公開日: 2015/02/19 (掲載号:No.107)
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〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第5回】「システムの選定は自分に合った服を選ぶように」

筆者: 坂尾 栄治

〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第5回】

「システムの選定は自分に合った服を選ぶように」

 

公認会計士 坂尾 栄治

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

~そのシステムの導入目的は明確か?~

企業はどのような時、システムの導入や更改(いわゆる再構築)を検討するだろうか。

中堅企業が、今使っている会計システムを新しい別の会計システムに更改する場合を考えてみよう。

ハードウエアやソフトウエアの保守が切れる場合には、システムの更改を考えるだろう。ハードウエアが故障したときにメーカーのサポートが受けられないとなると、企業にとっては一大事であるが、これはソフトウエアについても同様で、システム更改を真剣に考える最も典型的なケースと考えられる。

あるいは、新たに適用される制度に対応するためにシステムを更改しようと考える場合もあるだろう。少し前には、IFRSに対応するためにシステムの更改を検討した企業が数多くあったと記憶している。

このように、ハードウエアやソフトウエアの保守切れや新制度対応のためのシステムの導入・更改をする場合には、その目的が明確であるため、方向性が大きくぶれることはあまりない(ただし、「せっかくなのでこの機会に他の目的も達成しよう」などと考え始めると、とたんに方向性がぶれるのだが)。

一方、「効率化をしたい」「経営管理のレベルを向上したい」といった目的で会計システムの更改を考える場合には、注意が必要である。

この「効率化」や「管理レベルの向上」といったものは、一見、目的のように見えるが、実はその根っこにある『明確な目的』が見えない、非常に漠とした状態なのである。

そして「目的が非常に漠とした状態」でシステムの導入を検討するのは危険であり、さらにその状態でパッケージシステムの選択を行うことは、その危険性をより高めることになる。

以下ではその理由について説明したい。

 

パッケージシステムは既製品のシャツ

もし、システムを一から自社開発するのであれば、作り始めてからでもある程度の方向転換は可能かもしれない。しかし、カスタマイズができない市販のパッケージを前提とする場合には、方向転換できる幅は大幅に狭まり、導入作業が進むに従って、方向転換はより難しいものになっていく。

市販のパッケージシステムは、いうなれば、既製品のシャツのようなものと考えればよい。

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〈IT会計士が教える〉

『情報システム』導入のヒント (!)

【第5回】

「システムの選定は自分に合った服を選ぶように」

 

公認会計士 坂尾 栄治

 

-連載の目的-

この連載は、「日本IT会計士連盟」に所属する者が有志により、企業がさまざまな形態の『情報システム』を導入する際に遭遇し抱え込んでしまう“ありがちな疑問・問題”について取り上げ、その解決の糸口を示すことで、企業がスムーズにそのシステムを導入・運営できるよう手助けすることを目的とする。

 

はじめに

~そのシステムの導入目的は明確か?~

企業はどのような時、システムの導入や更改(いわゆる再構築)を検討するだろうか。

中堅企業が、今使っている会計システムを新しい別の会計システムに更改する場合を考えてみよう。

ハードウエアやソフトウエアの保守が切れる場合には、システムの更改を考えるだろう。ハードウエアが故障したときにメーカーのサポートが受けられないとなると、企業にとっては一大事であるが、これはソフトウエアについても同様で、システム更改を真剣に考える最も典型的なケースと考えられる。

あるいは、新たに適用される制度に対応するためにシステムを更改しようと考える場合もあるだろう。少し前には、IFRSに対応するためにシステムの更改を検討した企業が数多くあったと記憶している。

このように、ハードウエアやソフトウエアの保守切れや新制度対応のためのシステムの導入・更改をする場合には、その目的が明確であるため、方向性が大きくぶれることはあまりない(ただし、「せっかくなのでこの機会に他の目的も達成しよう」などと考え始めると、とたんに方向性がぶれるのだが)。

一方、「効率化をしたい」「経営管理のレベルを向上したい」といった目的で会計システムの更改を考える場合には、注意が必要である。

この「効率化」や「管理レベルの向上」といったものは、一見、目的のように見えるが、実はその根っこにある『明確な目的』が見えない、非常に漠とした状態なのである。

そして「目的が非常に漠とした状態」でシステムの導入を検討するのは危険であり、さらにその状態でパッケージシステムの選択を行うことは、その危険性をより高めることになる。

以下ではその理由について説明したい。

 

パッケージシステムは既製品のシャツ

もし、システムを一から自社開発するのであれば、作り始めてからでもある程度の方向転換は可能かもしれない。しかし、カスタマイズができない市販のパッケージを前提とする場合には、方向転換できる幅は大幅に狭まり、導入作業が進むに従って、方向転換はより難しいものになっていく。

市販のパッケージシステムは、いうなれば、既製品のシャツのようなものと考えればよい。

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連載目次

筆者紹介

坂尾 栄治

(さかお・えいじ)

公認会計士・税理士

一般事業会社で、SEとしてシステム設計・開発に従事した後、あずさ監査法人にて監査に従事。その後、株式会社ジェクシードの設立に参画し取締役に就任。大手企業を中心に50社以上の連結システムの導入に携わる。
連結決算を中心とするシステム開発やシステム導入、経理部門や購買部門の業務改善、内部統制の構築、評価といった領域でのコンサルティングを行う。

・株式会社アップライト 代表取締役
・株式会社レイヤーズ・コンサルティング バイスマネージングディレクター
・特定非営利活動法人日本IT会計士連盟 代表理事
・日本公認会計士協会IT委員会委員、日本公認会計士協会東京会コンピュータ委員会委員長
を歴任

【著作】
『会計士さんの書いた情シスのためのIFRS』共著(翔泳社)

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