〔平成27年分〕相続税の申告実務の留意点 【第1回】「基礎控除の引下げ・税率構造の見直し」
本連載では平成27年1月1日以降に他界した相続人に関する相続税申告について、平成27年から適用される主な改正事項等を取り上げ、それらが実務に与える影響や留意点を解説をしていくこととする。
平成27年1月1日以降に他界した相続人に関する相続税申告につき、平成26年までに他界した相続人の相続税申告とは異なり、新規に適用される主な項目は以下の通りである。
1 基礎控除の引下げ(相法15)、税率構造の見直し(相法16)
2 小規模宅地等の評価減特例の改正(措法69の4)~特定居住用宅地等の適用対象面積の拡充、限度面積要件の緩和
3 未成年者控除(相法19の3)・障害者控除(相法19の4)の引上げ
4 結婚・子育て資金贈与特例(措法70の2の3)と相続税申告の関係
5 国外転出時課税制度(所法60の2)と相続税申告
《平成27年度改正対応》住宅取得等資金の贈与税非課税特例 【第5回】「贈与者が死亡した場合・やむを得ない事情がある場合」
私は父から住宅取得等資金1,000万円の贈与を受けて、マイホームを取得し、贈与税非課税特例の適用を受けるつもりである。
3年以内に父が亡くなった場合には、生前贈与加算の対象になるか。
また、仮に申告期限までの間に父が亡くなった場合はどうか。
〈要点確認〉非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度~昨今の事業承継税制等をめぐる改正事項~ 【第2回】「平成25年度税制改正事項の確認」
中小企業の後継者不足が問題となり、親族外承継が中小企業事業承継の有力な選択肢と期待されている中、従来は、先代経営者の親族に限定して適用される制度であったため、親族外承継を難しくする要因の一つになっているとの指摘があった。
改正により親族外承継も可能となり、親族内に適当な後継者がいない場合や、経営能力のある従業員等を後継者に置く場合などでも、納税猶予制度を選択することが可能となった。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第51回】「法人税基本通達9-6-3の具体的内容」
法人税基本通達9-6-3では、債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない)について、当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を、損金経理により貸倒損失として計上することが認められている。
会計上の『重要性』判断基準を身につける~目指そう!決算効率化~ 【第11回】「重要性判断の実践事例②」~連結作業時の債権債務消去の簡略化
連結作成手続における「債権債務の消去」とは、連結会社間の対応する債権債務を相殺する手続です。たとえば親子会社間取引で、親会社側で子会社に対する売掛金が10百万円、子会社側で親会社に対する買掛金が10百万円発生していれば、これを相殺するというものです。
この債権債務がピタリと一致していれば苦労しないのですが、現実には一致しないことがままあります。
原因としてはいくつかあります。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第94回】人件費に関する会計処理⑤「役員賞与引当金」
Q 取締役に対して、当期の功労に報いるため、利益の一部を賞与の支給という形で分配をすることを考えております。当期の株主総会で役員賞与の支給に関する決議が必要となりますが、決議された場合に関する会計処理について教えてください。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第33回】「租税法の解釈における厳格性(その3)」
アプローチ①は、特に租税特別措置規定の解釈論に代表されることが多いものである。以下、アプローチ①を考えるに当たり、租税特別措置規定を中心に考えてみたい。
そもそも、租税特別措置規定についてはいかに考えるべきであろうか。ここでは、差し当たり2つの解釈が考えられる。すなわち、第一に、法人税法や相続税法のような本法が原則であり、租税特別措置「法」は例外的規定であるから、厳格に解釈しなければならないとする考え方である【図3】。
消費税の軽減税率を検証する 【第7回】「適用税率誤りのリスク・事務負担・簡易課税への影響等」
適用するべき税率について疑義がある場合、「その商品の販売価額をどう設定するか?」という問題が生じる。
見切り発車をした結果、軽減税率の適用が誤りであったことが税務調査で明らかになった場合、売上先に対して、遡って取引額を修正し追加の支払いを求めることができるだろうか。
対消費者取引ではほとんど不可能と考えられ、その増差税額(多くの場合、数年分の累計額となろう)は、事業者の負担となり、経営状態を一気に悪化させることになる。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第34回】「国外転出時課税の適用を受ける場合の所得税及び復興特別所得税の処理」
Q 私は、フリーの経営コンサルタントです。9月30日に日本を出国し、シンガポールに拠点を移すことにしました。顧客は東京の会社なので、出国後も毎月来日する予定です。日本に住居や事務所は設けません。国外転出時課税制度が創設されましたが、対象になるのでしょうか?
9月10日現在、納税管理人の届け出はしておらず、保有資産は以下の通りです。