学会(学術団体)の税務Q&A 【第18回】「学会誌を電子化する場合の税務上の留意点」
本学会は、学会誌の電子化を検討していますが、紙媒体から電子媒体に変更する場合における税務上の留意点について教えてください。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第50回】「鶏舎や牛舎は完全な周壁がないとしても一部を除いて「建物」として登記され、大規模で資産価値も相当高いから「構築物」ではなく「建物」であるとされた事例」
上記のような規定ぶりから家畜小屋について、建物に該当するか否かは一律に判断するのではなく、実体をみて判断することになると考えられる。今回は、牛舎、鶏舎が建物に該当するのかについて争われた事案を検討する。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第70回】
ブロックチェーンが異なり互換性がないため、BTC(ビットコイン)を、これとは異なる種類の暗号資産であるETH(イーサ)を独自のトークンとして擁するイーサリアムブロックチェーンで直接利用することはできない。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第74回】「外国税額控除権の行使(地判平25.11.19、高判平26.3.26、最判平26.12.18)(その2)」~旧所得税法95条2項、同条6項(平成21年改正前)~
外国税額控除制度の意義とその趣旨について、被告は、「国家は、国家主権の派生としての課税権を有しており、国際的二重課税にいかに対処するかは本来的にはそれぞれの国家の立法政策、租税政策に属する事柄であって、国際的二重課税排除のために外国税額控除を認めなければならないものではなく、これを認めるとしても、政策目的の実現のために課税を減免するという、国家による一方的な恩恵的措置にすぎない」と主張し、一方、原告は、「外国税額控除制度は、課税の公平と中立性の原則に基づき、国際的二重課税を排除し、国際取引に対する経済的中立性(資本輸出中立性)の維持を目的とする制度であり、所得課税の基本的構造の性格を有するものと解すべきであり、政策的課税減免規定や一方的な恩恵的措置であるなどとする被告の主張は誤りである。」と主張した。
有価証券報告書における作成実務のポイント 【第12回】
今回は、有価証券報告書のうち、【経理の状況】の【注記事項】退職給付関係とストック・オプション関係までの作成実務ポイントについて解説する。
日本の企業税制 【第140回】「アメリカの税制改正の行方」
トランプ政権の関税政策が世界中で話題となっている一方、アメリカの連邦議会で審議が進むOne Big Beautiful Bill Act(OBBBA)の行方にも高い注目が集まっている。
既に5月22日には下院で法案が可決されており、現在、ステージは上院での審議に移っている。法案に含まれる「報復措置」による影響が欧州のみならず日本でも甚大になる恐れがあることから、上院での審議を経た上での上下両院での修正作業がどの程度の期間で完了するのか、内容的にどういった修正が施されるのかなどについて、税制関係者の間で話題になっている。
相続税の実務問答 【第108回】「遺産分割期限の延長が認められるやむを得ない事情」
姉は20年前に両親の反対を押しきって義兄と結婚し、以後、実家には寄り付かなくなりました。母が亡くなった時に姉に連絡しましたが、姉は葬儀に来ませんでした。母が亡くなってから半年くらい経ったときに、母の遺産の分割協議を行いたい旨を姉に連絡してみましたが、「まだ、その気になれない。」との簡単な返事が返ってきただけでした。
そこで、税理士に委任して、法定相続分の割合で相続税の申告をしてもらいました。その後、姉とは連絡を取っていません。
間もなく相続税の申告期限から3年が過ぎてしまいますが、小規模宅地等の特例を受けるつもりであれば、遺産分割ができない「やむを得ない事情」について税務署長の承認を受けなければならないとのことです。今日まで遺産分割協議ができなかったのは、お互いの感情的な問題に起因しているといえます。私の場合、この承認を受けることができますか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第73回】「外国税額控除権の行使(地判平25.11.19、高判平26.3.26、最判平26.12.18)(その1)」~旧所得税法95条2項、同条6項(平成21年改正前)~
本件は、原告が、平成21年分の所得税について、所得税法(平成21年法律第13号による改正前のもの。以下、本稿において同じ。)95条2項に基づき、平成19年分の控除限度額を繰り越して使用することにより外国税額控除をして確定申告をしたところ、税務署長から、原告の平成20年分の確定申告書には同条6項所定の事項(「外国税額控除に関する明細書」や同控除の計算の基礎となる書類等の添付もされていなかった)の記載等がなかったから、平成21年分所得税について、同項に規定する手続要件を満たしておらず、同条2項に基づく外国税額控除をすることはできないとして更正処分等を受けた事案である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第170回】いわき信用組合「第三者委員会調査報告書(公表版)(2025年5月30日付)」
2024年9月8日頃から同月30日頃にかけて、ソーシャル・ネットワーキング・サービス「X」(旧 Twitter)上に、「元信用組合職員」を名乗るアカウントから、いわき信用組合が隠蔽してきた不祥事件や不正会計(粉飾決算)について発信していく旨、並びに、三事案の存在をうかがわせる内容の投稿がなされた。同年10月2日に全国信用協同組合連合会(全信組連)仙台支店からいわき信用組合に対して上記投稿がなされている旨の情報提供がなされたため、旧代表理事らへの事実確認等の内部調査を行った結果、同月21日頃までに、三事案がいずれも概ね事実であることが判明した。
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第11回】「「減価償却」と「正規の減価償却」」
「企業会計原則」は、定額法、定率法等の一定の「減価償却」の方法を規定している(「企業会計原則」第三 貸借対照表原則、五)。
一方、「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第81号)では、「正規の減価償却」という用語が用いられている。
そこで今回は、「正規の減価償却」という用語の意味について取り上げる。