海外先進事例で学ぶ「統合報告」~「情報の結合性」と「簡潔性」を達成するために~ 【紹介事例②】「Vodacom社」(Vodacom「Integrated Report 2013」)
同社の報告書を特徴づけているのは、何といっても際立った簡潔性と紙面の親しみやすさにあるのではないだろうか。報告書をめくり前半の概要ページをみると、まず目に飛び込んでくるのは、大きな文字の語り掛けるような見出しである。たとえば「私たちにとって最も大切なこと(What’s most material for us)」や、「今当社の業界に何がおきているか(What’s happening in our industry)」などと書かれており、報告書の利用者の関心や興味を惹きつけるように工夫されている。また、その見出しに続く説明的な記載部分も、長文の記載を極力控え、要点を大文字や色付けで強調したり、写真やイラストを多用したりして簡潔にまとめられている。
『繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)』への対応ポイント 【第4回】「企業の分類ごとの繰延税金資産の回収可能性(その1)」
今回は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第54号。以下「公開草案」という)における企業の分類ごとの繰延税金資産の回収可能性について解説する。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第89回】金融商品会計⑪「破産更生債権等における貸倒引当金」
Q 当社は卸売業を営んでおり、多くの得意先に対して掛売りをしています。期末に保有する売掛金のうち「破産更生債権等」に分類されるものについて貸倒引当金を計上する場合の、具体的な算定方法を教えてください。
日本の企業税制 【第21回】「BEPS行動12:義務的情報開示ルール」
行動12は、アグレッシブなタックス・プランニングを立案した段階で、納税者あるいは立案者(プロモーター=会計事務所、法律事務所、コンサルタント等)から税務当局に報告する義務を課すことにより、法令・執行上の早期対応、ひいてはスキームの販売・利用を抑止することを意図するものである。報告されたスキームが必ずしも租税回避となるわけではなく、また個別案件に係る事前確認制度とは異なり、報告されたスキームに対して当局からの対応がないことをもって、取引の有効性・容認を意味するものでもない。このような義務的情報開示は、既にアメリカ、イギリス、カナダ、ポルトガル、アイルランド、南アフリカ等で導入されている。
《平成27年度改正対応》住宅取得等資金の贈与税非課税特例 【第1回】「改正前後の特例内容の確認」
本稿は、特例改正後の取扱いについて、改正前の制度や平成28年10月前後の適用関係を含めて全5回にわたって詳解していく。
第1回目の今回は特例の内容を概観し、改正点を整理しておく。
法人事業税に係る平成27年度税制改正事項~外形標準課税の拡大、所得拡大促進税制の適用など~ 【第3回】「「資本金等の額」の取扱い・負担軽減措置」
ところで、法人税法における「資本金等の額」は正数概念ではなく、減算調整額が大きい場合にはマイナスになることもある。たとえば、適格合併に際し合併法人が抱合株式を有している場合には、加算調整額の計算に際して抱合株式の合併直前の帳簿価額を「減算」することとされているが(法令8①五)、被合併法人の株価が高い等の理由で抱合株式の帳簿価額が十分に大きい場合、合併法人の資本金(出資金)の額を超える減算調整が織り込まれることとなり、その結果、資本金等の額がマイナスになるのである。
連結納税適用法人のための平成27年度税制改正 【第5回】「受取配当等の益金不算入制度の見直し」
(2) 株式等の区分の定義
完全子法人株式等、関連法人株式等、その他の株式等、非支配目的株式等の定義は次のとおりである(法法81の4①⑤⑥⑦、法令155の9①②、155の10①②、155の10の2)。
なお、連結納税適用法人については、単体納税と異なり、連結法人全体で持株割合の判定を行うこととなる。
ふるさと納税(平成27年度税制改正対応)のポイント 【第3回】「『ワンストップ特例制度』の創設、住民税「特例控除額」の上限額の拡充」~平成27年度税制改正事項~
改正前は、ふるさと納税について税の軽減を受けようとする場合には、確定申告を行う必要があった。
平成27年度税制改正で、一定の要件を満たす場合には、確定申告を行わなくても税の軽減を受けることができる特例が創設された(ワンストップ特例制度)。
この特例を利用するためには、ふるさと納税を行うときに一定の手続が必要となる。
研究開発税制における平成27年度税制改正のポイント 【第2回】「特別試験研究費の要件確認」
前回まとめたとおり、従来、総額型の一部を構成していた特別試験研究費に係る税額控除制度が、平成27年度税制改正により総額型と別枠になり、また、特別試験研究費の額の範囲も見直された。
当該改正により、企業が行う研究開発投資の戦略次第では、今後適用できる税額控除額に大きな影響を及ぼすものと考えられる。