法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例7】「医療用検査機器の機械装置該当性」
私は、東京都内にある臨床検査を行う株式会社に勤務しております。私の勤務する会社では、近隣の病院やクリニックから委託を受けて、様々な臨床検査を行うことを主たる業務としております。その際、各種臨床検査機器を利用することとなりますが、会社の方針として、高額の医療機器は原則リースではなく購入により導入することとしております。
その際、医療機器を扱う商社から、わが社の場合、規模も小さく、法人税法上も中小企業者等に該当するため、導入した検査機器は特別償却の対象となる旨アドバイスを受けました。そこで、わが社の経理担当者はそのような経理処理を行っていたものと聞いていました。
さて、実は先日受けた税務調査で、専門商社から購入し既に事業の用に供している検査機器の特別償却が問題となりました。検査を担当している私も調査官に呼ばれていろいろヒアリングを受けましたが、その最後に、特別償却を適用した検査機器はすべて「器具備品」であって「機械装置」ではないから、適用対象外である、と言い渡されました。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第70回】「受取金額5万円未満の非課税文書の考え方」
【問】
次のような貸付金の回収に係る領収書を交付するにあたり、印紙税の取扱いはどうなりますか。
《速報解説》 国税庁、令和元年分の路線価を公表~地方の回復傾向もあり全国平均路線価は4年連続上昇~
7月1日、国税庁は相続税や贈与税の算定基準となる令和元年分の路線価を公表した。
令和元年分の全国平均路線価は対前年比1.3%増となり、4年連続の上昇を記録した。ここ4年において1.3%の上昇率は最も高く、また、都道府県別の路線価上昇も最も多い19都道府県と増加している。
《速報解説》 定期保険及び第三分野保険に係る改正法人税基本通達等のパブコメ結果が公表される~意見募集を経て改正案からの修正あり~
支払保険料の全額が損金に算入される上、解約時の返戻率を高く設定することで解約ありきの保険契約による節税効果を謳った法人向けの保険商品が金融庁、国税庁から問題視されていたところ、4月11日付けでこれらの対応を含む定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いの見直しを目的とした法人税基本通達の一部改正案がパブリックコメントに付された(意見募集締切日は5月10日)。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第60回】「高額役員給与を考える」
日産のゴーン前会長をめぐる事件以降、役員の高額報酬のあり方が問題となっています。日米欧のCEO報酬の中央値は、日本2億円、米国12億円、欧州6億円です。
欧米では業績の達成度や株価に応じた株式報酬が多いため、日本と比較して差異が生じます。これに比べると、生活を保障する基本報酬は日本と欧米の差はあまりありません。
本来は、役員報酬を役員の生活を保障する基本給と、業績の裏付けとなる成果給、株価を高めた成果給に分ける必要があります。その上で、高額か否かを判断すべきなのです。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第14回】「租税法律主義と実質主義との相克」-税法の目的論的解釈の過形成⑤-
前回の検討では、上記の判断枠組みの「起点」を「文理に照らし」行う解釈(文理解釈)として理解し、「終点」に係る判示部分のうち、1つ目の下線部分を「行為の数量的態様」といい、2つ目の下線部分を「行為の客観的利益状況」ということにしたが(前回Ⅱ参照)、今回も前回同様それらの語を用いることにする。
ところで、競馬事件における2つの最高裁判決を受けて、所得税基本通達34-1(2)が2度改正された(税通令6条1項5号も参照)。まず、大阪事件最判を受けて所得税基本通達34-1(2)に平成27年5月改正により注記が追加された(平27課個2-8、課審5-9改正。以下「第一次改正」という)。次に、札幌事件最判を受けて上記注記が平成30年7月に改正された(平30課個2-17、課審5-1改正。以下「第二次改正」という)。
平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第1回】「研究開発税制の見直し(その1:総額型の控除率の見直し)」
平成31年度税制改正については、既存の税制の見直しが中心となっており、まず、デフレ脱却・経済再生を後押しするため、イノベーション促進のための研究開発税制の見直しや中小企業による積極的な設備投資等の支援に係る改正が行われている。
次に、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築を目的として事業税の一部を分離して特別法人事業税及び特別事業贈与税を創設することになった。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例75(法人税)】 「渡切交際費の処理を誤回答したため、定期同額給与として認められず、税務調査で否認され、修正申告となった事例」
平成X6年3月期から平成Y0年3月期までの法人税につき、役員に対する渡切交際費の処理を誤回答したため、定期同額給与として認められず、税務調査で否認され、修正申告となった。
これにより、修正申告税額につき損害が発生したとして賠償請求を受けたものである。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第39回】「別表6(19) 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
今回は、前回解説したいわゆる「地域未来投資促進税制」のうち、特別償却に代えて税額控除制度を適用する場合の「別表6(19) 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」(※1)の記載の仕方を採り上げる。