経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第4回】「不動産投資と税金」―借地権の税務―
当社は資本金額1,000万円の内国法人(3月決算)です。このたび、子会社が都内に保有する社有地を賃借し、本社ビルを建築することを計画しています。この取引は、当グループ内での賃貸借取引であることから、権利金は収受しないことにし、地代は近隣相場を参考にした通常の地代とするつもりです。
このような場合の、税務上の取扱いを教えてください。
税務判例を読むための税法の学び方【15】 〔第5章〕法令用語(その1)
今回より章を新たにし、法令用語について解説する。
「法令用語」と一口に言っても様々ある。立法技術的な表現のために用いられる法律専門の用語で、「立法技術用語」ともいわれるものがある。また、特定の意味内容を持つ用語で法律上一定の意義が与えられている(この意義の与えられ方も、法令により定義付けがなさせている場合と慣習や判例等により意味が与えられている場合とがある)ものがある。
前者の例としては、これまでに紹介した「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」、「者」と「物」「もの」、「場合」と「とき」「時」、「その他」と「その他の」がそうである。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載29〕 債務超過の適格分割型分割を行った場合の資本金等の額と利益積立金額の計算(その2)
本誌No.19(2013.5.16公開)に掲載された「債務超過の適格分割型分割を行った場合の資本金等の額と利益積立金額の計算」(以下「その1」という)において、債務超過である分割法人がプラスの純資産を分割型分割により分割承継法人に移転した場合において、分割法人の分割直前の資本金等の額がプラス(つまり、利益積立金額のマイナスを原因として、債務超過になっている状況)であるときの処理について、次の観点から、実務家からの疑問が呈されているとのことでした。
もう少し、具体的に解説して、あるべき姿はどのようなものなのかをご教示いただければ、幸いです。
林總の管理会計[超]入門講座 【第7回】「費目別計算はなぜ大切か?」
〔林〕前回は総合原価計算がなぜ問題なのかについて触れた。この点を深掘りするまえに、原価計算の手順について説明しよう。
原価計算は、「費目別計算」、「部門別計算」、「製品別計算」という3つのステップから構成される。ちなみに、前回話した総合原価計算は製品別計算のひとつだ。
原価計算基準では「実際原価の計算においては、製造原価は、原則として、その実際発生額を、まず費目別に計算し、次いで原価部門別に計算し、最後に製品別に集計する。販売費および一般管理費は、原則として、一定期間における実際発生額を、費目別に計算する」と書かれている。
このことから分かるように、費目別計算は製造原価だけでなく、販売費及び一般管理費も対象に含まれるんだ。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第1回】「申告業務に必要なこと」
平成25年度税制改正において、平成27年1月1日以降に発生する相続については、基礎控除が現行より4割引き下げられることが決定された(以下「相続税増税」という)。
国税庁統計年報によると、平成23年中の相続について、相続税が発生した相続税申告数は全国合計で51,559件となっている(この数値には、相続税がゼロの場合の相続税申告数は含まれていないため、税額が発生しない相続税申告数も含めた相続税申告数は、この数よりも多いことになる)。
相続税増税が行われると、相続税申告数が1.5倍程度に増加すると一般的には言われており、今後、相続税申告案件は増えることが予想されている。
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第5回】「特別償却・税額控除の適用を判断する際の留意点」
本連載では「「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント」として、第1回から概要、要件、手続などをご紹介してきたが、第5回となる今回は、実際に生産等設備投資促進税制を適用するに当たっての有利不利の判定、要件を満たさない場合の対処法などを解説する。
生産等設備投資促進税制の詳細は、これまでの連載で十分にご理解いただけたことと思うが、最終的なタックスプランニングにおいて、実務上の判断を左右する重要なポイントとしては、以下の5点が挙げられる。
中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第6回】「親族への事業承継における税務の取扱い」
事業承継を含むグループ内再編では、対象会社の株式異動を伴うケースがほとんどである。
一般に税務上は、株主構成に変化がある場合はグループ内再編における適格要件等を満たさなくなることがあり、その場合は含み益を益金算入させざるを得ない状況となる。
一方で、今回のテーマである親族間の事業承継を前提とした株式異動であれば、実質的には株主構成に変化がなかったと捉えることが多く、その場合は適格要件を満たすことで含み益が益金算入されないことになる。以下にその具体例を記載する。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第5回】「交際費と寄附金を区別する」
法人税法上、交際費等と寄附金は次のとおりに定義されている。
【交際費等】
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(措法61の4③)
【寄附金】
寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をすること(法法37)
上記のとおり、一般的には「交際費、接待費、機密費」などの名目の支出であれば交際費等に、「寄附金、拠出金、見舞金」などの名目の支出であれば寄附金に該当する。ただし、必ずしも名目のとおり税務上も取り扱われるとは限らない。したがって、寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態に応じて判定する必要がある。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第12話】「調査終了時の「理由」の説明義務」
「めんどくさいです・・・」
山口調査官は忌々しそうにつぶやいた。
「何が?」
田村上席は、新聞を読んでいる。
今は昼休みで、法人課税第三部門には、今日も出遅れた2人以外、誰もいない。