税務判例を読むための税法の学び方【47】 〔第6章〕判例の見方(その5)
民事事件には、裁判所が法令に照らし、当事者間の権利・義務関係について判断するものと、裁判所が自らの裁量に基づき、権利・義務関係を具体的に形成する事件とがある。
前者を「訴訟事件」と呼ぶのに対し、後者は「非訟事件」と呼ばれる。これは民事の法律関係に関する事項について、終局的な権利義務の確定を目的とせず、裁判所が通常の訴訟手続によらずに(その手続は「非訟事件手続法(平成23年5月25日法律第51号)」等による)、簡便な手続で処理をし判断をするものである。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第61回】包括利益①「包括利益とは?」―包括利益を開示する制度、包括利益と当期純利益の関係
Q 当事業年度の期中に上場会社A社が当社の発行済株式総数の80%を取得したことにより、当社はA社の連結子会社となりました。A社から包括利益に関する情報の提出を求められています。
この「包括利益」とはどのような利益か教えてください。
減損会計を学ぶ 【第20回】「割引率②」~割引率の選択~
割引率については、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号。以下「減損適用指針」という)45項において、4つの方法が示されている。
前回に引き続いて、今回も、割引率に関する論点について解説を行う。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
〈平成26年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「注意しておきたい最近の改正事項」
平成26年度の税制改正により、給与所得控除の上限をさらに段階的に引き下げることが決まっているが、当該改正は平成28年分以後の所得税に対して適用されるため、今年及び来年分の年末調整には影響しない。
有料老人ホームをめぐる税務上の留意点 【第5回】「老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例」
上記(事例1)については、平成25年度改正による変更はなく、今までどおり被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当する。
上記(事例2)については、(2)と(4)の要件が廃止され、老人ホームに入所するまで居住の用に供していた宅地等は、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等とされる。具体的には次の2つの要件に該当するものが認められる(措令40の2②③)。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第10回:2014年10月改訂】「法人税申告書[別表15]記載のポイント」
厳密には、平成26年度改正後の交際費課税制度が適用されるのは平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度であるが、平成26年4月1日以後に終了する事業年度からは、この別表15を使用することになる。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第29回】「判例分析⑮」
このように、本事件については、債権放棄を行った場合には法人税基本通達9-6-1(4)、9-4-2を適用することができない事案について、「増資払込み+株式譲渡」というスキームを選択したとしても、そもそもの有価証券の取得価額を構成せず、寄附金として処理されてしまうことから、法人税法上、有価証券譲渡損は発生せず、損金の額に算入することはできないことが明らかにされた事案である。
経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第20回】「貸倒引当金の繰入れ」
Q 当社は資本金額1,000万円の食料品製造業を営む内国法人(3月決算)です。当事業年度(平成26年3月期)における貸倒引当金の繰入限度額を教えてください。
(1) A社に対して売掛金400万円があります。同社は債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しが立っておらず、金銭債権の全額について回収の見込みがありません。なお、同社の社長から個人保証200万円を受けており、保証金額については回収の見込みがあります。
(2) B社から受け取った受取手形500万円があります。同社は、当事業年度中において民事再生法の申立手続をしました。
(3) C社に対して、売掛金450万円と買掛金50万円があります。
(4) D社から受け取った受取手形500万円があります。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第21回】株式会社富士通ビー・エス・シー・「従業員による不正行為に関する第三者委員会調査報告書」
4月28日、経理部は、平成26年3月期決算の説明準備段階において、甲社に対する売掛金残高が1年前の約5億円から、約8億円に増加していることを把握し、担当の管理部門に対する問い合わせの結果、甲社に対する売掛金の大部分が未請求売掛金(工事進行基準の適用により売上計上されたが、未検収であるため未だ取引先に対して請求をしていないものをいう。以下同じ)であり、中には、平成21年11月1日に作業を開始したオーダに係るもの(4年以上滞留)も存在することが判明した。