〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第22回】「匿名組合分配金はどのように取り扱われるのか」
その構成員が外国の事業体である我が国匿名組合の収益分配金は、我が国課税上どのように取り扱われるのでしょうか。
〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第1回】「リース取引の定義」~“レンタル”や“購入”との違い~
経理の仕事をしていると、「リース」という言葉を聞くことがありませんか?
「これはリースだから会計処理に注意してね。」
筆者が新卒で経理の仕事をしていた時、資料を持った上司からそう声をかけられました。
当時、筆者は固定資産の担当で、固定資産台帳の登録や固定資産に関する会計伝票を作成する必要がありました。
この記事を読んでくださっている方には、同じような経験をされている方がいらっしゃると思います。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第129回】株式会社ダイイチ「第三者委員会調査報告書(公表版)(2022年6月24日付)」
ダイイチは、2022年3月より開始された札幌国税局の税務調査において、2017年9月期以降、継続して、納品されていない商品の仕入計上及び棚卸の除外による利益の調整(以下「売上原価の先行計上」という)を含む不適切な会計処理が行われており、2021年9月期における売上原価の先行計上の金額は少なくとも約82百万円であるとの指摘を受けた。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第30回】「M&Aを行う理由・要因別の売り手の見方」
中小企業にとって、M&Aという手段は経営をする上で必ず行わなくてはならないものではありませんから、買い手がM&Aという判断、決断に至るには何らかの理由、要因があると考えるのが自然です。しかも、この理由や要因の別によって、買い手が売り手をどう見ているか、言い換えると、どのような売り手を探しているかも異なりそうです。
〈注記事項から見えた〉減損の深層 【第9回】「鉄道子会社が減損に至った経緯」-減損の理由は観光客減少か、人口減少か-
東急は2022年3月期において、子会社である伊豆急行の保有資産について減損を実施しました。
伊豆急行は、伊豆半島の東側(伊東-伊豆急下田間)を南北に走る鉄道路線の会社です。伊豆急行線はJR東日本と相互乗り入れしており、東京、神奈川方面からの観光客が利用する観光鉄道としてよく知られています。それゆえ、コロナ禍により観光客が激減し、業績が悪化したことは間違いないでしょう。
《速報解説》 投資性ICOに関する各種規定の整備を踏まえ、ASBJが「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い」を確定
当該改正により、いわゆる投資性 ICO(Initial Coin Offering。企業等がトークン(電子的な記録・記号)を発行して、投資家から資金調達を行う行為の総称)は 金融商品取引法の規制対象とされ、各種規定の整備が行われた。
実務対応報告は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」における電子記録移転有価証券表示権利等の発行・保有等に係る会計上の取扱いを示すものである。
《速報解説》 東証、「IPO等に関する見直しの方針について」を公表~新規上場の品質維持・スタートアップに多様な新規上場手段を提供するための検討進める~
2022年8月24日、東京証券取引所は、「IPO等に関する見直しの方針について」を公表した。
これは、新規上場の品質を維持しながら、新たな産業の担い手となるスタートアップに多様な新規上場手段を提供する観点から、IPO等に関する諸施策について、順次、検討を進めるものである。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第17回】「外国組織体の法人該当性判断枠組み」-米国デラウェア州LPS法人該当性事件・最判平成27年7月17日民集69巻5号1253頁-
前回は、課税要件事実の認定を、未経過固定資産税等相当額清算金の性質決定について検討したが、今回は、外国法に準拠して設立された組織体(以下「外国組織体」という)の性質決定について検討することにする。我が国の実定所得課税制度は、納税義務者を個人と法人とに二分し、それぞれに帰属する所得に課税する建前を採用しているが(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【219】参照)、そのため、外国組織体の性質決定の問題は、外国組織体の法人該当性に関する判断枠組み(以下「外国組織体の法人該当性判断枠組み」という)の中で検討されることになる。
令和4年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第4回】
投資簿価修正制度は、通算子法人が通算グループから離脱する場合、その離脱法人の株式を所有する通算法人において、その離脱法人の株式の帳簿価額を離脱法人の離脱直前の簿価純資産価額に修正することとしており、株式の取得価額に企業買収時のプレミアム相当額が含まれている場合、そのプレミアム相当額が株式譲渡原価に算入されず、その分、株式譲渡益が増加又は株式譲渡損が減少してしまう問題があり、グループ通算制度の適用がM&Aの障害となることが懸念されていた(一方、企業買収時に簿価純資産価額よりも低い金額で株式を取得するなどディスカウント相当額がある場合、そのディスカウント相当額が株式譲渡原価に算入され、その分、株式譲渡益が減少又は株式譲渡損が増加することになる)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例113(法人税)】 「収用等の圧縮記帳と特別控除を重複適用したため、税務調査により修正申告となったが、「特別控除は当初申告の金額を変更できない」として圧縮記帳が不可となった部分につき損害が発生した事例」
令和X年3月期の法人税につき、確定した決算において、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(以下「収用等の圧縮記帳の特例」という)を適用していたにもかかわらず、申告書において、「収用換地等の場合の所得の特別控除」(以下「収用等の特別控除」という)を重複適用したため、税務調査で指摘を受けた。