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《速報解説》 国税庁、令和5年度改正受け「インボイス制度Q&A」を改訂~2割特例や少額特例、少額返還インボイス等に係る15問を追加~

《速報解説》 国税庁、令和5年度改正受け「インボイス制度Q&A」を改訂 ~2割特例や少額特例、少額返還インボイス等に係る15問を追加~   Profession Journal編集部   国税庁は4月14日、インボイス制度Q&A(「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」)を改訂(前回改訂は令和4年11月25日)、新たに15問を追加し25問の改訂を行った。 また、同日には「お問合せの多いご質問」の更新や「令和5年度税制改正関係(インボイス関連)」ページにおいて「令和5年4月 インボイス制度に関する改正について」のリーフレットの公表もしている。 令和5年度税制改正ではインボイス制度導入に係る激変緩和措置として2割特例等、小規模事業者に向けた措置等が講じられているが、今回の改訂ではこれらに係る設問を含め、追加等がされている。 今回の更新で追加、改訂された設問については以下のとおり。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2023/04/17

プロフェッションジャーナル No.515が公開されました!~今週のお薦め記事~

2023年4月13日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.515を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2023/04/13

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第118回】「節税商品取引を巡る法律問題(その12)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第118回】 「節税商品取引を巡る法律問題(その12)」   中央大学法科大学院教授・法学博士 酒井 克彦     Ⅸ 節税商品取引に係る情報提供の重要性(承前) 2 文書回答手続(承前) (3) 文書回答手続と節税商品取引 さて、国税庁の実施する文書回答手続は、具体的に節税商品取引における課税上の取扱いに係るグレーゾーンを排除することに資するのであろうか。 イ これまでの文書回答手続の改正 事務運営指針に基づく文書回答手続が開始されたのは、平成13年9月のことである。これは、事前照会のうち、その内容が同じような取引を行う多数の納税者の適切な申告等に役立つと認められるなど、一定の要件を満たす照会について、国税に関する法令の適用等について予測可能性を与えることを目的としてスタートしたものである。 その後、照会内容を公表することにより納税者の予測可能性を向上させるという文書回答手続の趣旨や濫用防止の観点から、これまで文書回答手続には何度かの見直しが行われてきた。 主なものとして、平成16年に、それまで文書回答手続の対象外であった「特定の納税者の個別の事情に係るもの」を新たに対象とするとともに、手続の濫用防止のための措置が整備された。この背景には、租税法の適用等についての予測可能性を高めるため、対日投資会議専門部会報告(平成15年3月)などを踏まえ、一層適切な運用に向けて、グローバルスタンダートな納税者ガイダンスの仕組みを整備するとの観点から、我が国との経済的な結びつきの強いアメリカなどの制度も参考にして、見直されたのである(※)。 (※) かかる改正については、酒井克彦「事前照会に対する文書回答手続をめぐる考察と提言(上)(中)(下)」税理50巻15号50頁(2007)、同51巻2号52頁、同巻3号104頁(2008)を参照。 そして、平成20年の見直しは、自由民主党の平成20年度税制改正大綱を受けて、利用者便宜の観点から、それまで文書回答手続の対象取引が確実なものであることを要求していたところ、かかる要件を緩和し、将来行う予定の取引についてもその対象に含めることとし、回答までの期間について、「3か月以内の極力早期」という努力目標が設定された。 平成23年の見直しでは、「情報提供手続の創設」と「非公表期間の延長」が行われた。前者については、文書回答担当者は、照会文書が受付窓口に到達した日からおおむね1か月以内に、それまでの検討状況から見た文書回答の可能性及び処理の時期の見通し等について、事前照会者に対し口頭で示すこととされた。後者については、公表は、原則として文書回答後2か月以内に行うこととされているが、事前照会者から一定の期間内(改正前は180日を超えない期間内)につき公表しないことを求める申出があった場合で、例えば、照会に係る新たな金融商品の内容が一般に明らかとなる前に公表されるとその金融商品の販売に支障が生じ得るといった、その申出に相当の理由があると認められるときには、当該申出に係る期間後に公表することとするとされていた。この期間が改正後は、「1年を超えない期間内」とされた。 また、平成29年の見直しにより、事務運営指針に定められた照会対象のうち「将来行う予定の取引等」の範囲が明確になった。自己に有利な回答を引き出すために照会内容の一部を変更するなどして照会を繰り返すなど、租税回避に悪用される可能性が考えられる「仮定の事実関係に基づく」照会は、文書回答手続の照会範囲から除かれている。しかしながら、例えば、認可申請予定の金融商品など近い将来販売を予定しているものの照会などは、本来は照会の対象となるにもかかわらず、照会者において「仮定の事実関係に基づく」照会に該当し、照会の対象外であると誤解し、文書回答に至っていない状況が一部に見られたことから、「将来行う予定の取引等」に係る事前照会には、照会の前提とする事実関係について選択肢があるものは含まれない旨が示され、その範囲が明らかとなった。 ロ 令和3年6月の文書回答手続改正 令和3年6月に国税庁は、国税庁長官通達(課審1-15ほか9課共同)「『事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について』の一部改正について(事務運営指針)」(令和3年6月21日付け)を発遣し、文書回答手続をさらに改正した。 すなわち、これまで文書回答の対象となる事前照会等の範囲については、事務運営指針及び同業者事務運営指針において複数の要件が定められていたが、この要件については、項目が多く、類似するものや、抽象的な表現もあり、文書回答の対象になるかどうかの判断が難しい、といった意見が国税当局に寄せられていたところ、かような意見を踏まえ、これらの事務運営指針において定められている要件のうち、類似する要件を統合するとともに、事前照会の段階において確定的に判断が困難な要件を削除するなど、要件の整理・合理化が行われたのである。 そこでの文書回答手続きに係る改正内容のうち、特に注目すべきは、「税の軽減を主要な目的とするもの」が文書回答手続の対象外とされていたところ、かかる要件が削除された点にある。いわゆる節税相談と位置付けられる文書回答手続に門戸が開かれたのである。これにより納税者等の予測可能性のより一層の充実が図られることとなると思われる。 また、従来の事務運営指針では、文書回答の対象となる照会に当たらないとされていた「通常の経済取引としては不合理と認められるもの」という文言も、令和3年6月の見直しで削除されている。 すなわち、それまでは、節税商品取引についてその課税上の取扱いが必ずしも明確ではないなかで、勧誘者から、課税上の取扱いについて都合のよい解釈を前提とした勧誘がなされる可能性があっても、かかる解釈が果たして妥当なものであるのか否かについて確定的な判断をし辛い状況にあったのである。ましてや、節税に係る質問に関しては、国税庁は文書回答手続を受け付けないという態度を示してきていたからなおさらである。 しかしながら、国税庁は文書回答手続の改正をして、節税に関する質問にも門戸を開くことになったのである。そうなれば、今後、かかる文書回答手続が多く利用され、情報が共有されることによって、上述したような解釈の不明な部分の領域が狭まる可能性はあろう。かような意味において、文書回答手続の改正は、節税商品取引における投資者保護の視角からみると評価できるところである。 (続く)

#No. 515(掲載号)
#酒井 克彦
2023/04/13

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第13回】「国税通則法23条(2)」-通常の更正の請求と特別の更正の請求-

谷口教授と学ぶ 国税通則法の構造と手続 【第13回】 「国税通則法23条(2)」 -通常の更正の請求と特別の更正の請求-   大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫   国税通則法23条(更正の請求)   1 過誤要件の意義と内容 国税通則法23条1項は、納税者の提出した納税申告書(同法2条6号)に係る課税標準等(同号イ~ハ。同法19条1項柱書参照)又は税額等(同法2条6号ニ~ヘ。同法19条1項柱書参照)の記載の中に、納税者に不利な一定の過誤(同法23条1項1号~3号)があることを要件(過誤要件)として、これが充足された場合に、当該課税標準等又は当該税額等につき更正をすべき旨の請求をすることができると定めているが、この請求が「更正の請求」といわれるものである(同条2項柱書参照。以下「1項更正の請求」という)。 過誤要件は、内容的には、当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことという理由(過誤理由。その内容については後記4参照)により、①当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であること(税通23条1項1号)、②当該申告書に記載した純損失等の金額が過少であること、又は当該申告書に純損失の金額の記載がなかったこと(同項2号)、及び③当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であること、又は当該申告書に還付金の額に相当する金額の記載がなかったこと(同項3号)である。 ここで過誤要件の充足の有無は、納税者の提出した納税申告書に係る課税標準等又は税額等を基準として判断されるが、当該課税標準等又は税額等に関し更正(税通24条、26条)があった場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等を基準として判断される(税通23条1項柱書括弧書参照)。 この点に関連して問題になるのは、上記の場合すなわち納税者の提出した納税申告書に係る課税標準等又は税額等に関し更正があった場合に、更正の請求をしないで当該更正の取消しを求めることができる範囲である。この問題について、泉徳治ほか『租税訴訟の審理について〔第3版〕』(法曹会・2018年)51-53頁(下線筆者)は次のとおり述べている。 この引用部分(特に1つ目の下線部)で述べられている考え方は、裁判例でも採用されてきていると解されるところ(東京高判平成18年12月27日訟月54巻3号760頁、大阪地判平成21年1月30日訟月57巻2号344頁、名古屋地判平成26年9月4日訟月62巻11号1968頁等参照)、筆者はこの考え方を「条件付却下説」と呼んで、司法的救済保障原則(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【27】)の見地から批判してきた(詳しくは拙著『税法創造論』(清文社・2022年)1022頁以下[初出・2016年]参照)。 条件付却下説は、更正の請求の機能(前回3参照)の観点からみて、その本来的機能(適法性保障機能)と派生的機能(権利救済機能)との明確な区別を前提として立論されてこなかった点が問題であり、その区別を明文化した平成23年度[11月]改正後の国税通則法の建前(74条の11第3項参照)の下では、採用することはできないものである。また、前記の引用部分で「参考」として援用している最判昭和57年2月23日民集36巻2号215頁の判示は、上記の両機能を混同するものであり、上記改正後は、国税通則法の建前に照らして見直されるべきである。   2 後発的理由発生要件の意義と内容 以上で解説・検討した過誤要件のほかに(後の3で述べるように、これと同列に位置づけられるものではないが)、更正の請求の許容要件として後発的理由発生要件ともいうべきものが定められている。 国税通則法23条2項によれば、納税申告書を提出した者又は決定(同法25条)を受けた者は、法定申告期限後に発生した一定のやむを得ない理由(後発的理由。同法23条2項1号~3号)があることを「要件」(後発的理由発生要件。なお、同項柱書では「理由」という文言が使われている)として、これが充足される場合に、更正の請求をすることができるとされている(以下「2項更正の請求」という)。 国税通則法23条2項は、そのような後発的理由として、①その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(裁判上の和解を含む)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したこと(同項1号)、②その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たってその申告をし又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他の課税物件が他の者に帰属するものとする、当該他の者に係る国税の更正又は決定があったこと(同項2号)、並びに③その他当該国税の法定申告期限後に生じた上記①及び②に類する政令で定めるやむを得ない理由があること(同項3号、同法施行令6条1項)を定めている(各後発的理由の内容については後記4参照)。なお、これらのほか、個別税法が定める後発的理由もある(所税152条、法税82条、相税32条1項等)。 2項更正の請求も「同項[=同条1項]の規定による更正の請求」(税通23条2項柱書)であるので、過誤要件が充足された場合に行うことができるものであるが、2項更正の請求については、その場合には後発的理由発生要件が充足されていなければならない。換言すれば、後発的理由発生要件の充足を前提として過誤要件が充足された場合でなければならないのである。 このことから、2項更正の請求は「後発的理由による更正の請求」と呼ばれることがあるが(例えば金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)970頁参照。ほかに、野一色直人『国税通則法の基本』(税務研究会出版局・2020年)16頁、武田昌輔監修『DHCコンメンタール国税通則法』(第一法規・加除式)1441頁等は「後発的事由に基づく更正の請求」と呼んでいる)、この呼称は適切であろうか。この点について、項を改め、更正の請求制度における後発的理由発生要件の構成要素ごとに検討することにする。   3 後発的理由発生要件の構成要素 後発的理由発生要件は、前述のとおり、過誤要件の充足の有無を判断する場合においてその前提となる要件である。過誤要件が、過大申告等の基因となる過誤理由を内容とする、更正の請求の実体的要件であるのに対して、後発的理由発生要件は、過誤要件という実体的要件の適用のための発動要件であり、その要件の構成要素は、当該理由が①法定申告期限後に発生すること(時間的要素)と②やむを得ない理由であること(性質的要素)の2つの要素である。 ①後発的理由発生要件の時間的要素 まず、後発的理由発生要件の時間的要素は、一見すると、1項更正の請求と2項更正の請求とを区別する決定的な要素であるかのように思われる。しかしながら、国税通則法23条2項柱書は「次の各号のいずれかに該当する場合」につき「納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了日後に到来する場合に限る。」という括弧書を定めていることからすると、後発的理由発生要件充足後2か月の期間の満了する日が法定申告期限から5年経過後に到来する場合における更正の請求のみが2項更正の請求に該当し、その日が法定申告期限から5年以内に到来する場合における更正の請求は1項更正の請求に該当することになるのである(大阪高判平成30年10月19日判タ1458号124頁も同旨)。 このような整理は、国税通則法の昭和45年改正が同法に2項更正の請求を追加した趣旨が、「期限内に[減額更正を請求する]権利が主張できなかつたことについて正当な事由があると認められる場合の納税者の立場を保護するため、後発的な事由により期限の特例が認められる場合を[個別税法で規定されていた場合よりも]拡張し、課税要件事実について、申告の基礎となつたものと異なる判決があつた場合その他これらに類する場合を追加する」(税制調査会「税制簡素化についての第三次答申」(昭和43年7月)54頁。前回1参照)ことにあったことにも、適合するものである。 そうすると、後発的理由発生要件の時間的要素は、1項更正の請求と2項更正の請求とを区別する決定的な要素とはいえない。むしろ、2項更正の請求が後発的理由発生要件の充足に対応して更正の請求の「期限の特例」を設定するための措置であることからすると、同要件の時間的要素の観点からは、1項更正の請求と2項更正の請求とは、減額更正に係る期間制限の原則(税通70条1項1号。通常の期間制限。前掲拙著『税法基本講義』【144】参照)と特例(同71条1項2号。特別の期間制限。同【145】参照)に対応して、「通常の更正の請求」と「特別の更正の請求」と呼ぶのが適切であろう(同【135】参照)。 なお、1項更正の請求と2項更正の請求の関係について、前者を「申告当初から過大であった場合の更正の請求(いわば原始的・・・事由)」、後者を「申告後の事情の変動で過大になった場合の更正の請求(いわば後発的・・・事由)」とみて、「その『事由』をより端的・・・・・・・・ にあらわした名称という意味で・・・・・・・・・・・・・・」、前者につき「原始的・・・事由による更正の請求」、後者につき「後発的・・・事由による更正の請求」という名称を用いる見解(木山泰嗣『国税通則法の読み方』(弘文堂・2022年)139頁。太字傍点原文)もあるが、この名称を用いると、「後発的・・・事由による更正の請求」も、後発的事由の発生後2か月の期間の満了する日が法定申告期限から5年以内に到来する場合には、1項更正の請求であることに注意しなければならない。 ②後発的理由発生要件の性質的要素 次に、後発的理由発生要件の性質的要素(前記②)は、以上で述べたとおり、2項更正の請求にだけでなく1更正の請求にも認められるものであるが、ただし、2項更正の請求については必須の要素であるのに対して、1項更正の請求についてはそうではない。確かに、㋐過誤要件が法定申告期限後に充足される場合に1項更正の請求が認められるには、過誤要件の発動がやむを得ない理由に基づくことが必要であるが、しかし、㋑過誤要件が既に法定申告期限前に充足されている場合には、過誤要件の発動がやむを得ない理由に基づくか否かにかかわらず、1項更正の請求が認められるのである。 そもそも、更正の請求は、前回1でその制度と沿革について述べたように、申告納税制度の下、その建前と現実との乖離に鑑み、それに基因する過誤(納税義務の過大確定)を納税者が自ら是正するための手続として、導入されたものであることからすると、申告納税制度の「基本」であり納税申告のうち「原則的かつ基本的なもの」である期限内申告(現行法上は税通17条。期限内申告のこのような位置づけについては第11回1~3参照)に関する過誤(過大申告)の是正こそが、更正の請求にそもそも期待された役割である。 そうすると、前記㋑の場合が更正の請求制度がその導入当初から想定していた場面であって、前記㋐の場合は、前述のとおり、国税通則法の昭和45年改正によって「期限内に[減額更正を請求する]権利が主張できなかつたことについて正当な事由があると認められる場合の納税者の立場を保護するため」、更正の請求ができる場合として追加されたものであると解すべきであろう。その意味でも、1項更正の請求を「通常の更正の請求」、2項更正の請求を「特別の更正の請求」と呼ぶのが適切であろう。 これに加えて、2項更正の請求を「特別の更正の請求」と呼ぶのは、後発的理由が「無申告のため決定を受けた納税者についても生ずる可能性がある」(武田監修・前掲書1427頁)ことを考慮して、国税通則法が2項更正の請求を特に決定(税通25条)を受けた者についても認めていることからしても、適切であろう。 (了)

#No. 515(掲載号)
#谷口 勢津夫
2023/04/13

〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第7回】「株式譲渡損と受取配当の両建て」

〈徹底分析〉 租税回避事案の最新傾向 【第7回】 「株式譲渡損と受取配当の両建て」   公認会計士 佐藤 信祐     9 株式譲渡損と受取配当の両建て (1) 問題の所在 被買収会社の株主等が内国法人である場合には、株式譲渡前に剰余金の配当を行うことにより、株式譲渡益を受取配当に付け替えることができる。受取配当等の益金不算入が二重課税の排除を目的にしていることを考えれば、その範囲内で行われる限り、租税回避として認定することはできない。 これに対し、下記のように、株式譲渡損と受取配当が両建てになる場合には、二重課税の排除という制度趣旨を逸脱していることから、租税回避として認定される余地がある。具体的には、以下の事例を参照されたい。 【特殊なケース】 〈前提条件〉 ※ 純資産の内訳 このようなケースにおいて、P氏からX社にS社株式を譲渡した後に、X社から買収会社(Y社)にS社株式を譲渡するものと仮定する。この場合に、X社が受取配当等の益金不算入のメリットを享受するために、株式譲渡前にS社からX社に対して剰余金の配当を行うものと仮定する。具体的には、以下の仕訳がX社において生じることになる。 〈S社株式の取得〉(単位:百万円) 〈配当金の受領〉(単位:百万円) 〈S社株式の譲渡〉(単位:百万円) このように、X社を経由することにより、X社において株式譲渡損(2,900百万円)と受取配当(2,900百万円)が両建てになっている。その結果、短期所有株式等に該当する場合を除き、原則として、株式譲渡損を損金の額に算入しながらも、受取配当等の益金不算入(法法23)を適用することにより、X社における法人税の負担を軽減することが可能になる。 本件取引では、X社を経由する経済合理性がなく、これら一連の取引については、X社において株式譲渡損と受取配当の双方を認識するためだけの行為であったと考えられる。さらに、S社から受け取る配当等の額はS社において課税済みの利益であるものの、X社からS社に対する投資が9,000百万円であることから、S社からX社が受け取る配当等の額については当該投資の回収に過ぎず、受取配当等の益金不算入の適用を受けることは、制度趣旨から逸脱しているとも考えられる。 そのため、平成22年度税制改正では、グループ法人税制が導入されることにより、完全支配関係のある内国法人の株式等に対するみなし配当事由に該当するときは、株式譲渡損益を損金の額又は益金の額に算入できないことになった(法法61の2⑰)。そして、自己株式の取得により生じたみなし配当のうち、みなし配当の生ずる基因となる事由が生ずることを予定して株式等を取得した場合には、受取配当等の益金不算入が適用されないことになった(法法23③)。 さらに、令和2年度税制改正では、特定関係子法人から受ける配当等の額が株式等の帳簿価額の100分の10に相当する金額を超える場合には、その対象配当金額のうち益金不算入相当額をその株式等の帳簿価額から引き下げることになった(法令119の3⑩~⑯)。 このように、株式譲渡損と受取配当の両建てを防ぐための規定が設けられているものの、すべての事案に対応したものではなく、未だに株式譲渡損と受取配当の両建てが可能になっている。 本稿では、このような規制を免れたものに対して、同族会社等の行為計算の否認(法法132)が適用されるかどうかについて検討を行うものとする。 (2) 特定関係子法人から除外されている事案 令和2年度税制改正により、受取配当等の益金不算入(法法23)、外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)又は適格現物分配による益金不算入(法法62の5④)の規定により益金の額に算入されない金額があるときに、特定関係子法人から配当等の額を受け取った場合における株式等の帳簿価額の引下げに係る制度の適用を受けることになった。 この制度は、ソフトバンクグループが行った海外取引により、株式譲渡損と受取配当の両建てを行うことにより、株式譲渡損を損金の額に算入しながらも、外国子会社から受ける配当等の益金不算入を適用することにより、法人税の負担を減少させたことをきっかけに導入されたといわれている(※20)。そのため、国際課税を強く意識したものとなっており、内国普通法人である特定関係子法人の設立の時から特定支配関係発生日までの期間を通じて、その発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の90以上の株式又は出資の数又は金額を内国普通法人若しくは協同組合等又は居住者が有している場合には、この制度の対象から除外されている(法令119の3⑩一)。その結果、設立以後の株主等に外国法人、非居住者又は公益法人等が含まれていない場合には、この制度は適用されないことになる。 (※20) heukocpa「【令和2年税制改正】ソフトバンクグループ対策税制(特定支配配当の簿価減額規定)の最速詳細分析」、大勝英輔「子会社からの配当と子会社株式の譲渡が『租税回避』?」辻・本郷税理士法人、朝長英樹「第4回子会社株式の帳簿価額を修正する租税回避防止措置の改正」TKCグループHP。 このように、発行法人及び株主等の全てが内国普通法人又は居住者である場合には、特定関係子法人に係る規定は適用されないものとされている。このような制度になっている理由として、「配当法人、旧株主及び現株主のすべてが内国法人である場合には、我が国において、配当法人が稼得した利益に対して課税が行われたうえで、旧株主においても配当法人の留保利益の蓄積に対応する部分に対して株式譲渡益課税が行われます。そのため、平成13年度税制改正におけるみなし配当に係る改正の経緯・考え方等を踏まえると、配当法人、旧株主及び現株主のすべてが内国法人等である場合に、旧株主における譲渡益課税を現株主における譲渡損失と相殺することにより我が国における法人段階の重複課税を排除するために、現株主における譲渡損失の計上を認めるという現行の取扱いには、一定の合理性があるものと考えられます。」(※21)と説明されている。 (※21) 瀧村晴人ほか「国際課税関係の改正」『令和2年度税制改正の解説』482頁(令和2年)。 すなわち、①被買収会社の株主等が居住者であることから、配当所得よりも譲渡所得が有利であるという理由により株式譲渡方式を採用した場合、②被買収会社の株主等が内国法人であるものの、繰越欠損金を多額に有することから、株式譲渡方式でも構わない場合には、前述の事例にあるように、他の内国法人(X社)を経由することにより、当該他の内国法人において株式譲渡損と受取配当等の両建てを行ったとしても、被買収会社の株主等において株式譲渡益が生じていることから、制度趣旨には反しないという結論になってしまう。 本来であれば、グループ通算制度にあるように、被買収会社の株主等が保有している株式等に対する投資簿価修正(法令119の3⑤~⑧)を行うことにより、被買収会社の株主等において、被買収会社の利益積立金額に相当する金額が株式譲渡損益を構成させないようにすることで、二重課税が生じないようにすることが望ましいと考えられる。しかしながら、現行法上、このような制度になっていないことから、被買収会社(S社)、被買収会社の既存株主等(P氏)及び他の内国法人(X社)の3者で総合的に二重課税にならないようにしたため、他の内国法人(X社)だけをみれば、株式譲渡損と受取配当の創出により、法人税の負担が減少してしまっているということがいえる。 それでは、現行法上、株式譲渡損と受取配当の創出により法人税の負担を減少させることが租税回避に該当するのかという点を検討すると、たしかに、他の内国法人だけをみれば、二重課税の排除という受取配当等の益金不算入の制度趣旨を逸脱しているといえるが、上記のような解説がある以上は、制度趣旨に反しているとまではいえなくなるため、租税回避に該当しないという結論になる。おそらく、ソフトバンクグループが行った節税(※22)に対して、同族会社等の行為計算の否認(法法132)又は包括的租税回避防止規定(法法132の2)を適用することができなかった理由も、そのような背景があったと推定される。 (※22) heukocpa「ソフトバンクのARM再編によるタックスプランニング徹底解剖」 そのため、現行法上、株式譲渡損と受取配当の創出により法人税の負担を減少させることに対して、租税回避として否認することは難しいと考えられる。 (3) グループ法人税制の対象から除外されている事案 前述のように、平成22年度税制改正によるグループ法人税制が導入され、完全支配関係のある内国法人との間で自己株式を買い取らせた場合には、株式譲渡損益を損金の額又は益金の額に算入させず(法法61の2⑰)、資本金等の額の増減項目として取り扱うこととされた(法令8①二十二)。この取扱いは、その他資本剰余金の配当、残余財産の分配、非適格合併又は非適格分割型分割のように、みなし配当が生じる他の事由についても同様である。さらに、現金交付型合併における抱き合わせ株式の処理についても、株式譲渡損益を認識せず(法法61の2③)、株式譲渡損益に相当する部分の金額が資本金等の額として取り扱われることになった(法令8①五)。 そのため、グループ法人税制が適用されない①完全支配関係のない法人の株式等又は②完全支配関係のある外国法人の株式等について、それぞれ株式譲渡損とみなし配当が両建てになるケースが存在し得るということになる(※23)。 (※23) ただし、現金交付型合併に係る抱き合わせ株式については、完全支配関係のない法人の株式等に係るものであっても、株式譲渡損益を認識することはできない。 さらに、極端な事例を考えると、被買収会社の発行済株式総数の100分の99に相当する数の株式を取得し、当該被買収会社から事業を譲り受けた後に、当該被買収会社を解散した場合には、残余財産の分配により株式譲渡損とみなし配当の両建てが生じやすく、かつ、グループ法人税制の対象外となりやすい。このような事案については、わざわざ少数株主を残していることの経済合理性が問題となりやすく、かつ、現金交付型合併を選択しなかったことの経済合理性も問題となり得る(※24)。 (※24) このような場合には、まずは名義株であるという点が疑われやすいが、残余財産の分配が少数株主に対して行われているなどの形式的な外観が整備されている限り、名義株であるという認定は難しいと思われる。 そのため、本来であれば、同族会社等の行為計算の否認又は包括的租税回避防止規定を検討すべきであるように思われる。しかしながら、前述のように、株式譲渡損と受取配当の両建てについては、必ずしも制度趣旨に反するとはいい難く、実務上は、租税回避であるという認定は難しいと思われる。 (了)

#No. 515(掲載号)
#佐藤 信祐
2023/04/13

〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第25回】「美容師が適格請求書発行事業者の登録をすべきか検討するポイント」

〔疑問点を紐解く〕 インボイス制度Q&A 【第25回】 「美容師が適格請求書発行事業者の登録をすべきか検討するポイント」   税理士 石川 幸恵   【Q】 美容業は消費者向けのサービスなので、適格請求書発行事業者の登録は必要ないと思っています。 美容師が適格請求書発行事業者の登録をすべきかどうか、検討にあたってのポイントを教えてください。 〔ポイント〕 (1) 美容師には様々な働き方があり、一概に「美容業=消費者向けのサービス」とまとめることはできません。例えば業務委託契約で働く美容師(いわゆるフリーランス)は、対事業者のサービスとなります。 (2) 業務委託の委託側は、フリーランスの美容師への支払いについて仕入税額控除をしています。このためフリーランスの美容師は、適格請求書発行事業者の登録について検討する必要があります。 *  *  * 【A】 美容師の働き方には、「自身で店舗を経営する」「従業員として働く」「業務委託で働く」など、様々な形態があります。以下ではこれらの働き方ごとに、インボイス制度への対策の必要性を検討します。 (1) 独立して店舗を経営 美容師自身が営業施設を設け、消費者を主な顧客として美容室経営をしている場合、インボイス発行事業者の登録をしなくても、売上への影響はほぼないと考えられます。 ただし、芸能人やホステスなど職業上の必要性から美容室を利用している顧客は、美容代について仕入税額控除の対象としている可能性があります。 このため、インボイス制度の施行前である本稿公開時点で、顧客から「適格請求書(インボイス)発行事業者ですか」といった問い合わせがある場合は、適格請求書発行事業者の登録について検討が必要です。 (2) 従業員として働く 美容室の経営者と雇用契約を締結し従業員として働いている場合は、インボイス制度の影響はありません。担当した顧客へのサービスの対価が年間1,000万円を超えていたり、1年分の給与収入が1,000万円を超えていたとしても、給料としてもらっている限り、影響はありません。 (3) 業務委託(フリーランス) 美容業界では、「フリーランスの美容師が美容室の経営者と業務委託契約を結んで働く」という形態があります。 このような形態では、美容室経営者とフリーランスの美容師は、経理上、次のようになっていると考えられます。 業務委託契約では、美容室経営者が課税事業者か免税事業者か、原則課税か簡易課税かによって、次のような検討が必要です。 (4) 面貸し 美容室の一部を借り、個人事業主として独立した形でサービス提供する形態です。美容室には時間や売上額に応じて使用料を支払います。メニューは独自のものとなりますので、1つの店に別の店があるようなイメージです。 面貸しの場合、顧客へのサービスの対価が自身の売上となりますので、適格請求書発行事業者の登録に対する考え方は、上記「(1)独立して店を経営」する場合と同じです。 (了)

#No. 515(掲載号)
#石川 幸恵
2023/04/13

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第52回】「資産管理会社における多額の借入金の返済方法」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第52回】 「資産管理会社における多額の借入金の返済方法」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 日野 有裕   相談内容 私Jは、製造業(Z社)の社長をしています。私は父からZ社の経営を引き継ぎましたが、父が所有していたZ社株式は私を含む兄弟4人が分散して相続したことから、その株式の処理に頭を悩ませてきました。私以外の3人の兄弟はZ社の経営に関与しておらず、その3人からは以前より株式の買取りを求められていました。 そこで昨年、私は一大決心をして、総額60億円で3人が持つ全株式の買取りを実行することにしました。 顧問税理士の提案の通り、私が出資する資産管理会社(P社)を設立し、Z社からP社へ60億円を年利1%で貸し付け、P社にて3人が持つ全てのZ社株式を購入しました。 株式購入から1年が経過し、P社では60億円の支払利息として6,000万円を未払計上しました。しかし、この支払利息はZ社からの配当では充当できず、毎年未払金が積み重なっていくことに違和感があります。 顧問税理士に相談しましたが、Z社はキャッシュリッチな会社であり60億円の貸付金の返済がなくても無借金で運営できるため、P社から急いで借入金の返済や未払利息の支払いをしてもらう必要はないとの回答でした。 経営者としては、せめてZ社からの配当金(総額4,000万円程度/年)でP社への利息を支払える程度の借入金にしたいと考えていますが、何か良い方法はないでしょうか。 ちなみにZ社は財産評価基本通達による会社の規模区分では「大会社」に該当します。したがって、相続時においては類似業種比準価額にて評価しますが、今回の株式買取りにおいては顧問税理士より類似業種比準価額と純資産価額の合計の2分の1の価額で取引するようアドバイスを受けたので、その価額で実行しました。 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ [1] 個人から法人への株式譲渡に係る時価 今回のご相談のように、公開途上でもなく、株式の売買実例もない法人の同族株主間において、個人から法人へ株式を譲渡する場合の株価は、所得税、法人税の観点から注意する必要があります。 J社長の兄弟たちからP社への株式の譲渡については、それぞれが中心的な同族株主に該当することから、類似業種比準価額及び純資産価額の合計の2分の1の価額で取引を実行したものと考えられます。 (1) 所得税の取扱い(所基通59-6) 原則として、以下の条件付きで「財産評価基本通達」178から189-7による株価の算定が認められています。 (2) 法人税の取扱い(法基通9-1-14) 課税上の弊害がない限り、以下の条件付きで「財産評価基本通達」178から189-7による株価の算定が認められています。   [2] 株式交換 J社長は株式交換実行前にP社を100%支配しており、他の株主がいないことから、P社の株主総会では、株式交換に係る議案は確実に決議できます。 また、株式交換時点でJ社長はP社株式を他の株主へ譲渡する計画はありませんので、税務上は適格株式交換となり、J社長に譲渡所得税の課税は生じません。なお、株式交換についての詳細は本連載の【第18回】・【第50回】をご参照ください。   [3] 現物配当 会社の債権を現物配当することは可能ですが、会社法上の分配可能額の範囲内である必要があります。今回のケースで現物配当とすることのメリットは、資金を実際に移動させる必要がないということです。 また、P社においては、現物配当は全額益金不算入となり、課税が生じません。 現物配当についての詳細は本連載の【第33回】をご参照ください。   [4] 結論 ご相談内容である「P社の支払利息(Z社側では受取利息)の負担を減らしたい」との意向は、合理的な経営判断だと考えますので、上記スキームは解決策の1つとなる可能性があります。ただし、このスキームの実行よってP社の株価が大幅に上昇してしまっては、J社長の事業承継に支障をきたす可能性があります。 したがって、スキームの実行前と実行後の株価評価を行い、もし実行後に株価が大幅に上昇する可能性がある場合は、STEP①実行後(非適格株式交換とならないよう留意しながら)に一部でも株式を次世代へ承継することも検討すべきでしょう。 なお、具体的な対策については、税理士等の専門家と相談のうえ、実行されることをお勧めします。   (了)

#No. 515(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2023/04/13

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第85回】「タワマン節税事件」~最判令和4年4月19日(民集76巻4号411頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第85回】 「タワマン節税事件」 ~最判令和4年4月19日(民集76巻4号411頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 515(掲載号)
#菊田 雅裕
2023/04/13

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第15回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第15回】 「NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解⑥」   東洋大学法学部准教授 泉 絢也     問8 ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合   【ゲームと所得課税】 FAQの解説では、ブロックチェーンゲームをプレイし、その報酬として、ゲーム内通貨(トークン)を取得した場合、収入等の形で新たに経済的価値を取得したと認められることから、所得税の課税対象となるが、「そのゲーム内通貨(トークン)が、ゲーム内でしか使用できない場合(ゲーム内の資産以外の資産と交換できない場合)」には、所得税の課税対象とならないとされている。 大規模同時参加型のオンラインゲームであるMMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)のSecond Lifeというゲームが流行したころに、米国でMMORPGの課税関係に関する議論が盛り上がり、いくつかの論文が発表されて、意見の応酬があった(代表的な論文として、Bryan T. Camp, The Play’s the Thing: A Theory of Taxing Virtual Worlds, 59 HASTINGS L.J. 1(2007)、Leandra Lederman, Stranger than Fiction: Taxing Virtual Worlds, 82 N.Y.U. L. REV. 1620(2007)などがある。上記議論については、吉村政穂「仮想現実の世界と課税」東京税理士界1236号11頁参照)。 法定通貨と交換できるようなゲーム内通貨は経済的価値が認められるため、たとえゲーム内で獲得したとしてもそれは所得として課税の対象になるという見解がある一方、ゲーム内取引や仮想空間内取引を推奨したり、税務行政や税務申告上の便宜に配慮したりする観点から課税時期を遅らせるべきであるという政策論ないし立法論の議論もあった。 現在のブロックチェーンゲームでは、活発に市場取引されている暗号資産と交換できるゲーム内トークン(暗号資産やNFT)を取得できることが多く、これらを取得すれば、所得課税の対象になることはやむを得ない面がある。 ただし、実際には、納税者が、適切な証拠資料・データに基づいて、適切な時期に、適切な金額で損益計算や税額計算をできるか、エビデンスとしての記録を得ることができるか、残せるか、あるいは、営利目的で継続的にプレイしている者について消費税はどうなるか、という疑問があった。特に、所得課税の対象になるとしてもいつの時点で収入を計上するか、ゲーム内トークンを獲得した都度、その時点のトークンの時価で収入を計上することは現実的か、という問題もあった。 このFAQはこれらの疑問に正面から回答するものではないが、(法的根拠をどのように説明すべきかは措くとしても)後で見る簡便法を認めたことは実務的に影響が大きいといえよう。   【原則的計算方法とゲーム内通貨(トークン)に対する課税】 解説によれば、ブロックチェーンゲームの報酬は、雑所得に区分され、雑所得の金額は、次のとおり求めるとしている。 上記によれば、ブロックチェーンゲームの収入金額は、そこで得たゲーム内通貨(トークン)の総額であり、取得の都度、その評価を行うことになるが、月末又は年末に一括で評価することも認めている。 暗号資産の相場の状況を見て、取得の都度評価する方法と月末又は年末に一括で評価する方法を使い分ける者が出てくることも予想されるが、文面上は、一度採用した評価方法を継続的に採用することを求めてはいない。 他方、「暗号資産に直接交換できないなどの理由により、ゲーム内通貨(トークン)の時価の算定が困難な場合には、時価を0円として差し支え」ないが、その「ゲーム内通貨(トークン)」を「暗号資産と交換できる他のトークン」に交換した時には、そこで所得税が課されるとしている。 なお、市場性のある暗号資産と間接的に交換できるのであれば、通常は、時価の算定が困難であるとはいえないと指摘されるかもしれない。 もっとも、もう少し検討を進める余地は残る。 上記のとおり、解説では、「そのゲーム内通貨(トークン)が、ゲーム内でしか使用できない場合(ゲーム内の資産以外の資産と交換できない場合)」には、所得税の課税対象とならないと説明されている。 ゲーム内通貨であるAトークンはゲーム内資産であるB以外の資産と交換できないが、そのゲーム内資産Bが暗号資産などゲーム外の資産と交換できる場合には、通常、そのAトークンの時価はそのゲーム内資産Bの時価を基準として算定できるであろう。 仮に、このようなAトークンに対して課税がなされないとすれば、ブロックチェーンゲームが課税回避ツールとして利用されかねない。この点に関する国税庁の見解は必ずしも明らかではないが、暗号資産に直接交換できないとしても、「ゲーム内通貨(トークン)の時価の算定が困難な場合」に該当しないため、ゲーム内通貨(トークン)の時価を0円とすることは認められない可能性はあるであろう。 ブロックチェーンゲームのプレイヤーの課税関係はそのゲームの人気や普及に影響を及ぼすため、上記はブロックチェーンゲーム事業者にとっても重要な論点である。   【その他雑所得該当性】 FAQの解説は、ブロックチェーンゲームの報酬は雑所得に区分されるとするが、「業務に係る雑所得」と「その他雑所得」のいずれに該当するかについて明言していない。 「その他雑所得」に該当すれば、業務に係るものではないため、所得税法37条1項の「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」の必要経費算入が認められなくなる、すなわち雑所得の計算上、認められる必要経費の範囲が狭くなる可能性がある(本連載【第10回】 問1「4 一次流通の場合の所得区分」参照)。 この点に関して、上記(注2)は「ブロックチェーンゲームの必要経費は、ブロックチェーンゲームの報酬を得るために使用したゲーム内通貨(トークン)の取得価額の総額となります。」としているため、所得税法37条1項の「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」のみを必要経費として認め、「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」は認めないという立場のようである。 すなわち、国税庁は、ブロックチェーンゲームの報酬は「その他雑所得」に該当することを前提として回答していることが推察される。そうすると、例えば、税理士報酬などは、「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」に該当しないため、必要経費として認められない可能性が出てくる。国税庁の実際の運用を注視しておく必要がある。   【簡便法】 FAQの解説では、ブロックチェーンゲームにおいては、ゲーム内通貨(トークン)の取得や使用が頻繁に行われ、取引の都度の評価は、煩雑と考えられることから、ゲーム内通貨(トークン)ベースで所得金額を計算し、年末に一括で評価する方法(簡便法)で雑所得の金額を計算して差し支えないとしている。 簡便法では次のとおり雑所得の金額を計算する。 ただし、ゲーム内通貨以外のアイテム等(FTやNFT)に適用があるのか、ゲーム内通貨をゲーム外の自分のウォレットに移した場合にどうなるのか、ゲームごとに原則的な計算方法と簡便法を使い分けていいのかなど、細かい疑問は残されている。簡便法の濫用的な事例が出現し、紛争になる可能性もある。   (了)

#No. 515(掲載号)
#泉 絢也
2023/04/13

「人的資本可視化指針」の内容と開示実務における対応のポイント 【第1回】「指針の役割と人的資本の開示に関する国内外の規制動向」

「人的資本可視化指針」の内容と 開示実務における対応のポイント 【第1回】 「指針の役割と人的資本の開示に関する国内外の規制動向」   PwCあらた有限責任監査法人 ディレクター 公認会計士 北尾 聡子   -はじめに- 企業が事業環境の変化に対応しながら、持続的に企業価値を高めていくためには、イノベーションや付加価値を生み出す人材を「資本」としてとらえ、経営戦略と適合的な人材の確保・育成といった『人材戦略』を策定し実践していくことが重要となる。企業が人材戦略に紐づく指標・目標を開示することに対する、投資家のニーズも高まってきている。 そのような中で、企業が、非財務情報を企業開示の枠組みの中で可視化することにより、投資家との対話を促進するための参考となる指針をまとめるため、伊藤邦雄氏を座長とする「非財務情報可視化研究会」が2022年2月1日より開催され、その結果として、2022年8月30日に、「人的資本可視化指針」が公表された。 本稿は、この「人的資本可視化指針」(以下「指針」という)の内容と実務における人的資本開示対応のポイントを、3回にわたって解説する。2023年3月期の有価証券報告書よりサステナビリティ開示の記載欄が設けられ、従業員の状況での人的資本指標の開示が要請されるなど、実務において人的資本の開示への対応が急務となっている中、本稿が参考になれば幸いである。 なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。   第1章 人的資本の可視化を通じた人的投資の推進にむけて   1 本指針の役割、「人材版伊藤レポート」との相乗効果 本指針は、人的資本に関する情報開示の在り方に焦点を当てて、既存のさまざまな基準やガイドラインの活用方法を含めた対応の方向性について、包括的に整理した手引きとなっている。各企業が、自社の業種やビジネスモデル・戦略に応じて積極的に活用することが推奨される。 前述のとおり、可視化の前提となる「人材戦略」の策定とその実践については、「人材版伊藤レポート(2020年9月)」及び「人材版伊藤レポート2.0(2022年5月)」を参照されたい。本指針と両レポートを併せて活用することで人材戦略の実践(人的資本への投資)とその可視化の相乗効果が期待できる。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※) 内閣官房「人的資本可視化指針」や経済産業省「人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~」等をもとにPwCあらた有限責任監査法人作成   2 人的資本の開示に関する国内外の規制動向 人的資本の可視化のベースとなる任意の開示フレームワークはさまざま存在するが、国内外において、人的資本開示を義務付ける規制の整備が進められている。 (1) 日本 日本では、2023年3月31日以後終了する事業年度の有価証券報告書において、下図のとおり、人的資本(多様性を含む)の開示を含めることが求められることとなった。プライム市場上場企業においては、既に2021年6月改訂後のコーポレートガバナンス・コードにおいて、以下が織り込まれている。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※) 金融庁「ディスクロージャーワーキング・グループ(令和3年度)」 第7回及び第9回の資料をもとにPwCあらた有限責任監査法人作成 有価証券報告書の「従業員の状況」の中で、個社別の追加開示が求められた上記3つの人的指標については、「女性活躍推進法」等の規定による公表をしない場合は、有価証券報告書における記載を省略することができるとされているものの、連結ベースでの開示に努めることが推奨されている。 (2) 米国 米国SECは、2020年8月、非財務情報に関する規則を改正し、新たに人的資本についての開示を義務付けることを公表し、2020年11月から適用している。事業を理解する上で重要(material)な範囲で、会社の①人的資本についての説明(従業員の人数を含む)、②会社が事業を運営する上で重視する人的資本の取組みや目標に関して、プリンシプル・ベースでの開示を求めている。 実際の開示の調査において、Safety、Health、Diversity and Inclusionといったカテゴリーを設けて開示している例が見られた(※)。 (※) 金融庁「ディスクロージャーワーキング・グループ(令和3年度)」第3回の資料 さらに、2021年6月に「「人材投資の開示に関する法律」(Workforce Investment Disclosure Act)」が米国連邦議会の下院を通過して上院で審議されている。本法案は具体的かつ強制力もあるため、今後の動きに十分留意する必要がある。 (3) EU EUのCSRD(企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive、以下「CSRD」という)の対象企業は、EUの官民の会計関係機関等で組織する「欧州財務報告諮問グループ」(European Financial Reporting Advisory Group、以下「EFRAG」という)が策定した欧州サステナビリティ報告基準(ESRS(European Sustainability Reporting Standards))に基づいてサステナビリティ情報を開示する必要がある。 CSRDは、欧州議会及び欧州理事会による採択後、2023年1月5日に発効し、EU加盟国は、発効から18ヶ月以内に国内で法制化することを義務付けられている。 ➤ CSRD対象企業:CSRDの対象企業は、NFRDの対象企業(Non-Financial Reporting Directive、以下「NFRD」という)の「従業員500名以上のEU域内の上場企業等」よりも拡大され、全ての大企業と上場企業(一部例外を除く)が対象となり、日本企業を含むEU域外企業についても、一定の条件の下で適用の対象となる。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (※) 経済産業省「信頼性のあるサステナビリティ情報の効率的な収集・集計・開示の在り方について(事務局資料②)」をもとにPwCあらた有限責任監査法人作成 ➤ ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)の公開草案(セクターにとらわれない基準、2022年11月15日まで)で提案されている開示内容   3 実務上の対応ポイント 〈可視化において意識すべき重要ポイント(視点)〉 〈人的投資と企業価値向上のつながりをイメージすること〉 (出典:内閣官房「人的資本可視化指針」P.6コラム①) 〈ステップ・バイ・ステップでの開示(最初から完成型を求めるものではない)〉 (出典:内閣官房「人的資本可視化指針」P.2) ◆まとめ◆ 企業は、人的資本の可視化を推進することにより、投資家の理解を得ながら、中長期的に企業価値の向上を実現することが期待されている。【第2回】においては、人的資本の可視化の方法について、参考となるフレームワークや考え方を紹介するとともに、可視化を行う際の開示実務における対応のポイントを解説する。   (了)

#No. 515(掲載号)
#北尾 聡子
2023/04/13
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