「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例99(消費税)】 「課税売上げのみに対応するテナント用賃貸建物の取得をした際に、不利な一括比例配分方式で申告してしまった。さらに第3年度において課税売上割合が著しく変動した場合の調整の対象となってしまったため、二重で損害が発生してしまった事例」
平成W0年分の消費税につき、テナント用賃貸建物の取得をした際に、個別対応方式が有利であったにもかかわらず、不利な一括比例配分方式で申告してしまった。これにより、平成W0年分の消費税につき過大納付が発生した。さらに、上記賃貸用建物が調整対象固定資産に該当し、令和Y年に「課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整」(以下、単に「課税売上割合が著しく変動した場合の調整」という)の対象となってしまったことから、令和Y年分の消費税についても過大納付が発生した。これにより、平成W0年及び令和Y年分の過大納付消費税額につき損害賠償請求を受けたものである。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第6回】「賃借人が負担した建物附属設備の固定資産税(償却資産税)の納税義務者は誰になるのかが争われた判例」
固定資産税の課税客体は、土地、家屋、償却資産(地方税法第341条第1号、第342条第1項)であるが、償却資産は土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(地方税法第341条第4号)とされている。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第35回】「親族に対する譲渡と親族の経営する会社に対する譲渡」-特殊関係者に対する譲渡-
Xが、居住用家屋とその敷地を、Xの弟であるZ(XとZは住居も生計も別であり、譲渡後に当該家屋に同居する予定もありません)に売却した場合と、Zが経営するD社(Zの持株割合90%)に売却した場合とでは、他の適用要件が具備されている場合に、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」の適用関係に差が生ずるでしょうか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第56回】
法人税法22条の2第6項との関係では、資本等取引の要素と損益取引の要素が混合ないし混在している取引(混合取引)に関する議論を確認しておく必要がある。
金子宏「法人税における資本等取引と損益取引」同編『租税法の発展』337頁以下(有斐閣2010)において、要旨次のような問題提起及び提言がなされていた(下図は筆者作成)。
〈事例から学ぶ〉不正を防ぐ社内体制の作り方 【第7回】「コロナ禍で高まる子会社管理リスク」~内部統制報告書から課題と問題点を学ぶ~
国内外に多くの拠点を展開し、子会社を持つ会社が増えています。そのなかで、子会社はじめ支店や営業所での管理体制が問われる事例が絶えません。たとえば、上場会社は、毎期自社の内部統制の有効性に関する評価結果を内部統制報告書によって株主はじめ広く利害関係者に伝えています。その報告書を見ると、子会社の不正や不適切な会計処理が増加している傾向がわかります。
筆者の調査によれば、2020年通年の報告書において伝えられた子会社の不正や不適切な会計処理は、内部統制の不備を報告した報告書延べ件数全体の約48%に及びます。コロナ禍により、国内外への出張が制限されるなか、国内外の拠点を直接管理する眼が十分届かない状態にあります。こうして国内外に展開する拠点の管理体制に潜在するリスクが見過ごされてしまう懸念も増えているといえます。
収益認識会計基準を学ぶ 【第7回】「履行義務の識別②」
契約における取引開始日に、顧客との契約において約束した財又はサービスを評価し、次の①又は②のいずれかを顧客に移転する約束のそれぞれについて履行義務として識別する(収益認識会計基準7項、32項)。
《速報解説》 国税庁、令和3年5月20日東京地裁判決を受け平成27年以前の公社債の譲渡による譲渡所得の取扱いを変更~旧規定で課税対象となる公社債に係る「150%基準」の判定時期を見直し~
国税庁は6月22日付けで「平成27年以前の公社債の譲渡による譲渡所得に係る取扱いについて」を公表、平成28年に施行された公社債課税制度の改正前制度における取扱いを一部変更したことを明らかにした。
《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和2年10月~12月)」~注目事例の紹介~
国税不服審判所は、2021(令和3)年6月17日、「令和2年10月から12月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、法人税法が3件、国税通則法が2件、相続税法が1件で、合わせて6件となっている。
今回の公表裁決では、6件のうち3件が国税不服審判所によって、原処分庁の課税処分等の全部又は一部が取り消され、納税者の審査請求が棄却されたものが2件で、1件は却下されている。
《速報解説》 会計士協会、監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」の適用を踏まえた会社法監査等のスケジュールの検討を会員に促す~実務の参考となるスケジュール検討例も掲載~
2021年6月22日、日本公認会計士協会は、会員向けに、「監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」の適用を踏まえた会社法監査等のスケジュールの検討について」を公表した。