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「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例29(所得税)】 「配当控除を加味して総合課税で申告したところ、配当控除の適用が受けられないものであったため、申告不要制度を選択した方が有利であったとして賠償請求を受けた事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例29(所得税)】   税理士 齋藤 和助   《基礎知識》 ◆上場株式等の配当等を受けた場合の課税関係 平成26年以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主等を除く。以下同じ。)については、その支払の際に20%(所得税15%、住民税5%)の税率により源泉徴収がされるため、原則として申告不要である。しかし、総合課税又は申告分離課税により申告することを選択できる。 なお、この場合は、申告する上場株式等の配当等の全てについて総合課税又は申告分離課税のいずれかを選択する必要があり、総合課税を選択した場合には配当控除の適用があり、申告分離課税を選択した場合には上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる。 ◆配当控除 配当所得につき、その全てを総合課税で申告した場合には、配当控除を受けることができる。配当控除を受けた場合には、配当について源泉徴収された所得税と配当控除額が納付すべき税額の計算上控除される。 ◆配当控除を受けることができる配当所得 日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、証券投資信託の収益の分配などで、確定申告において総合課税の適用を選択した配当所得に限られる。配当控除は、二重課税されているかどうかが問題であるため、法人税が課されない「外国法人から受ける配当等」や「特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等」は配当控除の対象にはならない。 《配当控除率》 ◆特定外貨建等証券投資信託 外貨建資産割合及び非株式割合が75%超の株式投資信託で、配当控除の適用はない。 《外貨建資産・非株式割合による配当控除の可否》       (了)

#No. 133(掲載号)
#齋藤 和助
2015/08/27

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第33回】「外貨預金の利子に課された所得税、復興特別所得税、住民税の処理」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第33回】 「外貨預金の利子に課された所得税、復興特別所得税、住民税の処理」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   当社は、4月1日にA銀行新宿支店にアメリカドルの外貨普通預金口座を開設しました。8月20日に利子3ドルの入金がありました。外貨預金の利子は、日本円の預金の利子と同様に所得税、復興特別所得税、住民税が源泉徴収されるのでしょうか?また、8月20日の換算レートは次の通りですが、どの換算レートにて換算するのでしょうか? 外貨預金の利子に課された所得税、復興特別所得税、住民税の処理についてご教示ください。   国内の金融機関に預け入れた外貨預金の利子は、日本円の預金の利子と同様に20.315%の税率で所得税、復興特別所得税、住民税が源泉徴収される。また、換算レートは、取引日のTTM(電信仲値相場)による。 ただし、継続適用を条件として売上、その他の収益、資産は取引日のTTB(電信買相場)、仕入その他の費用、負債は取引日のTTS(電信売相場)によることができる(法基通13の2-1-2)。 今回のケースにおいては、継続適用を条件にTTBによる換算もできるが、TTMにより換算する。会計処理は、次の通りである。 【8月20日】 (※1) 3ドル×TTM123円/ドル=369円 (※2) 所得税・・・462円×15%=69円(円未満切捨) (※3) 復興特別所得税・・・462円×0.315%=1円(円未満切捨) (※4) 住民税・・・462円×5%=23円(円未満切捨) (了)

#No. 133(掲載号)
#上前 剛
2015/08/27

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第20回】「無対価での100%子会社同士の合併~個別財務諸表のみ作成会社の場合~」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第20回】 「無対価での100%子会社同士の合併 ~個別財務諸表のみ作成会社の場合~」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、無対価での100%子会社同士の合併(個別財務諸表のみ作成会社の場合)について解説する。 無対価での100%子会社同士の合併とは、例えば、100%子会社A社が100%子会社B社を株主に対して何の対価も交付せずに吸収合併する場合をいう。   また、子会社同士の合併は、「共通支配下の取引(【第18回】参照)」に該当する。 なお、孫会社がある場合については、解説していない。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (次ページ【STEP1】へ進む) (前ページ【はじめに】へ戻る) 子会社同士の合併は、共通支配下の取引のため、吸収合併存続子会社は、吸収合併消滅子会社の適正な帳簿価額を引き継ぐ(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下「基準」という)」41)。そのため、吸収合併消滅会社は合併期日の前日に決算を行い、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する。 また、個別財務諸表上の適正な帳簿価額とは、吸収合併消滅子会社が継続すると仮定した場合の適正な帳簿価額である(適用指針83、391)。したがって、適正な帳簿価額の算定において、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計処理を行う際は、吸収合併が行われないと仮定して会計処理を行う。 なお、【第18回】及び【第19回】と異なり、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する必要はない。これは、親会社と子会社の合併のように「垂直的な合併」の場合は、合併前と合併後でグループとして実態は何ら変わらないため、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表は実態的には同一になるようにするために、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を用いる。 一方、子会社同士の合併のように「水平的な合併」の場合は、子会社同士だけで、連結財務諸表を作成するわけではないので、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表を実態的には同一になるように会計処理する必要はない。そのため、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を用いればよい。 (次ページ【STEP2】へ進む) (前ページ【STEP1】へ戻る) 吸収合併存続子会社は、【STEP1】で算定した吸収合併消滅子会社の資産及び負債を引き継ぐ。 また、吸収合併消滅子会社の払込資本(資本金及び資本準備金)はその他資本剰余金として引き継ぐ。利益剰余金は、そのまま引き継ぐ(適用指針203-2、185(1)②、会社計算規則36②)。 (次ページ【STEP3】へ進む) (前ページ【STEP2】へ戻る) 親会社においては、吸収合併消滅子会社株式の帳簿価額を吸収合併存続子会社株式の帳簿価額に加算する(適用指針203-2(1)なお書)。 《設例》 【前提条件】 【会計処理】 1 A社の会計処理 (※1) 子会社B社の帳簿価額 (※2) 子会社B社の資本金 2 P社の会計処理 (※1) B社株式の帳簿価額をA社株式の帳簿価額に加算する。 結果、合併後のA社株式の帳簿価額は8,000である。 (次ページ【STEP4】へ進む) (前ページ【STEP3】へ戻る) 企業結合年度において、共通支配下の取引等に係る重要な取引がある場合には、以下の(1)及び(2)を注記する。なお、個々の共通支配下の取引等については重要性が乏しいが、企業結合年度における複数の共通支配下の取引等全体では重要性がある場合には、当該企業結合全体で注記する(基準52)。 なお、計算書類では、上記のような注記は必ずしも求められていない。 *   *   * 以上、4つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 133(掲載号)
#西田 友洋
2015/08/27

〔会計不正調査報告書を読む〕【第35回】北越紀州製紙株式会社「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」

  〔会計不正調査報告書を読む〕 【第35回】 北越紀州製紙株式会社 「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   【調査委員会の概要】   【北越紀州製紙株式会社の概要】 北越紀州製紙株式会社(以下「北越紀州製紙」と略称する)は、1907(明治40)年4月設立。製紙業界5位の売上高を有する。連結売上高228,400百万円、連結経常利益11,462百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数4,394名。本店所在地、新潟県長岡市。東京証券取引所1部上場。 今回不正が発覚した北越トレイディング株式会社(北越トレイディング株式会社「会社概要」)(以下「HTC」と略称する)は昭和37年10月設立。旧社名は北越不動産株式会社。資本金100百万円で、本店所在地は新潟県長岡市。北越紀州製紙の100%子会社で、不動産売買・仲介、長岡文化自動車学校の運営、自動車の販売・整備、石油燃料の販売などを行っている。   【調査報告書のポイント】 1  調査に至った経緯――不正行為者休暇中の電話 平成27年5月1日、総務部長X(以下「X」という)の休暇中、A銀行からHTCに対し、当座貸越契約の更新依頼の電話があり、電話を受けた課長はこれを不審に思い、HTC社長に報告した。また、当該課長は、郵便物の中にHTCとは取引のないB銀行発信のものを見つけ、開封したところ、HTCの返済予定表が入っていた。 5月6日、出社したXに直接確認したところ、XはHTCの資金を着服したことを告白した。内部調査の結果、過年度決算に訂正事項を生じる可能性が高いことが判明し、平成27年3月期決算短信(連結)の公表を延期するとともに、社内調査委員会(以下「当委員会」という)を設置して詳細な調査を行うことを決定したものである。   2 調査報告書により判明した事実 (1) 本件不正行為の概要 本件不正行為は、平成11年3月に北越紀州製紙からHTCに出向していたXが、競馬、パチンコなどのギャンブル、飲食、あるいは複数の愛人との遊興費の資金を得るため、平成12年4月以降、平成27年5月初めに資金の着服が発覚するまでの間、自らに経理および財務業務の実質的な権限が集中していることを奇貨として、HTC名義で締結されていた銀行との当座貸越契約を利用して、15年間にわたり不正に小切手を振り出し、自ら現金に換金して着服していたものであり、不正借入の合計は、2,750百万円であった。 Xが東京勤務であった当初9年間は、着服金の穴を埋めるため、架空の商品在庫や前払費用を計上して、その事実を隠蔽した。また、一部借入金を簿外とする(オフバランス)ことで着服金の隠蔽を行っていた。 平成21年6月にHTCが本社を東京から新潟県長岡市に移転したことに伴い、Xも長岡に転勤となるが、その後も東京への出張のたびに同様の不正を行い、平成22年3月期には、不正によって生じた借入金は完全にオフバランス(すべて返済されたという会計上の不正な操作)となり、架空の資産を計上するなどの不正な経理処理を行う必要がなくなった。 (2) 本件不正行為が長く発覚しなかった理由 長期にわたり不正が発覚しなかったのは、その間、HTCの財務および経理業務が一貫してXに集中していたため、内部牽制が有効に機能しなかったこと、および銀行残高証明書の偽造、商品受払表等の補助簿の改竄、不正な仕訳伝票の入力、偽造決算書の 銀行提出などにより税務調査や親会社の内部監査および会計監査人の往査、さらには銀行の審査を巧みにくぐり抜けてきたことによる。 例えば、取引銀行に対して、Xは、平成17年3月期から自ら作成した虚偽の決算書を提出し、運転資金が必要であること、業績が拡大していること等の虚偽の報告をすることで、取引銀行からの信用を維持し、また、取引銀行がX以外の社員や取締役に接触を試みなかったことから、不正な借入を継続することに成功していた。 また、着服金を隠蔽するための帳簿操作としては、当初、架空の前払費用、商品の計上に依っていたが、平成21年頃から北越紀州製紙の商流変更に伴い、HTCにおける商品取扱量が減少することとなり、借入金を簿外とする方法により、隠蔽を図り、最終的には当座預金勘定そのものを簿外(オフバランス)として、会計帳簿残高との調整が不要であるように画策していた。 (3) 内部統制上の問題点 調査委員会は、HTCの内部統制上の問題として、「統制環境」「統制活動」および「情報と伝達」について言及している。 まず、統制環境について、以下のように問題点を分析した。 次いで、統制活動の問題点は、子会社ならではのものであった。 最後に、情報と伝達における問題点としては、次のような指摘がなされている。 (4) 過年度決算への影響 北越紀州製紙は、連結財務諸表への影響額として、純資産が268百万円の減額となるとし、会計処理の訂正については、次のように説明している(5月28日付リリース)。   3 調査報告書の特徴 (1) 非常に短い調査期間 不正行為の実行者である総務部長Xの全面的な自供、不正行為が銀行取引によって行われたため証拠の入手が容易であったことなどが推測できるが、2週間あまりの調査期間というのは、他の事例と比較して非常に短く、後述する「類似取引調査」については、十分な調査が行われたかどうか、懸念が残るところではある。 (2) 着服金の使途が十分に判明していないこと 調査結果から「不正のトライアングル(「不正のトライアングル」については、拙稿「企業不正と税務調査」【第2回】を参照されたい)」を考えてみたい。 「機会」については、上記2(3)の「内部統制上の問題点」でも明らかなように、Xは自己の裁量で小切手を振り出し、換金することが可能であっただけでなく、それを隠蔽すること、隠蔽工作を気づかせないようにすることも可能であったことがうかがえる。 「正当化」としては、親会社から出向を命じられ、しかも出向先が本業である「紙」とは全くかけ離れた傍流であったこと(北越紀州製紙のセグメントでいえば、「その他」の中の「その他」に区分される)などから、待遇面でも不満を持っていたことが推測され、これが「正当化」理由となっていたと考えられる。 ところが、肝心の「動機」がよくわからないのである。 動機=着服金の使途、という観点で報告書を読んでみると、「着服金は、主にギャンブル、株取引、遊興費等に費消(5月28日付リリース)」、「競馬、パチンコなどのギャンブル、飲食、あるいは複数の愛人との遊興費の資金を得るため(報告書5ページ)」、「大半を競馬等のギャンブルに費消し、その他株取引、飲食や複数の愛人との遊興費のほか、自己の業務上のミスの隠蔽のため費消した(報告書23ページ)」など、着服金使途を特定することはできなかったようであり、Xが個人用PCの提出には応じながら、スマートフォンの提出を拒んだことなどを考慮に入れると、すべて費消したかどうか――不正蓄財の有無については疑問が残るところである。 (3) 類似取引調査 調査委員会が北越紀州製紙および連結子会社54事業所に対して行った調査内容は次のとおりである。 調査票により行われた①の結果を分析し、リスク有りと判断した事業所について、⑤および⑥の調査を行い、その結果、「類似する不正取引は確認されなかった」としている。 しかし、調査対象の範囲(54事業所)が適切なものであったかどうか、たとえば、抜き打ち監査のような手法をとる必要はなかったのかなど、類似不正調査における「網羅性」については、やや疑問が残る結果となっている。   4 再発防止策 調査委員会は、再発防止策の提言に先立って、本件不正が長く発覚しなかった理由を以下のように総括している。 こうした認識のもと、再発防止策の柱としたのが、内部統制監査室を拡充した「グループ統制管理室」の設置である。グループ統制管理室について、調査委員会はその目的を以下のように説明している。 調査報告書公表時に、北越紀州製紙がリリースした「再発防止に向けた取り組み」は、調査委員会の提言に沿ったものであり、「内部統制のフレームワークにおける脆弱性」をいかに低減するかに的を絞ったものとなっている。 グループ統制管理室の設置をはじめとする再発防止策に目新しさはないが、これは、「グループとしての内部統制システムに問題はないが、一部子会社に脆弱性が発見されたのでこれを是正する仕組みを作ること」が再発防止策であるという認識を、調査委員会が有していることの表れであろう。 (了)

#No. 133(掲載号)
#米澤 勝
2015/08/27

金融商品会計を学ぶ 【第9回】「有価証券の評価基準及び時価(総論)」

金融商品会計を学ぶ 【第9回】 「有価証券の評価基準及び時価(総論)」   公認会計士 阿部 光成   今回は、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)に規定する有価証券の評価基準及び時価についての総論を解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 有価証券の評価基準 金融商品会計基準は、有価証券の範囲を規定し、保有目的別の評価基準を規定している。 有価証券の範囲は次のとおりである(金融商品会計基準注1-2、金融商品実務指針8項、58項、「金融商品会計に関するQ&A」Q1)。 【有価証券の範囲】 金融商品会計基準における有価証券の評価基準は次のとおりである(金融商品会計基準15項~18項、金融商品実務指針65項~76項)。 【有価証券の評価基準】 時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券の貸借対照表価額は、それぞれ次の方法による(金融商品会計基準19項)。   Ⅱ 時価 金融商品会計基準では、有価証券は原則として期末日の時価により評価される(金融商品会計基準15項、18項。ただし、金融商品会計基準注1-2に注意。金融商品実務指針60項~63項)。 【有価証券の時価】 (了)

#No. 133(掲載号)
#阿部 光成
2015/08/27

中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第11回】「標準報酬と老齢厚生年金の額」

中小企業事業主のための 年金構築のポイント 【第11回】 「標準報酬と老齢厚生年金の額」   特定社会保険労務士 古川 裕子   1 標準報酬月額と標準賞与額 【第7回】・【第8回】・【第9回】で示したとおり、老齢厚生年金の額(報酬比例部分)の額は平均標準報酬額(平成15年3月までの期間は平均標準報酬月額)と厚生年金保険の加入期間によって決まる。 なお、「平均標準報酬額」とは、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で除した額である(平成15年3月までの期間は、標準賞与額は含まない)。 【第9回】の《おさらいQ&A》で示した事例のように、過去の報酬が友人よりかなり高額であったにもかかわらず、友人と自分の年金額が変わらないことに疑問を持たれることがあるが、それは平均標準報酬額の基となる標準報酬月額と標準賞与額の限度額が一因となっている。 (1) 標準報酬月額の上限と下限 「標準報酬月額」とは、保険料や保険給付(現金給付)の算定基礎になるものであり、実際の報酬とは異なり、便宜的に決定されたものである。 本稿公開日現在、下限の第1級98,000円から上限の30級620,000円まで定められている。 (2) 標準賞与額 「標準賞与額」とは、その月に支払った賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てたものであり、150万円が上限となっている。 〈事例1〉 AさんよりBさんのほうが総報酬額は多いが、標準報酬月額は上限の62万円で、賞与も上限額が150万円のため、2人の将来の年金額の基礎になる標準報酬月額等は同額となる。 したがって、上限額を超える場合には、報酬及び賞与を多く支給したとしても年金額は変わらない。   2 標準報酬月額と在職老齢年金 在職中に支給される年金(在職老齢年金)は、その人の年金額と総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+標準賞与額の12分の1)によって決まる。 総報酬月額相当額が高いと、在職老齢年金は、全額または一部が停止される。 (1) 標準報酬月額の決定及び改定 標準報酬月額は、資格を取得したときに決定(資格取得時決定)されるが、その後1年に1回見直しをする。これを「定時決定」という。定時決定は、4月、5月、6月の3ヶ月の報酬の平均額で決定され、原則としてその年の9月から翌年の8月までの1年間使用する。 その間に大幅に報酬が変動したときは改定を行う。これを「随時改定」という。随時改定は、報酬が変動した月から3ヶ月間の報酬の平均をとり、現在の標準報酬月額と2等級以上変動があった場合に改定される。改定月は報酬が変動した月から4ヶ月後である。 報酬が減額したことにより随時改定となる場合、実際の報酬が減額しているにもかかわらず、3ヶ月間は従前の高い標準報酬月額のままとなる。したがって、在職老齢年金については、3ヶ月間は従前の在職老齢年金で、4ヶ月目から本来の報酬に見合った標準報酬月額により年金が調整される。 〈事例2〉 報酬が4月から20万円になったとしても、標準報酬月額の改定は、4ヶ月後の7月から行われる。したがって、7月から在職老齢年金の額が増加する。 在職老齢年金の額は、下記早見表を参照。 [60歳台前半の在職老齢年金早見表(一部)] (2) 再雇用などにおける改定 退職後継続して再雇用された場合は、給料が下がることが多々見受けられる。給料が変動した場合は、随時改定により標準報酬月額が改定されるが、改定後の標準報酬月額は、前述のように給料が下がった月の4ヶ月目から適用される。 退職後の再雇用は、原則として社会保険の被保険者資格は継続するので、特に手続は生じないが、60歳以後の再雇用の場合は、一旦退職したとみなして、資格喪失届と資格取得届を同時に提出することもできる(同日得喪という)。この場合、標準報酬月額は資格取得時決定になり、給料が下がった月から標準報酬月額が変わることになる。 その効果としては、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に改定されるので、4ヶ月を待たずに標準報酬月額が改定され、それに基づき社会保険料も計算されることになる。また、在職老齢年金の受給者は、標準報酬月額に応じて年金の受給額が変わるため、再雇用された月から標準報酬月額が改定されることは大きなメリットになる。ただし、再雇用された月の翌月から在職老齢年金の額は改定される。 〈事例3〉 報酬が20万円になった4月から標準報酬月額も20万円になる。したがって、5月から在職老齢年金の額が増加する。   《おさらいQ&A》 (了)

#No. 133(掲載号)
#古川 裕子
2015/08/27

養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第6回】「外国人との養子縁組と戸籍・国籍への影響」

養子縁組を使った相続対策と 法規制・手続のポイント 【第6回】 「外国人との養子縁組と戸籍・国籍への影響」   弁護士・税理士 米倉 裕樹   [1] はじめに 外国人との養子縁組(以下「渉外養子縁組」という)を検討するに当たっては、その成立要件をどの国の法律に従って判断するかが最初に検討されなければならない。その際に適用される法律を準拠法といい、日本において準拠法を定めているのは「法の適用に関する通則法」である。 法の適用に関する通則法第31条第1項では、渉外養子縁組の成立を検討するに当たり、「養子縁組当時の養親の本国法」を準拠法とすることが規定されている。さらに、養子の本国法が養子縁組の成立について養子もしくは第三者の承諾、同意、または公の機関の許可等を必要とするときはその要件も満たすことが必要とされている(通則法31①後段)。 つまり、渉外養子縁組が成立するためには、養子縁組当時の養親の本国法のすべての要件に加え、養子の本国法上の保護要件をも満たす必要がある。さらに、日本人と外国人の夫婦が外国人を養子とする場合には、準拠法は日本法と外国人配偶者の本国法となり、養親それぞれについて、その本国法により縁組の成立要件が検討されなければならない。 なお、法の適用に関する通則法第34条では、渉外養子縁組の方式に関し、養子縁組当時の養親の本国法による方式、または行為地法(※)の方式のいずれかに従っていれば有効としているため、日本国で養子縁組を行うのであれば、日本の民法や戸籍法等による方式にて養子縁組手続を行うことが可能である。 (※) 法律行為が行われた場所の法律。 以上を前提に、以下、「日本人が外国人を養子とする場合」、「外国人が日本人を養子とする場合」における成立要件と、戸籍・国籍等に与える影響について、それぞれ説明する。   [2] 日本人が外国人を養子とする場合 1 成立要件 養親が日本人であるため、養子縁組の成立要件は、日本法に従って検討されることになるが、養子となるべき者の本国法が養子縁組の成立について、養子もしくは第三者の承諾、同意、または公の機関の許可等を必要とするときは、その要件も満たす必要がある(通則法31①)。 たとえば、中国人を養子とする場合、中国人実父母の同意書(さらに養子となる中国人が満10歳以上の場合には養子となる者の同意書)が必要となる(中華人民共和国養子縁組法10①・11、平成22年6月23日付け法務省民一第1541号民事局第一課長通知)。 2 戸籍・国籍 日本の国籍法では、養子縁組を国籍取得原因としていないため、養子縁組のみでは国籍に変動はなく、養子は依然として外国人のままである。 戸籍は、日本国籍を有する者について編成されるため、外国人である養子は戸籍の構成員として名欄に記載されることはなく、日本人である養親の身分事項欄の中に、国籍〇〇、何某を養子とする縁組届出の旨の記載がなされるだけである。 外国人の養子が日本国籍を取得するには、帰化手続が必要であるが、養子の本国法において縁組時に未成年者である者を養子とした場合には、引き続き1年以上日本に住所を有することで、帰化要件の1つである「生計条件」が免除されている(国籍法8①二・5①一、二、四)。 なお、日本人の養子となった外国人の在留資格については、特別養子は「日本人の配偶者等」に、普通養子で6歳未満の者は「定住者」にそれぞれ該当するものの(入国管理法2の2・別表第二、平成2年法務省告示第132号)、普通養子で6歳以上の者については該当する在留資格はなく、他の在留資格に該当しない限り、日本での在留は認められない。 もっとも、外国人配偶者の連れ子である場合には、その外国人配偶者に扶養されている未成年者の未婚の実子は、原則として定住者の在留資格が与えられる(平成2年法務省告示第132号)。   [3] 外国人が日本人を養子とする場合 1 成立要件 養親が外国人であるため、養子縁組の成立要件は、当該外国人の本国法に従って検討されることになるが、養子となるべき者が日本人であるため、日本法における養子の保護要件も満たす必要がある。 日本法における養子の保護要件としては、①養子が15歳未満である場合に法定代理人が養子本人に代わって行う承諾(民797①)、②法定代理人のほかに監護者がいる場合のその同意(民797②)、③養子が未成年者の場合の家庭裁判所の許可(民798)等が存在する。 養親の本国法において、縁組の成立によって養子と実父母及びその血族との親族関係が終了する、いわゆる断絶型の養子縁組制度が採用されている場合には、養子の日本民法上の保護要件として、特別養子縁組に関する保護要件を満たす必要がある(横浜家横須賀支審平成7年10月11日)。 その場合、日本の家庭裁判所は、養親の本国法における養子縁組の要件をすべて充足しているか否かに加え、特別養子縁組の成立要件である民法817条の6規定の実父母の同意の要件についても審理を行うこととなる。 もっとも、養子の戸籍上は特別養子縁組ではなく、養子について新戸籍が編成された上で、断絶型養子縁組であることを明らかにする記載がなされることになる(平成6年4月28日民二2996号通達)。 2 戸籍・国籍 この場合も、養子縁組のみで国籍に変動はなく、養親は依然として外国籍のままである。 養子が養親の国籍を取得するか否かについては、養親の本国法によることとなり、養親の本国法により養子が養親の国籍を取得する場合であっても、養子の日本国籍は当然には喪失せず、重国籍者となる。重国籍者は、22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合には、重国籍となった時から2年以内に)、いずれかの国籍を選択する必要がある。 日本国籍を有しない養親について戸籍が編成されることなく、日本人養子の戸籍の身分事項欄に養子縁組の事実が記載されるに過ぎない。 (了)

#No. 133(掲載号)
#米倉 裕樹
2015/08/27

従業員等からの『マイナンバー』入手の手順 【第4回】「従業員等、企業関係者からのマイナンバーの入手」

従業員等からの 『マイナンバー』入手の手順 【第4回】 「従業員等、企業関係者からのマイナンバーの入手」   仰星監査法人 公認会計士 岡田 健司   【第2回】及び【第3回】では、「本人確認」の方法について詳しく解説を行った。 周知のとおり、企業がマイナンバーを取得すべき「個人」は、 に大きく分けることができる。 そして、「企業内の個人」と「企業外の個人」とでは、その接触の頻度や親密さから、必然的にマイナンバーの入手にあたっての対処が異なることになる。 そこで、本連載の第4回となる本稿では、前回までの理解を前提に、従業員及びその扶養親族(配偶者含む。以下、「従業員等」とする)からのマイナンバーの入手やその方法について解説し、これまでの知識の有機的な統合を図っていきたい。 なお、従業員等以外の外部の個人からのマイナンバーの入手については、次回(第5回)で解説することとする。   1 従業員等からマイナンバーを入手する際に必要な対応 一部【第1回】で紹介した「最低限準備しておくべき“6つのこと”」と重複するが、企業が従業員等からマイナンバーを入手する際に、以下の事項について企業内で対応・決定ができているか、確認していただきたい。 上記6項目について、以下で詳しく解説する。 ① 通知カードの取扱い等、社内へのアナウンスを行う そもそもマイナンバーについての情報が少ない従業員等にとっては、送付されてくる「個人番号の通知カード」が何を意味するのか、その重要性についても理解が不足していると思われる。結果として、通知カードをぞんざいに扱う、あるいは廃棄してしまうケースも予測される。この場合、顔写真の表示のない「個人番号の通知カード」は、顔写真の表示のある「個人番号カード」に比べ紛失してしまうと手元に戻らない可能性が高い。 企業にとっては、従業員等のマイナンバーを入手する際に、住民票に記載の住所地と現住所が異なり通知カードの到着を認識していない、あるいは、通知カードを紛失・廃棄していた場合などに、本人確認の手続に支障をきたすこととなる。 そこで、手元に届いた「個人番号の通知カード」は、個人番号カードの交付や個人番号カードを取得しない場合の番号確認に必要となることから、大切に保管しておくべきことをアナウンスする必要がある。 なお、個人番号の通知カードを紛失した場合には、個人番号は住民票にも印字されることになるため、住民票によって番号を確認するという方法もある(【第2回】参照)。 つまり企業としては、従業員等から「個人番号カードを紛失して個人番号がわからない」といった問い合わせや主張があった場合には、個人番号が記載された住民票を取得するように要請すればよいことになる。 社内にアナウンスすべき事項をまとめると、以下のようになる。 また、従業員にこれらの事項をアナウンスする場面の文例案を示すと以下のようになる。 〈例示〉マイナンバー制度の開始と個人番号に関するお知らせ文案 ② 利用目的の通知や公表のための書類等を作成する 今後の個人情報保護法の改正も見据えれば、いわゆる個人情報取扱事業者以外の事業者を含むすべての事業者が、個人番号の本人たる個人に対して個人番号の利用目的を通知または公表しなければならないことになる(個人情報保護法第18条第2項参考)。そこで、個人情報保護法の改正を前提に、個人情報取扱事業者以外の事業者も対応を検討しておく必要がある。 具体的には、個人番号は本人に直接的に通知する方法でも、あるいは、従業員であれば容易にアクセスできる社内イントラネットに規程等を掲示する形式で公表してもよい。 また、その書面は、特に特定個人情報保護委員会等から定められたものはなく、既存の就業規則あるいは入社時提出必要資料一覧表を改定するか、あるいは別途「個人番号の提供のお願い」といった社内文書の公表に併せて利用目的を公表するのでもよい。 なお、利用について本人の「同意」は不要とされており、通知または公表すればよいとされている(ガイドラインQ&A1-4参照)。 【図1】はこれらの書類あるいは書面に通常規定することとなる、従業員等からの個人番号の利用目的の一例である。これらを参考に、利用目的の通知または公表の具体的な方法と時期を検討されたい。 【図1】 従業員等からの個人番号の利用目的(例) そこで、以下はこれらの利用目的を仮に個別的に通知することを想定した場合の、文案である。 〈例示〉特定個人情報の利用目的について個別に通知する場合のお知らせ文案 ③ 従業員等の本人確認の方法を決定する 従業員であっても基本的には、個人番号の提供を受ける際にはすべてその本人の本人確認を行わなければならない(番号法第16条)。また、その扶養家族(配偶者含む)についても本人確認が必要なケースがある。 この点については、【第2回】及び【第3回】で詳しく解説したことから、そちらを参考に、どのようにして従業員等の本人確認を行うこととするか、検討されたい(なお、【第2回】・【第3回】は、従業員等から「1年目に」個人番号を取得することを前提とした解説である点に改めて留意されたい)。 ④ 本人確認のためのマニュアルを策定する 本人確認を誰が行っても適切に、また、番号法等が想定する品質レベルで均質に行えるようにするには、④のとおり、本人確認のためのマニュアルを策定し、事前に事務取扱担当者あるいは責任者に十分教育研修を行っておくことが望まれる。 ⑤ 従業員等の特定個人情報等に係る「安全管理措置」の体制を整備する 周知のとおり、特定個人情報は個人情報のなかでも、特に秘匿性が強い情報であることから、これまでと同様、あるいはこれまで以上に厳格に、かつ徹底的に情報管理を行わなければならない。この点については、ガイドライン等で「安全管理措置」として求められている点である。 企業は、本人確認を行い、個人番号や特定個人情報を入手した時点から、当該情報に対しては適切に情報管理を行う義務を負うことになる。本人確認を行った際に、本人確認書類の控えを入手し保管するかどうかは企業の任意であるが、仮に控えを入手し保管することとした場合には当該書類も安全管理措置の対象となる点は、前回(第3回)において言及したところである。 具体的に、「安全管理措置」とは、特定個人情報に関する方針や管理規程の策定、特定個人情報管理体制の整備(組織的安全管理措置)、特定個人情報を取扱う従業員(個人番号取扱事務担当者)に対する教育研修(人的安全管理措置)、特定個人情報の管理方法の整備(物理的安全管理措置)、情報セキュリティ・ソフトの見直し(技術的安全管理措置)などであるが、本連載での安全管理措置についての詳説は割愛し、別の機会に譲ることとする。 なお、安全管理措置の一環として、本人確認を行った記録を残すかどうか、どのようにして記録を残しておくかは、実務的には非常に重要な論点であり、慎重に検討する必要がある。 ⑥ 従業員等から個人番号を「いつ」取得するかを決定する 企業は、従業員等から、個人番号を「いつ」取得するか検討し、決定しておかなければならない。 内閣府の正式な見解として、個人番号の通知カードによる通知以降、順次個人番号を取得してよいことになった(平成27年2月17日付「事業者による個人番号の事前収集について」)。 10月以降から順次個人番号を取得するのであれば、その裏返しとして、上記⑤安全管理措置も含めて、基本的な対応はすべて終えておかなければならない。 安全管理措置の準備・対応スケジュールとの兼ね合いで、「いつ」から取得することとするかを検討し、決定しておかなければならない。 また、具体的にどのタイミングで取得するかについては、以下の【図2】を参照されたい。 【図2】 従業員の種別別の個人番号の取得の要否と取得のタイミング (※) 「要」:取得する必要がある。「不要」:取得してはならない。 なお「内定者」についてであるが、基本的には、試用期間も終わり、雇用契約を締結し社員となる時点で、個人番号関係事務の発生が具体的に想定されるようになることから、内定の段階では個人番号を取得せず、実際に社員となる時点で取得するようにした方がよい(※)。 (※) ただし、ガイドラインQ&Aには、当該内定者が確実に雇用されることが予想される場合には、その時点で個人番号の提供を求めることができるとされている(ガイドラインQ&A4-1参照)。 また、「出向者等」について、「場合による」としているのは、例えば、出向元との間で雇用契約が継続している場合(在籍出向の場合)には、出向先と出向者との間では雇用契約は発生せず個人番号関係事務も発生しないと考えられることから、出向先となる企業においては個人番号を取得してはならないという意味である。   5 よくある質問   6 最後に 本稿では、前回までの解説と理解を前提に、企業内の個人である従業員及びその扶養親族(配偶者含む)からのマイナンバー取得に向けた準備を中心に解説を行った。次回(第5回)では、取引先などの企業外部の個人からのマイナンバーの入手について、さらに詳しく解説を加えていきたい。 (了)

#No. 133(掲載号)
#岡田 健司
2015/08/27

現代金融用語の基礎知識 【第21回】「フィンテックと金融持株会社」

現代金融用語の基礎知識 【第21回】 「フィンテックと金融持株会社」   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 フィンテックとは フィンテック(Fin Tech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた言葉であり、ITを活用した金融サービスを指す。この連載の【第2回】でとり上げた「クラウドファンディング」も、広い意味ではフィンテックに含まれるかと思われるが、現在、フィンテックの中心とされるのは、スマートフォンなどを活用した個人間の送金・決済サービスであり、フィンテックと言うと、専らそうしたサービスを指す。   2 金融持株会社とは 金融持株会社とは、金融業を運営する子会社(銀行、証券会社、保険会社など)を持つ持株会社である。金融持株会社を設立している金融機関は多く、3大メガバンクはいずれも金融持株会社を設立している(三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ)。 戦後、持株会社は、戦前のような財閥ができることを防ぐため、禁じられていたが、1997年の独占禁止法改正により解禁された。そして、翌1998年、いわゆる金融ビッグバンにより金融持株会社も解禁されたのだが、銀行による産業支配を防ぐため、金融持株会社が子会社として持てるのは、銀行や証券会社などに制限された。   3 フィンテックと金融持株会社 しかし、そうした規制を緩和しようという動きがある。金融持株会社が持つことができる子会社の範囲を広げようというのである。フィンテック事業を運営する子会社も持てるようにして、銀行にフィンテック事業に参入させるのが目的のようである。銀行がフィンテック事業に参入すれば、銀行口座を持つ顧客に利用者が一気に広がり、フィンテック事業の成長を促す可能性があるからである。早ければ2016年の通常国会に法案が提出されるとのことである。 確かに銀行がフィンテック事業に参入すれば、フィンテック事業の成長が加速するだろう。しかし、銀行の参入は、現在フィンテック事業を運営しているIT企業(楽天、ヤフー、LINEなど)にとっては脅威のはずである。おそらく早晩フィンテック事業は銀行が一人勝ちということになるのは目に見えている。それでいいのだろうか。それについては対立する意見があるはずであり、規制緩和に当たっては対立する意見の調整が必要になるだろう。 【規制緩和のイメージ】   (了)

#No. 133(掲載号)
#鈴木 広樹
2015/08/27

《速報解説》 措置法通達(相続税法の特例関係)の改正により「結婚・子育て資金贈与の贈与税非課税特例」に係る規定が新設

《速報解説》 措置法通達(相続税法の特例関係)の改正により 「結婚・子育て資金贈与の贈与税非課税特例」に係る規定が新設   税理士事務所ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   平成27年6月26日付で、国税庁から「「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)」が公表された(以下、改正通達という)。これは平成27年度税制改正における相続税の改正に伴う一部改正である。 具体的には、(1)相続税法基本通達に関する改正、(2)「税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(租税特別措置法(相続税法の特例関係)の通達)に関する改正、に区分することができる。 (1)相続税法基本通達に関する改正は、主として相続税法における条文番号等の変更に対応するものであり、また(2)「税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」に関する改正は、《直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税》(租税特別措置法第70条の2の3)の創設に伴う規定の新設が中心となっている。 以下では、(2)税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」に関する改正のうち、結婚・子育て資金贈与の贈与税非課税特例(以下、本特例という)に関する部分(創設規定のためすべて新設)を見ていくこととする。 なお本制度の詳細については、下記拙稿をご覧いただきたい。 【ポイント】 「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」における用語の定義を行っている。上記改正通達における用語の定義は、租税特別措置法の用語の定義と同じである旨、示されている。   【ポイント】 本特例の対象となる個人については、租税特別措置法第70条の2の3第1項に適用要件が定められている。この適用要件には、日本国籍を有する者、日本の居住者であることは求められておらず、適用される個人は日本国籍を有する者、日本に住所を有する者に限定されないと解釈される。 上記改正通達では、外国国籍を有する者、相続税法の施行地に住所を有しない者について、いずれも、他の適用要件を満たしていれば、本特例の対象となることが留意的に示されている。   【ポイント】 本特例の対象者は、直系尊属から結婚・子育て資金贈与を受けた一定の個人である(措法70の2の3①)。この直系尊属の範囲については、租税特別措置法第70条の2の3に定義はないため、民法等の借用概念と解釈される。 上記改正通達では、直系尊属の範囲は、住宅取得等資金の贈与税非課税特例に係る措置法通達70の2-1(直系尊属の範囲)を準用することが示されている。 なお、参考までに当該通達を以下に記載しておく。   【ポイント】 追加贈与を行い、本特例の適用を受ける場合には、既に結婚・子育て資金非課税申告書を提出した取扱金融機関の営業所等を経由して、追加結婚・子育て資金非課税申告書を提出することとされている(措法70の2の3④)。 結婚・子育て資金非課税申告書を提出した取扱金融機関の営業所等以外の金融機関の営業所等を通じて、追加結婚・子育て資金非課税申告書を提出した場合、租税特別措置法上の取扱いとしては効力を有せず、本特例の適用はないことが留意的に示されている。   【ポイント】 結婚・子育て資金非課税申告書又は追加結婚・子育て資金非課税申告書に記載された非課税拠出額が1,000万円を超えていた場合、これらの結婚・子育て資金非課税申告書又は追加結婚・子育て資金非課税申告書につき、取扱金融機関の営業所等は受理することができないこととされている(措法70の2の3⑥)。 これに反して上記のように結婚・子育て資金非課税申告書又は追加結婚・子育て資金非課税申告書が提出・受理された場合、そのような結婚・子育て資金非課税申告書や追加結婚・子育て資金非課税申告書は、租税特別措置法上の取扱いとして効力を有せず、本特例の適用がないことが示されている。   【ポイント】 信書便により、取扱金融機関の営業所等へ、結婚・子育て資金非課税申告書、追加結婚・子育て資金非課税申告書、結婚・子育て資金非課税取消申告書、結婚・子育て資金非課税廃止申告書又は結婚・子育て資金管理契約に関する異動申告書が提出された場合、信書便の発信日(信書便に表示された通信日付印による日)に受理されたものとして取り扱われることが示されている。   【ポイント】 本特例が適用され、贈与税の課税価格に算入されない価額は、租税特別措置法第70条の2の3、租税特別措置法施行令第40条の4の4、租税特別措置法施行規則第23条の5の4に規定される適用要件を充足した価額である。 上記改正通達では、本特例が適用され、贈与税の課税価格に算入されない価額について、非課税拠出額(1,000万円までの金額に限る)の範囲内であること、かつ、措置法施行令第40条の4の4第4項及び第5項の要件を満たしている部分に限定されることが、留意的に示されている。 なお、(1)贈与者が複数である場合には、贈与者ごとに判定を行うこと、(2)結婚・子育て資金贈与特例が適用されない金額については贈与税が課され、その場合には、贈与税は暦年課税・相続時精算課税のいずれかにより課税されることが留意的に示されている。   【ポイント】 領収書等に記載された金額が外国通貨により表示されている場合、支払年月日における最終為替相場(取扱金融機関などの金融機関が公表する対顧客直物電信売相場)で邦貨換算した金額で記録を行うことが示されている。   【ポイント】 結婚・子育て資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合、管理残額について、受贈者は贈与者から相続・遺贈により取得したものとして、相続税が課税される(措法70の2の3⑩二)。 このように課税が行われる理由について、財務省立法担当者は以下のように解説している(財務省「平成27年度 税制改正の解説」567頁)。 なお、この場合において、改正通達では以下の点が留意的に示されている。 (1) 複数の贈与者から結婚・子育て資金贈与を受けた場合の管理残額 結婚・子育て資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合、管理残額について、受贈者は贈与者から相続・遺贈により取得したものとして、相続税が課税されるが、複数の贈与者から結婚・子育て資金贈与を受けている場合には、贈与者ごとに管理残額を算定する必要が生じる。この場合、非課税拠出額合計に占める、死亡した贈与者が贈与した金額の占める割合を、管理残額合計に乗じることで算定する(比例按分計算)。 (2) 結婚・子育て資金贈与特例の適用を受けた贈与 本特例の適用を受けた贈与は、贈与者が死亡した場合、管理残額について相続税の対象となるが、贈与税(暦年課税・相続時精算課税)は適用されない。したがって、本特例の適用を受けた贈与価額については、相続開始前3年以内贈与の加算(相法19)、相続時精算課税(相法21の15、21の16)の対象とはならない。 (3) 相続税2割加算の適用 結婚・子育て資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合、管理残額について、受贈者は贈与者から相続・遺贈により取得したものとして、相続税が課税されるが、管理残額に対応する相続税については、相続税の2割加算(相法18)の適用はない。 (4) 相続開始前3年以内贈与 結婚・子育て資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合、管理残額について、受贈者は贈与者から相続・遺贈により取得したものとして、相続税が課税されるが、管理残額以外の財産を取得しなかった受贈者は、本特例の適用を受けた贈与以外の財産を贈与されていた場合であっても、相続開始前3年以内贈与(相法19)として相続税の対象に加算されない。   【ポイント】 結婚・子育て資金管理契約が終了した場合、その終了事由によって、管理残額の課税は異なる(措法70の2の3⑫⑬)。 (1) 受贈者が死亡したこと(措法70の2の3⑬) 管理残額について贈与税の課税は行われない。これについて、財務省立法担当者によれば以下のように説明されている(財務省「平成27年度 税制改正の解説」(570・571頁)。 なお、管理残額については贈与税の課税は行われないが、受贈者の死亡時における実際の口座残高については、受贈者の相続財産として、受贈者の死亡に係る相続税の対象となる。 (2) 受贈者が死亡したこと以外(受贈者が50歳に達したこと、結婚・子育て資金管理契約を終了させる合意があったこと)(措法70の2の3⑫) 管理残額について、贈与税の課税が行われる。この場合、受贈者が、管理残額を贈与者からその終了の日において贈与により取得したものとみなして、相続税法その他贈与税に関する法令の規定が適用される(措令40の4の4第25項)。また、贈与者が複数である場合には、贈与者ごとに贈与額を算定し、課税が行われる。 したがって、管理残額について贈与税が課税される場合、他の贈与と同様に、暦年課税又は相続時精算課税により、課税が行われることとなる。   【ポイント】 受贈者が死亡したこと以外(受贈者が50歳に達したこと、結婚・子育て資金管理契約を終了させる合意があったこと)の事由により結婚・子育て資金管理契約が終了した場合、管理残額について、贈与税の課税が行われ、この場合、受贈者が、管理残額を贈与者からその終了の日において贈与により取得したものとみなして、相続税法その他贈与税に関する法令の規定が適用される。 その後、贈与者が死亡した場合、その贈与者に係る相続税については、管理残額については、(1)管理残額の贈与税課税が暦年課税である場合、相続開始前3年以内贈与の加算(相法19)の適用があり、(2)管理残額の贈与税課税が相続時精算課税である場合、相続時精算課税の精算(相法21の15、21の16)が行われる。 なお、改正通達において、管理残額以外の結婚・子育て資金贈与額(すでに支出した部分)については、贈与税課税(暦年課税・相続時精算課税)はなく、結果として、贈与者が死亡したときの相続税課税として相続開始前3年以内贈与の加算、相続時精算課税の精算は行われないことが留意的に示されている。   【ポイント】 結婚・子育て資金非課税申告書を提出した受贈者が、その提出後、当該結婚・子育て資金非課税申告書に係る結婚・子育て資金管理契約に基づく事務を取り扱う取扱金融機関の営業所等に対して当該事務の全部を移管前の営業所等以外の営業所等に移管すべきことを依頼し、かつ、その移管があつた場合には、当該受贈者は、遅滞なく、その旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、移管前の営業所等を経由し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(措令40の4の4第33項)。 この場合において、結婚・子育て資金管理契約に基づく事務の移管が可能な取扱金融機関の営業所等は、同一の取扱金融機関内の営業所等に限定されることが留意的に示されている。 (了) ↓お勧め記事↓

#No. 132(掲載号)
#根岸 二良
2015/08/26
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