租税争訟レポート 【第20回】「株主優待券の使用に係る費用に対する課税(国税不服審判所裁決)」
本件は、飲食業を営む審査請求人(以下「請求人」という)が、使用された株主優待券の券面額を売上値引き等として経理し、確定申告していたところ、原処分庁が、当該株主優待券の使用に係る費用の額が交際費等に当たるとして更正処分を行ったのに対し、請求人が、同処分の一部の取消しを求めた事案である。
〈平成26年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「『扶養控除等(異動)申告書』記載内容の検討」
年末調整では、扶養控除等申告書に記載された内容に基づいて、人的な所得控除の金額を計算することになる。したがって、最初に、年末調整の対象となる者(以下、従業員等という)から扶養控除等申告書が提出されているかどうか、また、異動申告が適切に行われているかどうかについて検討を行う必要がある。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第30回】「判例分析⑯」
相互タクシー事件において寄附金の認定がなされたものの、資本等取引であるとして債務免除益の認定はなされなかった。
そのため、本稿においては、現行法上、同様のスキームが行われた場合において、債務免除益が認定される可能性があるか否かについて解説を行うこととする。
日本の会計について思う 【第11回】「のれんの会計処理をめぐる経緯」
前回私は、「修正国際基準(公開草案)の意義と3つの疑問」というテーマで、修正国際基準に対して若干の疑問点を提示しつつも、戦略的な意味でこれを評価するコメントを書かせていただいた。
今回はその公開草案第1号が取り扱っている「のれんの会計処理」について、その経緯の概略を述べることとする。それは、のれんの会計処理を巡って、日本はこれまで欧、米、国際の思惑に翻弄されてきたとの思いを私自身が強く抱いているからである。その点で今回の国際修正基準の公表は、まだ公開草案の段階ではあるが、良い意味で一矢を報いる可能性を持つと考えるのである。それは公開草案第2号「その他の包括利益の会計処理」についても同様である。
IFRSの適用と会計システムへの影響 【第1回】「IFRSをめぐる現状」
そのため、上場企業はIFRSを適用した場合、現在自社で適用している会計基準(日本基準、一部米国基準)とどのような差があり、また適用するためにはいつまでに何をしなければいけないのかを知ろうと躍起になっていました。
システムベンダーや会計系のコンサルタントたちは、「現状のシステムではIFRSに対応できない」とか「IFRSへの対応を急がないと間に合わなくなる。」といって各社をあおっていました。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第62回】包括利益②「その他有価証券における包括利益」―組替調整額
Q 当社は前期以前からその他有価証券に該当する上場株式を複数銘柄保有しています。当期においてA社株式を売却しました。この場合に包括利益の表示上注意すべき事項を教えてください。
monthly TAX views -No.22-「始まるいわゆる『出国税』の検討」
出国税導入に当たっての課題を整理すると、以下のとおりである。
第1に、出国時に時価評価をしなければならないが、それが執行上可能かという問題である。
〈平成26年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「通勤手当の非課税限度額の引上げ」
改正後の規定は、平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(※)について適用される。
(※) 4月1日以後に「支払われるべき」通勤手当であって、4月1日以後に「支払われた」通勤手当ではない。規程等により、4月1日以後に支払うこととなっている通勤手当が対象である。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第13回】「非居住者へ支払う不動産の譲渡対価から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」
先日、当社は、中古マンションを購入しました。売主は、中国人のA氏です。それに伴い、11月末までにマンションの譲渡対価をA氏の口座へ振り込まなければなりません。マンションの譲渡対価は、5,000万円です。A氏は、中国に在住しており、所得税法上の非居住者です。
非居住者へ支払う不動産の譲渡対価から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第13回】「2つの東京地裁平成26年3月18日判決の総括②」
東京地裁平成26年3月18日判決に係る2つの事件においては、朝長英樹氏から3本の鑑定意見書が出されており、平成23年10月28日にみなし共同事業要件について争われた事件(東京地裁平成23年(行ウ)第228号)に対して提出された内容については、前回解説した通りである。
本事件においては、平成24年5月14日には資産調整勘定について争われた事件(東京地裁平成23年(行ウ)第698号)に対しても提出された鑑定意見書について考察を行うこととする。