会計を実行するに際して、ヘッジ取引時において、ヘッジ取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが客観的に認められることを要件として規定している(金融商品会計基準31項(1)、金融商品実務指針144項)。 リスク管理方針は、経営者が企業活動においてさらされているリスクの種類と内容を識別し、これらを許容し得るレベルに管理するために策定したものであって、取締役会等の意思決定機関において、原則として毎期、承認を受け文書化したものである(金融商品実務指針315項)。 リスク管理方針として、少なくとも、管理の対象とするリスクの種類と内容、ヘッジ方針、ヘッジ手段の有効性の検証方法等のリスク管理の基本的な枠組みを文書化し、企業の環境変化等に対応して見直しを行う必要がある(金融商品実務指針147項)。 企業がさらされるリスクには、為替、金利、債券、株式等の市場リスク、信用リスク、リーガル・リスク、システム・リスク、事務リスク等、様々なものが考えられ、リスク管理方針にはこれらが包括的に定められるものと思われる。 ただし、ヘッジ会計の適用のため文書化を要するリスクは、為替、債券、株式等の市場リスク、信用リスクや金利リスクのように市場価格その他の変動に対する資産又は負債等の時価やキャッシュ・フローの変化が合理的に定量化できるリスクである(金融商品実務指針315項)。 リスク量は、通常、相場変動に伴う資産又は負債等の時価又はキャッシュ・フローの変化として定義される(金融商品実務指針316項)。 ヘッジ取引はヘッジ対象のリスクを相殺することにより、その後の相場変動による損失発生を減殺させると期待されるが、一方で、機会利益を喪失させるなどヘッジ・コストを伴うものであり、リスクに対してどのようなヘッジ行動を取るかは、当然に経営上の判断を要する事項である(金融商品実務指針314項)。 このため、ヘッジ行動が取締役会等の経営意思決定機関で承認されたリスク管理方針として文書化されたヘッジ方針に基づいて行われ、かつ、ヘッジ取引時にあらかじめ定められたルールに従ってヘッジとして指定され、ヘッジの終了時までヘッジ対象と対応させて定期的又は随時にヘッジの有効性を評価するような内部統制が不可欠となる(金融商品実務指針314項)。 次のことにも注意が必要である(金融商品実務指針314項)。 Ⅱ 内部統制組織 経営者は、リスク管理方針に基づいて経営組織を整備し、各組織にリスクを取る権限とその許容限度を付与してリスク管理の責任を割り当て、各リスク・カテゴリーに対するヘッジ手段の選定、ヘッジ対象の識別、ヘッジ指定並びに事後管理の仕組み、各組織別及び企業全体のリスクの状況のモニタリングの仕組み等を含む内部統制組織と諸規定を定めて、これらを運用していくことが求められる(金融商品実務指針317項)。 デリバティブ取引を活発に行う企業の場合、内部統制組織としてデリバティブ取引を実行する部門(フロント・オフィス)とこれとは別に分離独立したリスク管理を行う部門(バック・オフィス)が必要である(金融商品実務指針318項)。 (了)