日本の企業税制 【第79回】「株主総会の延期と法人税の確定申告期限」
新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年3月期の決算では、企業や監査法人の在宅勤務等の感染防止策の徹底による決算及び監査の作業効率の低下、海外の子会社等からの決算情報の集約の遅れ等により、決算発表が45日内より遅れる上場企業が多数に上っている(5月13日現在で582社)。
これからの国際税務 【第19回】「令和2年度税制改正大綱における国際課税の焦点(その3)」-子会社配当益金不算入を利用した租税計画への対応-
平成21年度税制改正で我が国が導入した外国子会社配当についての益金不算入制度は、事業に関係する国外所得を法人税の課税対象所得から除外するものであり、それまでの間接外国税額控除制度の複雑さを解消するメリットに加え、グローバルスタンダードにも合致し、他国の多国籍企業との競争中立を保証する二重課税排除方式として評価され、実務に定着してきた。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第14回】「業績悪化改定事由に該当するか否かの判断」
前回に引き続き、業績悪化時の対応について質問させてください。
当社は新型コロナウイルス感染拡大により確実に業績が悪化する見通しであるため、役員報酬の減額を決議しているのは前回のとおりです。 一部の都市圏で緊急事態宣言が未だ解除されていないことも、業績悪化予測に拍車をかける結果となりそうです。
今回伺いたいのは、このたびの役員報酬減額決議がいわゆる定期同額給与の業績悪化改定事由に該当し、改定前と改定後の役員給与はそれぞれ損金算入できるのでしょうか。
相続税の実務問答 【第47回】「相続開始から3年経過後に死亡退職金の支給が確定した場合」
私の父は、平成28年3月1日に亡くなりました。相続人は私と姉の2名であり、相続税の申告及び納付は、同年12月までに済ませました。
父は、伯父が社長を務めるA社の副社長として、長らく伯父を支えてきましたが、父が亡くなった平成29年当時、A社の業績は思わしくなく、父の死亡退職金を支給する余裕はありませんでした。伯父からは、会社の業績が回復すれば退職金も出せるので、それまで待ってほしいと言われていました。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第29回】
『平成30年度 税制改正の解説』274頁は、法人税法22条の2第2項の「別段の定め」から同法22条4項が除いた趣旨及び「別段の定め」の具体例について、法人税法22条の2第1項と同様であると説明されている。よって、次の規定が2項の「別段の定め」の例となる(本連載第18回参照)。
基礎から身につく組織再編税制 【第16回】「適格合併、非適格合併を行った場合の被合併法人の株主の取扱い」
利益積立金額が株主に交付されるときは、みなし配当を計上する必要があります(法法24)。
適格合併が行われた場合には、被合併法人の利益積立金額は合併法人に引き継がれ、被合併法人の株主に交付されないため、被合併法人の株主においてみなし配当を計上する必要はありません。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第88回】「附帯決議から読み解く租税法(その1)」
附帯決議とは、国会において、委員会が法律案を可決する際に本案である法律案に附帯して行う決議で、当該法律の実施に際しての希望、留意事項等を法律案自体とは別個に決議するものである。
決議された内容に法的拘束力は無いが、政府を代表して所管大臣が「決議の趣旨を尊重する」旨を回答するため、一定の政治的効果はあると考えられている(石井和孝「附帯決議に関する国会議員への意識調査」千葉大学人文公共学研究論集38巻48頁(2019))。
本稿では、国会が行う附帯決議が租税法の解釈・適用に如何なる意義を有するかという点について考えることとしよう。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第35回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-不当性要件と経済的合理性基準(1)-
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」という主題の下で、第20回から、租税法律主義を基軸にして租税回避に関する種々の論点を検討し、第27回からは租税回避の否認について検討してきたが、その検討の最後に、否認要件としての不当性要件について今回から検討することにする。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q55】「海外に所在する中古不動産に投資した場合の損益通算制限」
私(居住者たる個人)は、海外に所在する不動産に投資することにしました。この不動産は賃貸用建物ですが、日本の不動産と同様に、不動産所得として確定申告が必要だと聞きました。
投資する不動産の構造、取得費、家賃収入等は下記のとおりですが、具体的にはどのように計算することになるのでしょうか。