日本の企業税制 【第53回】「会社法改正と税制との関係」
2月28日、法制審議会の会社法制(企業統治関係)部会から中間試案が公表された。
今回の中間試案では、株主総会関係(株主総会資料の電子提供、株主提案権)、取締役関係(報酬、会社補償、役員等賠償責任保険契約、社外取締役)、社債、株式交付、その他(議決権行使書面の閲覧、会社代表者の住所が記載された登記証明書など)等に関する規律の見直し・創設が提案されている。
〔平成30年4月1日から適用〕改正外国子会社合算税制の要点解説 【第1回】「押さえておきたい10のポイント」
平成29年度税制改正において、外国子会社合算税制について大幅な見直しが行われた。本改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用される(H29改法附70①~④)。
また、昨年12月21日付で当該改正に伴う新たな通達や関連する通達の改正内容が公表され、本年1月には国税庁より「平成29年度改正に係る外国子会社合算税制に関するQ&A」として、改正内容に関連した15問のQ&Aが公表されている。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第29回】
すでに解説したように、平成14年2月15日に「法人税基本通達等の一部改正について」が公表された。山本守之氏が述べられたように、異論があるとして取り上げるようなことはほとんどなく、むしろ当然のことと思われる内容が記載されていたのがほとんどであった(※1)。
その後の会社法改正、グループ法人税制の導入により大幅に改正されたものもあるため、以下では、現行法上も有効なものについてのみ解説を行う。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第6回】「執行役員に関する税務上の留意点②」~所得税基本通達30-2の2について~
ここまで述べてきたように、一般的に執行役員は使用人とされている。しかし、税務上は直ちに使用人とは言いきれず、役員であるとも言えない。そのあたりを本通達から読み解いていく。
執行役員制度を導入する場合、その執行役員との契約には委任契約と雇用契約がある。この契約の違いによりその執行役員がみなし役員とされることはないが、使用人から執行役員への就任による退職金の打ち切り支給に関しては差があり、(所基通30-2の2)において、以下のように取り扱われている(下線筆者)。
相続税の実務問答 【第21回】「遺産分割が調ったことによる相続税額の調整(更正の請求をしない場合)」
遺産分割の結果に基づいて計算した相続税額が、法定相続分に従って計算した相続税額よりも少なくなる場合には、相続税の更正の請求ができることとされていますが、法定相続分相当額よりも少ない財産しか取得しなかった私が更正の請求をしない場合には、法定相続分相当額よりも多くの財産を取得した弟に対して、申告した相続税額と遺産分割結果に従って計算した相続税額との差額に相当する金額を贈与したことになり、弟に贈与税が課税されることとなるのですか。
《速報解説》 事業承継税制の特例制度、適用対象の非上場株式の確認にあたっては現行制度の名称変更にも留意
平成30年度税制改正において創設される「事業承継税制の特例制度」は、猶予される非上場株式の範囲拡充や従業員の雇用確保要件の実質的な撤廃、複数人から複数人への承継パターンも適用可能とするなど、事業承継問題を抱える中小企業にとってぜひ適用を検討したい新制度だ。
《速報解説》 OECD移転価格ガイドラインの改正を受け、移転価格事務運営要領等が改正~グループ内役務提供取引に係る独立企業間価格の簡易な算定方法を追加~
平成30年2月16日付け(ホームページ公表日は2月23日)で、国税庁は、移転価格事務運営要領及び関連する事務運営要領の一部改正を行った。これは昨年11月から12月にかけてパブリックコメントが実施されていたものである。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第62回】「条文の『見出し』から租税法条文を読み解く(その2)」
以下では、条文見出しとその改正が租税法の解釈に如何なる影響を及ぼすか、具体的な租税法条文を参考に考えてみたい。ここでは、所得税法及び法人税法に規定されている「実質所得者課税の原則」を素材に検討を加えることとする。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第28回】
平成14年度、平成17年度では、組織再編税制についての重要な改正がなかったため、本稿では、平成15年度税制改正、平成16年度税制改正についてのみ解説を行う。
平成15年度税制改正のうち、組織再編税制に関するものは、(1)2段階組織再編、(2)資本積立金額及び利益積立金額の計算の厳格化、(3)宥恕規定の導入、(4)耐用年数である。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第5回】「執行役員に関する税務上の留意点①」~執行役員はみなし役員か~
執行役員は「使用人」にあたると解されるのが一般的である。しかし法人税法上、みなし役員の規定で「使用人は、職制上使用人としての地位のみを有する者に限られる。」とされている。
ここで、法人税基本通達9-2-5(使用人としての職制上の地位)による「使用人兼務役員に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。」から類推すると、執行役員が法人税法上の使用人であるためには、その会社の機構上明確に、使用人としての執行役員制度を定める必要があると思われる。