組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第34回】「非公開裁決事例⑤」
今回、紹介する事件は、株式を取得する目的で支出した財務調査費が有価証券の取得価額に含まれるか否かについて争われた事件である。
法人税法施行令119条1項1号において、「購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用」を有価証券の取得価額に含めることが明記されているが、財務調査費が有価証券の取得価額に含まるか否かについては、その金額が多額であることから、付随費用として取り扱うことに違和感があり、一部において誤解があったため、実務上も参考になる事件であると思われる。
税務判例を読むための税法の学び方【68】 〔第8章〕判決を読む(その4)
以前、【第46回】にて「具体的な事実を抽象化していった結果残された事実、その有無により結論が変わるような事実は「重要な事実(material fact)」と呼ばれる。」と記したように、結果を左右する要素として「重要な事実」がある。
馬券の払戻に係る裁判(大阪事案)においては、第一審及び控訴審においては、「機械的・網羅的」な馬券購入が、この「重要な事実」と認識されていた。
そこで、この事案に係る裁判例を、裁判所HPの裁判例情報から入手して読んでいただきたい。
まず、第一審は、大阪地裁平成25年5月23日判決である。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第36回】株式会社東芝「過年度決算の修正,2014年度決算の概要(平成27年9月7日付)」
株式会社東芝(以下「東芝」という)は、平成27年9月7日「過年度決算の修正、2014年度決算の概要及び第176期有価証券報告書の提出並びに再発防止策の骨子等についてのお知らせ」と題するリリースその他を公表し、同日夕刻には、代表執行役社長による記者会見が行われた。
本稿では、東芝が、平成27年7月20日に第三者委員会調査報告書(以下「報告書」という)を受領した後、過年度決算の修正及び2014年度決算発表までの経緯を確認したうえで、報告書における指摘事項がどのように修正されたかを検討することとしたい。
金融商品会計を学ぶ 【第10回】「売買目的有価証券の会計処理」
金融商品会計基準70項は、売買目的有価証券は、売却することについて事業遂行上等の制約がないものと述べている。
しかし、この要件だけでは、経営者の意図だけでいつでも売却可能であることを判定することは恣意的になる可能性があるため、金融商品実務指針では、これに加えて、次のことを規定している(金融商品実務指針65項、268項)。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第93回】人件費に関する会計処理④「労働保険料」
Q これまで1人で会社を経営してきましたが、規模拡大に伴い、従業員を雇用することを決定しました。そこで、労働保険料の会計処理について教えてください。
monthly TAX views -No.32-「ベビーシッター代と特定支出控除」
8月25日付の日本経済新聞朝刊1面に、「シッター代 所得控除 仕事・育児両立、税で支援 厚労省検討 」という記事が掲載された。
筆者は、数年前から、さまざまな機会をとらえて、ベビーシッター代を特定支出控除の対象にすることを主張してきた(「少子化問題と税制を考える」季刊社会保障研究(平成19年12月)など)。
〔書評〕 酒井克彦 著『「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈~判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』
税務調査に対する対応に迷いを抱える税理士は多い。
税務調査の結果、増差税額が生じたため、クライアントに追徴税額の支払いを依頼しなければならないだけではなく、追加的に延滞税・加算税の支払いを依頼しなければならないからである。
また、税務調査の際に税務署との見解の相違が明らかとなり、修正申告を余儀なくされる場合に課される加算税の負担をクライアントに求める場合に、クライアントとの間にトラブルになる場合も多いからであろう。
《平成27年度改正対応》住宅取得等資金の贈与税非課税特例 【第4回】「『取得』に係る要件」~「分譲マンションの取得時期」「土地等の取得と名義」~
私は平成27年に父から住宅取得等資金1,000万円の贈与を受けて、建築中の分譲マンション(一般住宅に該当)の購入手付金を支払った。翌年(平成28年)2月末に完成引渡しの予定であったが、工期が長引き、申告期限の時点で、屋根を有し、土地に定着した建造物として認められる「新築に準ずる状態」である。
完成引渡しは同年4月の予定であるが、この場合、住宅取得等資金の贈与税非課税特例は受けられるか。
〈要点確認〉非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度~昨今の事業承継税制等をめぐる改正事項~ 【第1回】「適用要件等、あらためて制度内容を確認する」
事業承継税制(非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例)については、平成25年度税制改正で適用要件の緩和が行われ、本年1月1日より全面施行されている。さらに平成27年度税制改正においても、2代目から3代目への早期自社株贈与は贈与税免除になる等、見直しが行われており、本年4月1日以後の相続等より適用が開始されている。
このため、現時点でこの制度を適用するに当たっては、これらの改正事項を理解したうえでその適用を判断する必要があり、25年改正事項についても2年前の改正であることから、失念のないよう留意しなければならない。