《速報解説》 会計士協会が「2019年度 品質管理委員会年次報告書」を公表 ~会計上の見積りの監査に関する改善事項や監査人の異動理由等について示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年6月30日、日本公認会計士協会は、「2019年度 品質管理委員会年次報告書」、「2019年度 品質管理レビューの概要」及び「2019年度 品質管理レビュー事例解説集」を公表している。 年次報告書は、監査法人又は公認会計士が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)に基づくものであり、基本的な対象は、監査法人又は公認会計士である。 しかしながら、年次報告書に記載されている内容については、一般の事業会社における会計処理等にも関連するものがあるので、実務において参考になるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 会計処理等に関連する改善勧告 多くの監査事務所が改善勧告を受けた「1.会計上の見積りの監査」では、次の事項を含めて、幅広く改善勧告事項が指摘されている(年次報告書56ページ)。 会計上の見積りの監査に関して、次の改善勧告事項が多く見受けられたとのことである(年次報告書56ページ)。 次の事項に関する改善勧告事項が述べられている(年次報告書23ページ、67ページ、事例解説集13ページ、22ページ、23ページ、30ページ、41ページ、45ページ、46ページ)。 より具体的な内容は、「2019年度 品質管理レビュー事例解説集」をお読みいただきたい。 Ⅲ 監査人の異動理由 2019年4月1日から2020年3月31日までに生じた会計監査人の異動のうち、2020年4月30日までに前任監査人及び後任監査人から届出書の提出があった106件の会計監査人の異動について、その理由を集計している(年次報告書38ページ)。 異動理由として「監査報酬」、「継続監査期間」をあげている例が多い。 一方、「監査人の対応の適時性や人員への不満」については、前任監査人が1件であるのに対し、後任監査人が30件と、両者で大きく乖離していることが伺える。 Ⅳ IFIAR の調査結果 監査監督機関国際フォーラム(以下「IFIAR」という)は、世界各国・地域の監査監督機関から構成された組織である。 IFIARによる「上場企業の監査業務における品質管理の項目別の指摘数」では、次のものがあげられている(年次報告書89ページ)。 公正価値測定を含む会計上の見積りの監査については、指摘数は前年度から減少しているが、前年度同様、整合性のない監査証拠の検討を含む経営者の仮定の合理性を十分に評価していないという指摘がほぼ半数を占めているとのことである(年次報告書89ページ)。 (了)
《速報解説》 金融庁より「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」が公表される ~財務情報(追加情報)及び非財務情報(記述情報)の開示に関する留意事項を示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020(令和2)年7月1日に、金融庁は、「四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表した。 これは、5月21日の「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」の発出に続くものであり、四半期報告書においても、新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報を適時適切に開示することは、投資家の投資判断にとって重要と考えている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 四半期報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示 1 四半期報告書の提出期限 2020年4月17日に、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第37号)が公布され、2020年4月20日から9月29日までの期間に提出期限が到来する有価証券報告書 、四半期報告書等に関して、財務局長等へ企業側が個別に申請を行わなくとも、一律に2020年9月30日まで提出期限が延長されている。 2 財務情報(追加情報)の開示 2020年6月26日の企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の更新により、 四半期決算における考え方が示されている。 これを踏まえて、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについて、四半期報告書において、適時適切に投資家へ情報提供することが強く期待されている。 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りの仮定について、その後の経営環境の変化を踏まえ見直しを行った結果として、会計上の見積りに変更が生じた場合には、四半期財務諸表において、当該見積りの変更の影響を反映する必要があるとのことである。 3 非財務情報(記述情報)の開示 四半期報告書における非財務情報(記述情報)の開示に関して、次のことに留意する。 Ⅲ 有価証券報告書レビューとの関係 2020年5月21日に「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」が発出されており、有価証券報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示については 、有価証券報告書レビューの対象となっている。 四半期報告書の財務情報(追加情報)及び非財務情報における当該開示についても、有価証券報告書レビューの一環として、必要に応じて確認するとのことである。 (了)
2020年7月2日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.376を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
monthly TAX views -No.90- 「ドイツの消費税時限減税から考える」 東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹 今後、第2波、第3波が予想される新型コロナ問題だが、ドイツメルケル政権は経済対策として、20年7-12月の期間限定で消費税率を19%から16%へ(軽減税率は7%から5%へ)引き下げる決定をした。 わが国でも従来からコロナ経済対策として、消費税減税を主張する声が、特に自民党の若手議員や野党から上がっており、今回のドイツの決定がわが国にも影響を及ぼすことが考えられる。 しかし、以下に述べる通り、ドイツの財政状況はわが国とは大きく異なるので、これでもって「わが国も同様の措置を」というような議論は乱暴といえよう。 * * * ドイツは2014年以降、6年連続で財政黒字を出し続けてきた。EU各国から緊縮財政を改めるよう何度も圧力がかかったが、それをはねのけて財政黒字を守り続けてきたのである。 2007年に消費税率を16%から19%へ引き上げた後、リーマンショックが襲い、ドイツでの実質経済成長率はマイナス5.6%になったが、その際も付加価値税率を引き下げなかった。そして2009年には、財政収支均衡原則を盛り込んだ憲法(基本法)の改正を行い、財政黒字を出し続けてきた。 しかし今回の新型コロナウイルス問題は、これまでとは異なる深刻度ということで、黒字を国民に還元する策として位置付けたのである。逆に言えば、医療費の削減を含む歳出削減などを通じて財政黒字を出し政府債務残高そのものを減らしてきた結果として、国民に還元する財政余地が存在していたといえよう。 この点、フローでもストックで見ても財政赤字を垂れ流してきたわが国とは、大きく背景が異なる。「ドイツが消費税率を引き下げたからわが国も」とはならないのである。 * * * もうひとつ、ドイツの消費税減税に関する現地の報道を見ると、極めて興味深いことが議論されている。 今回の時限的な消費税減税の利益が、一部事業者の手元に残り消費者に還元されないのではないか(わが国でいう「益税」)ということが議論になっているのである。 事業者間の転嫁は、インボイスが導入されているので、税率引下げ分はきちんと転嫁されるだろうが、最終的な対消費者取引になると、インボイスはあるものの、総額表示のため、税率引下げが消費者に行き渡らず、事業者の手元に利益として残るのではないかという懸念である。 インボイスが導入されているドイツでも、消費者にきちんと転嫁されるかどうかが議論されているというのは、興味深い。もっとも今回は消費税減税なので、話がややこしいのだが。 (了)
居住用賃貸建物の取得等に係る 消費税の仕入税額控除制度の適正化 -令和2年度税制改正- 【第4回】 (最終回) 「新型コロナ税特法等に係る措置」 税理士 石川 幸恵 新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資計画の変更や事務処理能力の低下が生じた場合、消費税の納税義務に関する制限や簡易課税制度選択の制限が、業績回復の妨げになりかねない。 そこで消費税については、4月30日に公布・施行された新型コロナ税特法(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律)によって、「消費税の課税選択の変更に係る特例」及び「納税義務が免除されない制限を解除する特例」の2つの措置が設けられた。 なお簡易課税制度選択については、消費税法第37条の2「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例を適用できる。 連載最終回となる今回は、新型コロナ税特法と消法37の2の特例のうち、【第3回】までに解説した居住用賃貸建物の取得に影響のある部分を解説する。 (※) 「消費税の課税選択の変更に関する特例」は、本連載の内容とは直接的には関係しないため割愛する。 1 3年間の「納税義務が免除されない制限」の解除 (1) 内容 本連載の【第3回】で解説したように、高額特定資産の仕入れ等に伴う「納税義務が免除されない制限」は、居住用賃貸建物の取得にも適用される。 簡潔にまとめると、次のとおりである。 新型コロナ税特法10⑤⑥の適用を受ければ、上記(イ)(ロ)の課税期間の初日以後3年間、「納税義務が免除されない制限」を解除することができる。 (2) 特例の対象となる事業者 特例の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間のうち任意の連続した1ヶ月以上の期間(以下「調査期間」という)の事業としての収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね50%以上減少している事業者(国税庁「新型コロナ税特法に係る消費税の特例に関するQ&A」(以下「Q&A」)問2)である。 なお、調査期間内の日を含む課税期間を「特定課税期間」という(Q&A問6)。 (3) 特例の対象となる取得等の時期 「納税義務が免除されない制限」の解除を受けられるのは、特定課税期間の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において、高額特定資産を取得した場合や、高額特定資産等について棚卸資産の調整措置を受けた場合である。 取得等の時期が特定課税期間以前の課税期間や翌課税期間以後であっても適用があることに注意されたい(Q&A問16、問17、問19)。 (4) 手続き ① 提出書類 以下の書類を納税地の所轄税務署長に提出する。 ② 申請期限 (イ) 高額特定資産を取得した場合 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」と「高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日(Q&A問15)。 (ロ) 高額特定資産等について棚卸資産の調整措置を受けた場合 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」と「棚卸資産の調整規定の適用を受けることとなった日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日(Q&A問18)。 2 簡易課税制度選択届出書の提出制限の不適用 (1) 内容 消法37の2「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例により、課税期間(※)の開始後であっても簡易課税制度を選択することができる。 (※) 基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合に限る。 消法37の2の適用を受ける場合は、次の期間における簡易課税制度選択届出書の提出制限も適用されない(消法37の2①、Q&A問20)。これにより、3年間の一般課税による申告の強制適用が解除されることとなる。 (2) 特例の対象となる時期 消法37の2の特例は、災害その他やむを得ない理由の生じた日の属する課税期間について適用がある点に注意されたい。新型コロナ税特法に規定する「納税義務が免除されない制限」の解除を受けられる高額特定資産の取得時期等が、特定課税期間の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間である点と異なっている。 (3) 手続き ① 提出書類 以下の書類を納税地の所轄税務署長に提出する。 ② 申請期限 新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内。被害のやんだ日がその申請に係る課税期間の末日の翌日(個人事業者の場合は、その末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間に係る確定申告書の提出期限。 なお、本稿執筆時点で、災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書はe-Taxで利用可能な手続に掲載されていない。書面での提出が必要と考えられるので、注意されたい。 (連載了)
〔Q&Aで解消〕 診療所における税務の疑問 【第1回】 「診療所の収入の所得区分と消費税の課税関係」 税理士法人赤津総合会計 税理士・医業経営コンサルタント 赤津 剛史 【Q】 診療所の収入の所得区分で判断に迷うものがいくつかあります。 以下の収入について、所得区分及び消費税の課税関係を教えてください。 【A】 ご質問の収入について、所得区分及び消費税の課税関係は以下のとおりです。 ● ● ● 解 説 ● ● ● ① 自治体から委託を受けた予防接種や検診収入 自治体から委託を受けた予防接種や検診収入は、診療所の診療に付随する行為として、自費診療収入となります。つまり、個人診療所であれば「事業所得」に計上され、医療法人であれば法人の益金に算入されます。 消費税は個人診療所、医療法人ともに課税売上として取り扱います。 ② 休日夜間診療の報酬 休日夜間診療の報酬は、従事する形態によって所得区分が異なります。そのため2つのケースに分けて、以下でみていきます。 [ケース1] 地域の救急センター等で従事する場合 [ケース2] 輪番制で自身の診療所で診療する場合 ③ 産業医の報酬 「産業医」とは、事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師を言います。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられています。 産業医の委託報酬は、個人診療所においては医師個人の「給与所得」に該当し、消費税は不課税として取り扱います。 一方、医療法人が事業場と産業医の派遣契約を締結し、勤務医を産業医として派遣したときは、委託収入として医療法人の益金となり、消費税は課税売上となります。 ④ 原稿料、講演料 医師個人が製薬会社等からの依頼に基づき、執筆した論文等に対する原稿料及び講演をしたことによる講演料等はいずれも個人の「雑所得」になります。 また、原稿料・講演料ともに、医師個人の診療という本来の事業に関連する内容の論文や講演を行う場合には本来業務の付随行為に該当することから、消費税の課税売上に該当すると考えられます。 なお、参考までに国税庁の質疑応答事例「消費税における「事業」の定義」を以下に引用します。 (出典) 国税庁・質疑応答事例「消費税における「事業」の定義」 ◆◇税務監査実務上の留意点◇◆ 個人診療所及び医療法人の税務監査においては、収入の帰属先及び所得区分並びに消費税の課税判定について判断に迷う場面が多くあります。 本来は、医師個人の収入となるものが、医療法人の預金口座へ振込まれているケースも散見されます。支払い側の認識の相違により、医療法人との産業医の派遣契約に基づく支払いに源泉所得税が徴収されているという事例もあります。 経理処理にあたっては、支払い側の経理処理と整合する必要があり、請求書、支払通知書、契約書といった証憑資料の確認という基本の徹底を行い、場合によっては支払い側に直接確認をするといった一歩踏み込んだ税務監査が必要となります。 (了)
令和2年度税制改正における 『連結納税制度』改正事項の解説 【第2回】 「「適用法人の範囲」 「適用方法」」 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸 [3] 適用法人の範囲 グループ通算制度の適用対象となる法人は、適用の承認を受けた「通算親法人(次の法人に限る)及び通算親法人との間に通算親法人による完全支配関係がある通算子法人(次の法人に限る)」の全てとなる(法法64の9①)。 ここで、グループ通算制度の適用範囲となる「完全支配関係」は、完全支配関係のうち、通算除外法人(下記(1)③~⑦までの法人)及び外国法人が介在しない一定の関係となり、通算法人間の完全支配関係を「通算完全支配関係」という(法法64の9①、2十二の七の七)。 (1) 通算親法人 通算親法人とは、普通法人又は協同組合等のうち、次の①から⑥までの法人及び⑥に類する一定の法人のいずれにも該当しない法人をいう。 (2) 通算子法人 通算子法人とは、通算親法人との間に通算親法人による完全支配関係がある他の内国法人のうち、上記(1)③から⑦までの法人以外の法人をいう。 [4] 適用方法 (1) グループ通算制度の開始 ① 承認申請 親法人及び子法人が、通算承認を受けようとする場合には、その親法人のグループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始日の3ヶ月前の日までに、その親法人及び子法人の全ての連名で、承認申請書をその親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出する必要がある(法法64の9②)。 ここで、「通算承認」とは、グループ通算制度の適用に係る国税庁長官の承認をいう。 この場合、グループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始日の前日までにその申請についての通算承認又は却下の処分がなかったときは、その親法人及び子法人の全てについて、その開始日においてその通算承認があったものとみなされ、同日からその効力が生じる(法法64の9⑤⑥)。 ② 申請の却下 国税庁長官は、承認申請書の提出があった場合において、次のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる(法法64の9③)。 この場合、「通算予定法人」とは、グループ通算制度の適用を受けようとする親法人又は子法人をいう。 ③ 親法人の設立事業年度又は設立翌事業年度からの適用方法 親法人の設立事業年度又は設立事業年度の翌事業年度から、グループ通算制度を適用する場合の承認申請期限は次のとおりとなる(法法64の9⑦⑧⑨)。 この場合のグループ通算制度の適用を開始する事業年度を「申請特例年度」という。 (※1) 設立事業年度が3ヶ月に満たない場合に限る。設立事業年度が3ヶ月以上の場合は、原則どおり、3ヶ月前の日が申請期限となる。 (※2) 親法人が設立事業年度終了時に時価評価法人(時価評価対象法人に該当し、かつ、時価評価資産を有する法人)に該当する場合を除く。この場合で、親法人の設立事業年度が3ヶ月に満たない場合、結果的に設立事業年度の翌事業年度からグループ通算制度を適用することはできない。 この申請年度の特例を適用する場合、通算子法人となる法人のうち、時価評価法人(時価評価法人が発行済株式を直接又は間接に保有する法人を含む)に該当するものは、他の通算子法人のように申請特例年度開始日ではなく、申請特例年度終了日の翌日(つまり、1期遅れで)にグループ通算制度を開始又は加入することになるなど、特別な取扱いが適用される(法法64の9⑩⑫、14⑤⑥⑧)。 そのため、本連載では、この特例を適用する場合の税務上の取扱いは解説の対象外としており、原則どおり、グループ通算制度の適用を開始する日の3ヶ月前の日までに承認申請をした場合の取扱いのみ解説の対象としている。 ④ 経過措置 経過措置については次のとおりとなる。 (2) グループ通算制度の取りやめ 通算法人は、やむを得ない事情があるときは、国税庁長官の承認を受けてグループ通算制度の適用を受けることをやめることができる。この取りやめの承認を受けた場合には、その承認を受けた日の属する事業年度終了日の翌日から、通算承認の効力は失われる(法法64の10①②③④)。 また、通算親法人が他の内国法人の100%子会社となった場合、通算親法人が解散する場合(合併による解散を含む)、通算子法人がなくなった場合のほか、青色申告の承認の取消しの通知を受けた場合においても、通算承認の効力は失われる(法法64の10⑤⑥、127①②③④)。 (了)
Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第3回】 「〔第1表の1〕株主判定と配当還元価額の適否」 税理士 柴田 健次 Q 下記の通り、経営者甲が所有しているA社株式の全て(議決権総数の44%に相当する株式)を後継者乙に贈与する場合において、A社が有しているB社(大会社に該当)の株式の評価方式は原則的評価方式(類似業種比準価額)が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。 なお、C社、D社、E社、F社、G社、H社、I社が有しているA社株式は、甲から購入したものであり、いずれもB社の主要な取引先となります。A社株式の譲渡をする場合には、A社取締役会の承認が必要であるものとされています。 A社株式の議決権行使は甲に一任されておらず、C社からI社のそれぞれの会社が議決権行使をしていますが、甲は1社でも味方につければ50%超の議決権の行使が可能となり、甲は実質的にA社を支配している状態にあります。 A B社株式評価を行う場合の株主判定として、A社は同族株主以外に該当するため、特例的評価方式(配当還元価額等)で評価することが評価通達上の評価方法となります。 ただし、乙及びその親族がA社を実質的に支配している場合には、配当還元価額での評価方法は適切であると言えないため、配当還元価額での評価が認められない可能性があり、原則的評価方式により評価することが適正な評価であると考えられます。 ◆ ◆ ◆ ① 評価通達の株主判定 評価通達188(1)によれば、「同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式」は、特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるものとされています。 A社が所有しているB社の株式評価を行う場合の株主判定は、A社を納税義務者として株主判定を行うことになります。実際の株主判定では、乙が筆頭株主となる同族株主に該当しますが、A社は乙の同族関係者に含まれませんので、A社は同族株主以外の株主となります。 したがって、形式的な判定においては、A社が所有しているB社株式については、配当還元価額が適用可能となります。 ◎用語の意義と当てはめ ▷同族株主 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます(評価通達188(1))。 本問の場合には、乙が同族株主に該当します。 ▷同族関係者 法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。 特殊の関係のある個人は、例えば株主等の親族などをいいます。本問の場合には、甲及び甲の配偶者は乙の同族関係者となります。特殊の関係のある法人は、例えば、乙及びその親族が直接又は間接に会社を支配(議決権の50%超保有)している場合におけるその会社が該当します。 本問の場合には、A社は乙、甲、甲の配偶者が支配している会社ではないため、A社は乙の同族関係者には該当しません。 ② 配当還元価額の適用の趣旨 関連会社株式の配当還元価額の適否が争われた東京地裁平成16年3月2日判決(TAINSコード:254-9583)では、次のように判示しています。 そして、評価会社に対する影響力を持ち、支配力がある株式に対しては原則的な評価方式が採用されるべきであるとして、配当還元価額の適用を否認しました。 本問の場合には、甲がC社からI社のうち1社でも味方につければ、A社について50%超の議決権行使が可能となり、反対に甲の支配を奪うためには、7社が結束する必要があり、さらにA社株式について譲渡制限も設けられていることからすると、実質的な支配は甲にあると考えることができますので、A社が所有するB社株式については、支配力がある株式に該当し、本来的には配当還元価額での評価方式は馴染まないと言えます。 ③ 評価通達6の適用 評価通達6を適用し、通達によらない評価を行う場合には、特別の事情が必要になります。 財産評価基本通達に定められた評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなど、この評価方法によらないことが正当と是認されるような特別な事情がある場合には、他の合理的な方法により評価をすることが許されるものと解されています。 本問の場合における評価通達6の適用の有無にあたっては、甲が取引先に譲渡した後の甲一族のA社の支配が継続的に及んでいるかどうか、甲がB社の取引先に株式を譲渡した理由が贈与税及び相続税の負担を減少することを目的としたものではなく経済的合理性に基づくものであるかどうか、B社と取引先との力関係、類似業種比準価額と配当還元価額による金額の差異等を総合勘案して決定されるべきものと考えられます。 ☆実務上のポイント☆ 配当還元価額の適用にあたっては、実質的に会社を支配している株主であるかどうかの着眼点も含めて検討する必要があります。 特に贈与前、相続前において株主に変動がある場合には、株主変動の理由をよく確認する必要があります。 (了)
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例19】 「仮装経理による棚卸資産過大計上分に係る特別損失の損金性」 国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦 【Q】 私は、元々銀行マンでしたが、数年前に取引先である埼玉県所在の主として健康食品を扱っている専門商社X株式会社に移籍し、現在、会社の総務・経理を含む管理部門の責任者である管理部長を拝命しております。当社において主力商品として扱っている健康食品は、はやり廃りが極めて激しく、ある時マスコミに取り上げられると一気に注文が殺到したかと思えば、半年後にはそれまでの狂乱騒ぎが嘘のようにパタッと注文がやむということも珍しくありません。また、事前に何が当たるのかは全く予想がつかないため、商品の仕入れはバクチ的な要素があります。 それを反映してか、わが社においては、毎期末において、相当額の棚卸資産の評価損や廃棄損を計上しておりますが、これまでの税務調査で、期末棚卸資産の評価額に関しその計上額が過少であるとして否認されたことが何度もありました。 ただし、今回の税務調査で問題となったのは、営業部が秘かに行っていた架空在庫の経理処理に関してでした。その内容は、ある健康食品に関し、当てが外れて実際には想定よりも相当程度少ない数量しか売れなかったにもかかわらず、あたかも売れて利益を計上できたかのように仮装するため、翌期に売れるものと見込まれると称して、存在しない在庫を外部倉庫に預けているように経理処理したものでした。 〇該当健康食品の架空在庫に係るX社の経理処理(3期前) (注) 期首商品棚卸高はゼロ。 3期前の期末においてそのような架空在庫が5億3,800万円分あり、直ちに修正すべきであったにもかかわらず、それを行っていなかったため、内部監査でそれが判明した前期末においてその金額を一括で特別損失に計上し、確定申告においては損金の額に計上しました。その結果、当該事業年度においては、繰越欠損金額(青色欠損金、法法57)が2億9,000万円となりました。 ところがこれについて、課税庁の調査官が、当該特別損失については前事業年度の損金の額に算入できない旨を言い渡されました。これは経理処理の誤りであり、正しい経理処理に直したにもかかわらずそれを認めないというのはどうにも納得がいかないのですが、どう考えればよろしいのでしょうか。 【A】 過年度の棚卸資産に係る過大計上額については、それが計上された事業年度における売上収益に対応する売上原価を構成するものであるため、それが判明した事業年度(計上された事業年度の2期後にあたる前事業年度)に修正計上するのは適切ではないことから、その金額を前事業年度の損金の額に算入することはできないとする課税庁の調査官の指摘は妥当であると考えられます。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■ (1) 仮装経理の法人税法上の取扱い 本件のように、法人が仮装経理により法人税を過大に納付した場合には、当該法人はそれをどのように是正することとなるのであろうか。 その過大納付(申告税額が過大)の事実を課税庁が税務調査により把握した場合には、基本的に、その納税申告書に係る課税標準等又は税額等を(減額)更正することとなる(通法24)。 ただし、その理由が仮装経理の場合は、通常の過大納付とは別の取扱いがなされる。すなわち、内国法人が確定申告において(事実を仮装して経理した)仮装経理を行った場合には、当該事実に係る修正の経理をし、かつ、当該修正の経理をした事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、税務署長は更正をしないことができるものとされているのである(法法129①)。 また、減額更正がなされた場合においても、それによる過誤納金(仮装経理法人税額)は直ちには還付されず、まず更正の日の属する事業年度開始前1年以内に開始する事業年度の確定法人税額から還付され(法法135②)、残額は更正の日の属する事業年度開始の日から5年以内に開始する各事業年度の法人税額から順次控除されることとなっている(法法70)。なお、5年目まで順次控除してもなお残額がある場合には、5年目の確定申告、期限後申告又は決定を待って最終的にその全額が還付されることとなる(法法135③)(※1)。 (※1) 当該規定は平成21年度の税制改正で整備・明確化されている。金子宏『租税法(第二十三版)』(弘文堂・2019年)446頁。 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正と法人税額の控除及び還付に係る当該規定を図で示すと以下のとおりとなる。 〇仮装経理に基づく過大申告の場合の更正と法人税額の控除及び還付 (出典) 財務省編『平成21年度税制改正の解説』213頁を一部改変。 上記規定の意味するところであるが、税務署長は、一般の計算誤り等を行った「悪質とはいえない」納税者については速やかに減額更正によりその誤りを是正するものの、仮装経理により過大申告を行った「コンプライアンス意識の乏しい」納税者の場合には、当該納税者が本来の財務諸表において収益・費用を是正することによって税額を修正し、それを踏まえて税務署長が減額更正をするという手続きを経ることを求めることにより、一般の計算誤り等を行った「悪質とはいえない」納税者のケースよりも仮装経理をして過大申告を行った「コンプライアンス意識の乏しい」納税者のケースを劣後して取り扱うこととしている、と解されている(※2)。ただし、課税庁は還付しないのではなく、還付を遅らせるという措置を採るということである。 (※2) 岩品信明「粉飾」金子宏監修『現代租税法講座第3巻 企業・市場』(日本評論社・2017年)124頁参照。 (2) 仮装経理の場合の更正の特例の趣旨 そもそも上記(1)の規定は、昭和40年の仮装経理に伴う倒産事件であるいわゆる「山陽特殊鋼事件」を契機として、そのような仮装経理を抑制するための税制上の措置として、昭和41年度の税制改正で導入されたものである。 その趣旨は、後述する東京高裁平成23年3月24日判決・税資261号順号11648(TAINSコード:Z261-11648、原審東京地裁平成22年9月10日判決を引用)によれば、 であると解されている。 当該措置については、上記裁判例でも指摘するように、その導入時の昭和40年前後において、仮装経理を行って過大の法人税を納付し、後日仮装経理を理由として法人税の還付を求める事案が相当数あり、それが国家財政の安定化を脅かしかねないとの危機意識がその背景にあったものと考えられる(※3)。 (※3) 岩品前掲(※2)論文125頁。 しかし、現在、わざわざこのようなスキームを採用する法人は極めて稀であると考えられることから、当該措置が現在においても存続することの意義は、「粉飾決算の未然防止」一点に絞られると考えられる。ただし、ややうがった見方かもしれないが、一度国庫に収まった税金を還付することに極めて後ろ向きな、財政当局の「還付アレルギー」を考慮すれば、当該措置がその導入時の意義を失ったとしても、直ちに税制改正の俎上に載ることは考えにくいであろう。 (3) 仮装経理が問題となった裁判例 昭和40年前後と比較すれば、現在において仮装経理による法人税の取扱いが問題となる事案は大幅に減少しているものと考えられるが、少数ながら裁判で問題となった事案(東京高裁平成23年3月24日判決・税資261号順号11648(TAINSコード:Z261-11648))があるので以下で検討しておく。 ① 事案の内容 本件は、農薬等の販売を行う株式会社であり、青色申告法人である控訴人(原告)が、過去に過大に棚卸商品を計上するいわゆる粉飾決算を行っていたことから、平成14年12月期の損益計算書の特別損失の項目に棚卸商品過大計上損の科目で当該粉飾決算に係る金額を計上し、同金額を損金の額に算入して同期に係る法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、当該金額を損金の額に算入することはできないとして平成14年12月期更正処分をし、また、これに連動して平成16年12月期更正処分及び本件賦課決定処分をしたため、控訴人が、被控訴人(被告)に対し、平成14年12月期更正処分及び平成16年12月期更正処分の各一部並びに本件賦課決定処分及び本件裁決の全部の取消しを求めた事案である。 控訴人は、平成10年9月期、平成11年9月期、平成12年9月期、平成13年9月期及び平成14年9月期の各事業年度において、棚卸商品につき、それぞれ、1億円、6億円、2億500万円、5億9,500万円及び4億5,300万円の合計19億5,300万円分を意図的に実際の額よりも過大に計上することにより、上記各事業年度の課税標準とされるべき実際の所得の金額を超える金額を所得金額として、法人税の確定申告をした。 また、控訴人は、平成14年12月期(事業年度の変更後)の法人税の申告において、本件粉飾に係る棚卸商品過大計上分である19億5,300万円を損益計算書の特別損失の項目に棚卸商品過大計上損の科目で計上し(本件損失)、これを損金の額に算入して、確定申告をした。当該申告は、所得(欠損)金額を25億2,004万6,219円の欠損とし、平成14年9月期の欠損金額168万3,196円との合計額である25億2,172万9,415円を翌期へ繰り越す欠損金とするものであった。 処分行政庁は、平成17年7月20日から同月22日までの間、控訴人に対し、税務調査(第1回調査)を行った。第1回調査を担当した調査官は、控訴人の事務所に臨場し、控訴人及び控訴人の依頼を受けたA税理士から、本件粉飾についての説明を受けたが、控訴人らに対し、平成14年12月期の申告について修正申告を慫慂しなかった。 また、処分行政庁は、平成19年10月25日から26日までの間に税務調査(第2回調査)を行い、平成14年12月期に計上した特別損失は損金の額に算入できない旨を説明して、修正申告を慫慂した。しかし、控訴人はこれに応じなかったため、処分行政庁は同年11月28日付けで、控訴人に対し、平成14年9月期に係る法人税の更正処分及び本件各処分を行った。更に、処分行政庁は、同日付けで、控訴人に対し、平成17年12月期及び平成18年12月期に係る法人税の更正処分も行った。その内容は以下のとおりである。 控訴人は、本件各処分を不服として、審査請求を経て本訴を提起した。 一審の東京地裁平成22年9月10日判決・税資260号順号11505(TAINSコード:Z260-11505)では、以下のように判示し納税者の主張を認めなかった。 ② 事案の争点 本件粉飾に係る過年度の棚卸商品過大計上分である計19億5,300万円を平成14年12月期の損失として損金の額に算入することができるか。 ③ 裁判所の判断 なお、本事案の上告は最高裁で不受理となり確定している(最高裁平成23年10月11日決定・TAINSコード:Z261-11783)。 ④ 本裁判例からいえること 本件は、法人税法上、過年度の棚卸資産に係る過大計上額(粉飾決算)を当期の損失として一括計上することが認められるのかどうかという事案である。この点につき東京地裁及び東京高裁はいずれも、粉飾決算に係る棚卸商品過大計上分である19億5,300万円(本件損失)は、「法人税法22条3項各号に規定するものに該当せず、同事業年度の損金の額に算入することができないものである」と判断している。 当該損失は、本来、赤字決算になったであろうと見込まれ、それを回避するために粉飾した各事業年度の売上原価を構成するものであり、費用収益対応の原則による適正な期間損益計算を求める企業会計の観点からも、それぞれの事業年度において計上すべきものであると言わざるを得ない。すなわち、納税者はまず過年度における決算の修正(※4)を行い、それに基づいて更正の請求を行うという手続きを経るべきといえる。したがって、本裁判例における裁判所の判断は、至極妥当なものであるといえるだろう。 (※4) 会計原則上は、従来の前期(過年度)損益修正で一括修正するという方法ではなく、各事業年度に遡及して会計処理の修正を行い、順次適正残高を繰り越すことを求めている。企業会計基準委員会「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号・平成21年12月4日)参照。 (4) 本件への当てはめ 過年度の棚卸資産に係る過大計上額については、それが計上された事業年度における売上収益に対応する売上原価を構成するものであるため、それが判明した事業年度(計上された事業年度の2期後にあたる前事業年度)に一括して修正計上するのは適切ではなく、まず過年度に遡及して決算を修正すべきものといえる。したがって、その金額を前事業年度の損金の額に算入することはできないとする課税庁の調査官の指摘は、裁判例に照らしても妥当であると考えられる。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第80回】 「工事期間の変更に関する覚書」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は建設会社です。新型コロナウイルス感染症の影響により、当初定めた工事請負契約の工事期間に遅れが生じることとなり、そのため覚書を取り交わす予定です。印紙税の取扱いはどうなりますか。 なお、原契約は店舗新築請負工事を定めた文書であり、第2号文書(請負に関する契約書)に該当しています。 記載金額のない第2号文書に該当し、印紙税額は200円となる。 [検討1] 覚書は印紙税法上の契約書に該当するか 印紙税法上の契約書は名称のいかんを問わず、契約の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものを含むとされている。 したがって、覚書という名称であっても契約内容の変更の事実を証する文書であれば印紙税法上の契約書に該当し、その文書に課税事項が含まれていれば課税文書に該当する。 [検討2] 事例の工事期間の変更は印紙税法上の契約書に該当するか 第2号文書における重要な事項には「請負期日又は期限」が定められており、原契約が課税物件表の一の号のみの課税事項を含む場合において、課税事項のうちの重要な事項を変更する場合には、原契約と同一の号に該当するとされている。 このことから事例の場合は、原契約と同一の第2号文書に該当する。 (了)