公開日: 2015/01/22 (掲載号:No.103)
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〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第4回】「グローバル展開する中堅製造業、ERP選定のポイントは?」

筆者: 五島 伸二

〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第4回】

「グローバル展開する中堅製造業、
ERP選定のポイントは?」

 

公認会計士 五島 伸二

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

~グローバル展開する中堅製造業の置かれている環境~

長く続いた円高によって製造業の海外進出が進み、それまで海外進出など考えられなかった多くの中小企業や中堅企業が製造拠点を海外に移した。

アベノミクスによって円安に振れた現在もこの傾向は変わらないといわれているが、一方で国内に製造拠点を戻す動きも出てきている。

いずれにしても言えることは、製造業を取り巻く外部環境の変化は激しく、この激しさはこれからも続くであろうということだ。

経営者は、外部環境の変化に対応した厳しい戦略的判断を迫られ続け、同時に、内部の業務プロセスの効率化などによる収益性の向上についても、今まで以上に求められ続けるであろう。

 

重要性を増す「基幹システム」の存在

このような状況にある企業にとって、情報システム、とりわけ、基幹システムの整備は重要な課題となる(ここで「基幹システム」とは、購買管理、在庫管理、生産管理、販売管理、会計等の企業の基幹業務を支援するシステムのことをいう)。

なぜなら、企業の戦略的な意思決定は、多くの場合、基幹システムから取り出された情報に基づいて行われ、また、中堅企業以上であれば、基幹システムが企業内の業務の効率性を支えていることが多いためである。

現在、多くの企業では基幹システムとしてERPが採用されている。

その理由はさまざまだが、企業で基幹システムを“手作り”するよりトータルでのコストパフォーマンスが高いことや、個別業務システムの寄せ集めでなく、購買、在庫、生産、販売等の業務が一気通貫で管理できるといった効率性が評価されていると思われる。

筆者は、ERP導入に関するコンサルティングだけでなく、実際に導入・開発まで携わることも多いが、経験上、最初のERP選定時における検討作業の良否が、その後のERP導入の成否に大きな影響を与えるということを強く感じている。

つまり、この段階で誤った選定をしてしまうと、その後の導入作業において挽回するのはかなり困難ということである。

そこで本稿では、製造拠点などをグローバルに展開する製造業、なかでも中堅製造業(売上高100億円から1,000億円を想定)を前提として、どのようなERPを選定すべきか、そのポイントを解説する。

なお、ERPの定義等については、本連載【第3回】「仕様に漏れのないプロトタイプ型開発。それでもERP導入が失敗するワケ」を参照されたい。

 

グローバル展開を前提にしたERP、最適な選定のポイントは?

では具体的に、グローバル活動を行う企業は、どのようなERPを選択すべきであろうか。

グローバルで活動することを念頭に置いた場合、ERP選定にあたっての重要なポイントは次の3点である。

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〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第4回】

「グローバル展開する中堅製造業、
ERP選定のポイントは?」

 

公認会計士 五島 伸二

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

~グローバル展開する中堅製造業の置かれている環境~

長く続いた円高によって製造業の海外進出が進み、それまで海外進出など考えられなかった多くの中小企業や中堅企業が製造拠点を海外に移した。

アベノミクスによって円安に振れた現在もこの傾向は変わらないといわれているが、一方で国内に製造拠点を戻す動きも出てきている。

いずれにしても言えることは、製造業を取り巻く外部環境の変化は激しく、この激しさはこれからも続くであろうということだ。

経営者は、外部環境の変化に対応した厳しい戦略的判断を迫られ続け、同時に、内部の業務プロセスの効率化などによる収益性の向上についても、今まで以上に求められ続けるであろう。

 

重要性を増す「基幹システム」の存在

このような状況にある企業にとって、情報システム、とりわけ、基幹システムの整備は重要な課題となる(ここで「基幹システム」とは、購買管理、在庫管理、生産管理、販売管理、会計等の企業の基幹業務を支援するシステムのことをいう)。

なぜなら、企業の戦略的な意思決定は、多くの場合、基幹システムから取り出された情報に基づいて行われ、また、中堅企業以上であれば、基幹システムが企業内の業務の効率性を支えていることが多いためである。

現在、多くの企業では基幹システムとしてERPが採用されている。

その理由はさまざまだが、企業で基幹システムを“手作り”するよりトータルでのコストパフォーマンスが高いことや、個別業務システムの寄せ集めでなく、購買、在庫、生産、販売等の業務が一気通貫で管理できるといった効率性が評価されていると思われる。

筆者は、ERP導入に関するコンサルティングだけでなく、実際に導入・開発まで携わることも多いが、経験上、最初のERP選定時における検討作業の良否が、その後のERP導入の成否に大きな影響を与えるということを強く感じている。

つまり、この段階で誤った選定をしてしまうと、その後の導入作業において挽回するのはかなり困難ということである。

そこで本稿では、製造拠点などをグローバルに展開する製造業、なかでも中堅製造業(売上高100億円から1,000億円を想定)を前提として、どのようなERPを選定すべきか、そのポイントを解説する。

なお、ERPの定義等については、本連載【第3回】「仕様に漏れのないプロトタイプ型開発。それでもERP導入が失敗するワケ」を参照されたい。

 

グローバル展開を前提にしたERP、最適な選定のポイントは?

では具体的に、グローバル活動を行う企業は、どのようなERPを選択すべきであろうか。

グローバルで活動することを念頭に置いた場合、ERP選定にあたっての重要なポイントは次の3点である。

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連載目次

筆者紹介

五島 伸二

(ごしま・しんじ)

公認会計士

大学卒業後、監査法人トーマツにて会計監査、IPO支援、基幹システム構築、システム監査等に従事当。
監査法人退所後はシステム開発会社を設立。自らも多数のシステム開発プロジェクトに参画し、SE・プログラマーとしてシステム設計、データベース設計、プログラミング等を行う。
その後、システムコンサルティング会社に入社してSAP導入コンサルタントとして業務設計、パラメータ設定等、ERP導入の上流工程から下流工程までを担当。
システムコンサルティング会社退社後は上場会社の経理部長に就任し決算やディスクロージャー全般を統括した。
2010年3月にアドバ・コンサルティング株式会社を設立し代表取締役となる。

-ITストラテジスト(情報処理技術者 高度試験)
アドバ・コンサルティング株式会社 代表取締役
特定非営利活動法人日本IT会計士連盟 専務理事

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