公開日: 2015/03/19 (掲載号:No.111)
文字サイズ

〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第6回】「システム担当者不在が引き起こすリスクと回避策」

筆者: 中原 國尋

〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第6回】

「システム担当者不在が引き起こすリスクと回避策」

 

公認会計士 中原 國尋

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

情報システムを導入する際に問題になることがある事象の一つとして、社内で情報システムをコントロールする担当部署や担当者が不明確になっているケースが挙げられる。

このような状況下で情報システムの導入作業をしなければならない場合、責任の所在が不明確になることも多く、導入時に問題が起こることも少なくない。

そのため以下では、担当者不在での情報システム導入が、実際にどのような問題を引き起こすのかについて紹介する。なお、最近のシステム導入では、特に会計システムの部分についてはフルスクラッチ(いわゆるゼロからの新規開発)で対応する事案は皆無であるため、本稿では、導入するシステムをパッケージソフトウェアに限定する。

 

昨今の情報システム管理の体制

言うまでもなく情報システム部門は間接部門であり、コストセンターである。そのため、多くの会社ではコスト削減のため縮小を図ってきた。現在では国内に多くのシステムベンダーが存在しており、情報システムを開発・導入する際には社内の人的資源ではなく、社外のシステムベンダーを活用するという状況が成立している。

しかし、外部のシステムベンダーは社内の状況を逐次、正確に把握しているわけではないため、残された情報システム部門の機能としては、経営戦略に沿った情報システム投資などの戦略を立案するなど、情報システムに関する企画機能が中心になる。

実際には、情報システム部門が廃止されその機能は総務部門や会計部門が担っている場合もあり、そのような企業では、それら総務部門などで情報システムに関する企画を検討・立案することが求められる。情報システム部門の役割が十分に認知されていない組織は特にこのような傾向にあり、結果として担当者の対応能力の欠如やスキル不足などの問題が生じやすい。

 

情報システム部門に求められる役割

情報システム導入段階における情報システム部門の役割は、情報システムの利用者である各部門の担当者と、実際にシステム導入を行う役割を持つシステムベンダーとのコミュニケーションの支援が重要であろうと想定される。

導入されるシステムのユーザーとなる各部門の担当者は、情報システムがどのように構成されているのかについて十分な知識はなく、またシステムベンダーについてはシステム導入の対象となる業務を詳細に理解しているわけではない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第6回】

「システム担当者不在が引き起こすリスクと回避策」

 

公認会計士 中原 國尋

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

情報システムを導入する際に問題になることがある事象の一つとして、社内で情報システムをコントロールする担当部署や担当者が不明確になっているケースが挙げられる。

このような状況下で情報システムの導入作業をしなければならない場合、責任の所在が不明確になることも多く、導入時に問題が起こることも少なくない。

そのため以下では、担当者不在での情報システム導入が、実際にどのような問題を引き起こすのかについて紹介する。なお、最近のシステム導入では、特に会計システムの部分についてはフルスクラッチ(いわゆるゼロからの新規開発)で対応する事案は皆無であるため、本稿では、導入するシステムをパッケージソフトウェアに限定する。

 

昨今の情報システム管理の体制

言うまでもなく情報システム部門は間接部門であり、コストセンターである。そのため、多くの会社ではコスト削減のため縮小を図ってきた。現在では国内に多くのシステムベンダーが存在しており、情報システムを開発・導入する際には社内の人的資源ではなく、社外のシステムベンダーを活用するという状況が成立している。

しかし、外部のシステムベンダーは社内の状況を逐次、正確に把握しているわけではないため、残された情報システム部門の機能としては、経営戦略に沿った情報システム投資などの戦略を立案するなど、情報システムに関する企画機能が中心になる。

実際には、情報システム部門が廃止されその機能は総務部門や会計部門が担っている場合もあり、そのような企業では、それら総務部門などで情報システムに関する企画を検討・立案することが求められる。情報システム部門の役割が十分に認知されていない組織は特にこのような傾向にあり、結果として担当者の対応能力の欠如やスキル不足などの問題が生じやすい。

 

情報システム部門に求められる役割

情報システム導入段階における情報システム部門の役割は、情報システムの利用者である各部門の担当者と、実際にシステム導入を行う役割を持つシステムベンダーとのコミュニケーションの支援が重要であろうと想定される。

導入されるシステムのユーザーとなる各部門の担当者は、情報システムがどのように構成されているのかについて十分な知識はなく、またシステムベンダーについてはシステム導入の対象となる業務を詳細に理解しているわけではない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

筆者紹介

中原 國尋

(なかはら・くにひろ)

公認会計士
システム監査技術者

大手監査法人にて、会計監査やシステム監査、コンサルティング業務などに従事。その後株式会社レキシコムを設立し、現在に至る。
情報システムに関連する業務コンサルティングのほか、組織改善コンサルティング、各種調査業務などを行っている。また、各種セミナーなどでの講演等の実績多数。

株式会社レキシコム 代表取締役
中央大学専門職大学院国際会計研究科 特任准教授
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科客員教授
特定非営利活動法人日本IT会計士連盟 副代表理事
日本公認会計士協会 IT委員会 専門委員

関連書籍

CSVの “超” 活用術

税理士・中小企業診断士 上野一也 著

税理士との対話で導く 会社業務の電子化と電子帳簿保存法

税理士 上西左大信 監修 公認会計士・税理士 田淵正信 編著 公認会計士 藤田立雄 共著 税理士 山野展弘 共著 公認会計士・税理士 大谷泰史 共著 公認会計士・税理士 圓尾紀憲 共著 公認会計士・税理士 久保 亮 共著
#