〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第25回】「外国パートナーシップ持分の現物出資の適格要件とは」
外国法人に対する現物出資が適格と判定されるための要件である「対象資産が国内にある事業所に属する資産に該当しないこと」は、どのように判断すべきでしょうか。
租税争訟レポート 【第64回】「派遣社員による不正行為と重加算税(第1審:大阪地方裁判所令和元年8月9日判決、 控訴審:大阪高等裁判所令和2年1月28日判決)」
本件は、原告が、平成24年12月1日~平成25年11月30日の期間及び同年12月1日~平成26年11月30日の期間に係る法人税、復興特別法人税及び消費税等につき、確定申告をしたところ、東税務署長から、原告の関連会社である株式会社Bの従業員(当時)であり原告に派遣されていた乙がした架空仕入計上、売上過少計上及び架空減価償却費計上を理由に、前記各期に係る各更正処分及び各重加算税賦課決定処分(本件各賦課決定処分)をされたため、本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
〈注記事項から見えた〉減損の深層 【第10回】「タクシー会社が減損に至った経緯」-顧客関連資産減損の読み方-
今回は、東京の大手タクシー会社として知られる大和自動車交通の減損事例を取り上げます。減損された資産は顧客関連資産という耳慣れない資産です。顧客関連資産とは何か、なぜ減損に至ったのかということを、この会社の中期経営計画も見ながら探っていきましょう。
〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第4回】「ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引」
【第3回】では、リース取引の流れについて整理しました。リース契約を締結すると、今後、リース会社と取引が発生し会計処理を行います。どのような会計処理を行うか、その判断に必要になってくるのが、リース取引の判定です。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第33回】「M&A後にできる買い手の努力」~工夫して売り手を補い、M&A後の成長を目指す~
中小企業のM&Aにおいて、満足、納得のいくM&Aはどれほど実現するでしょうか。そのような声を拾う場は多くないのではっきりとしたことはわかりませんが、買い手を例にとると、おそらくは相当のケースで、コスト面にせよ、条件面にせよ、意思決定には妥協を伴って、場合によっては妥協に妥協を重ねて、それでも何とかなるさと前向きに捉えてM&Aをするケースは少なくないように思います。
これからの国際税務 【第34回】「金融口座に関する自動的情報交換の拡大について」
グローバルフォーラムの活動は、OECDの年次報告書(注1)によれば、2009年にOECDが銀行秘密の終焉を宣言して以降、要求に基づく情報交換(EOIR)の仕組みの効率化及び金融口座情報の自動的情報交換(AEOI)の創設を2大テーマとして、国境越えの租税逋脱に対して大きな成果を上げてきたと評価されている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第20回】「租税回避の意義と類型」-未処理欠損金額引継規定濫用[ヤフー]事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁-
今回は、租税回避の意義と類型(前掲拙著【66】参照)に関して、未処理欠損金額引継規定濫用[ヤフー]事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁(以下「本判決」という)を検討する。本判決の判示のうち今回検討するのは、次の判示である(下線・太字筆者)。
所得税基本通達の改正により明確化された「雑所得の範囲」~副業収入等が事業所得となるか雑所得となるかの判定基準~
令和4年10月7日、国税庁は雑所得の範囲を明確化した所得税基本通達の一部改正を公表した。
これは、シェアリングエコノミー(インターネットを介して個人と個人・企業間との間で活用可能な資産(場所・モノ・スキル等)をシェア(売買・貸し借り等)することで生まれる新しい経済の形)の広がりや、従業員の副業を解禁する会社が増え、副業をする給与所得者が今後増加することが予想されるからである。
〈令和4年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「令和5年分の源泉徴収事務」~国外居住親族に係る扶養控除の適用要件の見直しと扶養控除等申告書の様式変更~
令和4年分の年末調整について一連の手続を終えると、ほどなくして令和5年分の源泉徴収事務を意識する時期となる。
本稿最終回は、令和5年分の源泉徴収事務に関連する「国外居住親族に係る扶養控除の適用要件の見直し」と「扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」欄の様式変更」について解説する。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例116(消費税)】 「「事業を開始した日」を誤認し、期限までに「課税事業者選択届出書」の提出を失念したため、設備投資に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」
新たに太陽光発電事業を開始した依頼者の令和X年分の消費税につき、太陽光発電設備の工事請負契約を締結した令和W年を「事業を開始した日」として、令和X年からの「課税事業者選択届出書」を提出して還付を受けるべきところ、太陽光発電設備完成引渡しの日が「事業を開始した日」となるものと誤認し提出しなかった。これにより令和X年が免税事業者となってしまい、太陽光発電設備に係る消費税の還付が受けられなくなったとして損害賠償請求を受けた。
