公開日: 2022/03/24 (掲載号:No.462)
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事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第21回】「電機メーカーでの品質不正-その原因は何か」

筆者: 原 正雄

事例で検証する

最新コンプライアンス問題

【第21回】

「電機メーカーでの品質不正-その原因は何か」

 

弁護士 原 正雄

 

M電機では、2016年、2017年、2018年と3度にわたり、グループ全体を対象に品質不正の発見に向けた点検を実施してきた。それにもかかわらず、その間もその後も数多くの品質不正が次々と発覚し続けた。

2021年4月、可児工場において、電磁開閉器につき、米国の第三者認証機関ULに認証登録したものとは異なる材料が使用されている事実が発覚した。

同年6月、長崎製作所においても、鉄道車両用空気調和装置などにつき、契約で定めた品質試験を実施していない疑いが発覚した。

以上の結果、同年7月2日、M電機は記者会見で社長が引責辞任を表明せざるを得ない事態に至ってしまった。

そこで、M電機は、本件品質不正の問題の本質に迫り、断固たる再発防止策を実現することを目的として、同年7月21日、調査委員会を設置した。同委員会はM電機への調査を実施し、同年10月1日に「調査報告書」を提出し、同年12月23日にも「調査報告書(第2報)」を提出した。

M電機の品質不正は非常に広範で、多数の事業所の様々な製品に及ぶ。その全てに論及するのでは紙幅が足りない。そこで、本稿では、可児工場での電磁開閉器の事案と、長崎工場の鉄道車両用空気調和装置の事案(以下、両事案を合わせて「本件品質不正」という)を対象に、なぜM電機で本件品質不正が起きたのかを分析する。

 

1 本件品質不正の概要

(1) 可児工場-UL認証との不整合

可児工場では、電磁開閉器において、米国の第三者認証機関UL(Underwriters Laboratories)に認証登録したものと異なる材料を使用していた。この不正が行われた経緯は、以下のとおりである。

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最新コンプライアンス問題

【第21回】

「電機メーカーでの品質不正-その原因は何か」

 

弁護士 原 正雄

 

M電機では、2016年、2017年、2018年と3度にわたり、グループ全体を対象に品質不正の発見に向けた点検を実施してきた。それにもかかわらず、その間もその後も数多くの品質不正が次々と発覚し続けた。

2021年4月、可児工場において、電磁開閉器につき、米国の第三者認証機関ULに認証登録したものとは異なる材料が使用されている事実が発覚した。

同年6月、長崎製作所においても、鉄道車両用空気調和装置などにつき、契約で定めた品質試験を実施していない疑いが発覚した。

以上の結果、同年7月2日、M電機は記者会見で社長が引責辞任を表明せざるを得ない事態に至ってしまった。

そこで、M電機は、本件品質不正の問題の本質に迫り、断固たる再発防止策を実現することを目的として、同年7月21日、調査委員会を設置した。同委員会はM電機への調査を実施し、同年10月1日に「調査報告書」を提出し、同年12月23日にも「調査報告書(第2報)」を提出した。

M電機の品質不正は非常に広範で、多数の事業所の様々な製品に及ぶ。その全てに論及するのでは紙幅が足りない。そこで、本稿では、可児工場での電磁開閉器の事案と、長崎工場の鉄道車両用空気調和装置の事案(以下、両事案を合わせて「本件品質不正」という)を対象に、なぜM電機で本件品質不正が起きたのかを分析する。

 

1 本件品質不正の概要

(1) 可児工場-UL認証との不整合

可児工場では、電磁開閉器において、米国の第三者認証機関UL(Underwriters Laboratories)に認証登録したものと異なる材料を使用していた。この不正が行われた経緯は、以下のとおりである。

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連載目次

「事例で検証する最新コンプライアンス問題」

筆者紹介

原 正雄

(はら・まさお)

弁護士。一橋大学法学部卒、中島経営法律事務所パートナー

専門は、コンプライアンス、企業危機管理、消費者対応、製造物責任、知的財産、労務、セクハラ・パワハラ、証券取引、M&A、訴訟など企業法務

主な著書に「社内規程整備で取り組む―中小企業のコンプライアンス対策」(清文社)、「図解 仕事の法律」(共著、三笠書房)、「ネットリスク対策なるほどQ&A」(共著、中央経済社)、「事例で見る借地借家契約の解除」(共著、新日本法規)など多数。
論文執筆、講演・研修など多数。

http://www.ntlo.net/partner/detail/id=15&contents_type=45

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