〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第61回】「死亡退任した役員に対する未払退職慰労金とみなし相続財産」
当社は、数年前に死亡退任された元代表取締役に対し、適正な手続きを経た上で役員退職慰労金を支給しています。支給決定当時、当社の資金繰りの事情から、当該役員退職慰労金を数年かけて分割支給することをご遺族の方と合意しています。
その後、当社の資金繰りはさらに窮する事態となったため、未払として残っていた役員退職慰労金の一部について、ご遺族の方と合意の上で不支給とさせていただきました。
この場合、ご遺族の方にご迷惑をかける可能性はありますか。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第7回】「自宅以外で亡くなった場合の小規模宅地等の特例の適用」~老人ホームの場合①~
父は政令に定められる老人ホームに入居し、要介護認定を受け、そのままその老人ホームで亡くなりました。母は父と同居(生計一)していましたが、父の老人ホーム入居時には死亡していました。父が老人ホーム入居直前まで居住していた建物は、しばらく空き家でしたが、父の相続開始前に、従前より賃貸住宅に住んでいた生計別の長男が引っ越してきて居住しました。
上記において、その亡くなった父所有の建物と敷地を長男が相続し、それ以降も引き続き住んでいます。この場合、敷地は相続開始直前において父の居住の用に供されていた宅地等に当たり、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例は受けられますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第64回】「適格株式移転(完全支配関係)」
前回は組織再編税制における「株式移転」に関する基本的な考え方を解説しました。
今回からは数回にわたり完全支配関係がある場合、支配関係がある場合、共同事業を行う場合のそれぞれにおける適格株式移転の要件について整理していきます。今回は「完全支配関係がある場合」の適格株式移転の要件について確認します。
なお、完全支配関係の定義については、本連載の【第2回】を参照してください。
給与計算の質問箱 【第53回】「住民税の定額減税」~所得税の定額減税との違い~
住民税の定額減税について、所得税の定額減税との違いをふまえてご教示ください。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第45回】「双輝汽船(株)タックスヘイブン便宜置籍船事件-特定外国子会社に生じた欠損金の損金算入の可否-(審裁平13.12.21、地判平16.2.10、高判平16.12.7、最判平19.9.28)(その1)」~租税特別措置法66条の6第1から3項、法人税法11条ほか~
本税制は外国子会社を利用した租税回避を防止するものとして昭和53年に導入されたもので、以来さしたる疑問を抱くことなく合算すべきは外国子会社の所得の金額であるとされてきたが、本事件では所得だけではなく欠損の金額も親会社の損金の金額として合算することの可否が争いになった。
〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第2回】「脱炭素に取り組まないことのデメリットは?」
従来、企業による環境配慮のための取組みは、CSR(※1)活動としての性質が濃いものでした。多くの場合、こうした活動は、企業のイメージアップにつながる「加点」としての意味合いが強く、企業経営における重要課題として位置付けられるものではありませんでした。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第131回】「消費税法上の実質行為者課税の原則(その4)」
例えば、国税不服審判所令和4年11月9日裁決(裁決事例集129号174頁)は、次のように論じる。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第26回】「国税通則法72条・73条(・74条)」-徴収権の期間制限(消滅時効)-
前回は租税債権の期間制限(前回1参照)のうち確定権の期間制限について検討したが、今回は徴収権の期間制限について検討することにする。
国際課税レポート 【第2回】「米国・G20それぞれによる富裕層・時価評価所得課税構想」
資産の時価評価課税(mark-to-market)の可能性がこれからの富裕層所得課税のカギになるかもしれない。資産の時価評価技術の進歩と、評価についての国際的な調和や執行協力がそれを可能にする。
これは、格差大国といわれる米国における税制改革提案や、G20におけるブラジルとフランスによる富裕層グローバルミニマム税提案といった最近の動きの観察から想起されたことだ。以下説明する。