〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第64回】「限度面積を超える土地の買換えを行った場合における小規模宅地等の特例と個人版事業承継税制の適用面積」
先代事業者甲は令和2年10月に後継者である長男乙に特定事業用資産である下記のA土地の贈与を行い、乙は個人版事業承継税制に係る贈与税の納税猶予の適用を受けました。その後、令和3年11月にそのA土地の全てを売却して下記の買換資産であるB土地を同年12月に購入し、租税特別措置法70条の6の8(個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除)5項の買換承認の適用を受け、下記のB土地は贈与税の納税猶予の適用を受ける特例受贈事業用資産とみなされています。
基礎から身につく組織再編税制 【第47回】「適格現物分配があった場合の特定資産譲渡等損失の損金算入制限」
今回は、適格現物分配があった場合の特定資産譲渡等損失の損金算入制限について解説します。
適格現物分配があった場合には、現物分配法人の有する資産は、現物分配法人の帳簿価額で譲渡されます。したがって、現物分配法人から移転を受けた資産の含み損を実現させ、被現物分配法人の所得と相殺する、あるいは、現物分配法人から移転を受けた資産の含み益を実現させ、被現物分配法人の含み損と相殺するといった租税回避行為が可能となります。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第6回】「タイバーツ移転価格課税事件-金銭消費貸借の金利スワップレート実在性を中心に-(地判平18.10.26)(その1)」~租税特別措置法66条の4、租税特別措置法施行令39条の12、租税特別措置法関係通達66の4(5)-4~
本件は、原告が外国法人である訴外子会社に金銭を貸し付け、その受取利息を本件各事業年度における益金として法人税の申告をしたところ、所轄税務署長である被告が、当該貸付取引に租税特別措置法(以下「措置法」)66条の4に定める「移転価格税制」のうち「独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法」を適用し、被告の算定した独立企業間価格と上記受取利息との差額を所得金額に加算して本件各更正処分を行い、さらに本件各賦課決定処分をしたことから、原告が、本件各更正処分は措置法66条の4の解釈を誤り、租税法律主義に違反し、かつ理由に不備があると主張して、本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第135回】東海リース株式会社「外部調査委員会調査報告書(公表版)(2022年11月11日付)」
2022年7月下旬、東海リースの連結子会社である東海ハウスの当時の役員、従業員計4名がエコ・プラント株式会社(以下「エコ・プラント」という)を設立した上で、東海ハウスの部材外注加工に関する取引にエコ・プラントを介在させることにより、総額計約1,400万円の原価水増し請求を行っていることが判明したため、東海リースは、不適切な取引の内容を明らかにするとともに、他に不適切な事案が発生していないかを明らかにすることを目的として、同月26日、松井巧社外取締役監査等委員(税理士)及び西野但社外取締役監査等委員(税理士)、顧問弁護士高橋幸平氏(梅田総合法律事務所所属)の3名からなる社内調査委員会を設置して調査を開始した。
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第8回】「「自己株式」と「自社の株式」と「ストック・オプション」」-それぞれの定義と意味の整理-
株主への利益還元などを理由に、自己株式の取得を行う企業がある。
実務では、自己株式や自社株など類似の用語が使用されることがあるが、これらの用語の違いを理解して使い分けることはできているだろうか。
今回は、「自己株式」に関連する用語の定義を取り上げ、その意味を整理する。
《速報解説》 国税庁が「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」を公表~システム修正費用が修繕費又は資本的支出かの法人税法上の取扱いの判断基準を示す~
国税庁は、令和4年12月9日、「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」をQ&A形式で公表した。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第114回】「節税商品取引を巡る法律問題(その8)」
例えば、いわゆるレオパレス21事件の一つに岐阜地裁令和2年2月28日判決(判例集未登載)がある。高齢者であるAは、レオパレス21(被告)の担当者から、Aが金融機関から融資を受けて所有地上に共同住宅を建築し、被告が同共同住宅を一括して借り上げて転貸するといういわゆるサブリース事業の勧誘を受け、建築した共同住宅を、被告に対し、契約期間30年、当初10年間は賃料額固定(その後は2年ごとに協議)等の約定で賃貸し(以下「本件賃貸借契約」という。)、被告から賃料(管理費等は控除)を受領していた。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第9回】「国税通則法12条(~14条)及び22条」-書類の送達と提出-
送達とは、「訴訟上の書類を一定の方式により当事者その他の訴訟関係人に了知させることを目的とする裁判権の作用」(角田禮次郎ほか編『法令用語辞典〔第10次改訂版〕』(学陽書房・2016年)501頁)をいうが、国税通則法はこれに「準じた送達の規定」(同頁)を定めている。すなわち、12条で「書類の送達」の通則について、13条で「相続人に対する書類の送達の特例」について、14条で書類の送達ができない場合の「公示送達」についてそれぞれ定めている。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第21回】「課税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しなかった場合」
当社は消費税の課税事業者です。適格請求書発行事業者については、まだ、事業者の多くが登録をしていないようなので、当社としてもどうするべきか迷っています。
このまま当社が適格請求書発行事業者の登録をしなかった場合、当社の売上先にとっては免税事業者から仕入れをしたのと同じ扱いになるのでしょうか。