ストーリーで学ぶIFRS入門 【第7話】「日本ではまだ馴染みの薄い有給休暇引当金」
「お帰り。有給届のハンコ、もらえたか?」
桜井が経理部のシマに戻ると、隣の席の2年先輩にあたる藤原が話かけてきた。桜井は、経理部長の清瀬から有給申請届の承認印をもらってきたところだった。
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第28回】「IFRS15(収益認識の基本)」
2014年5月28日にIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益(以下、「IFRS15」という)」が公表されている。IFRS15は、原則、2018年1月1日以後開始する事業年度から適用される。
また、日本においても、IFRS15の強制適用日に適用が可能となることを当面の目標として収益認識に関する包括的な会計基準の開発が検討されている(「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集(以下、「意見募集」という)」15)。
今回は、IFRS15の「基本」について解説する。IFRS15では、収益認識は履行義務単位で行う。そして、5つのSTEPに分けて検討する。
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第6話】「IFRSに基づいた5つの財務諸表」
気がつけば7月。経理部にとっては第一四半期決算の真っ盛りだ。後輩ができたとは言え、入社3年目、まだまだ下端の桜井は、監査対応に自分の担当業務、さらに後輩のフォローと慣れない仕事に追われ、連日大忙しだった。日課の早朝勉強も今は休止状態で、朝残業に取って代わっている。
「お疲れさん。どんな調子だ?」
桜井の2年先輩の藤原が給湯室から2人分のコーヒー持ってきて桜井を労う。コーヒーは夕方淹れたものらしい。数時間保温され続けたことで生じる独特の匂いが鼻につく。
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第5話】「概念フレームワークの改訂と公正価値」
株主総会も終わり、仕事がひと段落した6月下旬。桜井はいつも通り7時半にオフィスに着いた。
今月は毎週木曜日の始業前に、同じ経理部の先輩である藤原からIFRSの前提となる基礎を教えてもらうことになっている。今日がその最終回だ。
桜井の勤める会社は機械部品を製造する上場会社である。
と言っても、規模はそれほど大きくはなく、「中堅」という言葉がピッタリだ。社長の意向によりIFRSの導入を検討することになったため、数年後の導入時を見据えて入社3年目の桜井も今のうちからIFRSを勉強することになったのだ。
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第4話】「概念フレームワークを学ぶ(後編)」
6月23日木曜日、午前7時30分。桜井と藤原の早朝IFRS勉強会も、今日で3回目だ。
「入社3年目、経理部のホープ桜井弘樹は、頼りがいのある藤原先輩の下、今日も概念フレームワークの勉強に勤しんでいるのであった。」
桜井は、椅子ごと回転させて隣の藤原に向き直った。
「先輩、缶コーヒーをマイク代わりに変なナレーションをつけるの、止めてください。」
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第3話】「概念フレームワークを学ぶ(前編)」
今日は、IFRSの早朝勉強2回目の日だ。入社3年目の桜井は、同じ経理部の先輩である藤原にIFRSについて教えてもらうことになっている。桜井の勤める会社は規模こそ大きくないが上場会社であり、IFRSの導入を検討していることから、桜井もIFRSを勉強することになったのだ。
「どうした?難しい顔してるぞ。」
藤原よりも先に出社して、IFRSの本を読んでいる桜井の眉間に深い皺が寄っていた。
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第2話】「IFRSの特徴は大きく3つ」
「お前さ、英語苦手だろ?」
図星を指されて、桜井は一瞬口ごもる。学生時代は英語が不得意だったわけではない。受験英語は数学のように理屈で解けたため、英単語さえ押さえておけば何とかなった。でも、会話やニュースのように実際に生きている英語となるとそうはいかない。読むにしても聴くにしても全く理解できず、脳みそがフリーズしてしまうのだ。
ストーリーで学ぶIFRS入門 【第1話】「わが社もIFRS導入!?」
「今日もすがすがしいなぁ。」
桜井は自席に座ると、大きく伸びをした。6月にしては晴れて気持ちの良い朝だ。
朝7時30分。早朝のオフィスはまだ閑散としていて、空調の静かな音だけが室内に響いている。会社の始業は9時だが、満員電車を避けるため毎日1時間以上早く出社している。その1時間に流行の自己啓発本や専門情報誌を読むのが桜井の日課だ。今日も『できる人の10箇条』という本をパラパラめくり、しおりを探した。
IFRS第16号「リース」の要点と実務への影響 【第2回】「新基準の概要と実務への影響」
借手はリース開始日に原則として全てのリースをオンバランス処理しなければならない。ただし、短期リース及び少額資産のリースに関しては例外的にオフバランス処理が認められている。これに対し、貸手についてはIAS第17号から大きな変更はない。すなわち、リース取引をオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに分類し、それぞれに対して異なった会計処理を適用する。