企業不正と税務調査 【第12回】「粉飾決算」 (3)粉飾決算の防止と早期発見策
企業が粉飾決算を行っている場合に、これを外部の人間が見抜くことは簡単ではない。
粉飾の結果は財務諸表、特に貸借対照表に表れていることが多いため、これを分析することによって、異常点や不審な数値の動きを発見することは可能であるが、実際にどういう手口で粉飾が行われ、どの程度の金額が不正に収益として計上され、又は、利益として表示されているかまでは、分かるものではない。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第6回】
(1) 耐用年数の意義
耐用年数は、減価償却費を計算する場合の重要な要素の1つであるが、その決定を法人の自主性に委ねた場合には、恣意性が介入するおそれがあることから、耐用年数省令別表により、減価償却資産ごとに、その耐用年数が画一的に法定されている。
この法定耐用年数については、通常の維持管理、補修等に要する費用を加えた上で、本来の用途・用法により使用する場合に、その本来の機能を発揮することができると認められる年数が法定されたものである。
(2) 耐用年数をめぐる基本論点
耐用年数をめぐっては、耐用年数表の適用関係が問題となることが多いといえるが、ここでは、基本的な論点をいくつか取り上げ、解説することとしたい。
税務判例を読むための税法の学び方【14】 〔第4章〕条文を読むためのコツ(その7)
今回は、句点(、)の使い方について確認する。
ある限定や修飾がどこまで及ぶかを誤れば、解釈が誤ってしまう。その限定、修飾の理解に欠かせないものが、この句点である。
前回述べた「・・・で・・・もの(者、物)」においても、「A及びBで・・・のもの」と「A及びBで、・・・のもの」という場合がある。
この両者は明確に異なっている。
「A及びBで・・・のもの」という場合には、通常、「・・・のもの」はBだけに掛かるので、「A」及び「Bで・・・のもの」という意味である。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載27〕 小規模宅地等の減額特例に関する平成25年度改正について ─区分所有建物に居住していた場合の取扱い─
平成25年度税制改正大綱では、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行うとされていた。
(中略)
これにより、小規模宅地等の減額特例の対象となる特定居住用宅地等については、二世帯住宅に係る構造要件が撤廃されたとして、被相続人居住部分に加えて、生計を一としない親族が取得したその親族が居住する部分も、その対象になるとされた。そして、例えば、親子で上下階に住む二世帯住宅で、外階段を有するものについても、その敷地のすべてが小規模宅地等の減額特例の対象となるとの報道がされていた。
会計リレーエッセイ 【第7回】「中小企業の会計の行方」
わが国における非上場会社、とりわけ、中小企業の会計は、―適切になされている事例は散見されるものの―少なくとも拡大前EU加盟国や北欧諸国と比べ、残念ながら、マクロ的には見劣りがすることは否定できない。
すなわち、ヨーロッパ諸国においては、EC会社法指令に基づいて、計算書類の登記所開示が行われるとともに、外部監査人の監査の対象となっている会社の「割合」も日本に比べればはるかに高い(そもそも、原則として対象となるが、例外的に監査を受けることを要しない―とはいえ、監査の対象とならない中小企業の絶対数は多い―というアプローチになっており、例外的に会計監査人監査が要求されるとする日本とは発想が異なる)。
林總の管理会計[超]入門講座 【第6回】「正しい原価計算とは何?」
〔Q〕伝統的原価計算って、いつの時代の原価計算なんですか。
〔林〕原価計算の歴史は19世紀に遡るのだけれど、伝統的原価計算という場合、それは20世紀のはじめにGMやウェスティングハウスなどで発展した原価計算を指している。
つけ加えれば、実務で行われている原価計算の大半は、この方式といっていい。
〔Q〕じゃあ、ポスト伝統的原価計算はいつなんですか。
〔林〕1980年代後半だね。具体的には、活動基準原価計算や時間基準原価計算などだ。
〔Q〕2つの原価計算の違いって、何なのですか。
〔林〕その質問に答えるには、まだまだ君の知識が足りないな。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第12回】棚卸資産会計②「棚卸資産評価の会計処理」-収益性の低下に基づく簿価切下げ
最近、当社が扱っている商品の販売価格が下落しており、期末在庫の正味売却価額が取得原価より低下していました。
この場合の会計処理について、教えてください。
monthly TAX views -No.6-「はじまる租税回避対応策の検討」
英国スターバックス社(以下「スタバ社」)の租税回避問題が英国で大きく取り上げられ、不買運動にまで発展したが、米国多国籍企業を中心とする租税回避問題については、今回のG8サミットで取り上げられるなど、その後も議論は収束どころか拡大の方向で続いている。
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第4回】「別表6(18)記載のポイントと当初申告要件の確認」
連載4回目となる今回は、本制度に係る別表の書き方や当初申告要件など手続規定を中心に解説する。
生産等設備投資促進税制の適用を受けるためには、特別償却の場合は、「確定申告書等に機械等の償却限度額の計算に関する明細書を添付」することが必要となる。
また特別控除の場合は、「確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる機械等の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付」が必要となる。
