〔中小企業のM&Aの成否を決める〕
対象企業の見方・見られ方
【第12回】
「他人事ではいけない調査の心得」
~資料準備編~
公認会計士・税理士
荻窪 輝明
《今回の対象者別ポイント》
買い手企業
⇒M&Aの調査をするために必要な買い手の心得を知る。
売り手企業
⇒M&Aの調査ではどこを見られているのかポイントを知る。
支援機関(第三者)
⇒支援機関が調査で果たす役割とポイントを知り、M&Aの助言や支援に活かす。
その他の対象者
⇒M&A調査の視点を通じて対象企業の見方・見られ方のポイントをつかむ。
1 調査は売り手の実態を知る大事なステップ
中小企業のM&Aの過程で売り手に対して行われる調査は、M&A当事者にとって大事なステップであり、売り手の実態を知る上で欠かせません。
M&Aの多くのケースで、この調査はデューデリジェンス(デュー・ディリジェンス)という手法が取られます。デューデリや、デューデリジェンスのアルファベットの頭文字を取って「DD」と呼ばれる場合もあります。
M&Aの買い手候補者が売り手企業の株式や事業取得の是非を判断できる材料、M&A後に想定される売り手に特有のリスク要因、取得価額を算定するための前提などを明らかにするのがデューデリジェンスの主な目的で、売り手の状況や実態把握を通じて買い手の判断に役立つ情報提供がなされます。
どの視点で売り手を見るかによって、たとえば、経営(ビジネス)、財務、法務、税務、環境、IT(システム)といった括りをした上で、売り手の規模や業種特性に応じてすべての調査がされる場合がある一方で、いずれか単独又は複数での実施となる場合もあります。
中小企業のM&Aでは、なかでも財務の視点が重視される場合が多く、財務デューデリジェンスを行うなかで、買い手の判断に必要と予想される範囲や予算(報酬)の範囲で、経営(ビジネス)をはじめ各視点について多少の検討を加えるのが一般的です。そのため、本稿でも財務デューデリジェンスを前提に話を進めます。
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